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18話

「わぁ、いい部屋だ……」


「この部屋にクラスメイトの人達と一緒に泊まるなんて、なんだかわくわくするわ」


劇を見たり博物館に寄ったりした修学旅行初日を終え、当初の予定通り学園で指定されていた宿に着いた。

部屋は男女それぞれ数人ずつで既に分けられているらしい。オーウェンは誰かと一緒の空間で寝るのが苦手なはずだけど、果たして無事なんだろうか。まあ、一緒にいるのはアルビーやノアといった気心知れた人達だと思うし、意外となんとかなってるのかも。


青系でまとめられた落ち着く部屋でリナリアやほかの女子と会話に花を咲かせる。転々と移動しながらの旅行だから、また明日には別の宿になるんだろうな。


……修学旅行で夜中にすることと言えば。


「皆さん、せっかくですし恋愛の話でもしませんこと?」


このグループの中でいちばんそういうのに興味ありそうな女の子が、目をキラキラ輝かせてそう切り出した。来ると思ったよこの手の話題は。修学旅行にはつきものだもんね。


「恋愛の話と言えば…近頃、リナリア様はノア様と進展とかはあったりしたんです?」


「へっわ、私ですか!?」


トップバッターで自身が話を振られるとは思っていなかったのか、リナリアはわたわたと慌てている。


「おふたりは仲睦まじいと評判ですし、胸がときめくようなお話のひとつやふたつありそうですわよね」


「どうなんですの!?」と同じ部屋の女子達が彼女に詰め寄る。あらら、ロックオンされてしまったか……。


「私は、その……こ、恋人繋ぎとか」


「恋人繋ぎ!いいですわね〜」


甘酸っぺえー!これぞまさに青春って感じがするなあ。

好奇心旺盛そうなボブヘアーの子が「それはどういった経緯で?」とそれに対してさらに質問をする。


「ええっと…お出かけした時に、ノア様から『手を繋ぎたいんだけど、いいかな?』と……」


わかりやすく真っ赤になるリナリアをみて微笑ましい気持ちになる。周りの女子もいい感じの話が聞けてきゃいきゃいしている。


彼女らはリナリアの反応を見て満足したのか、次は「カミラ様はどうです?」と期待の眼差しで見てくる。


「いや、私は別に…」


婚約者(仮)同士だから、そんないちゃいちゃエピソードなんてあるわけないしなあ…。

そう思っていると、女子のひとりがとんでもない爆弾を投下してきた。


「確かに、リナリア様に比べたらそういったお話はあまりないかもしれませんね。そもそも、2年生の間でおふたりはケンカップルだと有名じゃありませんか」


「けんっ……!?」


ちょ、ちょっと!?ご令嬢の口から『ケンカップル』なんて言葉が飛び出すのもびっくりだけど、それ以前になんで私とあの人がそう噂されてるんだ。


「だからこそですよ!もしかしたら普段からは想像もできないようなことが……!」


「あっ、ありません!至って健全な関係ですから!」


思わず慌てて訂正をする。

事情を知っているリナリアは苦笑いを浮かべているが、そうではない彼女たちはにやにやしながら「そうなんですね〜」となにか含んだような言い方をした。ああ、完全に勘違いされている。本当に違うのに……。


その後も消灯時間になるまで彼女らは恋バナで弾んでいた。そして、残念ながら先程の誤解がとけることはなかった。


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