17話
本来なら去年のようにまた祭典が開催されるのだが、その前に2年生だけのビッグイベントがある。
そう、修学旅行である。
最終目的地はなんと南国リゾート!飛行機や電車はこの時代にはないから、馬車等を使い各地を転々とまわりながら目指すらしい。生徒が1学年で60人はいるから旅行するのは随分大変そうだけど、やっぱり金持ちな貴族が通う学園なだけあって太っ腹だ。なんかちょっとグランドツアーみたい。
私自身前世で海外とか行ったことがなかったので、実は結構わくわくしている。
まあ、行く前に班を決めないといけないんですがね。
学年のみんなが既にグループに別れ始めている中、流石に旅行でぼっちは嫌だなあ…とたそがれていると、リナリアに声をかけられる。
「カミラ!一緒の班になりましょう?」
彼女からそう言って貰えたのが嬉しくて、思わず「もちろん!」と元気よく返事をした。
「でも、班のメンバーって5人組じゃないとダメなんだっけ」
確か先生がそう言っていた気がする。
私がそう呟くと、リナリアが「大丈夫よ、ノア様達が一緒にまわってくださるらしいの」と、えっへんと少し控えめに胸を張った。あらやだ私の友達可愛すぎ。
ノア様達…ということはいつメンか。まあ、なんだかんだ言って楽しくなりそうだ。
ちょうどその時、ノア達が近づいてくるのが視界の端に映った。噂をすればなんとやら、だ。
「リナリアから話はもう聞いた?」
「ええ、なんだかんだ言ってやはりいつものメンバーが落ち着きますね」
「修学旅行でもよろしくね、カミラちゃん!」
「こちらこそよろしくお願いしますね、アルビーさん」
「現地で迷子になるなよ」
「失礼な、もう17歳ですよ?迷子になったりなんてしません」
……前世も含めていつぶりだろう、みんなでわいわいしながら旅行なんて。
今世、意外と悪くないかも。なんてことを思いながら、皆と修学旅行の計画を立て始めた。
・・・
そうして迎えた、修学旅行当日。
集合場所に向かうと普段より少し軽めの装いをした皆がいた。いつも見ない服装だし、なんだか新鮮な感じ。この軽装が許されるのはこの修学旅行の間くらいだから、もうずっと修学旅行でいいな。
もう既に出発したグループもあるようで、私達もそれに続くように大きめの馬車に乗り込んだ。




