表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
超積極的ラブコメを展開しようと思う  作者: おんたけ
プロローグ
87/144

87 浴衣は定番


「おー、もう随分混んでなー」


「さすが県内屈指の花火大会。こうゆう時に人が集まるんだよな」


 普段はどこ歩いててもそんなに人いないんだけどな。

 まぁ、それだけこの祭りが盛り上がってるってことか。


 一足先に花火大会の会場へと着いた俺と優也は、既に多くの人で賑わっている祭りの様子を遠目に眺める。


 浴衣を着ている人もいれば、半袖短パンにサンダルのラフな格好で祭りを楽しむ人もいる。

 金魚すくいに射的、焼きそばや綿アメ。祭りの定番の出店が所狭しと並ぶ。


 そんな様子を見ていると、既に祭り気分になる。


「……」

 

 祭りが盛り上がるのはもちろん願ったり叶ったりだが……俺と笹森さんの関係も盛り上がってくれないと。


 ……いやこれはキモいか? ……いやキモくない。キモいわけがない。そんなの今更だ。キモくないキモくない……


「あっ、先輩!!」


 キモくないキモくな……


「笹森さん!!」


 自分を洗脳しようと試みていたところに、その人は現れた。まいすうぃーと天使こと笹森さんだ。


「中西先輩も! 早いですね」


「俺らもさっき来たばっかだけどね」


 早速優也と笹森さんが会話を繰り広げるが……


「……ぐはっ!!!!」


 その横で俺はあることに気づく。


 ……いや、もう既に気づいていた。なんなら声を聞いた瞬間気づいた。


 ……が、あまりのことに反応が遅れ、今こうして地面に膝をついているわけだ。


「ちょっ、先輩!?」


「おいおい……」


 驚きをあらわにする笹森さんと、呆れたように息を吐く優也。


 しかしそんなことよりも笹森さんの衣服が目に留まる。

 ただの服じゃない。先程から何度も見ている浴衣だ。

 でもこれは、さっきまでに見たどの浴衣よりもかわいい。


 水着の時と同じような、花びらを催した柄に、水色が基調となった浴衣。


 そんな浴衣がこの世で一番似合うのは笹森さん。


 俺がここに断言する。


「そこらへんのマンチカンよりもかわいいよ、笹森さん……!!」


「褒め方のクセがすごいですね……まぁ、嬉しいですけど」


 驚愕の視線を向けていた笹森さんだが、その言葉を発する時には目を逸らしていた。


 それを誤魔化すように、手を前で組んでモジモジさせてるとこがまたかわいいことには気づいていないんだろうな。


 まぁとにかく……照れてるな、うん。よくやった俺。笹森さんのこの表情を引き出せるなんて。


「……ちょっと雄二? 来たんだけど、私も」


「おぉ、明里。……明里!?」


 ごく自然な反応をできたのは一瞬。その後は驚きと動揺の波が押し寄せてきた。


「いつの間に……?」


「かわいいよ……笹森さん……!! って言ってる時」


 明里は、体を軽く捻りながら、俺の声真似をしながら丁寧な解説をしてくれた。


 その様子を一言で表すとするなら……


「俺、そんなキモかったか……?」


「なかなかに」


 キモくないキモくない……


 今度は本気で言い聞かせる。そうでもしないと今すぐあの人ごみの中に突っ込んで叫びながら屋台壊して回りそう。


「……で、その……か、感想は……?」


 感想……


「……」


 明里が視線を上下左右に迷わせながらそんなことをいうわけを考える。

 ……いや、わけを考えるというより、なんて答えるべきか考えている、というべきか。


 明里は今、笹森さんと同じく浴衣を着ている。薄い赤……ピンクとも少し違う、淡い色をした浴衣。

 他に柄があるわけではなく、笹森さんのと比べると控えめな印象だ。

 でもそんな浴衣が明里に似合っていない、なんてことはなくて。むしろ、シンプルな分、明里の綺麗さが際立っている。


「あの……」


「あっ、すまん。……えっと……」


 俺がなかなか言葉にできないのを見てか、明里は少し不安そうに続きを促す。

 

 だが……なんていうべきか……。


 告白されて、それを保留しておいて……それなのに素直に褒めるのはどうなんだ? かといって、何も言わないのもおかしいし……


「……できれば、素直な感想が聞きたい……かも」


「……」


 素直な感想……


 まぁ……明里相手にへんな気使うのもおかしいよな……


「似合ってると思う」


 明里に向き直り、そう伝える。


「に、似合ってる!? そ、そう……」


「お、おう。まぁな」


 こんなに喜びをあらわにされると、戸惑いは隠せなくなるな……


 前はそんなに気にならなかったんだけどな……俺が気付けていなかっただけか……?


「おい。イチャイチャしてないでそろそろいこーぜ」


 そんなことを考えていたら、後ろで成り行きを見ていたであろう優也が退屈そうにそう促した。


「そうですよ!! 人目もあるんですから!!」


 その横では、焦ったように声を張る笹森さんもいる。


「い、イチャイチャはしてないよ!?」


「そ、そうだぞ。ちょっとファッションについてだな……」


「はいはい。いいから行くぞ」


「優也にあしらわれた……?」


 それ俺の役目なのに……


 そう思うと、なぜか少しテンションが下がる。なんか悔しい。


「奏ちゃんと花火見たいんだろ? ファミレスの分はきっちり働いてやるからよ」


 肩を落としかけていた俺に、近づいてきた優也が耳元でささやく。


「……!!」


 そうだ花火……! 花火を見て笹森さんと距離を近づける作戦!!


「えっ、ちょっと先輩! 急に行かないでくださいよ!」


「そうだよ! って、なんで無言……?」


 背後から不審がる声が聞こえてくるが、今の俺には響かない。


 目に火が宿る。そんなイメージを持ちながら、喧騒に塗れるお祭り街へと歩み出す。



 水色に花びらの浴衣……どっかで聞いたフレーズですね。

 決して、浴衣の柄考えるのがめんどくさかったわけではありません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ