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どうやら、異世界にはダンジョンがあるらしい

 凍り付くブサを尻目にサミュエルがジョゼを部屋に解き放つ。

 床に下ろされたジョゼが、フスフスと鼻を鳴らしながら室内を探索し始めた。ベッドの下、テーブルや椅子の上下、棚の上。入り口に佇むロラン達を欠片も意に介さず、満足するまで探索を終えたジョゼが窓辺に寝転ぶ。そうする様は猫そのものだ。まぁ、ジョゼは猫だが。

 ちなみに、ブサはこの間ずっと固まっている。


「……こうして見ると、お前も普通の猫だよなぁ」

「ヴニ(猫だもの)」


 さて、どうだかな。


 この頃になるとブサの硬直も解けている。

 窓から覗き込む見知らぬ猫の姿に本気でビビリ、慌ててベッドの下へ駆け込んだのを見て、ロランが溜め息を吐きながらカーテンを閉める。悲しげな猫の鳴き声と、カリカリと窓を引っ掻く音が聞こえた。それに対してジョゼが鋭く威嚇の声を上げ、猫の鳴き声と引っ掻き音が消える。


「さて。早速だがアンリも合流した事だし、ギルドで預かった手紙を開封するぞー」

「手紙、ですか? 誰から?」

「教会だ。心当たりがあるとすれば、枢機卿のどっちかだな」


 ロランの言葉に眉根を寄せて何やら考える様子のアンリ。だが、考えても結果は出なかったようでロランに手紙を開けるように促す。

 それを受けて手紙を開けると、少し読み込んだ後に特大の溜め息を吐いて項垂れた。


「また、お前か……!」

「意義あり!!」

「意義を却下する」


 ロランの言葉から分かるように、手紙の内容は案の定ブサ関連だった。ここ最近のロラン達が受け取った手紙はブサ関連しか無いのだが。

 それを話せば『……知り合い、いないの?』的な無駄に憐れみを込めた目でブサから見られ、あまつさえそれを口に出した事によりロランは青筋を浮かべながら思いっきりブサの顔面を鷲掴みにする。何故、こうまで地雷を踏みに行くのか。

 ちなみに、ロラン達は知人の数は相当に多いと言っておく。ギルド員として、横の繋がりは重要なので。同時にロラン達を疎んでいるものも多いが。

 悲鳴を上げてのたうち回ろうとするブサだが、試練はこれだけでは終わらない。ロランの背後にはサミュエル、リュシアン、アンリと並んでいて報復の順番待ちをしている最中だ。まぁ、アンリはここぞとばかりにブサと触れ合うつもりだろうが。ニンマリと口の端が歪むアンリを見て、ジョゼも尻尾を左右にユックリと揺らしながら最後尾に並び始める。お前もか。 

 ジョゼは元野良猫なのでチャンスがあるならそれに便乗するのは当然である。今は半野良、といったところだろうか? 本猫に飼われている自覚は無い。拾って来たアンリはさておき。


 順々に引き抜けるギリギリまでヒゲを引っ張られ、変顔を強要させられ、抱き締め・頬擦り・腹モフ・肉球の匂い嗅ぎ・甘噛みのフルコース、最後にジョゼがグッタリとして動けないブサをよいしょー、と仰向けにした時には嫌な予感がしたので全力で引き剥がしたが。それにしても、アンリは猫という存在を堪能し過ぎである。


 若干テカテカと顔を光らせながらロランの読み終わった手紙を受け取り、読み進める内にロランと同じように大きく溜め息を吐く。覗き込んでいた他の二人も同様に。

 机に置かれた手紙をブサも首だけもたげて覗き込むが、何故ロラン達が溜め息を吐いているかは把握出来ていない。とりあえず、知った素振りで溜め息を吐いてはみたが、それが演技である事はバレバレである。


「まーた面倒な事ニ……」

「とは言え、無視する訳にもいきませんし……早々に顔を出すべきですね」

「俺、留守番してちゃだめぇ?」

「「「却下」」」


 一人だけ楽させてたまるか。

 サミュエルが残るなら自分も残りたいと考える男達の結束は固かった。その理由は何とも情けないものだったが。


 ぎゃいぎゃいと言い合うサミュエルとリュシアンをよそに、今後の予定をざっくりと決めていく。

 しばらくはこの町に滞在するのは規定路線だ。どうせなら、少し体を休めつつ適当な依頼で稼いでおきたい。何より、この町には最近になって、小規模だが迷宮(ダンジョン)と呼ばれるモノが発生しているので挑戦してみるのもまた一興である。


「ダンジョン!?」

「ん? あー、お前には教えてなかったっけか?」

「聞いてねぇ!!」


 鼻息荒く、尻尾を膨らませながら興奮するブサ。そんなブサを見ながらウットリするジョゼは幸せそうだ。

 興奮するブサを宥めて話す内容は以下のようなものだ。


 いわゆる迷宮(ダンジョン)とはまさしくラノベテンプレ的なものであり、その多くは廃墟や洞窟から発生する。出現は稀だが、ある程度の期間は迷宮として稼動し続け、その後自然消滅する。

 中には魔獣が住み着き、街中であれば死霊系、自然環境であれば魔獣が徘徊する。


「宝箱は!?」

「んなもん、ある訳ねぇだろぉ?」

「何で!?」

「何でってそりゃぁ……宝箱なんぞ自然発生する訳無いだろうガ」


 あくまでも、迷宮の産出品は素材と薬草の類である。いきなり効果な装備品やアクセサリーが転がっていたりはしない。

 もしも迷宮内で装備品やアクセサリーを手に入れたとしたら、それは迷宮内で死んだ人間の持ち物である。

 稀に迷宮の魔力に影響されて特殊な能力を持つ装備品になる事もあるが。そうなるには長時間迷宮内に放置される事が必須なので、死者の装備品を見つけた者はそれを迷宮内に隠す必要がある。その場に放置すれば誰かが拾って行ってしまうし、隠したからと言って隠した人間が回収出来るとも限らないが。そして、回収出来たからと言っても、特殊な能力を持つ事はほぼ無い。

 ちなみに、街中で買って来たばかりの装備品を迷宮内に放置してもそれは劣化するだけである。あるいは誰かに拾われて終わるか。ちなみに、迷宮内で拾った装備品は拾った人間の物である。もちろん、奪う事は犯罪だが。


「……何かイメージと違う」

「俺らからすれば、お前のイメージの方が意味不明だがな。何でいきなり宝箱なんて出て来るんだよ?」

「迷宮ってなそんなもんだろ」

「その感覚が分からん」


 ブサの言う迷宮のイメージとは魔力溜まりなどから発生し、中には莫大な財宝や凶暴な魔獣に溢れ、上手く行けば一攫千金。ウハウハのハーレム生活まっしぐら……。最後はブサの願望でしか無いが。


「そんな物は無い」

「そんな……!!」


 愕然とするブサだが、そもそも猫のブサに迷宮で活躍する事など不可能である。


「ちなみに、ここにある迷宮は町外れにある廃墟だから、死霊系だな」

「待ってる」

「却下」

「何で……っ!」

「ジョゼは留守番だが良いのか?」

「行く」


 ちょろい。


「それよりも、教会の方が先ですけどね?」

「「あ゛」」


 潰れたカラスのような声を出した後、誤魔化すように咳払いを一つ。

 ニヤニヤと笑うサミュエルに蹴りを一発。あっさりと避けられた。


「ん……あ~……教会行くにしても明日だな。今日向こう行って、その後に落ち着いて飯を食う時間があるかどうかも不明だしな。……つー訳で、今日は飯食って寝るぞ」

「それが良さそうですね」


 若干誤魔化し気味のロランの言葉だが、アンリも異論は無いらしい。それは他の面々も同じく。もちろんジョゼにも異論は無い。当然ブサも。


「飯ぃぃぃ!」


 ヒャッハー! と諸手を挙げて喜ぶブサに、無慈悲な言葉が告げられる。


「ただし、お前は野菜中心な」

「なん……だ、と……!?」

「デブ猫」

「デブ!?」


 ダイエットは確定なのです。このデブ猫め。

 このまま突き進めば、腹肉が地面を擦る事になるのは確実なのである。やーい、デブー。

 定番の迷宮さん、満を持して登場!

 ただし、わりとリアル仕様。


 町外れにリアルホラーハウス出現、ドキッ! ポロリもあるよ!(首が)なんて事も起こります。ちなみに、王都には迷宮は出現しない仕様。


 理由:異世界人


 自分が住んで居る場所の近くにお化け出るとか嫌ジャン? 的な軽いノリで過去にやらかした御仁が居たり。結果、本人は町から出られなくなったけど引き篭もり(ニート)だから問題無し。


 自宅警備最高です!! ちなみに嫁は二次元。

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