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どうやら、報告と報告らしい

 討伐証明、リアルに想像するとグロい。

 まずは明日になったらギルドに顔を出す事。その際に手紙が届いていたなら、自分達も同行出来るか可否を問う事。後の行動はその対応次第、という事で今日は解散となった。

 出来れば、手紙よりも使者に直接尋ねられる方が良いのだが……。そう考えながら眠った翌日。


 今日も朝から賑やかだった。


「何でてめえが俺の部屋にいル!?」

「リュシアンばかりずるいんですよ!!」


 朝から喚くリュシアンとアンリ。その横ではベッドに横になったブサがブルブルと震えていた。

 これだけ聞くと痴話喧嘩(ちわげんか)のようにも聞こえるが、その実態はアンリがブサに添い寝をしようとして早朝に潜り込もうとして失敗し、見咎められた事に不満を訴えているという……何ともカオスな光景であった。


「アンリ、お前留守番な」

「そんな!?」


 朝から聞こえてきた怒鳴り声に叩き起こされ、様子を見に行った先ではこの有様であったので経緯を聞き、その結果ロランが下した判断は『王城行く際は留守番』というものである。

 ブサがメイドを襲うのも当然避けねばならないが、万が一の事態にアンリが向こうに食って掛かる可能性も論外だ。現状を見る限り、その可能性を否定出来ないが為に下された判断であった。


 とはいえ、行く先が本当に王城なのかは定かでは無いのだが。



 * * * * * * * * * *



「今回は助かった。色々と問題をお前達に押し付けてしまったが、お前達のおかげでそれも無事片付けられた。とはいえ、まだ後始末はしばらく終わらんがな……」

「討伐の件は無事終了しましたが、あちら(・・・)はどうなったんですか?」


 ギルドで先日の部屋に通された後は、セヴランからの謝罪から始まった。次いで無事討伐を終えた事への感謝。それと愚痴が少し。

 それに対してこちらも討伐時の報告をする。ロラン達の確認した被害状況と、討伐時の様子、そして討伐証明を提出する。


 生々しい物体を目の前にして、ブサはドン引きしていた。尻尾も大爆発だ。

 だが、セヴランもロラン達も血の滴るソレ(・・)を前にしても、特に反応は見せない。そんなロラン達の反応にますますドン引きする。


(……頼むから、早くコレ(・・)を片付けてくれ……!)


 テーブルに置かれたモノを見ないように、必死に目を顔を背ける。グロいのはノーサンキューなのデス。


「なぁ、ブサ? 言っとくが、てめぇがなりたがってたギルド員ってのは、大体はこんなもんだぜぇ? むしろ、この程度でびびってんならギルド員になるのは諦めるこったなぁ……?」


 全力で見る事を拒否するブサに、(あお)るようにサミュエルが言う。

 だが、サミュエルが言っている言葉に間違いは無い。まともな稼ぎを出そうとするのなら、生き物を『殺す』事からは逃れられないのは事実。生きるだけなら、殺さずとも可能だが。

 何度も突きつけられる厳しい現実に、メッコリと凹みながらも決して顔を上げないブサ。元現代日本人に、グロ耐性は殆ど無かった。


「……そういや、お前を拾った後に盗賊に襲われた時、テオドールさんがあいつら蹂躙(じゅうりん)してたのは平気だったのか?」

「ぎな(軽くトラウマです)」


 正直な感想だ。


 だけど、あの時は覇王っぷりに目が行っていたおかげで、盗賊達の惨状はあまりハッキリと覚えていない。それに、テオドール自身は素手で戦っていた為、生々しい臭い(・・)はそれ程無かったのもある。

 もっとも、骨の折れる音や、盗賊達の生々しい悲鳴は耳にしていたが。それ位なら映画などで耐性が付いている為、大丈夫なのだ。

 恐らくは見るだけなら、血飛沫もそれなりに耐えられるだろう。

 ブサにとって一番キツイのは臭いだ。血の臭いも、内臓の臭いも、映画からは絶対に感じ取れないのだから。


「ふむ。とりあえずこれは片付けるか。そうすれば大丈夫だろう?」

「ぎなぁ……(そうしてくれると助かる……)」


 ブサの心情を汲んだセヴランによって、ブサを怯えさせていた物体は片付けられた。しばらくはまだ臭いが残るが、ある程度は我慢して貰いたい。


 血の臭いが残る室内で、尋問後の彼らがどうなったかを聞いた。


 まずはロラン達と話した事のあるセリア。彼女はセヴランの嘆願もあってある程度の減刑はされたが、最後に判明した村が壊滅した件について。その原因となったパーティーにいたという事が仇となった。

 ただし、セリア自身はガーディエイプの討伐に反対していて、止めようとしていたという事が考慮されて、ギルド員資格と村の住民証の剥奪となった。それと強制労働が科せられる。

 強制労働が終わるのはセリアの働き次第だが、それでもある程度考慮された場所となるだろう。


 そして、エルフのアンリエット。彼女もセリア同様にギルド員資格の剥奪と再取得の不可。

 それと、エルフ族からの永久追放が決定した。それにより魔法も封じられた。ロラン達が討伐中にすでに封印処理はなされ、もはや彼女が魔法を使う事は出来なくなっているらしい。

 そして、彼女は犯罪奴隷として新規の開拓地へと回される事が決定している。魔法が使えなくなった以上、相当辛い作業となるだろう。立場的にも。


 次に獣人のララ。彼女もまたギルド員資格の剥奪と資格の再取得不可。そしてアンリエットと同じく復興処理と、開拓地送りとなる。本来は犯罪奴隷となる筈だったが、ララの群れの長からの要請により、開拓地での強制労働後は自身の氏族へと強制送還される事が決定していた。

 これだけ聞くとララが守られているように聞こえるかもしれないが、そんなに甘くは無い。セヴランからは明言こそされなかったが、犯罪奴隷と同等かそれより酷い待遇が待っているだろう。


 上記の罰とは別に、アンリエットとララには壊滅した二つの村の復興処理に強制参加させられる事となった。


 ある意味アンリの被害者と言えるかもしれないミシェルは、魂に掛けられた隷属を解く事が不可能な為、処刑となった。

 制御が出来ない以上野放しにも出来ず、別の制約で上書きをする事も不可能だった故だ。

 処刑の瞬間にはアンリ達全員が立ち会わされた。


 そしてフェリシーとアンリは互いが離れられぬように制約を掛けられた。それ以外にも多重に制約を掛けられて、魔獣多発地帯へと送られた。凶暴な魔獣が跋扈する危険地帯である。そこで一定数の魔獣を討伐出来れば恩赦を与える、という条件で。

 英雄になりたがっていたのだから、アンリにとっては本望だろう。

 それと、本来は治癒術を封印される筈だったフェリシーだったが、敢えて封印処理を施さずに、危険地帯で戦い続けるアンリを治癒し続ける事になった。危険過ぎて他者が近付かないので、治癒師が欲する犯罪者も決して寄り付かないような場所だ。リスクの方が高過ぎる。

 そんな場所で魔獣退治を続けるアンリを、すぐ後ろで治癒しなければならない。もしも治癒の手を抜いてアンリが死ねば、制約によりフェリシーも死ぬ事となる。もはや二人は一蓮托生だ。アンリもまた、一蓮托生であるが故にフェリシーを守らなければならない。

 二人が逃げ出す事は当然不可能。

 本人達には知らされていないが、死にそうになれば即座に彼らを生かすように魔道具が起動する。一定回数死ぬまでは決して死ねない、呪いのような魔道具だ。そう易々と死なれては罰にならない。少しでも長く苦痛を味わわせる為である。

 恩赦を与える、と伝えてあるのも絶望の中に希望を持たせるが故だ。恐らく、実際に恩赦を与えられる事無く彼らは死ぬ事になるだろう。


 現在は彼ら二人を乗せた護送車が乗せた馬車が現地へ向かっている最中だが、既に先日までの仲睦まじい様子は欠片も無く、道中ずっと罵り合っているのだそうだ。どちらも、相手が悪いのだと言い張っているらしいが、現地に着けばそんな言い合いをする余裕も無くなるだろう。

 言い合ってられる余裕がある程、生温い場所では無いのだ。


 彼らの処遇をセヴランから聞かされて、あまりの容赦の無さに慄いていたブサだが、ロラン達は特に反応を示していなかった。この位は極普通の事なのである。

 ブサからしたら罪を軽減しているように思えないセリアの処遇も、犯罪奴隷にならないというだけで十分に温情あるものだった。

 耳切り取って来い、とか。首持って来いとか、心臓取って来いとか……ゲームだと良くありますけど、リアルで考えるとグロの極み。抉り出したり、切り落としたりする時、ブシャッ! となりますよね……なりますよね……!?


 それと、尋問後はこうなりました。一部言葉を濁しておりますがご了承下さい。想像で補完して頂ければ幸いです。


 なお、アンリとフェリシーに関しては、魔道具によってしばらく死ねません。ちなみに、死に掛けると結界起動+ジワジワ治る。意識は強制的に維持されますので、傷が治る間は魔獣が猛り狂う様子を間近で鑑賞ツアーが強制開催されます。どう考えても絶望。

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