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やってきたのは異世界人  作者: 如月 玲
40/50

カウントダウン2日前~異世界人の救出劇2~

お久しぶりです。GWを扁桃炎で潰されたため、合計4話一気にUPします。よろしくお願いします。

「……本当にここなんだろうな?」


 誰がどうみても廃墟としか言えないこの場所に疑いたくもなる。


「別に疑っても良いが、お主が言った住所はここじゃの。それに違うと言われてももう、諸々ダメみたいだしの」


 それは、ぶつけてボロボロになっている車だけじゃなく、あそこで伸びてるお前の助手も含まれてるんじゃないだろうな。


「取り敢えず入っ!?」


 入ろうと扉に手を付いた所で発動された防護壁に拒まれる。おかげで右手は軽い火傷状態だ。


「油断しすぎじゃの」


「うるせぇ」


 可愛い手がと、おちょくってくるルイに舌打ちする。敵陣を真正面から乗り込もうとしてるんだ。これくらいのトラップがあるのは当たり前だった。


「魔宝玉か、まさか、異世界で使える副産物だったとはの。それにしても、厄介じゃの」


「残り何個かはわからねぇがな」


「まぁ、この調子ならまだ余裕がありそうじゃ」


 そうだろう。俺だって手数が少ないものを防護壁になんて使わない。まったく、魔法玉なんて迷惑な物の製作者はいったいどこの誰だか知りたいもんだ。まぁ、それよりも問題は目の前の防護壁だ。


「これどうにかなるか?」


 さっきからさほど焦った様子のないルイを見る。まぁ、こいつのことだ、隠し玉くらいもってるだろうことくらい予想がつく。


「ハッ!こんな薄い物なぞあってないような物よの」


 不敵な笑みを浮かべながら、ルイは長い髪を払う。それと同時に、鈴のついた腕輪が軽やかに鳴るのを聞いた。その音が消える前にルイが目の前の防護壁を蹴った。


「それはありなのか??」


「気にするでない。淑女の嗜みじゃ」


 パラパラと音を立て、防護壁どころか扉まで目の前から消えていった。隠し玉を持っているとは思ったが、まさか蹴り一発でカタがつくとは思ってなかった。軽く冷汗を流しながら、扉のあった場所をくぐる。


 あぁ、あいつか。入った瞬間に映るそれは薄暗闇の中、椅子に悠々と腰掛けて何かを楽しそうに見て笑っている。俺たちが防護壁を突破したのを驚いた風もなく、そいつは口を開く。


「久しぶりだね。元気だった?」


「あいにく、気分は最悪だ。ミコトはどこにいる?」


「さぁ?どこだと思う?」


 人を馬鹿にしたようなその言葉に苛立ちを覚える。どう料理してやろうか。


「ジル坊、あそこ」


 ルイの声に視線を向ける。それはダイキの近くにあった。50cm×30cmの小さな箱状の物が置いてある。確かあれは、ダイキがここに入る前までに見ていた物だ。


「まさか!?」


「箱庭じゃな」


 信じられねぇ。箱庭は元々兵を鍛えるために出来た物だ。あれは、決められた条件をクリアしないと、中から出られなければ、外から入ることさえできない面倒な代物だ。ミコトは何らかの条件であそこにいるはずだ。


「彼女は俺とのゲーム中だよ。大丈夫、まだ死んでないから」


「ふざけるな。今すぐミコトをそこから出せ」


「君も知ってるだろ?箱庭は条件をクリアしないと出られない」


 条件さえ知らない今の君は不利だねと笑顔で言ってくるダイキに殺意がわく。魔法が使えないことに本気で苛立つ。


「又は、箱庭使用者を倒し、箱庭との魔力を絶つことじゃったかの」


 初めて聞くルールにルイを見る。ルイは当たり前の事じゃろ?と箱庭を覗きながら言うが、そんなルール聞いたことがない。


「まさか」


 作ったのお前かと口パクで伝えると視線を逸らされた。あいつは何でこんなのばかりしか作ってないんだろうな。


「へぇ、面白い人がいるんだね。何者??」


「気にするでない。ただの通りすがりじゃ」


 答える気がありませんというルイの表情にダイキはしばらく何か考え込むと、まぁいいかとこっちを見る。


「で?今のあの女の説明が真実だったら、俺を倒さないといけないわけだけど、出来る?」


 まるで出来る物ならどうぞという笑だ。


「いやに余裕だな?」


 俺が子供の姿だからって理由だけじゃなさそうなその余裕の面に引っ掛かりを覚える。


「余裕?違うよ、自信だね」


「自信?だと?」


「そうだよ。だって、今の姿の君は一度俺に殺されてるんだから」


 その言葉に身体がざわめく。あぁ、そうか。そういうことか。


「いつの俺が殺されたか気になっていたが、今の姿の俺か。この頃の俺は、あいにく世間知らずだったからなぁ。で?一度殺した俺をわざわざ追ってきたのはトドメでも刺しに来たのか?」


「君が確実に消滅した所を確認するのが、俺の役目でね。図太い君はどんな手段を使ってでも戻ってきそうだから注意しろって」


 警戒しすぎと思ったんだけどねーと言いながら、大輝は辺りを見渡す。


「ラインティアの物なんてないはずの世界でテラス石を持つ女。魔宝玉一個分を使って作り出した防護壁をあっさり蹴破るお姉さん。この短期間でラインティアの帰り方を知った君たち。警戒するには十分だった。だから、この場でもう一度消えてくれる?」


「あいにく、二度目はない。次に消えるのはお前だ」


 タイミングよく入口から飛んできた短剣を受け取る。それは、俺がこの世界に来た時の持ち物の一つ。元の姿だと小ぶりだが、今のサイズにはピッタリなサイズだ。


「へぇ、外にまだ、お仲間がいるんだ?で?その姿で大丈夫?」


「ハンデに決まってるだろ!」


 言い終わるかどうかの瞬間、短剣を大輝の足に切りつける。


「………中々の反射神経だな」


 本気で切りつけた。それは間違いない。スピードには程々に自信がある。いや、こっちに来て身体なんて動かしてないからな。鈍ったか。


「大したことないよ。ほら、来なよ」


 その言葉に全力で切りつける。小さい体を活かして小回りを効かせる。首を狙うが、後一歩の所でダイキが体を逸らしそれを避ける。すぐに着地すると、そのまま反動を活かして今度は足元を狙う。腱を狙い刃を滑らせると同時にそこから血が舞う。しかし、感触は浅い。思い通り動かない体に苛立たせながら、体制を戻す。


「っつ!!」


 体制を戻す途中で肩に熱が篭る。おいおい、どこに隠し持ってやがった。肩に刺さるナイフを引き抜き遠くの壁へと投げる。


「そんなものだっけ?君の実力。それとも、箱庭が気になる?」


「さぁな」


 気にならないかなんて愚問だろう。ルイが箱庭の様子を見ているが、手が出せないのは同じだ。まだ死んでないと言った奴の口ぶりからしたら、敗北条件がミコトの死というくらい簡単に想像がつく。まったく、無事にここから出た暁には説教確定だな。


「念のために君をそんな姿にしたけど、そのくらいの実力なら小さくするまでもなかったね」


「ほぉ、そう思うなら戻してくれるのか?」


「戻して上げたいのは山々なんだけど、君の力を封じた指輪を無くしちゃったから戻せないかな」


 まて、気のせいか。今、聞きたくない言葉が聞こえたのは。


「あぁ、終わったの………」


 ぼそっと呟かれた、ルイの言葉に聞き間違えじゃなかったのかと思考を停止しそうになる。ということは、何だ?もしかしなくても、俺のこの姿は戻らないってことか?


「まぁ、今から消えるんだから関係ないよね」


「消える予定はねぇ。元の姿の戻り方はラインティアに戻って考える」


 今、元の姿に戻れなくてもあっちに戻ったら何か方法があるはずだ。そのためにも、目の前のこいつをどうにかしねぇとな。呼吸を整え意識を集中させる。


「あぁ、でも、どうやら先に消えるのは君じゃなさそうだね」


 ある方向を見て勝ち誇った笑みを見せるダイキにまさかと視線の先を見る。そこには、必死に障壁に阻まれながらも箱庭の中に手を伸ばそうとしているルイ。その瞬間に、嫌な予感から確信へと変わる。


 心臓が煩い、すぐにでも箱庭の中を確認したいのに目の前の光景がスローモーションにしか見えない。


「美琴っ!!」


 悲鳴に近いルイの叫びに、一気に元の速さへと戻る。その瞬間に映る目の前の光景に息を呑む。どこを見てるんだあいつは!


「バカ!よそ見するな!!」


 届くはずのないその声がまるで届いたかのように、美琴の逸らされていた視線が敵へと戻る。けど、それが遅いことくらいわかった。一拍おいて箱庭が光を放ち崩れていく様がそれを物語る。短剣が、手からすり抜け音を立てる。


「ミコトッ!!!!」


 敵に背を向けることが命取りだなんざ、この時どうでも良かった。ルイの腕に抱かれぐったりしているミコトの元へと走る。


「美琴!美琴!ダメじゃ!息をせんか!」


「息してないのか!?」


 近づいて口元に手をかざすがピクリともしない。


「嘘だろ?」


(頼む。嘘だと言ってくれ)

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