カウントダウン3日前~異世界人の知らぬまに
カウントダウンも残り3日を切りましたが、仕事が忙しく中々進まなくて申し訳ありません。完結は必ずしますので、よろしくお願いします。
青空の空の下、草木は香り、穏やかなこの空間。私は、ある物の前に座る。いつも、困った時や悩んだ時に来てしまうこの場所。大好きだったケーキを供えて両手を合わす。
「ねぇ、愛華。私ね、彼氏ができたの。相手はこの世界の人でもないし、出会い頭に刃物突きつけてきたやつだけど」
懐かしいなぁ。けど、実は一ヶ月も経ってないなんて不思議な感じ。今までで一番充実した毎日だったかもしれない。
「ジルって言うんだけど、ジルが向こうの世界に帰るためには私の命が必要らしいの。けど、テラス石があれば命まではとられないみたいなんだよね。だから、今からテラス石を返してもらいに行こうと思う」
簡単に返してもらえるなんて思ってもない。ジルと私を変な空間に閉じ込めた人だ。何が起こるかなんて想像がつかない。
「本当は、一人は心もとないけど、今のジルを連れてもいけないし……」
いやいや、こんな所で弱音なんて吐けない。私は、一人で頑張るためにもここに来たんだから。
「愛華、見守ってて。私頑張ってくるから」
愛華に報告という名の、決意を示す。スマホを操作しある人の番号を押し耳に当てる。これで、もう戻れない。
「もしもし、志保?話があるんだけど、ちょっといい?」
何で、こんなに遠いんだろうか。電車にバスにって、どんだけよ。スマホにナビ機能がないと迷子になってたわ。
「えっと、ここから徒歩20分って。タクシーどこよ!?」
辺りを見渡してもタクシーがいるようには見えない住宅地。これから山道を歩くのかと思うとゲンナリするけど仕方ない。朝から出発して正解だった。
住宅地から少し外れた山道を登ること数十分。やっとたどり着いた場所は先ほどの住宅地と違い、周りから孤立した一軒家が目の前にあった。
「ここよね?」
メールを見直してみるも、住所はここで間違いない。表札がかかってないからわからないけど、間違ってたらその時だ。
「あれ?もう着いたの?」
ピンポンを押したと同時に家の主が出てくるという微妙な空気の中、私はあっ、どうもと何とも情けない出だしを切り出したのは内緒にしてもらいたい。
「急な話だったから、適当なお菓子しかないけど、良かったら食べてよ。後、お茶とか紅茶とか何か飲みたいものある?」
「大丈夫です。お構いなく!」
何でこんなことになったんだろう。私の予定では、扉をバンっと開け放して、怒鳴りながら乗り込む予定だったのにだ。目の前には美味しそうなお菓子たち。そして、優しい笑顔で飲み物を作っている彼こと一ノ瀬大輝。うん、おかしい。
でも、部屋に入り込めたことで良いことにしなきゃいけない。台所で作業をしている間に探し物を探さなくちゃいけない。
けど、まぁ、何てシンプルな部屋なんだろうか。必要最低限のものしかない部屋はとてつもなく生活感がなくて寂しい。棚の上や中、ゴミ箱など探せる範囲で探してみるけど何も見当たらない。やっぱり、簡単な場所にあるわけないか。
「ん?」
座った瞬間に足先に当たる何かに気づく。覗き込んでみると、光る何かがあった。それが指輪だと気づいた瞬間、慌てて手を伸ばしてそれを掴み取る。
「違う」
その指輪は形も違えば、はまっている石もピンクじゃなくグリーン。まぁ、こんな所に落としているわけがないんだけど。
「そういえば」
背後からかけられた声に慌てて指輪を隠す。煩すぎる胸の音を隠すように勢い良く後ろを振り向く。うん、挙動不審すぎる。
「ジルヴェスターが俺に用事があるってメール貰ったんだけど、ジルヴェスターは?」
「いや、ちょっと、色々あって」
何が色々かわからないけれど、どうやら挙動不審なことはばれてないらしい。多分だけど。
「ふぅーん。まぁ、いいけど。俺も蓮見さんに話があったんだ」
どうぞと紅茶を出されるが、手を付ける気にならない。
「って、私に話し??」
もしかして、この間の遊園地のことだろうか。あれは説明を求められても非常に困る。あの時は適当にごまかしたから、深くまで突っ込まれてもわからない。
「そうそう、ねぇ、蓮見さん。もしかしてさ、俺のこと好きになった?」
「はっ!?」
小首を傾げながら予想外なことを聞いてくる大輝に驚く。むしろ、何を考えたらそんな答えにたどり着いんだろうか。
「何でそう思ったの?」
「あれ?違うの?だって、ジルヴェスターをだしに俺に会いに来たんでしょ?だからそうなのかなぁーってさ」
いやいや、短絡的にも程がある気がする。他の用事ができたとか思わなかったんだろうか。いや、きっと思わなかったからこの結論なんだろうけどさ。
「まぁ、そうだったらいいなぁーって思ったっていうのはあるんだけど」
「っ!?」
一瞬にして、目の前に現れた大輝に息を詰める。今、何が起こったの?
「そうしたら、最高のシナリオが完成すると思ったのに」
スっと撫でられる頬からゾッと寒気が起きる。
「本当に残念だ」
何かが砕ける音が聞こえたと思った瞬間、体の力が抜けていく。
「な……に……」
抗おうとした手は空を掴み私の意識はなくなっていった。
(さて、残る役者は後一人)




