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超積極的ラブコメを展開しようと思う  作者: おんたけ
プロローグ
37/144

37 一生もの


「あっ、先輩。ここ見て行ってもいいですか?」


 喫茶店シャインを後にした俺たちは大型ショッピングモールの中をあてもなくぶらぶらと歩き回っていた。

 そんな時、なにかめぼしいものを見つけたのか、笹森さんはそう尋ねてきた。


「もちろん。まだ時間あるし、ゆっくり見てこうか」


 笹森さんが入って行ったのは、学生でも買えるような値段のものから数万円もするような時計が所狭しと並べられた時計店だった。


 笹森さん、時計とかも好きなのかな?


 そんなことを思いながら俺は笹森さんと時計店に入る。





「ん〜……」


 笹森さんはしばらく真剣な表情で物色した後、二つの時計と睨めっこしている。


「笹森さん、時計好きなの?」


 俺はさっき思ったことをそのまま尋ねてみる。


「いや、集めたりしてるわけじゃないです。ただ、時計欲しいなって」


「そうなんだ?」


 まぁ、時計はあった方便利だからな。俺は使っていないが……笹森さんも欲しくなったのかな? 


「どっちがいいと思いますか?」


 笹森さんが選んだのはどちらも女の子が持つにしてはシンプルなデザインのものだ。


 まぁ、女の子がみんなキャピキャピしているのをつけるわけじゃないからな。むしろ今はこういうシンプルな方が女の子もつけやすいのかもしれない。


「う〜ん」


 片方は黒を基調にしたデジタル時計。もう片方は濃い緑……モスグリーンだっけ? を基調にしたアナログ時計だ。


 俺が考え込んでいると、


「あっ、この前みたいなのはダメですよ」


 笹森さんは何かを釘刺すようにそう言ってきた。


「この前?」


 俺が聞き返すと……


「……可愛いとか、ですよ。……とにかく!! 自分のことだと思って真剣に選んでください!!」


「あ、あぁ、分かった」


 すごい気迫で念押しされてしまった。


 まぁ、お金を払って買うものだしな。あんまり適当なことを言うのは笹森さんに失礼だろう。


 そう思い俺はしばらく考え……


「こっちかな」


 アナログ時計の方を指差した。


 アナログよりデジタルの方が見やすいとは思ったが、この時計はデザインがかっこよくておしゃれだと思ったのだ。


 完全に主観になってしまったが……笹森さんも自分のことように選んでくれって言ってたし、大丈夫だろ。……多分。


「こっちですか?」


「うん。デザインがかっこいいかなって思ったんだけど……笹森さんの好みじゃないかな?」


 俺はやっぱり心配になって一応そう確認するが……


「いや……私もこれがいいと思います。じゃあ、ちょっと買ってきますね」


 よかった。笹森さんも嫌な感じはしなかった。


 笹森さんが会計を済ませるのを店の入り口で待つこと数分。


「お待たせしました!」


 タッタッタッと小走りに笹森さんが綺麗に梱包された時計を持って帰ってきた。


「あの……先輩」


「ん?」


 笹森さんが俺の前に来るのとほぼ同時に俺に声をかけた。


 なんだろう? やっぱりあの時計じゃだめだったのか……?


 俺は若干不安気味に笹森さんの言葉を待つ。

 

 すると、笹森さんは手に持った綺麗に梱包された時計を……


「これ……この前のお礼です」


「……え? これを俺に……?」


 少し気まずそうに赤面させながら俺に手渡してきた。


 お礼? それってこの前的場から助けたことか? それだったら今日のデートが十分お礼になっているのだが……


「こうでもしないと受け取ってくれないと思ったので……」


「……」


 笹森さん……。思わずうるっときてしまった。さっきの映画よりも感動してる……


「ありがとう、笹森さん。一生大事にするよ!」


 俺はその感動を少しでも伝えようと言葉にしたが……


「そんな大袈裟ですよ……あんまり高いものでもないですから」


「笹森さんからもらえたことに価値があるんだよ」


「……そういうものですか」


「そういうもの」


 笹森からもらえるのなら例えそこら辺の葉っぱでも綺麗な桜の花びらに見えるんだよ。俺の目は。


 それがましてや二人で選んだ時計とあらば、喜びのメーターはもう見えないとこまで吹っ切っている。


「……早速付けてみてもいい? こんなに綺麗に梱包されてるの解くのはちょっと気がひけるけど……」


「もちろん。私も先輩がつけてるとこ見てみたいですから」


 ならその期待に応えないとな! 

 というか自分でもいいと思って勧めたものだから、俺好みなのだ。早くつけてみたい。

 笹森さんもこのことを見越して俺に選ばせてくれたのかな? だとしたら本当に嬉しいな……


 そんなことを考えている間に梱包を解き、俺は中に入っていた腕時計を手首につけてみた。


「おぉ……!! めちゃくちゃ良い……!!」


 やっぱり自分でもデザインがいいと思っていたが、いざ自分で付けてみるとより一層良く見えるな。


「ふふっ、よかったです。喜んでもらえたみたいで」


 俺のそんな様子を見て笹森さんも満足気だ。


 まじで一生大事にしよう。


 俺は笹森さんで埋め尽くされた心にそう誓った。





 それからも俺たちは大型ショッピングモール内をぶらぶらと歩き、気になった店に入っては出ると言うのを繰り返していた。

 もちろん、俺の左手には笹森さんがもらった腕時計がさんさんと煌めいている。

 まぁこれは店の明かりが反射して光っているのだが。

 しかし俺の心は胸から光が漏れるんじゃないかと心配になる程輝いている気がする。


「そういえば先輩、もう運動会のメンバーって決めました?」


 俺が胸の輝きを抑えられないものかと検討していると、不意に笹森さんが運動会の話を振ってきた。


 そういえば、もうそんな時期か。


 わし高は例年、七月中旬に運動会をやり、そのすぐ後に夏休みが始まる。

 今日が六月二十五日だから、運動会まで後一ヶ月もない。


 だが……


「いや、まだなんも決めてない」


 クラスで話し合いなどはまだしていない。おそらく来週あたりにはすると思うが……


「高校の運動会ってどんなことするんですか?」


「大元は中学校と変わらないよ。ただ……クラス対抗の障害物リレーは去年盛り上がってたなぁ」


 俺も一回しか運動会してないが、障害物リレーは色濃く記憶に残っている。


「そうなんですか?」


「うん。なんか例年生徒会が種目を考えてるみたいでさ。定番のものからちょっと変わったものまで用意してくるから見てても面白いんだよ」


「へぇ……」


 俺の説明を聞いて興味を持ったのか、笹森さんは感心したような声をあげている。


 去年はたしか……ダンボール戦車なんてのをやったな……

 各クラスで運動会当日までに走りやすい戦車ダンボールを作り、当日それに乗って競走するやつだ。

 作る方がメインで運動会からは離れていた気もするが……なぜか盛り上がったんだよな。俺たちのクラスは四位だったけど。


 運動会の話題が出てからは今年は何やるんだろう? なんてことを笹森さんと話しながら夕日が見えるくらいまで一緒にいた。俺幸せすぎんだろ。

 

 



 

 ロレックスよりも価値のある時計がここに誕生しました。

 お金では買えないものですね。まさに一生もの! こんなのもらった日には毎日抱いて寝ます。(痛そう……)


『本日のおねだりタイム』


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 面白い気がしなくもない、と思った方、続き読んでやっても良いかな……、と思った方はブックマークと評価をつけてくれると本当に嬉しいです! 


 読者の思いが一生もの。(なんか上手いこと言ってみたかった)

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