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10話

「ん...あれ?」


思ったよりぐっすり眠っていたみたいだけど、教室の時計を見るとまだ時間は20分ほどしか経っていなかった。よかった、起きたら真夜中とかじゃなくて。

でも、いい夢だったな。せっかく猫が擦り寄ってきて可愛かったのに、目が覚めてしまうとは。


「あれ、カミラちゃん?まだ教室にいたんだね」


ぼやっとしていると、様子を見に来たらしいアルビーがひょこっと顔を出す。


「ちょっと眠ってしまって...」


「わかる〜、今日はちょうどいいあったかさだもんね」


「その机のって運ぶやつ?俺も手伝うよ」と彼が有難い申し出をしてくれる。無下にするのもあれだし、お言葉に甘えて手伝ってもらおう。


「ありがとうございます。何だか、アルビーさんには助けられてばかりですね」


「レディには優しくがオレのモットーだからね」


「君には出血大サービスだよ〜」とまた調子のいいことを言う。彼はにこにこと人好きのする笑顔を浮かべて、会話が途切れないように話題を切り出した。


「そういえばさ、カミラちゃんは学園の祭典誰とまわるの?」


「リナリアとまわれたらなと思ってはいますが...リナリアには婚約者様がいますし、そちらとまわりたいかもしれません」


クラスが離れて残念そうにしてたし、できるだけリナリアの意思を尊重してあげたい。私のとこと違ってリナリアたちはちゃんとした婚約者なわけだし。


「そっか〜...あ、じゃあさ皆で一緒にまわらない?」


「ノア...リナリアちゃんの婚約者も呼ぶからさ。そしたら一石二鳥だよ」


「...そうなったら多分いつもの流れでオーウェンも一緒になると思うけど」とアルビーが苦笑いしたままぼそっと呟く。

確かに彼には腹立たしい面が多いが、別にそこまで気を使わなくても心配ないのに。私が大人の対応ってやつをみせてやりますとも。

何?いつも口喧嘩してるだろって?細かいことは気にしたら負け。前世のばっちゃもそう言ってた。


「構いませんよ」と告げると、少し驚いたふうに彼が問いかけてくる。


「カミラちゃんとオーウェンの関係って、オレ未だによくわかんないなぁ...仲がいいのやら悪いのやらって感じで。婚約者ではあるんでしょ?……ハリボテらしいけど」


「ええ、まあ。それはその通りですが」


いつも皮肉を言い合っているのだから、彼と仲がいいとは到底思えないのだけれど...。

でもまあ、憎しみ合うとかそういうレベルではないだけいい方なのか?


顔に出ていたのか「あ、まるで理解できないって顔してる」とアルビーに言われてしまった。


「ええと、そうだなあ...例えば、会話のテンポとか。口喧嘩こそしてるけど、息が合ってるって感じ」


「会話のテンポ?」と思わず彼の言葉を反復する。


「そう。そういうとこ見てると、なんか相手のことすっかりわかってるみたいで妬けちゃうなあ」


「ね、オレももっと君のこと知りたいしさ、オレとも深い関係になろうよ?」と彼は異性にウケが良さそうな甘い顔をして覗き込んでくる。社交辞令ですよね、深い意味が無いことは充分承知しておりますとも。


「あら、私は結構仲良くなれたと思っていたのですが...勘違いでしたかね?」


「あれ、いやそうじゃなくて...もっと仲良くって意味だから勘違いじゃないよ〜。安心して」


「それはよかったです」


「……うーん、やっぱ手強いかも...」


「...?何かおっしゃいましたか?」


「いーや?なんでもないよ」と彼はへらへらと笑いながら言う。何か言った気がしたけど、気のせいだったかな。まあいいか。

そんなこんなで、私たちは仕事を済ませたのだった。


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