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第2章 第6話

 家に帰って。

 わたしは部屋で着替えをしながら今日の事を思い返す。

 

 あの、捨太郎さんと抱き合っていた落研の女子は去年スカートで電柱に登ったと言う伝説の人らしい。

 ゆるふわって感じの可愛らしい人だった。

 高座名は童亭ぺろり。普通女子は「乙女亭おとめてい」を名乗るらしいんだけど、本人の希望らしい。

 去年の行動の大胆さと言い人は見かけによらないなって思う。いや、もしかしたら単なる天然かもだけど。


 着替えを終えると机に座りノートパソコンを開ける。

 そうしてわたしの小説の続きを書く。


 わたしの妄想物語、それは最初の、理子先輩が語った内容から大きく変わっていた。

 演劇と軽音の両立に苦悩する桐子きりこ

 しかし、彼女を助けてくれたのは生徒会長ではなく、「魔女部」の律子りつこ先輩だった。

 誰もその存在を知らないが、人知れず弱きを助ける「魔女部」。その部長である彼女に心酔した桐子は演劇の主役の座も人気バンドのボーカルの座も投げ捨てて彼女に懇願し弟子入りをする……


 って、自分でも無茶苦茶なストーリーだと思う。だってあらすじもシナリオも何も作らずにわたしの妄想をその日その日の気分次第で綴っているだけだから。その上魔法まで登場したら、もはや妄想を超えた空想だわ。


 でも、理子先輩は教えてくれた。

 まずは楽しく書くこと、それが一番だって。

 ……

 そう言えば。

 その理子先輩のウワサ話を思い出した。

 それは久里須先輩が教えてくれた話。


 あのあと。

 みんなで喜ぶ落研の人達をあとに学校へ戻る途中のこと。


「あ~あ、わらわは無性に甘いものが食べたいぞ~っ!」


 パッと咲いてパッと散った百代ももよの恋。その腹いせを甘いものに求めた彼女は理子先輩と一緒に近所のスーパーへ向かった。たった一日の恋だけに立ち直りも速攻だ。


 わたしと久里須先輩は先に部室へ戻ることにした。

 ふたりで歩きながら。


「あのう…… 昨日止められた話ですけど…… 理子先輩に彼氏の話とかしちゃいけなんですか?」

「ああ、あのことねえ~。もう一年前の話だけどね……」


 久里須先輩が語るには、入学した頃の理子先輩の人気はあの白石さんをも凌駕りょうがするほどだったらしい。日々告白をうけまくった理子先輩は、その全てを丁重にお断りした。しかしその断りの言葉は校内に密かな物議をかもしたと言う。


「理子はみんなにね、「アタシはこの北ヶ丘の男の方とは誰ともお付き合い致しません」って言って断ったらしいのよ~」


 このことはやがて全校男子に知れ渡ることになり、彼女に告白する北ヶ丘生はいなくなった。一方で女友達には「彼氏はいない」と話していた理子先輩には「北ヶ丘高の男子を見下したイヤな女」と言う風評をが立つに至ったと言う。中には「男じゃなくて女が好きなんだろ」と言う人もいたらしいけど、今のところそんな事実はないという。


「だから柿之助さんは「北ヶ丘の男をみんな捨てた」、なんて言ったんですね」

「そうよ。しかしあたしはね、実は理子にはどこかに好きな人がいるんじゃないかって睨んでるのよ~。秘密だけど証拠だって掴んでるしね。あたし思うんだけど~……」


 おっとりしているようだけど、久里須先輩は眼鏡の奥で理知的な瞳をきらり光らせる。


「理子は重大な隠し事をしているわ。この灰色の脳細胞を持つ朝賀久里須にすらね。しかしあたしに解けない謎はないのよ。あたしはミステリーの女王なの。またひとつ大きなヒントを見つけたしね。ふふふっ!」


 わたしを見るとにやり笑った久里須先輩は人差し指を立てて。


「きっとこれは殺人事件。彼女は愛することを殺された女、なのよ!」


 はいっ?

 何でも殺人事件にしちゃうんだ、この人……


「はあ~っ!」


 溜息ひとつ、我に返る。

 今思い返しても久里須先輩の言葉、サッパリ分からない。

 今日家に帰ってお兄ちゃんにも聞いてみた。当然のように理子先輩のウワサ話は知っていた。北ヶ丘高のみんなが知っている公然の秘密だとも言った。

 それについてどう思うか尋ねてみたけど、ぶっきらぼうに。


「さあね、あんまりウワサとか気にしないし……」


 お兄ちゃんってば、どうして理子先輩のことになると無愛想になるんだろ……

 わたしが不満な顔をすると。


「あんまりウワサ話とかして神湯さんに迷惑掛けるなよ」

「あ、うん。勿論……」


 逆に注意された。


「はうっ!」


 もうひとつ大きく息を吐くと、わたしはまたパソコンに向き合う。

 話の内容も予定から大きく変わっちゃったし、この際タイトルも変えちゃおう!


 『魔女部におまかせっ!』


 軽すぎるかしら。

 けれど。

 ま、この際だから変えちゃおう。

 きっとそれでいい。

 だってわたしはまだ高校生、何でも経験、やってみたいお年頃だもんね。



 第二章  完


 【あとがき】


 こんにちは、神湯理子かみゆりこです。

 お読みいただき本当にありがとうございます。


 何となくカッコいい形で登場したアタシですが、その苗字は「神湯」。

 色々複雑な背景を持った不条理っぽい役柄ですけど、アタシ自身はとってもピュアなつもりなんですよ。これからも応援お願いしますね。


 さて、この章で久里須のブクマが減る話を書きました。

 と、それまで一度も減ったことがないブクマがひとつ減ったそうです。


「そんな予感はしたんですけど、やっぱショックで3日寝込みましたよ……」


 とは作者の談です。

 って、いいんじゃないですか作者さん。地道にやっていけば。

 

 えっと、本章の題材は「落語研究部」。

 実は作者さん、昔入ってすぐやめたとか。

 ホントに広く浅く何でも中途半端な人なんですから。

 

 と言うわけで、次章の予告です。


 桜子ちゃんのお兄ちゃんが所属する卓球部。

 その卓球部にとんでもないイベントが発生した。

 「体育会系の文芸部」とまで言われる地味な卓球部に巻き起こったド派手な事件とは?

 そしてその解決に奔走したのはまさかの……


 次章「卓球より素敵なショーはない(仮)」も是非お楽しみに。

 ではっ、神湯理子でした。


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