カウントダウン5日前~異世界人とお化け屋敷~
ネタが浮かんできたので、更新スピードがあがると思われます。なので、見捨てず読んでいただければと思います!
暗く冷たい闇の中。清潔に綺麗に整われていた部屋たちはある時を境に失われた。今はいらなくなった物が無雑作に置き忘れられ、捨て置かれている。そして、廃墟となってしまった病院。取り壊しを実行するもそのたびに事故が起こる。だから、今はそのままの状態で放置されたまま。
だって、私を一人ぼっちで置きざりにしようとしているから。どうして、ここから出してくれないの?パパ、ママ。ねぇ、どうして、私は一人なの?ねぇ、誰か一緒にここに、いて?
助けを求めるかのように鳴り響くナースコール お経が聞こえる霊安室
誰もいないのにランプのつく手術室 病院を彷徨う一人の少女
そして、消えていく愚かな人間達
“廃病院と少女”
さぁ、あなたは無事に帰れるか?
「無理無理無理、私は帰れない。むしろ進める気さえしないわ!」
ズルズル引きずられて、入ってしまった本格派お化け屋敷。いかにもどこからか、何か出てきますという演出に少しの物音でビクッとしてしまう。恐怖のため途中リタイア可と、各階に設置されている非常口の赤いランプでさえ恐怖をあおるのには十分な役目を果たしていた。
「自分の職場だろ?怖いのか?」
「どんな、職場よ!?誰も、こんな環境で働かんわ!」
何だ違うのかと何故残念そうなんだ。異世界人の思考回路が全く持ってわからない。お化けと言う概念がないのか、ジルは普通の暗闇を通っているかのように至って普通だ。いや、ジルが怯えてる所なんて想像さえできないけど。
「ちょっと、これクオリティーめっちゃ高い!わぁ、これ持って帰りたいんだけどー。ちょっと、大輝これ買ってー」
あぁ、数十メートル先からお化け屋敷らしからぬ声が響いている。買うっていったい何を買うつもりでいるんだろうか。きっと、近くにいる従業員の皆さまはオブジェが壊されないか今頃ハラハラしていることだろう。
そんな、志保と大輝ペアはせっかくなら二人で回ろうととさっさと先に行かれてしまったため、隣にはジルしかいない。いや、色んな意味で離れていて良かったと思うけど。
それにしても、何が悲しくて職場をモチーフにしたお化け屋敷に入らなければならないのだろうか。そう思いながら、リハビリ室の前を通る。
『お…ねぇ…ザザッ…ちゃ…』
「うわっ!?」
女の子の声が聞こえた瞬間、裾を引っ張られビクッと体が跳ねる。
「って、脅し役の人蹴っちゃダメだから」
さっきの“うわっ”という悲鳴は私ではない。私の裾を引っ張った脅し役の人から出た違う意味の悲鳴だったりする。
「ダメなのか?」
コテンと小首を傾げるジルにかわいくないからと言いながらバツ印を作る。一応お仕事でやっているのだから、許してあげて。
「それにしても、この世界では死者が蘇るのか?」
あんな姿で蘇りたくはないなと、ゾンビを見ながら溜息をつくジルに、あれは、また別物と否定しておく。というか、病院にゾンビってどんなスチュエーションよ。
「いや、蘇ると言うか、未練を残したりしたら幽霊となってこの世界を彷徨うみたいよ。ただ、普通の人には見えないんだけど」
普通に見えて貰っても困る所だ。まず、病院では働けないに決まっている。
ジルとの的外れな会話に少しずつ恐怖が払われた私は改めて周りを見渡す。本当にこのお化け屋敷は良くできていると思う。病室から、ナースステーション。検査室まで細かく作られていた。
一応、このお化け屋敷のゴールは444号室を見つけその中に置いてあるお札を持ち、霊安室にいる少女を眠らせればクリアというルールになっている。
一応、スタート地点で地図を貰っているため迷子にはならないようにはなってるが、周りが見れなかった、あっと言う間に444号室を通り過ぎてしまうだろう。
「そろそろ、見えて来てもいいんだけど……」
300番台の病室を見つけたがそこから中々見当たらない。廊下は一本道なので見過ごさなければあるはずなのだ。
「ミコト、さっきここ通らなかったか?」
カツンと歩みを止めたジルは辺りを見ながら眉をしかめる。あいにく、じっくりと見ていなかった私に判断できるわけもない。
「けど、一本道だから戻るわけないと思うんだけど」
「良く見ろ。ここ、お前が裾を引かれた場所だ」
「えっ!?」
その言葉に慌てて辺りを見ると、確かにそこにはリハビリ室と書かれていた。
「何で?だって、リハビリ室はもっと前にあったはず」
「それに、あれだけ騒がしかったシホの声もしないと思わないか?」
言われてみたらその通りだ。そう言えば、流れていたBGMもいつの間にか消えていることに気づく。いったい、いつから聞こえなくなっていたんだろう。それさえも思い出せない。
「どうやら、閉じ込められたみたいだな」
「はっ!?えっ!?呪い!?少女の呪いなわけ!?」
確かにここは本物も出るっていう噂もあるけど、どうしたらいいわけ!?当たり前だが、お祓いとかの知識はあいにく持ち合わせてはいない。
「落ち着け」
地図と照らし合わせて、せめて非常口でもとワタワタしていると、落ち着けともう一度頭を軽く叩く。この状況で何で、そこまで冷静になれるんだろう。まぁ、そのおかげで少しパニックは落ち着いてきたけど。
「聞くけど、落ち着けってことは原因がわかったってこと?」
「いや、わからん」
「………」
今、彼は何を堂々と言い放ったのだろうか。いや、きっと聞き間違いに違いない。
「どうした?」
「どうしたって!この怪奇現象の原因がわかったから落ち着けって言ったわけじゃないの!?」
余計にパニックになるわ!と食い掛かるが、うるさいと一蹴されてしまった。
「まったく、わからないわけじゃない。ただ、確証がないだけだ」
だから、落ち着けと肩を引き寄せられる。一気に近づいた距離に、ジルの暖かさに頬に熱がこもる。うん、違う意味でパニックになりますが!?
そんな、私の心境をよそに、ジルはゆっくり歩調を進める。いったいどこに行こうっていうんだろうか。戸惑うことなく歩みを進めるジルに疑問を抱く。
「ねぇ、どこ行くの?」
「ここだ」
しばらく歩いて、たどり着いた所は特に変わったことのない300号室台の最後の部屋だ。地図上では、この次に400番台の病室が…。
「ない?」
いやいやいや、おかしいでしょ。何で、遠目にリハビリ室が見えるわけ?やっぱり、ループしてるってこと!?
「やはりな」
「え?」
この現象に、驚きもせず、むしろ納得したと言う感じのジルは帽子を外すと私にかぶせてきた。
「まぁ、あいつが使えるくらいだし。他に使える奴がいてもおかしくないわけだが、なら、俺にも適応させろっての」
何を言っているんだろう。ブツブツ呟いている内容は確実にわからない。そのうち頭をガシガシ掻きだしたジルは天井を見上げだした。
「何かあるの?」
天井を見たかと思えば床を見たりと忙しい様子のジルに首を傾げる。けれど、あーだのうーだのという生返事しか返ってこない。
恐怖と言う感情もいつの間にかどこかへ行き、今は好奇心が勝っていた。
「あれか。ミコト、先に言っておくが、お前はあの玉を触るなよ」
「わかったけど、説明してよ」
ジルが示している壁の四隅には黄色く柔らかい光を放つ玉が飾られていた。他の装飾に紛れて良く見ないとわからないくらいに隠れている。
「あれは、魔宝玉って言って一つの魔法を閉じ込めておくことができる玉だ。使えるのも一回限り。正真正銘の魔法具だ」
「へぇー。って、はい!?待って、どういうことよ!?」
便利な物があるものだと納得したけど、それはおかしい。目の前にある物はこの世界にないはずのものだ。ジルがこれを仕掛けていない限り考えられることは一つ。
「俺の他にも、この世界に紛れ込んでる奴がいる。しかも、俺にとってそいつは敵だ」
「敵ってどういうこと?」
ジルの他にも異世界人がいるってことに吃驚だけど、その人が敵っていうのがわからない。
「これは、結界魔法だ。魔法解除しないと永遠にその場をループするはめになるが、それ以上に迷惑なのは何らかのトラップ付ってことだ」
「でも、こっちでは魔法使えなかったんじゃなかったっけ?」
確かこっちに来た時に魔法が使えないと騒いでたことを思い出す。あの時は、本気でイタイ人だと思ってたわ。
「今でも使えないのは確かだがな。何のトリックか、これを仕掛けた奴をあぶりださないとわからねーが、とりあえずここから出るのが先だな」
パチン、パチンと指を弾き何も現れないことがわかると、ジルは舌打ちをする。私にはわからないけど、魔法でしか解除できないのだろうか。
「ねぇ、魔法解除ってどうするの?」
手伝えることがあれば何かしようと思ったが、ジルは首を横にふるだけだ。それじゃ、落ち着かないのが私なんだけどと、隣で膨れ面をしてみる。それが、わかったのか、ジルは小さく溜息を付きながら口を開いた。
「手伝いがいらないってわけじゃない。俺でさえどうしたら魔法解除できるのかわからないだけだ」
「……え?」
(もしかして、それって結構ピンチな状態だよね!?)
(はぁ、めんどくせー)
またしてもキャラが暴走をし始めましたそしてカウントダウン5日目と残り少ないリミットに果たして終わるのかと不安になる私です(こら)。ですが、頑張りますので続きもよろしくお願いします。




