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超積極的ラブコメを展開しようと思う  作者: おんたけ
プロローグ
39/144

39 よし。決めた。


「運動会の選手決めするぞー。プログラム渡すからテキトーに決めてくれ」


 昼過ぎ。昼ごはんを食べ、一番眠くなる時間だが、今日はロングホームルームなため、眠くなることはないだろう。

 

 松中先生のやる気のない合図とともに、クラスが賑わい出した。


「どうする? なんか出るか?」


「んー、いや特には」


 前の席から身を乗り出して訊いてくる優也に俺はそう答える。


 木浪先輩が関わってる行事だと思うと一気にやる気がなくなる。絶対ろくなもんじゃないからな。


 今日の木浪先輩との会話から俺はそう考えていた。


「でもなんかアピールできるかもよ?」


 もちろん、笹森さんにアピールできる絶好の機会でもあるのは分かっている。


 だからせめて普通の種目で……


 そう思い、俺はさっき渡されたプログラムに目を通す。


「んー……」


 障害物競走以外はわりと普通の種目だ。五十メートル走とか、玉入れみたいな。

 

 でも俺、際立って足が速いわけではないんだよなぁ……

 玉入れなんかは人が多いから活躍してるかどうか分かりにくいし……


 あれ? 普通の種目だと俺活躍できなくね?


 俺がどうしようかと唸っていると、


「お前も女の子にアピールしたいけど活躍できるのがなくて困ってるのか〜?」


 田中が俺の机まで来てそう同意を求めてきた。


 まるで俺の心を読んでいるかのように的確な言葉だな……しかし田中と同類というのは俺の護憲に関わる。


 だから俺はせめてもの抵抗をする。


「お前と一緒にすんな。困ってない。考えてるんだ」


「やっぱ活躍できそうにないんじゃん」


「…………」


 田中に言い負かされるのはこの上なく悔しい……


「はっはっ! お前らそんなんじゃいつまで経っても彼女できねーぞ」


 俺たちの会話を聞きつけてか、斉藤まで加わり、俺の机を男どもが囲むように陣取っている。


 これがみんな笹森さんだったら最高なのになぁ。


 全員同じ人なんて気持ち悪いと思うかもしれないが、全員違う女の人の方が倫理的にアウトだから俺のはセーフ。ハーレムは笹森さんで十分。てかそうじゃなきゃ。


「そういうお前は何に出んだよ?」


「俺は……綱引きに出る!」


「あっ、そう」

 

 こいつ体でかいからな。向いてるだろうな。


「おいおい、訊いといて反応薄いな」


「だって意外性ないんだもん、お前」


「じゃあ聞くなよ!?」

 

 しかし綱引きで活躍したらアピールにはなるだろうな。

 足の速さも関係ないし、単純な力ならそれなりに自信がなくもない気もするかもしれない。


「でも……結局綱引きも大勢でやるから誰が頑張ってるとかわかりにくいんだよなー」


 やっぱり玉入れ同様、それがネックだろう。


「はっ!! たしかに……!!」


 どっかのネズミに十万ボルトを食らったかのように斎藤は項垂れている。


「じゃあ障害物競走なんかは? あれなら一人ずつ出るから目立つよ。しかも去年も盛り上がってたし」


 と田中は言うが……


「いや……障害物競走には出たくない」


 なんで? と不思議そうに首を傾げる田中に俺は説明を始める。


「あれはな……とんでもない人がとんでもないことしてんだよ」


「どういうことだよ?」


「さっき生徒会の先輩と会って話したんだが……今年は"愛と勇気の借り物競走"なるものをやるらしい……ほらここに書いてる」


 俺はご丁寧に説明が書かれているプログラムを田中に見せる。


「うわ……ほんとだ。これは恥ずいな……」


「だろ?」


 流石に公衆の面前で笹森さんを連れ出すのは難易度が高すぎる。


「でもこれで連れ出した女の子には意識されるかもなー。俺には無理だけど」


 ……笹森さんに意識される……だと……!?


 そういえば的場も言っていたが俺はあまり意識されていないらしい。的場いわく分かりやすいみたいだが……


 よし。決めた。


「俺これ出るわ」


「えぇ!? なんで急に?」


 田中は当然のように驚いているが、俺は自分の意志を通させてもらう。


「やった方がいいって言う声が聞こえた」


 天からの声とかじゃないけど。自分の声だけど。


「そんなもんか……?」


 やっぱりよく分かっていない様子の田中だが、もうその話は終わったのだ。終わらせたのだ。だってもう出るって決めたもん。

 かなり難易度は高いが、これくらいできなくてどうやって笹森さんを意識させる? やったるぞー!!


「なぁ……ところでお前、その生徒会の人って女子じゃぁないよなぁ?」


 十万ボルトの電圧から立ち直った斉藤が底なし沼から手を伸ばすゾンビのような声で俺に問いかける。


「まぁ、女子だな」


「後輩に続き先輩にまで手を出すとはこの野郎……」


 斉藤は俯いているが、その目が一瞬ぎらりと光ったように感じた。

 そして俺の視界の隅では優也が必死に笑いを堪えている姿もしっかりと捉えていた。


 こいつ……! さっきから空気と化してたくせに……!!


 しかし、斉藤にはまた教えなければならないようだな……


「お前、何か勘違いをしているぞ」


「……どう言うことだぁ!! 羨ましいんだよ俺はぁ!!」


 本音ダダ漏れだぞ。まぁ、そこがこいつの良いところなのかもしれないが。


「このクラスは女子が少ない……なら、他のクラスや学年に交流を持つのは彼女を作るのに必要なことだと思わないか?」


「だがそれはお前が得をするだけだろう」


「そしてそんな交友を持つやつが近くにいたら……?」


 俺は確かめるように問いかける。


「そんなの…………はっ!! そいつを起点に周りの奴の交友関係も広がる……?」


 斉藤は本日二度目の十万ボルトを食らったようだ。


「そういうことだ」


 俺はよく分かったな、と言う思いを込めてゆっくりと頷く。


「お前は俺たちのために頑張ってたんだな……」


「……そういうことだ」


 なんか想定以上に高評価だが、ここも頷いとこう。うん、それがいい。


「あらかた何に出たいか決めたら全体で話し合えよー。もし被ったりしてたら……なんかテキトーに決めてくれ」


 教卓の前でどこから持ってきたのか椅子に座りながらだら〜っと松中先生は指示を出す。


 まぁ、愛と勇気の障害物競走(こんなの)に出たいやつなんかいないだろうからな。俺は確定だな。


 そうして俺は全体の話し合いを待つ。


 






 

 田中と斉藤、久々の登場です。この二人は結構お気に入りだったりするので、もっと出番増やしたいなーなんて思ってます。

 最近新キャラ増えてきて一人一人の出番がすかない気がするのでもっと満遍なく出してあげたい!



『本日のおねだりタイム』


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 気が向いたらしてくれるとめちゃくちゃ嬉しいです! 転げ回ります。

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