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私を殺したユーレイは今日もやかましい  作者: ほのぼのる500
第3章 番外編 王都と教会
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98話 まずは裏切り者を

―教会の司教 アルテト・ルーグ視点―


 ルース・ナリガ・チョアトの救出には間に合わなかった。手紙を読んだ王国騎士団団長がすぐに動いてくれたが、彼女は部屋で冷たくなっていたのだ。死因は毒殺。使われた毒は、第二王子に盛られた毒と同じだった。


 侍女ルース・ナリガ・チョアトについて王国騎士団でも詳しく調べたが、彼女の背景に誰がいるのかまではわからなかった。また、暴力問題を理由に牧師を王都へ呼び寄せた人物についても調べたが、わからなかった。


 トラ村にいた牧師に王都へ来るよう手紙が届いたところを、教会の手伝いをしていた村人が目撃しているので、呼び寄せた者がいるのはわかっている。だが、誰が手紙を送ったのか、それはわからなかった。


「完全に暗礁に乗り上げましたね」


 全ての報告書を読み、深くため息を吐く。


 こちらで把握できていた者たちが、全員殺されてしまいました。そして、殺された者たちを調べても、今わかっている以上の事は分かりませんでした。


 報告書を持ってきたフォンとルードスが、神妙な表情で私に視線を向ける。


「調査はいったん、終わりましょう。これ以上調べても何も出ないでしょうから」


「わかりました」


 悔しそうなルードスの表情に私は小さく笑いかける。


「大丈夫です。諦めたわけではありません。必ず、裏で暗躍している者を見つけます」


 女神さまを裏切った存在は、絶対に許しません。


 コンコンコン。


「失礼します。イースです」


「どうぞ」


 執務室に、バルス教皇の護衛騎士イースが入って頭を下げる。


「こちらをお願いいたします」


 イースは私の前まで来ると、二つ折りの紙を差し出す。


「ありがとう」


 紙を受け取ると、日時が書かれていた。


「参加すると伝えてください」


「わかりました。では失礼いたします」


 イースが執務室から出て行くと、フォンが私を見る。


「何かあったのでしょうか?」


「いえ、これまでにわかった事を、教皇と司教で共有するのでしょう」


 何かあれば、すぐに集まるよう言うはずです。


「ユーフィン司教とチェスラ司教ですが、ここ数日、近くの教会へ行って祈りを捧げているみたいです」


 ルードスの話を聞いたフォンが肩をすくめる。


「力が弱まっていると護衛騎士たちにバレて、焦っているのでしょう」


「そうでしょうね」


 フォンの説明に、ルードスが頷く。


 二人の会話を聞きながら、ここ数日のユーフィン司教とチェスラ司教の様子を思い出す。


 確かに二人は、聖なる力が弱まっている事に焦っています。そして、聖なる力を取り戻そうと、近くの教会へ行き、民のために祈りを捧げています。きっかけは褒められませんが、民のために祈るのは良い事です。



 コンコンコン。


「アルテトです」


「どうぞ」


 バルス教皇の執務室に入ると、私が最後に到着したようだった。


「おはようございます」


 バルス教皇と二人の司教に向かって挨拶をすると、ソファに座る。


「三人とも、忙しいのに呼び出して悪かった。これまでにわかった情報を四人で共有したいと思う」


 バルス教皇の説明に、私たち三人の司教は頷く。


「アルテト司教から頼む」


「はい」


 わかった事はその都度、それぞれに報告書を届けていたが、改めて書類を確認しながら三人に報告する。


「死者が多いですね」


 チェスラ司教が痛ましそうな表情で呟く。


「はい」


「アルテト司教。調査をいったん中止するというのはなぜですか?」


「こちらの動きがバレています。調査をいったん中止して、教会内部の裏切り者を徹底的にあぶり出すのが先だと思います」


 ユーフィン司教の問いに答えると、彼は頷いた。


「確かに、裏切り者が先ですね」


「バルス教皇」


 バルス教皇が私を見た。


「なんだ?」


「教会に出入りしているすべての者を調べさせてください。食材を降ろす業者などもです。また、教会内にマジックアイテムが仕込まれていないか調べる許可もいただきたいです」


 私の提案に、三人は目を見開く。


「それは……いや。今の状態から考えて仕方ない事かもしれないな。わかった。許可する」


「ありがとうございます」


 ユーフィン司教がバルス教皇を見て口を開くが、何も言う事なく下を向いた。


「ユーフィン司教、どうした?」


「いえ、非常事態ですから、仕方ありませんね」


 バルス教皇の問いに、ユーフィン司教は首を横に振る。


「ユーフィン司教の調査はどうだ?」


 バルス教皇の言葉に、ユーフィン司教は一枚の書類をテーブルに置いた。


「トの付く村ですが、数が多いです。それと、村の名前が王都に保管されていた記録と違うところがありました」


「なぜ、違うんですか?」


 ユーフィン司教の説明にチェスラ司教が不思議そうな表情を浮かべる。


「不作が続いたため、村の名前を変えたところがありました。他にも……」


 ユーフィン司教が言い淀むと、チェスラ司教が彼を見る。


「どうしたんですか?」


「村を管理している貴族が、勝手に名前を変えたところがありました」


 ユーフィン司教が困った表情で言うと、バルス教皇が呆れたようにため息を吐いた。


「村や町の名前は、事情がない場合の変更は認められないはずだが……認められていたのか?」


「はい。認められた原因を調べたところ、調査した者や教会関係者が買収されていたので、それぞれの上司へ報告しておきました」


 つまり、関係者は捕まったという事ですね。まぁ、犯罪が明るみに出たのは良かったですが、どうして村の名前を変えたのでしょう。


「なぜ、名前を変えたんですか?」


 チェスラ司教の問いに、ユーフィン司教が嫌そうな表情になった。


「自分の名前を残したかったそうです」


 あぁ、どうでもいい理由でしたか。


 バルス教皇は呆れた表情で首を横に振ると、気持ちを切り替えたのか真剣な表情で私たちを見た。


「トの付く村は多いが、順番に調べる必要があるな」


「はい。誰を調査向かわせるのか、今、選定を行っております」


 ユーフィン司教の説明に、バルス教皇は首を横に振る。


「選定は裏切り者をあぶり出してからだ。魔王の復活を望むような奴らだ。聖女さまを害する可能性が高い」


「わかりました」


「チェスラ司教の調査はどうなっている?」


「宝玉について調べた結果、女神さまの神託は、宝玉に記録されている事がわかりました」


「そうなのか?」


 チェスラ司教の説明に、バルス教皇が身を乗り出す。


「はい。過去にも神託が聞き取りづらく、力を込めてから聞き直した事があったようです」


 つまり、宝玉の割れを少しでも改善できれば、全ては無理でも、もう少し神託の内容がわかるかもしれないという事ですね。


「それと、割れた宝玉ですが、虹色の光を放つ特級ランクの魔石で修復ができると書かれてありました。虹色の光を放つ特級ランクの魔石には、聖なる力が込められているようです」


「虹色の光を放つ特級ランクの魔石ですか?」


 魔石については詳しくないですが、特級ランクの魔石が非常に珍しい事は知っています。虹色の光を放つ魔石については、聞いた事がないのですが……。


「はい。かなり珍しい魔石のようで、見つかった魔石の記録を確認したところ、過去に一度だけ見つかっています」


「一度だけ?」


 バルス教皇の呟きにチェスラ司教は頷く。


「はい。でも、虹色の光を放つ特級ランクの魔石は宝玉の修復にもっとも適していると書かれていたので、捜索したほうがいいと思います」


 チェスラ司教の真剣な表情を見たバルス教皇は少し考える。


「チェスラ司教、その魔石について書かれていた書類を全て持ってきてほしい。捜索はするが、書類も確認したい。ユーフィン司教とアルテト司教も確認してほしい」


「「わかりました」」


「では、魔石を捜索する人員ですが……これも裏切り者を洗い出してからのほうがいいですよね」


 チェスラ司教が私を見る。


「そうですね。早急に裏切り者を調べます」


 私の護衛騎士たちの調査結果がそろそろ届くはずです。それを確認したのち、問題がなければすぐに動きましょう。


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― 新着の感想 ―
「自分の名前を残したかったそうです」 バカなの? 村の名前を聞かれた段階で不正がばれるじゃん。 バカなの? そしてここで虹色魔石。 超特級のデカ魔石がいくつも出たでしょ? 宝玉もすぐに治るかな?
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