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16話

彼にはかなり助けて貰っているし、前世の私と重なったのもあってついお節介を焼いてしまったけど、結果的には良かったのかもしれない。

休み時間の間、彼と話して今まで知らなかった面を知れて、前よりも仲良くなれたというか。


「…どうしたの?」


なんのことかピンとこず、「えっ?」と聞き返す。


「なんか、嬉しそうだったから」


「いえ、その…いつも欠点なんてないみたいに飄々となさっているから何だか壁を感じていたんですが、今のあなたを見てちょっと安心したんです」


「あなたにもそういう面があるんだって」


思ったことを率直に言えば「ふふ、なにそれ」と彼は小さく笑った。


「本当にそう思ってるんですよ?まだ私の知らない一面が見れてよかったです」


私がそう話すと、彼は目を見開いた。

あれ、なんかまずかったかな。ちょっと不安に思っているとアルビーが私の名前を呼ぶ。


「今日…ほんとにありがと」


先程の影のある笑顔と違い憑き物が落ちたみたいに破顔する彼を見て、よかった間違えてなかった、とほっと胸を撫で下ろした。

ふたりで話している内に、休み時間の終わりを知らせる予鈴が鳴る。


「授業始まりますし、教室に戻りましょうか」


彼が「うん、そうだね」と頷く。

クラスメイトだし目的地は同じだからということで、ふたりで並んでちょくちょく話しながら私たちは教室に向かった。


●○●○


あのアルビーが、鼻歌歌ってる……。

友人の珍しい様子を、僕ノア・フロックスは見つけてしまった。


たしかに鼻歌を歌ってそうな雰囲気こそある彼だけど、今の彼がいつもと違うのは一目瞭然だ。端的に言えば『浮かれている』と言ったところか。


「うれしそうだね、なんかいい事でもあったの?」


まるでお酒でほろ酔い気分になっているかのような彼にそう聞いてみる。


「…うん」


彼は少しはにかみながら、喜びを噛み締めるように静かに頷いた。

彼がこんなに喜ぶなんて一体何があったんだろう。好奇心が勝って質問すると、「んー…秘密」とはぐらかされてしまった。


「そっか。よく分からないけど、いいことあって良かったね」


友人が幸せそうなら、まあそれはそれでいっか。

恋でもしてるみたいに上の空なままのアルビーを横目に、僕は苦笑をこぼした。

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