異世界人の残り期間
今回は短いですがおつきあいお願いします。
いつ何時何分、あなたは死にますと言われて誰が、はいそうですかと思うだろうか。病気ならまだしも、俺は至って元気だ。
「面倒の一言に尽きるな」
誰だか知らないが、超絶面倒なことに巻き込んでくれたものだ。判明した矢先には特大の攻撃魔法をくれてやろう。
「ここはシリアスな場面であって、面倒という言葉が出てくるとは思わなんだ。さっきの心の声は嘘か?嘘なのか?」
いかにも期待外れという顔をするルイに溜息をつく。何だ、こいつは俺に落ち込んで欲しいのか?
「勝手に人の心を読むな。だいたい間違ってはないだろう。嘘だろの続きは面倒くさいことになったと続くだけの話だ」
タイムリミットは余裕がないことを表してる。この瞬間にも月時計は無情にもその姿を変えようとしていた。
「お前が今ここにいるんだ。方法くらい知ってるんだろう?」
今までの話からルイもまた被害者のはずだ。しかし、何事もなく生きてここにいるってことは何か種があるはずだ。さっさと吐けと促すとルイはあろうことは首を横に振った。
「残念だが、私の方法は使えない。というか、使える人物がこの世に存在しないと言うのが正しい」
「役にたたねーな」
「煩いわ!何も知らず死ぬより良いと思わぬか。っと、時間みたいだの」
その言葉とともに空間が歪み始める。そろそろ出ないとこの空間に飲み込まれてしまうことになる。それだけは勘弁願いたい。
「方法はわからぬが、これをやろう。餞別と思え」
ひゅっと投げられた物をキャッチする。掴んだそれは思ったより小さくて首を傾げながら掴んだ物を見る。
「まじかよ」
俺の手の中にあったのは小ぶりだが、夕日を閉じ込めたようなオレンジの結晶。
「クロノスクリスタル。私が所有していた最後の物さね。と言っても、現実空間に戻ればその効果はない等しい。好きに使うが良い。あと…」
「何だ?」
「私の占いに出たことが一つ。ラインティアに戻るヒントは美琴が知ってると出た。それだけは伝えておくさ。さぁ、お帰り、あの子が泣きそうにしているよ」
シャランと鳴る鈴の音とともに扉が現れる。全く肝心なことをサラッと言ってくれるもんだ。文句の一つでも言ってやろうかと思ったが、既にルイは空間から消えていた。逃げ足の速いことだ。俺は、ある願いを託し、クロノスクリスタルに一つ魔法をかける。
「さて、帰るか」
パチンと音立たせ扉を開き、足を進める。運命を刻む月時計とともに。
「ㇽ……ねぇってば!……ジル!起きて!ねぇ!」
意識が覚醒し始めて聞こえたのはどこか焦ったミコトの声。何をそんなに焦っているのかと重たい目をどうにか開ける。
「ど…した?」
「ジルッ!?起きたの!?大丈夫!?」
目を開いて真っ先に飛び込んできたのは、今にも泣きそうなミコトの顔であぁ、心配かけたのかと納得する。さっきいた空間は夢空間。意識だけを飛ばすものだから、体は無防備にさらされる。夢空間にいる間は本体の俺に何をしようが全く反応はできない。大げさに言うと意識不明の状態だ。
「ねぇ、わかる?」
わかるが、夢空間の反動はどうやら久々の体には堪えた。声を出すのが億劫で、代わりにミコトの体を抱きよせ抱きしめる。
「ジッ…ル?」
初めは驚いた様子だったが、どこか安心したのか今度は俺の胸で泣き始めた。やらかしたと思いながら悪いのはルイであって俺ではない。ポンポンと背中を叩いてやると、今度はバカバカと泣きながら言ってくる。
「悪かった。心配かけた。もう、大丈夫だ」
「ほ…んっとに?」
怖かったんだからと泣きながら言ってくるミコトの額にキスをする。すると今度はキョトンとした顔をした瞬間、顔を真っ赤にさせた。その変わりようが面白くてついつい笑ってしまう。
「ガキ」
「ジルのバカー!!」
ドンと胸を押し俺から離れたミコトは、その言葉を残し寝室から駆け出して行った。そういう所がガキなんだと思うが反面可愛いと思う俺もどうしたものか。
「あの状態じゃ、しばらく言えねーな」
体を起こし、魔法で飛ばした月時計とクロノスクリスタルを手に取る。何度見ても時間がないことは明白だ。
「残された時間は後約七日って所か」
こんなことなら早く言って欲しい所だ。だが、今更言った所で仕方がない。ルイの話を信じるなら鍵はミコトが握っているはずだ。
「問題は山積みか」
難解すぎる問題に頭を抱えたくなる。だが、とりあえず、ミコトの機嫌を直してからだとベッドから起き上がり、リビングへ出る。ソファーで膝を抱えて膨れ面をしているミコトを見ながら苦笑する。
「悪かった」
「ジルのバカバカバーカ!」
(このやり取りもあともう少し)
ありがとうございました。次話もよろしくお願いします。




