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どうやら、俺の過去が明らかになったらしい

 当然の如く、ブサの知人も全員が詐欺師です。どうしようもないね。

「おま……まさかの犯罪者って……!」

「意外……でも無い、カ?」

「ぶにゃぁっ!(覚えてねぇよっ!)」

「あ、僕も同じ詐欺グループにいました。ちなみに、今は真偽官です」

「「おい(イ)」」


 ブサが詐欺師である事を知っており、なおかつブサを先輩と慕う位だから、このイアサントというエルフの青年も何らかの犯罪に関与している可能性はロラン達も予測していた。

 だが、今世における職業が真逆の『真偽官』とは思いもよらなかった。


「ん……? 真偽官?」

「はい」

「……ブサとはどこで会ったって?」

「アンリという青年の尋問の際ですね。公開尋問では無く、事前尋問の方です」

「「あれか(カ)」」「ぎにゃ?(いたか?)」


 ブサは綺麗さっぱり忘れているようだが、ロラン達はしっかりと覚えている。というよりも、早々は忘れられないだろう。ちなみに、公開尋問の際にいた真偽官はまた別人である。


「僕はこの通りの性格なので、公には話さないように厳命されているんですよねぇ……。ほら、威厳とか皆無でしょ?」

「ぶにゃぅ(自分で言うんかい)」

「能力もちょっと特殊でして、その為に国に保護されているんですよ。おかげで外出などの自由は殆ど無いですけど、建物内では融通は利きます。あと、この能力のおかげで先輩にも会えましたしね!」


 ニパッと笑って答えるエルフ。やはり神秘性は皆無。

 ブサの突っ込みにも何故か嬉しそうだ。

 さらっと軟禁されている事実を告げられた事に二人が目を剥くが、本人は世間話のついでといった雰囲気で全く気にしていないように見える。

 ブサはそもそも深く考えていていないので、二人の反応に気付いていない。むしろ『保護された方が良かったかなー?』などと軽く考えていたりする。


 ちなみに、アシルは既に席を外させている。土下座までしてかなり渋っていたが、イアサントが強引に席を外させていた。彼が同席して話をするのは少々都合が悪いからである。

 異世界関連の話をするのだ。既にブサから聞いて知っているロラン達はまだしも、アシルを参加させる訳にはいかない。


「それはそれとして、お前は何でブサが猫になっているのか知ってるか? 知り合いは『呪い』だと言ってたんだが。ついでに言っておくと、俺らがブサを見つけた時には既に猫の姿だった。呪いを掛けられたとすればそれ以前の筈だが……」

「あー……先輩は、ですねぇ……。……えーと、そのぉ……ちょっと長くなるんですが、良いですか?」

「「構わない(イ)」」

「すみません。場合によっては、今日は別館に滞在して貰う形になるかもしれませんが……」

「出来れば、他の連れともなるべく早く合流したいところだな……」

「では、なるべく手早く説明しますね」


 そして語られるブサの欠けた記憶。


 まず、生前のブサはとある詐欺グループに所属していた事から始まる。

 彼らは『猿渡』『犬山』そして他に二名の四名グループだった。『オレオレ詐欺』の詐欺師集団である。

 時折失敗する事もあるが、『犬山』の性格故の情けなさが演技に真実味を増して、それなりに成功を収めていた。成功という事はすなわち、被害者が出ているという事に他ならないが。


 とあるビルの一室に事務所を構えて――表向きには適当な商社を名乗っていた――詐欺を働いていたのだが、とある少年によってそれも終わりを迎える。


「その少年というのが、先日のアンリという青年ですね」


 つくづく縁があるようだ。まさかの前世からの因縁である。


 少年の行動の結果、『猿渡』と『犬山』と他二名は死亡して、こちらの世界に転生して来たという事だ。もっとも、少年の行動の結果に巻き込まれた人物は他にも居た為に、現時点でこちらの世界に転生して来ているのは計六名となる。


「僕が『神様』を自称する方から聞いたのは六名ですけど、もしかしたら他にもいる可能性はあります」

「ん? 神から聞いタ?」

「はい」

「ブサはそんな事は一言も言ってなかったぞ?」

「えー、その事についてはこれからお話しますね」


 話し続けて掠れた喉を潤してから続きを話し始める。

 

 死後の彼らはラノベ展開でありそうな不思議空間へと集められ、自分達が死んだ事とその理由についての説明を受けた。そして、お馴染みのある程度のチート付きでの転生となる。

 犬山は自身が詐欺師グループにいた事から、騙されたくないという事を望み、名前へのコンプレックスから『普通』である事を望んだ。そして、他の二名からの要求も、普通に神が笑って受け入れられる程度の望みだった。


「「普通?」」

「エルフ的に僕は『普通』だそうです。それと、騙されたくないと望んだ結果が真偽官としての能力でした」

「何故エルフなんダ?」

「能力的に、長寿の方が使い勝手が良いそうです?」


 その辺りは本人も良く分かっていないようである。


(……で、俺が猫なのは何でだ? 猫になる事を望んでなんかいねぇぞ!!)


 なかなか自分の話に辿りつかない事に苛立ちを覚え始めるブサ。ダスダス、と前足を打ち付けて催促する。


「あてっ!? あ、すみません。先輩の事はこれから話します」

「に゛ゃ(早く話せ)」

「簡単に言うと、欲張りすぎた結果です」

「「は(ハ)!?」」「な゛?(あ゛?)」


 犬山を含む三名の望みは、神の許容範囲内だった。

 だが、ブサの要求は神の許容範囲を軽く超えるものだったというのが、ブサがこの姿へと変えられた原因となる。


「僕達の前に件の少年を転生させていた事から、かなりストレスが溜まっていたんじゃないでしょうか?」

「……神って、ストレス溜まんのカ?」

「無茶な要求ばかりされたら溜まるものじゃないでしょうか? 実際に少年の要求は、かなりの無茶だったそうですし。もっとも、先輩の要求とほぼ被っていたそうですが」

「何でお前がソレを知っている?」

「愚痴に付き合わされた結果です。僕はエルフへの転生という事で、種族的な説明とかで居残りさせられましたので」

「神って愚痴言うのカ……」


 神でも愚痴は言います。


「で、具体的にブサの要求ってのはどんなのだったんだ?」

「えーとですね。まず、王族への転生。面倒は嫌なので第三とか第四とかの気楽な立場で。それプラスイケメン補正に魅了の力。顔立ちもかなり拘ってました。目の色とか、髪色とか。それと膨大な魔力と強力な魔法と、他人のスキルを奪う能力と、魔眼と、誰も勝てない剣の腕と、ハーレムと……」

「「あ、もう結構です(ス)」」


 いわゆる『ぼくのかんがえたさいきょうの~』である。当時の年齢を考えると中二病を拗らせているとしか言いようが無い。

 ロラン達は途中で止めたが、神への要求した内容はその後にもまだまだ続いていた。

 ぶっちゃけると、今のブサも中二病を拗らせたままである。その上でニート願望もあるのだからもうどうしようもない。


「途中までは笑ってたんですけどね。先輩の要求が増えていく内にどんどん神様の表情が無くなっていきまして。トドメは先輩の最後の一言でしたが」

「……聞きたくないが、何て言ったんだ?」

「『絶対に働くなんざごめんだから、働かないでチヤホヤされるようにしてくれ』です」

「「……どうしようも無いな(ナ)」」


 とうとうロラン達の視線が氷点下に達した。

 視線を向けられているブサは完全に不貞腐れている。


(ラノベだったらそれ位当然だろうが! 言うだけなら言ってみても良いじゃねぇか!! もちろん、それ全部が叶えられるとは思ってないけどさぁ……!)


 絶対嘘だ。

 ブサの要求は全て本気で本心からだ。未だにチート能力に拘り、『働きたくない』と常々思っているのがその証拠である。

 だが、まぁ……ある意味、今のブサの待遇はある程度叶えられていると言えるのでは無いだろうか? 猫なので働かなくてもチヤホヤ()して貰えるし、ブサの容姿は猫にとっては『イケメン』である。もっとも、それ以外の能力は皆無だが。


「それで、神様もぷつんとなった結果、先輩は猫にされました。今の体の年齢は、元の先輩の年齢に合わせたものだそうです。ちょっと若返ってますけど。子猫からだと死亡率が高いという神様の慈悲、だそうです」

「……転生時期が違うのは何でダ?」

「人から人、あるいは人からエルフと違って、全く違う生物になる場合は色々と処理が必要らしいです。その結果、先輩は俺達とはかなりずれた時期に転生した事になりますね。ちなみに今の僕は十七歳です! 若いって良いですね!」

「ぎな(俺への嫌味か)」


 ブサの体は五歳から六歳半ば。十分過ぎる程におっさんである。

 神だって怒ります。そもそも、海外の神様とか荒ぶりまくるし、嫉妬するし、浮気するし。どこの主神様とか言わないけど。


 欲望ギラギラ、倍率ドン! のおかわりが来たらぶち切れるってものですよ。

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