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超積極的ラブコメを展開しようと思う  作者: おんたけ
プロローグ
42/144

42 ラブコメ閉廷!?

 ちょっとだけ文を追加しました。

 なんの励ましにもならない言葉を木浪先輩から授かった俺は、学校を出て帰路についていた。


「先輩っ」


 そういって後ろから声をかけてきたのは俺の心のふわふわモップこと笹森さん。


「笹森さん。走ってきたの?」


 息を切らしている笹森さんを見て俺はそう問いかける。


「先輩()()の後ろ姿が見えたので……」


 笹森さんはそう言ってさっきまで汚れていた俺の心を綺麗に吹き去ってくれた。

 さすが俺の心のふわふわモップ。俺の心が再び昼までの輝きを取り戻すのが感じられる。


「奏ちゃん、なんか久しぶりだね」


 しかし俺と二人きりで放課後デートが始まるわけではなく、今日は優也も一緒なのだ。


「はい。そうですね」


 どうせなら二人からでもよかったのだが、そういえばこの三人で帰るのは久々な気がする。

 最近は明里や的場も一緒のことが多いからな。


「ちょうどよかったです。中西先輩」


「ん? どうしたの?」


 俺がそんなことを考えていると、二人でなんか会話してる。俺を置いてかないで笹森さん。


「中西先輩って……付き合ってる人いるんですか?」


「え?」


 え? 


 恥ずかしそうに俯きながらそんなことを聞く笹森さん。


 困惑気味の優也。


 生きる意味を失いかけている俺。


 え? え!? どういうことだ!? そんなことを優也に聞くなんて……まさか笹森さん……優也のことが……?


 なんだか本当の意味で取り残されてないか?


 俺たちはしばらくの間固まっていたように思える。


「えっと……奏ちゃんそれはどういうことかな?」


 最初に口を開いたのは優也だ。

 

 しかしこいつには大きな容疑がかけられている。


 令状がなくても俺は突っ込むぞ。泣くぞ。


「そのままの意味ですよ。私だって恥ずかしいんですから……」


 顔を紅くし、笹森さんは優也に答えを促す。


 嘘だろ……俺の恋はここで終わるのか? こんな幕引きってあるのかよ……


 俺は何もすることができずに、二人の動向を見守る。


「い、いないけど……」


「そうなんですね! じゃあ、好きなタイプも教えてもらえますか……?」


 笹森さんはどこか嬉しそうに次の質問を投げかける。


 俺はこれからの生き方について自問自答する。


 と言っても、答えは返ってこないが。


「え? 好きなタイプ?」


 さっきから困惑した表情を隠せていない優也だが、笹森さんの真剣な表現を見て、少し考えるそぶりを見せた。


「う〜ん……俺の好きなタイプは……俺のことをちゃんと見てくれる人、かな」


 そして笹森さんの気持ちに応えるように真剣な表情で返した。


 俺は一体何を見せられているんだろう。


 悲しみを乗せたジェットコースターは止まるところを知らない。急降下はやまない。


「そうですか……じゃあ、そう伝えときますね」


「ん?」


 ん? なんだって? 伝える? 誰に?


 ただでさえ頭の中は困惑でいっぱいなのに、さらに困惑させるようなことを笹森さんは言っている。


「あれ? 私の友達に中西先輩のことが気になってる子がいて、聞いて欲しいって頼まれたんですけど……言ってませんでしたっけ?」


「「言ってないよ!?」」


 いつもなら笹森さんの惚ける顔も可愛らしいと思うところだが、今回ばかりは本気で焦ったのでそんな気持ちにはちょっとしかならない。


「ご、ごめんなさい……」


 俺たちが二人揃って大声を上げたせいか、笹森さんは萎縮して申し訳なさそうに謝ってきた。


 あぁ!! くそ、かわいいなぁ!!


 散々振り回されたのだが、この顔を見て責めることはできまい。というか俺が勝手に振り回されていただけだが。


 しかし、こいつを気になってる子がいるなんて久々に聞いたな。


 クラスの女子は優也がイケメンの皮を被った普通の男子ってことがわかってるからな。イケメン対応を常にするような少女漫画の主人公とは程遠い。


 まあ、今の一年生からしたらかっこいい先輩みたいに映ってんだろうな。


「結構訊かれるんですよ。中西先輩のこと」


「そうなんだ……でもごめん。今は誰かと付き合うつもりはないかな」


 恋愛に消極的なこともあって、今では俺や田中、斉藤と一緒に"モテない俺たち"を結成している、残念なイケメンだ。


 でも俺たちと一緒になって可愛い女の子探しなんかにも参加する、どこにでもいる年頃の男なのだ、こいつは。


 まぁ、そういうところが逆に好感持てるのかもしれないけど。


 ただのイケメンだったら絶対仲良くできねーもん。そんな奴の隣にいたら引き立て役にしかならんからな。

 

「そうなんですね……分かりました。そう言っときますね」


「ありがとう。助かるよ」


 笹森さんも優也の考えを尊重して断りを入れておいてくれるみたいだ。


「あっ、そういえば笹森さんは運動会何出るの?」


 もうこの話は終わったとばかりに俺は笹森さんに訊いてみる。


 親友のモテ話なんてこれ以上聞いていたら別の意味で生きる気力がなくなるからな。


「私は……クラス対抗リレーです」


 すると笹森さんはどこか憂鬱(ゆううつ)そうにそう答えてくれた。


 ふむ……リレー、か。


 リレー、それはクラスが団結して一つのゴールへとタスキを繋ぐ崇高なスポーツ……ではない!!


 リレー、それは揺れ動く女の子たちの姿を凝視することのできる崇高なスポーツ……これは去年の運動会で俺と優也が導き出した結論だ。


 足が前へと進むたび、上下に跳ねる胸……


 地面を蹴りつける時、一瞬間の間力のこもり揺れるふともも……


 足を上げた時、直角になる尻から膝にかけてのライン……


 その全てを見ることができるリレーというスポーツを見た男は感動の渦に巻き込まれるだろう。もちろん俺も例外ではない。


「でも……走るのはあんまり得意じゃなくて……成り行きで決まっちゃったんですけど……」


 俺の期待とは裏腹に不安そうな表情を浮かべる笹森さん。


 そうか……だから憂鬱そうにしてたのか、笹森さん……


 ……ならば、将来の彼氏候補として人肌脱ぐべきだろう!


 もう俺のテンションはジェットコースターの滝登り状態だ。(こい)より早く、止まることなど知らない。

 終わったかに思えた俺の恋が再び動き出したのだからな。


 さっきまでの悲しみに包まれた心が嘘のように色づいている。主に笹森さんの走る姿を想像して。


「じゃあ、運動会までに練習しようよ」


「練習? いいんですか!?」


「そ。あんまり時間はないけど、走るのに慣れることくらいはできるんじゃない?」


 そのせいか、こうして笹森さんと会える機会を作り出すことにも成功したのだった。下心はありません。


 リレーの真髄について熱く語った今回ですが、高校の時のリレーは運動部が無双してうんちな作者は活躍できませんでした。


 ので! この作品での運動会は楽しいものにしてやります!



『本日のおねだりタイム』


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