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12話

挙動不審の2人(主にオーウェンだが)を不思議に思いながら、店の商品を眺める。

ノアとリナリアは、記念にお揃いの小さいテラリウムを買ったようだ。私もなんか記念に買おうかな...。


綺麗な色をしたキャンドルやら、フラワーアレンジメント、レザーキーホルダーが視界に入る。この商品たちはひとつ上の学年のクラスの人達がハンドメイドで作ったらしい。細かいところもよく凝っていて、作られたものに温かみを感じる。

店番をしていた先輩に聞くと、何でも、こういうものを作るのが趣味な生徒が多いクラスだったようで、だったらそれを出店しましょうということになったらしい。

ちなみにうちのクラスは、なんちゃってカジノみたいな店である。

まあ、普段は皆色々しがらみはあっても、学園にいる間はただの生徒だから自由でとてもいいとは思う。


「カミラはなにか買うの?」


「買おうかなとは思ってるんだけど、何にしようか迷ってて...」


「それなら...これなんてどうかしら?」


そう言って彼女は刺繍の施された2種類のハンカチを指さした。

ひとつは、いくつもの黄色い花が花束みたくまとまって刺繍されたハンカチ。もうひとつは、一輪の赤い大きな花だけが縫われたハンカチ。


「じゃあ...私、これにしようかな」


手に取ったのは、赤い花が刺繍されたハンカチ。よく見るとちょっとだけ赤と紫のグラデーションっぽくなっているのがとても綺麗だ。


店員の生徒さんにお願いして、持ち帰り用に紙の包装をしてもらった。


「そういえば、毎年3年生は学年全体で演劇をするらしいよ」


情報通なアルビーがふとそんなことを話す。うわー、少女漫画とかでよく見るヤツだー...。


「やっぱり私たちも3年生になったらするんでしょうか...」


「まあ、そりゃあね。カミラちゃん、演劇に興味あり?」


「え、私は...」


「別に興味があるわけでは...」と言う前に、「はん、お前にはせいぜい背景の木の役がお似合いだろ」とオーウェンが横槍を入れてくる。ほんと失礼だなこの人。まあ、私は元より裏方に回る予定だから別にいいけども。


そんなふうに皆となんてことないような話をしたり、出店を楽しんだりして、私の1年目の祭典という名の文化祭は幕を閉じたのだった。


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