家族同然から家族になりました
初連載です。頑張る。
俺は宮本大樹。幼馴染で親友の佐々木向日葵(ひまわり、通称ひま)とは家族同然の仲だが家族ではない。
家族では無いので節度を持った付き合いをしている。
「大樹ー膝枕ー」
「おう、お疲れ」
数学でねちっこく当てられた隣の席のひまに膝枕を提供する。
顔にはタオルもかけといてやる。これで寝やすいだろう。労うように頭もなでてやろう。お疲れさん。
前の席から呆れたような顔で三枚目な男が声をかけてくる。
「いっつも思うけど…お前らそれで付き合ってねーの?」
「付き合ってねーよ。親友で幼馴染だよ。」
ひまはショートヘアが似合う可愛いボクっ娘だ。
運動も勉強もできる文武両道の女の子。
家事?それは俺がやるからいいんだよ…チャレンジ精神だけは買う。
「親友っていうか実際家族みてーなもんだろ?」
「そうだが…一応親友と家族の境はきっちりしているぞ?布団は別で寝ているし、風呂だって別。女性物下着を干すのと取り込むのはひまにやらせている。」
「ごめんな、俺もうどっからつっこんだらいいか分からねぇわ…」
クラスが妙にざわざわしている気がするが気のせいだろう。とにかく俺には親友以上家族未満の一線があるのだ。
★
俺とひまの家族は俺たちが小学校に上がるころに交通事故に巻き込まれた。
その事故で俺の母さんと、ひまの父さんは亡くなってしまったが高校2年にもなるとあまり思い出せない。
そんなこんなでお互いに片親なのでひまはしょっちゅうウチに泊まるのだ。年々生活がウチ(宮本家一軒家)中心になってきている。
本日も直帰で2人揃って宮本家へ帰る。まだ家には誰もいない時間だ。
「ただいま、おかえりー」
「ただいま、おかえりー」
「弁当箱だけキッチンに置いたらちゃんと手洗いうがいしろよ」
「もう、子供じゃないんだから毎日言わなくてもいいじゃんさ」
「先週言うのやめたら2日目でサボったろ」
おたがいにただいまとお帰りを言い、いつもの軽口を叩きながら親が帰ってくるまで晩御飯の用意をする。カレーでいいか。
ひまは宿題をやっているので夜に教わりながらやるのがいつもの流れだ。
カレーを煮込みつつ延々と焦げないようにかき回し続けていると俺の父さんとひまの母さんが一緒に帰ってきた。
ここ1年くらい?は一緒に帰ってくることが多い。
しばらくするとみんなで食卓を囲み、父さんがいただきますの号令を…あれ?今日はかけない?
真剣な顔をして父さんは口を開いた
「大樹、向日葵……あの、僕ら再婚、します。」
「あ、おめでとー」
「おめでとー じゃいただきます」
「「待って待って軽い!!」」
真剣な顔をするから病気の告白かなとかビビッて損したわ。
ひまも同じことを考えていたようでお互いに呆れた目を合わす。
「なんつーか俺もひまも亡くなった母さんとお父さんの事ほとんど覚えていないから俺の家族ってこの4人だと思っていたし」
「ボクも同意見。なんていうか結婚している両親から結婚報告された気分っていうか」
「いや。あの。一応僕達の方では君達が小学生のうちは前のパートナーの事を引きずっていたり。君達が高校受験を終えるまでは再婚して家庭環境が変わったりしないようにとか色々配慮をしていたんだけど…」
「大樹くんが私を『お母さん』って言うのも、ひまが『お父さん』って呼ぶ人ができるだけでも中学生には大変かなって様子見していたのよ?」
「君達が中学校を卒業してから1年間交際を経てちゃんと再婚したんだよ!」
配慮してくれていたことは伝わるけど、父さんとひま母さん…いや母さん達の認識と俺たちの間の差が大きい。主に亡くなった父母を覚えていないせいで。
家族同然だけど家族じゃないからもっと気を使わなくていいんだなってのだけは分かる。
なんかこういい感じに終わらせてさっさと洗い物しちゃおうとひまと目で会話する。
「じゃあ父さんと母さん、これから改めてお願いします。」
「お父さん、お母さん。これからもよろしくお願いします。」
「……!」
父さん母さんよびをされて感涙している2人を尻目に。おれとひまは食べ終わったカレーの器を洗剤入りの水につけて放置することにした。両親の皿を洗うには時間ががかりそうなので。
お風呂に入って部屋でひまから勉強を教わりつつ宿題をやり。2人でレースゲームをしてはしゃいで寝る時間になって気づいた。
「両親が結婚ってことは俺とひまもちゃんと家族になるのか」
「ああーそういえばそうだね。ずっと前から両親は家族だけど、ボクと大樹は親友だと思ってたよ」
たぶんだけど小学校に上がる前の事はよく覚えていないから亡くなった父母の記憶は薄れているけど、俺達はずっと幼馴染で友達で親友ときたのでずっと前から家族以外の関係で繋がっているって印象が強かったんだと思う。
「あ、じゃあ家族なら一緒に寝れるじゃん。」
「あ、嬉しい!、やっぱり男女で同じ布団ってどうかなって敬遠してたけど家族ならいいよね!」
「中学の林間学校とかクラスメイトと1つの布団で寝かせられてたんだし家族なら全然問題ないだろ。」
歯も磨いて、るんるんと俺のベッドに飛び込んできたひまを受け入れ一緒のベッドで横になる。
やっぱり隣で寝ると落ち着くな…ひまもそう思ってくれたのかこっちを見て微笑む。
月明かりに照らされる満足げな顔を見ながら俺たちは顔を合わせて眠りにつく。
これが俺とひまが親友から家族になった日だった。




