家族同然のボクっ娘とちゃんと恋人になりました。
今日はひまとの初デートだ。ザリガニ釣りはノーカン。ノーカンにしないと一生「初デートでザリガニ釣りに連れて行った男」扱いされてしまうのでノーカンにしてください。
ということでザリガニの印象を消すために似た種類の物で印象を消そうと初デートは水族館に来た。今日を楽しく過ごせるように、そしてザリガニが居ませんようにと祈っている。
同じ家に住んでいるが今日は現地で待ち合わせしようぜって事になっている。ひまが先に家を出て、俺はちょっとひまの部屋に入ったりしてから電車を一本ずらして家を出た。
待ち合わせはテンプレならここはめいっぱいおめかしをした女の子に合流してドキッとなる所だろう。
「お姉さんカッコいいですね!一緒に遊びませんか?
「お姉さまって呼んでもいいですか?王子様みたい!」
…なーんでひまは女の子にナンパされているんだろう。ってアイツ黒いタンクトップにジーパンでキメてんじゃん。ひまのボーイッシュさを引き立てるベストコーデしてんじゃん。でもこれはチャンス、彼氏らしいカッコいい現れ方をしてときめかせるチャンス。意識されすぎないか微妙に不安だが今日は攻めるんだ。ザリガニを忘れさせるために。
ひまの肩に手を回し抱き寄せて言う。
「ごめん、これ俺のだから他当たってくれる?」
「ひゃっ、や、ぁ、大樹…」
うっわ俺絶対臭いってこれ!でもひまは喜んでくれているようなのでやって良かった!恥ずかしいけれどなるべく顔に出さないように心がけながら笑顔でひまに目を合わす。さっきまで王子様扱いされていたが今は赤い顔に潤んだ瞳の女の子だ。うわぁ本当に最近可愛すぎるなコイツ…
「あ、あの…ボク…こ、この人の…だから…」
「あ、いえいえ、ごちそうさまです!!」
「すごい、王子様が一瞬で雌の顔に…!」
言われてプルプル震えだすひま。さっきのセリフあと100回聞きたい。
女の子たちと分かれて水族館へ。
肩を抱き寄せるこの距離。恋心が出る前なら安心感や癒しを感じるだけの距離だったがシチュエーションもあり、とてもドキドキしている。
さすがにこのまま回るには心臓の強度が足りないので腕を組んで水族館の中を歩くことにした。
「うわぁ…すごい…」
展示を見ながら歩いていると、床しか地上が無い。左右も天井も水槽のエリア。
海の中を歩いているようなそんな気分になる場所。
「ペンギンって水の中だと本当に速いんだね!」
「後でエサやり体験も予約してあるから楽しみにな。」
「ほんと!?ありがとう!」
ぎゅっ、と俺の腕にひまがしがみついてくる。
その顔は少し前までの無邪気さだけじゃなく色気のある顔をしていた。指摘したら恥ずかしがって離れてしまうかもしれないのでそっと頭を撫でて返事をしておいた。目を瞑って顔を俺に添えるように反応してくれるのがまた愛しい。
ペンギンのエサやりは生魚をペンギンに向かって投げるだけなのだがとても楽しんでもらえた。少しずつだがこのまま…恋心のあるまま前のように楽しく笑いあえるようになりたい。
恋心発生後ってひまが過剰に意識したり、俺がそういうのをからかったり、ひまが暴走したり…完全に恋に振り回された日々になっていたもんな…
「そろそろ良い時間だしイルカショー見に行くか?」
「うん!最前列に座ろ!」
★
「いやー濡れたねー…」
「分かった、ひまが黒いタンクトップとジーパンで来たのは濡れる前提だったろ?」
「せいかーい。透けないからね。」
「そして着替えの用意してこなかったろ?」
「あ、あはは…乾くからいいかなって…思ったら意外と寒いね、うん…」
成績は良いのに変なところでいけるいけるってなるんだよなひま…
想定してひまのタンスから服を持ってきたのでタオル入りお着換えセットを渡して着替えてくるように促す。
俺も男子トイレで着替えてこよ。
「ちょ、ちょっと冷えちゃったかなー」
着替えから戻ってきたひまは俺の正面からしがみつき暖を取る。表情は色気のある方だ。こういう時に突っ込んだ話をするのは意識させて距離を取られる危険もあるが…今回は向こうから来てくれたので聞いてみる。
「ひま。今たぶん恋心というか恋愛を意識したまま俺に抱き着けているだろ?」
「…う、うん。そうだよ。」
「嬉しいからこのまましばらく居てくれる?」
「…うん。」
ひまも恋心と向かい合えてきている。なら…俺の今の気持ちを、受け止めて欲しい。
「あのさ、ひま。とりあえず穴埋めって感じで色々あったから今改めて俺から言うぞ。」
「宮本向日葵さん、あなたが好きです。結婚を前提に恋人になっていただけませんか?」
「ちゃんとボクと結婚してね?」
返事は今までで一番温かいキスだった。
★家族同然のボクっ娘幼馴染との間に恋心が発生しました。 おわり
最終回まで応援ありがとうございました!
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