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家族同然のボクっ娘幼馴染との間に恋心が発生しました。  作者: 蹴神ミコト


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10/11

赤点の初デート 


 ひまと健全なお付き合いをする方針を固めた同日。

 ひまがどうしてあんなことになってしまったのか考えてみる。


 俺は恋心で近寄るのは恥ずかしいけど、それでも前の距離を取り戻したい。

 恋心って壁を乗り越えて頑張ってひまに近づこうかと考えていた。


 ひまは…たぶん逆なんだ。

 近寄るのは恥ずかしいけど、前の距離を取り戻したい…けど自分から行くのは恥ずかしいから頑張って俺を動かそうとしている。

 自分から距離を詰める気は無いのに前の距離を心の底から望んでいるのはめちゃくちゃ可愛いしそそる、今までとのギャップがマジヤバい。



 ひまはショートヘアのボーイッシュで一部の見る目が無い新入生からは王子様なんて呼ばれているくらいには女らしさが控えめだった。

 教室で俺の膝で寝てる姿とか見たら王子様ってより猫なんだけどな…そのひまが暴走して全力でアピールしてくるのは理性に悪い。


 とりあえず…暴走を防ぐにはどうしたらいいかだ。

 俺たちは何があっても離れないんだ。だから…恋心が冷めるような事をしても仲の良さは変わらず、ひまは落ち着くんじゃないか?

 よし、普通の恋愛なら一撃で振られそうな事をしてやる。



 「ひま、デート行かない?」


 「え、あ、う、うん、いいよ!どこ行くの?」


 「近所の沼でザリガニ釣り。」


 「…理由はなんとなく分かるから行こうか。」



 一瞬だけ冷めた目で見られるも、一度深呼吸をすると肩を落としてひまは諦めたように外出の準備を始めた。







 「こうして糸を垂らすのも久々だねー」



 ザリガニ釣りは簡単だ。棒と糸で釣り竿っぽい形を作ってスルメイカを餌にするだけで食いついてくる。

 釣ったザリガニはちゃんとリリースしような。他の場所に放流するとヤバいことになるから。


 ザリガニ釣りが高校生のデートとか世間からは後ろ指を指されそうな気がするがひまが落ち着いてくれるなら最善の選択じゃなかろうか。

 ひまは発じょ…恋心の暴走状態では無く、以前のような雰囲気に戻っている。

 









 どうしよう、俺が寂しい。



 いや暴走を抑えられたのは良いんだ。

 でも、今のひまは俺をどう思っているんだろう。

 さっきは襲ってほしいとかとんでもないことを言っていたが今は抱き着いてもにこやかにえへへと笑って終わりそうな雰囲気。


 なあ、ひま…俺は恋心を暴走から並みにしたかっただけで消えてほしかったわけじゃないんだ…

 だが今そういうアプローチをしてまた暴走に戻ったら…いやでもこのまま恋心が消えたりしたら…ひまが俺にドキドキしてくれなくなる……



 「大樹?おーい大樹?」



 恋心スイッチのオンオフじゃなくて強弱がつけられればなぁ…

 ハート弁当の時の織田と明智さんみたいにドキドキ…

 なんかこう、上手いこと適度に恋心を維持してくれればなぁ…



 「おーいどうしたの?何を考えこんでいるんだか…んっ」



 突然口を塞がれた。

 はっとして前を見るとひまが唇を離した所だった。



 「デートなんでしょ?ちゃんとボクを見て?」


 「ひま……もう暴走していないのか?」


 「さすがに彼女になって初デートでザリガニ釣りに誘われたらね…」



 暴走を抑える作戦は大成功なようだ。あとは恋心がまだちゃんとあるかどうか。

 あるといいなぁ…完全に冷え切っちゃってたり興味無くなってたら嫌だな…



 「なあ、ひま。俺はひまの暴走を抑えたくてこんなムードの欠片も無いデートに誘ったが…恋心はまだちゃんとあるか?」


 「今はキスしても恋心発生前の感じだったけど、恋心はちゃんとあるよ?」


 「そっか、良かった…」


 「事情は分かるし良い手だったとは思うけど…恋心が無かったら初デートでワクワクしたのにザリガニ釣りに連れてこられたこの現在進行形で不満な感情に理由がつかないからね。」



 喋るごとに不満が溢れてきたのかムスッとしだすひま。



 「頭では分かっているけど、心では納得できないよ…もっと恋人らしい所へ連れて行ってよ。」


 「おう、じゃあ暴走したらまたザリガニ釣りな。」


 「……定期的にザリガニ釣りに来そうだね。」





 恋心に溺れる気マンマンのひまと次回からはちゃんとデート場所の相談をすることにした。

 それだけで楽しみなのか喜ぶ顔が本当に可愛い。


 恋心を意識したら色々考えられるようになったけど、もっと笑顔が見たいから俺も恋人らしいことを調べてみるかな。


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