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やってきたのは異世界人  作者: 如月 玲
33/50

カウントダウン4日前~異世界人の一休み~

前話の最後に数行ですが、オマケを付け加えて見ました。気になる方はどうぞ。ただ、大した話ではないです。今回もよろしくお願いします。

 これは何と言う状況なんだろうか。それは、朝に引き続きジル作の美味しい昼食を食べた後のことだった。ジルの借りて来た小説をベッドの上で読んでいたまでは良かった。まぁ、当たり前のように、元の世界に戻る方法や、体を元に戻す方法何て書いてなかったけど。


 いや、それは良い。それよりも問題はこの状況にある。午後の暖かな日差しにウトウトし始め、ちょっと昼寝でもしようかなと思った時だった。


「眠たい」


 寝室の扉を一生懸命、手を伸ばして開けてきたジルはもう半分眠っている状態だ。酔っ払いのような足取りに笑ってしまいそうになる。


「ジルも?ちょっと待って。今、場所開けるからって、何してるの!?」


「眠いから、寝る」


 うん。寝るのはかまわないけど、普通にベッドで眠って欲しい所だ。よりにもよって何で膝枕??まぁ、軽いから別にいいんだけど。


 子供扱いをするなと言うくせに、膝枕を求めてくるのはどうなのだろうか。横になった瞬間に聞こえる寝息に、どれだけ眠たかったのやらと苦笑しながら、サラサラな金髪を梳く。絡まることを知らないその髪は指をすり抜けていく。


 色々、問題は残ったままだけど、たまには、こういうのんびりも良いのかも知れない。私も寝ようかなと目を瞑ろうとした瞬間、棚の奥から何かが光っているのが見えた。


 光物何か置いてないはずなんだけど。そう思って、ジルを起こさない程度に体を動かし、光っている物を奥から取り出す。


「何だろ?」


 水晶みたいな中に浮かんでいるのは満月に近い月のオブジェ。こんな物を買った覚えはないから、ジルのだろうか?来たときにこんなものはなかったはずなんだけど。


「綺麗」


 優しいその光を見ているうちに、気づけば私の意識はなくなっていた。




『起きて。朝ですよー』


 高めの幼い声が聞こえた後、頬を叩かれていることに気づき、閉じていた瞼をゆっくり開く。目の前に広がるは空色。部屋で寝たはずなのにどういうことだろうか。少しずつ覚醒してきた頭を働かせていると、目の前にいつか見た少女が覗きこんで来た。


『起きた?ほらほら時間がないんだから』


 起きてと手を引っ張ってくる。その手に引かれ起き上がって周りを見ても、見えるのは永遠の空色。綺麗と思う反面、寂しくも感じる空間だった。そして、その空間にいるのは、10歳いくかいかないかの幼い少女だった。


「てか、どっかで会ったような……」


『図書館では本を拾ってもらったかな』


「それ!」


 そう、一瞬だったけどジルと行った図書館でぶつかった少女だ。たまたま会った少女が私に何の用事だろうか。


『あそこであったのは偶然じゃなく、必然だから』


「必然って。いや、その前にこの状況って何?」


 夢じゃないと思う。夢にしてははっきりし過ぎてるから。現実離れしているこの状況に混乱する。


『ごめんね。いきなり連れてきて。けど、もう時間がないのも確かだから。ここは、私が作った空間。けど、今はそんなことどうでもいいの』


 どうでも良くないんだけどって言いたかったけど、少女の手の平に現れた物を見てその言葉を飲み込んだ。


「それ、私の部屋にあった月のオブジェ…」


 どうしてそれが少女の手にあるんだろうか。少女は辛そうにそのオブジェを私に差し出す。


『これは、月時計。ジルが…、ジルヴェスターがこの世界にいられるリミットを示す時計だよ』


「えっ…」


 何を言われたんだろう。何か大変なことを言われたはずなのに、素直に頭に入ってきてくれない。ジルがこの世界にいれるリミットを示す物?


「ちょっと待って。ジルは帰れるの?」


 それなら、寂しいけど、喜ばしいことでもある。けど、少女は首を横に振る。


『違うの。私が言ったのはジルヴェスターがこの世界にいられるリミット。よく聞いて。この月時計が満ちるまでに帰り方を見つけなければジルヴェスターは死んでしまう』


「嘘……」


 唐突すぎるカミングアウトにどうしたらいいかわからない。だって、少女が持っている月時計ってやつはほとんど満月に近い形をしているんだから。一週間もきっとないに違いないことくらいわかる。


「そのリミットは?」


『今日を入れて4日』


「4日」


 それは、短すぎる時間。ジルは知ってるんだろうか。いや、きっと知らない。だって、知ってたら遊園地とか一緒に行ってくれるわけない。後4日。手がかり何て皆無に近い。


「どうしたらいいの?」


 そんなものわかるわけがない。瑠依姐なら話は別かも知れないけど、私は楽しみ程度に逆トリップの話を読んでたくらいだ。というか、これだけ深刻になる、逆トリップの話もあっただろうか。


『知ってるよ』


「えっ?」

 

 唐突なその言葉に目を見開く。少女を見ると、笑顔で人差し指を立てた。


『この世界に来られる方法は、過去に戻り昔の自分を殺すこと。世界は歴史を改変しようと現実いまいるその人を別の世界へはじき出す。歴史はその改変をひと月で終わらせる。だから、それまでに他の誰かが過去の自分を殺した相手を殺すこと。それが元の世界に戻るための方法の一つ。だけど、そんなの無理だから、ある人は他の手を考えた』


「他の手?」


 それが、きっと私たちができる唯一の方法。ジルが死ぬことは断固阻止だ。だから、そのために、私ができることはしなきゃいけない。


 少女の言葉を聞き逃さないようにさらに耳を傾ける。


『命を代償に来られる世界なら、命を代償に戻れるのではないか』


「命を代償に…」


 少女はまるで物語を話すように淡々と紡ぐ。少女の手元にあった月時計は気づけば一つの本へと変わっていた。それは、図書館で少女が忘れていた本だった。


『だから、ある人は自分を実験台に色々試してみた。どの命で元の世界に戻れるのかを』


 風もないのに捲れるページからは知らない人の顔の映像が飛び出してくる。それは、男であったり、女であったり、子供であったり、老人であったり。


『そして、たどり着いた命があった』


 言葉とともにページが止まる。そして映し出されたのは綺麗な女の人だった。


『彼はこの命を代償に元の世界に戻ることができた。それは大きな成果で、喜ばしくもあり、絶望を味わうことでもあった』


「誰…なの?」


 何となく想像がつく気がする。けど、聞かないと前に進めない。少女は映し出された女の人を撫でながら私を見た。


『彼女はサシャ。彼を大切に思っていた恋人だった』


「っつ!」


 恋人の命を代償に戻った世界。それは、いったいどんな世界だったんだろうか。私には考えられない。考えたくもない。


『ねぇ、気づいた?何を代償にしなきゃいけないかってこと』


 その代償は思っていた物より大きすぎて。


『でも、仕方ないんだよ。それが、唯一の方法なんだから』 


 満面の笑顔で少女は残酷な言葉を口にする。


『だから、お姉ちゃん。死んで』


 私の頭を真っ白にさせるのは十分だった。

ありがとうございました。カウントダウンが始まっても中々終わりを見せないこの話。けど、プロットは出来ましたので、頑張ります!暇つぶして良いんで是非お付き合いお願いします。

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