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超積極的ラブコメを展開しようと思う  作者: おんたけ
プロローグ
60/144

60 私にできること


「おいしかったね〜」


「また今度こよーよ!」


「そうですねっ! 今度は明里さんが食べてたやつも食べてみたいです」


「あっ、分かる。チーズとろとろで美味しそうだった」


「明里、チーズ口にいっぱいつけてたもんね〜」


「そ、それは誰も教えてくれなかったからだから!!」


 名物サンドイッチを美味しく平らげた私たちは、あてもなくモール内を歩き回っていた。


 サンドイッチを食べ終わる頃には、四人とも気兼ねなく話せるようになった気がする。今も、さっき食べたサンドイッチの話で盛り上がっているし。春美はなんか余計なこと言ってるけど……


「せっかくだし、他の店も見ていこーよ!」


「いいですね! 私、夏物の服も見てみたいです!」


「あっ、私も。今年あんま買ってないから」


 私が冷静に今の関係を分析する間も無く、春美の提案でショッピングタイムの開始が決まった。


 まぁ、そんなこと考えるまでもないか。考えなくても、この場所の居心地がいいのは感じることができる。


「よし! じゃあそこの服屋見てみよ!」


 私は新しい友達ができたことに喜びつつ、すぐそばへの服屋へと足を向けた。





「結構買っちゃったね……」


「ですね……調子に乗りました」


「あはは……見ちゃうとつい、ね……」


 空が茜色に染まる頃には、身軽なはずだった私たちの両手には沢山の紙袋が握られていた。服屋に行こうなんて言ったばかりに……気づけば四人とも大荷物になっていた。これから一人暮らしを始めるとこですって感じ。


「バイトしようかな……」


「バイト……私もしたほういいかも……」


 優佳ちゃんの独り言を聞いて、ふと思ったことを口にした。軽くなった財布はカバンの中にちゃんと入っているのか不安になる。バイトは長期休みなら許可されてるし、考えてみようかな……


「明里先輩も結構買いましたからね……私も人のことは言えないですけど……」


 優佳ちゃんはそう言って力のない笑顔を浮かべている。


 分かる……! 分かるよ、優佳ちゃん……!! 買い物をしてる時はすごい楽しいんだけど、終わると一気に現実に戻っちゃって悲しくなるよね……主に金銭的に。


 「えーい!! 今更振り返ってもしょうがない!! 今年の夏はこの服で遊ぶぞー!!」


 私たちがうつむき気味にため息をついていると、突然春美が声を上げた。その内容は、実に春美らしいものだけど。


「たくましいなぁ……」


「ですね……」


「さすがです、春美さん……」


 疲れ切った私たちは、春美の元気の良さに感心するしかなかった。





 もう結構暗くなっていたこともあり、あれからすぐに私たちは解散し、帰ってきた私はというと……


「ふぅ……気持ちよかったー」


 家に着くなり真っ先にお風呂に入り、汗を流した。ついでに未来への不安も流してきた。


 ……別に、汗臭いとかそんなことはないはずだよ? でも、もう本格的に夏なんだから、汗をかくのはしょうがないよね? でも雄二といる時は極力動かないようにしよう。


 ピコッ


 首に巻いたタオルで髪をなでていると、ベットに置いたスマホから通知を知らせる音が鳴る。


 誰だろう? もしかして優佳ちゃんがもうバイト見つけてくれたのかな?


 実はさっき、突如として財布が重みを失った私のために、優佳ちゃんが 「何かいいバイト見つけたら教えますね」 という素敵な提案をしてくれたのだ。


 ほんと、今日優佳ちゃん達と会えてよかったな。……ん? 優佳ちゃん達と会ってなかったらお金を使うこともなかったんじゃ……? 


 ……それより早く返信しないとね!! 難しいことを考えるのはやめやめっ!!


「優也……?」


 余計な考えを振り払うようにして確認したスマホの画面には、可愛らしいトイプードルのアイコンが。

 こんな似合わないアイコンを使ってるのは、優也しかいない。性格の割に渋いのとかかわいいの好きなんだよね、あいつ。


『海行くなら八月一日なんていんじゃないか?』


 トーク画面に進むと、そこにはこんなメッセージが。


 八月一日……その日がなにを意味しているのかは明らかだ。特別な日……少なくとも私にとってはそう。


『八月から夏休みキャンペーンで学生は出店が少し安くなるみたいだぞ』


 続けてメッセージが届く。


 夏休みキャンペーン……そんなのもやってるんだ。


「ありがとう! 私もその日に行こうと思ってたから、そんなキャンペーンやってるなら最高!!」


 私はそう返信を返す。


 まだ雄二には連絡してないけど、夏休みに海に行こうと計画した時にはすでにその日(一日)に行こうと決めていた。

 

『斉藤達が雄二に殺意の視線を向けてたからな。ほどほどにしてやれよ笑』


 ほどほどに、か……雄二には悪いけど、私は手を抜くつもりはないよ。


 だってこれは、チャンスなんだから。


 チャンスを物にできる人が勝つ……これはスポーツでも、恋でも同じだよ。


「……よし!」


 優也とのLINNを終えた私は、顔にパックをするべく洗面台に向かう。"続けてればきっと、いつか報われる"これは私のお婆さんの言葉。私の信じる言葉。今日も私は、私にできることを続ける。








 とうとう60話まできました! 我ながら結構長い間書いているんだなぁ、と思いました。これからも続けていくので、読者の方には気が向いた時、暇な時にこの作品を見てもらえると嬉しいです!!

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