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やってきたのは異世界人  作者: 如月 玲
38/50

カウントダウン3日前~異世界人のお留守番~

えー、お待たせしました(待ってないから)。遅くなりましたが、連載再開しようと思います!!よければ引き続きお願いします。

「っつ!!」


 割れたコーヒーカップの破片が指を傷つける。そこから流れ落ちる血に舌打ちをする。コーヒーが熱すぎたかと指に残る持ち手をテーブルに置く。辺りをみると、汚れたフローリングに割れたカップ。ミコトに怒られそうだ。


「前、扇風機壊した時のあいつ凄く怖ったしな」


 けど、あれは不可抗力だと思うのは俺だけか?まぁ、今更だがな。指から落ちる血が床のコーヒーと混ざり合う。


「血か…」


 ここに来る前は血を流すことは毎日だった。こんなのかすり傷にも入らなかったのにな。


「後三日。帰れるのか?」


 片付けをしながら自問自答するが、当たり前のように答え何て返ってこない。溜息をついていると、机から一枚の紙が舞い落ちる。


“ジルへ おはよう。今日はちょっと用事があって出かけて来るね!夜には帰れると思うからそれまで大人しく待っててね!ご飯は冷蔵庫にあるからチンして食べて!よろしく!”


「何処へ行くかくらい書いていけよ」


 まぁ、どうせルイかシホの所だろうけどな。ふと静かな部屋を見渡す。一人だとこんなに冷たくて静かなのか。あいつのいる空間とは大違いだ。


「散歩でも行くか」


 あいつが何故か張り切って買った子供服の中からまともな服を選んで、外に出る。俺の気分とは裏腹な晴天に目を細めながら歩き始める。


 ミコトが教えてくれた道を歩き、目に付いた本屋に足を運ぶ。立ち並ぶ棚を眺めていき魔法という文字を探す。たまにある魔法という文字が書かれた本を取り出し中を覗くも書いてあるのは的外れなことばかり。何でこの世界はやらた変身したがるんだ?


「僕、一人?」


「はっ?」


 肩を叩かれて横を向くと、エプロンを着たおばさんが満面の笑顔で何かを差し出してきた。あぁ、本格的に子供扱いか。


「今週花火大会があるからお母さんに言って連れて行ってもらいなさいな。チラシのここに有料指定席の割引券があるから使いなさい。僕かっこいいから特別ね」


 じゃあねとおばさんは俺の頭を撫でて行き立ち去っていった。


「花火大会か……」


 この約束だけはせめて果たさないとな。それまでは消えるわけにはいかない。


「そろそろ帰るか」


「おやぁ、これはこれは面妖な」


 聞きたくない声が聞こえたのは気のせいか。この頭に乗せられている手も気のせいだと信じたい。


「そのまま無視をするなら、抱き抱えるが良いかの?」


「何だ?何のようだ?とういか、何でいるんだ?」


 抱き抱えられるなんて考えたくない。こんなことなら部屋でテレビでも見てれば良かった。


「先ほどまでここでサイン会があったからの。これでも人気作家じゃからの」


 あぁ、そう言えばそんなことも言ってたな。だが、その格好はどうかした方が良いと思うんだがな。周囲からの注目度が半端ない。


「何だ?」


 顔を近づけジッと人の顔を見てくるルイに眉根を寄せる。それにしても今更だが整った顔してやがるな。


「見とれてる所悪いんじゃが、言って良いかの?」


「安心しろ、見とれてない」


 綺麗だと思うがそれ以上の感情はわかない。で、何だ?と先を促すと今度は真剣な眼差しが返ってくる。


「失せ物の相が出ておるぞ。気をつけるんじゃな。特にもう時間はないんじゃ」


「わかってる」


 そんな失敗するわけがない。失敗なんかしてたまるか、その決心が数時間後に崩れるとは思わなかった。



「遅い」


 もう少しで日付変更線を越えようとしているにも関わらず、ミコトは一向に帰る気配さえ見せない。電話は虚しくコールが鳴り響くのみ。デジャブにも程がある。あの時は合コンという行き先がわかっていたが、今回はわからない。


「失せ物の相か、まさかな」

 勘違いであって欲しい。落ち着けと思いながらも落ち着くことができない。あいつのことになるとこんなにも余裕がなくなるのは困ったもんだ。昼にルイとは会ったからいるとしたらシホの所だろう。だが、シホの連絡先は聞いていない。頼るのは癪だが仕方ない。スマホを取り出し嫌々ながらも登録しておいたコールボタンを押す。


『こんな夜更けにどうした?良い子は寝る時間じゃろ?』


「ガキ扱いするな。それより、シホという女の連絡先は知ってるか?」


『さぁの。あの子の全てを把握しているわけじゃないが、何かあったのかい?』


「ミコトと連絡が取れねぇ。お前の所にいないならもしかしてと思ったんだが」


 ここまでかと拳を握る。あとは永遠にミコトのスマホを鳴らすしかないか。


『………パソコンはどうじゃ?チャットメンバーにその者はおらぬのか?』


 数秒の沈黙後電話の向こうから少しの可能性が出てきた。電話を切りパソコン部屋に入り電源を付ける。呑気に回転する砂時計を苛立ちながら見終えるとチャット画面を開く。そして、メンバーを見ると、ログイン者の中にシホをいう名を見つけた。


「いた!」


 まだ、希望はあるとチャット画面を開き操作する。この操作もおかげで慣れたものだ。


『はいはーい!どうしたー?美琴にしては珍しいねぇ!』


「ミコトはそこにいないのか!?」


『あっれー?めっちゃ可愛い子がいるね?あー、ジルヴェスターの弟か何かかなぁ?』


 目を光らせてこっちを見ているシホにしまったと頭を抱える。ログアウトされては困ると何も考えずにボタンを押してしまった。


「そ……そうだ。兄貴もいないからどこいったのかと思って」


 自分の顔が引きつっているのが良くわかる。勘違いしているのならと思ったが、恥ずかし過ぎるだろう。


『そっかぁ。まだ帰ってないんだね。何か、ジルヴェスターが私の彼氏に会いたいからって一緒に行ってるはずだよー』


「なっ………!?場所は!?場所を教えろ!」


 住所を聞き出すと、再度ルイに連絡を入れ車を出すよう頼む。胸騒ぎしかしない。何で、あいつの元に行ったとか理由がわからねぇが嫌な予感しかしない。


(頼むからこれが杞憂であってくれ)


ありがとうございました。残る数話(本当に数話で終わるのか?)もよろしくお願いします!

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