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13話

文化祭が終わり、一段落ついた頃。

面倒事というものはどうやらひっきりなしにくるらしい。学園は今長期休みに入り、一時的に帰らなければならなくなってしまった。しかも、それだけでは無い。

なんと隣街まで社会勉強ということで、視察とお世話になっている商会の方との顔合わせを任されたのだ。……横で面倒くさそうに腕を組む、ひねくれ坊ちゃんの付き添いで。


「おい、お前今失礼なこと考えてただろ」


「……いえ、別に?」


「嘘つけ目が泳いでるんだよ」


「おら吐け」と言わんばかりに彼は私の頬をぐいーっとつねる。地味に痛い。


「やめてください。折角の馬車での旅なのに」


「お前が言わないのが悪い」


馬車に揺られながらそんな会話を交わす。

隣街と言えどまあまあな距離があるので、まさかの彼と一泊二日である。嘘だと言ってくれ神様。現実は無情である。


やっと昼頃になって目的地に着いた。

馬車での移動ってロマンがあるけど、やっぱり不便だな。


珍しいお菓子を売っていたり、移動式のサーカス団と思われる人達が技を披露していたり。

目に飛び込んできた見慣れぬ街の風景に、私は年甲斐もなく胸が踊った。こんな風景RPGとかによくあるよね。オタクたるもの、こういう非日常は大変好ましい。やっぱりせっかく旅行できるんだしこういうのも楽しまなきゃだよね。


「っふ、こんなのではしゃぐなんて、まだまだお子様だな...」


隣の一言余計なやつがちょっとでも黙ってくれれば、日頃の疲れをよりリフレッシュできるんだけれども。


「そんなこと言って、オーウェン様だって気になってるんじゃないんですか」


「この俺が?冗談は口だけに...」


「あ、あそこに美味しそうなショートケーキ」と言うと、彼はその方向にぐりんと勢いよく顔を向けた。が、私に見られていることを思い出して少し顔を赤くしながらそらす。

イジるぶんには面白いんだよな、この人。


「別に?気になってなんかない」


未だに意地を張る彼に、私が「そうですか、移動で疲れたので糖分補給しようと思っていたのですが…仕方ないので諦めましょうか」と言いつつ、ちらちらと顔色をうがってみる。

「と、糖分補給は大切だからな。行くぞ」なんて彼は言い訳を述べながら、彼と一緒にケーキ屋に立ち寄ることになった。

彼を仲間に引き入れることに成功した私の作戦勝ちである。ふっ、ちょろいな。


・・・


そんなこんなでちょっとした観光もしながら、街を視察して回った。商会の方ともきちんと顔合わせは済ませたが、前世の取引先とのあれこれを思い出して終始ストレスと緊張感がマッハだった。今世でもやっぱりこの疲労を味わわなければならないのか……。


任されていた仕事を終えた私たちは、付き添いの使用人に案内され彼の両親が用意してくれたらしい宿へと向かった。


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