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おまけ1

本編後の話になります。

おまけの中には行為を匂わせるような表現がありますので、15歳以下の方やそういったものが苦手な方は閲覧を控えることをおすすめします。

【癒し効果】


「ハグにはストレスを軽くする効果があるらしいですよ」


引き継ぎ等の仕事をやっと終えて、久しぶりに会えた彼女はそんなことを唐突に言った。


「……?なんで急にそんなこと……」


「だって、疲れてますよね?」


図星を突かれて何も言えなくなる。たしかに、仕事続きでろくに休憩も取れていない。だけどそれでも一刻も早く彼女に会いたくてたまらなかったから、疲れの溜まった自身の体に鞭打って彼女の部屋までやってきて今に至る。


「だから……はい」


彼女は手を広げた。その意味が疲れた頭ではよく読み取れず、その場に立ち尽くす。

……んん?どういう状況だ?


「ハグですよ、ハグ。もう、仕方ないですね……」


そう言うと彼女は俺の背中にその細い両手を回した。身体がぴたりと密着して、彼女の熱がそのまま自身に伝わってくる。

え、なにこれ、柔らかっ……。

甘い匂いが鼻をくすぐる。あの両想いと知った日以降色々な事が重なってろくに触れ合えてなかったから、なんというか破壊力が凄まじい。


もっと触れたい。心ゆくまで堪能したい。そんな欲が出てくる。だってしょうがないじゃないか。好きな女にこんなことされて、なんとも思わない男なんていない。

これは、抱き締め返してもいいやつ?流石に嫌われたりはしないよな。両想い…のはずだし。


疲れのせいで完全に恥じらいが明後日の方向にぶっ飛んでいた俺は、彼女の腰に手を回して痛くならない程度にきゅっと力を込めた。彼女の首元に顔をうずめる。ハグにストレスを軽くする効果があるとやらの話は正しかったようだ。たしかに、とても癒される。互いの体温が交ざって、まるでひとつになったみたいだ。


あ、これ、だめになるやつだ。知らなかった頃に戻れなくなるやつ。

……まあ、いいか。もういいや、どうでも。知らなかった頃に戻る気なんて微塵もないし。

頼んだ茶菓子を執事が届けに来るまで、俺たちはしばらくそうしていたのだった。

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