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#1 転機

ここから物語の語り手が一人称になります。基本アルの「俺」で進んでいくのでよろしくお願いします

 エリスとの実験でそろそろ日が暮れ始めたので、家に帰らなければならない。だが、さすがにこの見た目のエリスを家に連れ帰ったら大騒ぎ間違いなしなのでどうしようかと思っていたら、どうやら俺の命令で俺の陰に潜んだり出てきたりできるみたいだ。召喚という方法に近いことが分かった。


 ひとまずエリスを陰に潜ませ、遅くならないうちに家に帰ることにした。明日からはまたいつものような毎日が始まる…。



□ □ □ □ □


 あの日から俺の日常すべてが変わった。もちろん俺のことを冷たい目で見る村人の見方を変えることは簡単ではなかったので、それは置いておいてまずはエリスと色々なことをした。


 朝起きて、すぐに森に行く。そこでエリスを呼び、エリスと狩りを行う。最初の方はエリスの腕がどれほどかわからなかったが、元々身体能力が高いのかダークシャドウになったことで上がったのかはわからないが、とんでもなく強かった。


 村に近い場所ではウサギやら鹿が出るが、それを木々などの影を自由に移動できる能力を駆使して、気配に敏感なこれらの動物に察知させることなく首を切り落として絶命させる。


 しかも剣とかではなく、手刀でだ。厳密にはエリスの生前の種族である牙狼族特有の鋭い爪を使用したものなのだが、それにしても綺麗な手刀だった。まず見えない。気づいたら首が落ちているという感じだ。


 最初はこうして弱い動物を狩りながら俺も弓の練習をしていたのだが、一向に上手くなる気配がない。ダークシャドウは不思議な生態をしていて、自分の意思で相手に触れるようになったり、触れないようになったりできるらしく、相手の攻撃を受けずにこっちの攻撃は通るというまさに化け物級の能力を持っていた。しかも部位単位で可能らしい。


 それでウサギを捕まえてもらい、離れた距離から射ったりしていたのだが、当たらな過ぎて悲しくなってしまったことも多かった。だが、毎日練習し、エリスも生前弓を使っていたことがあるのか、少しだけ身振り手振りや手を添えてくれたりしながらアドバイスをもらうと少しずつではあるが当たり始めた。

 

 初めて触るエリスの体は、まったく体温を感じず、不思議な感覚だった。何か触れたかな?程度の触った感覚しかない。エリスは裸というわけではなく、生前着ていた軽装鎧を模したような格好をしている。模しているだけで実際はその部分も人で言う肌に当たるので全裸と言っても差し支えないがそこはノーコメントだ。


 こうして毎日狩りをしつつ、色々な本を読み漁り、この手の情報が載っている本がないか探していた。その中で一番近かったのは召喚魔法の本。


 この世界には魔法という概念が存在する。魔法を使う上で必須になる魔力は誰でも持っているが、その量や訓練によって増える量、生涯で成長する限界量には個人差がある。魔力を持っていても誰もが魔法を使えるわけではないので、魔法使いという職業についている人はそれほど多くないらしい。きちんとした魔法を使えるのは5人に1人くらいのようだ。


 魔法には属性があり、火や風、水などといった属性や主に回復や死霊系の魔物に有効な聖属性、さらには強化魔法などというのも存在する。召喚魔法も魔法の属性というかカテゴリ分けの一つだが、これは召喚魔法を使う本人の魔力量などに依存し、普通の魔法使いではまず使えないため、いまではほとんど途絶えている魔法らしい。


 俺のエリスも召喚魔法に文献的には一番近いが、何しろこの村には魔力を量る測定器などないし、召喚魔法の文献自体も少ないので断定はできなかった。


 ただ、他の魔法の本に書いてあった魔法を試しに使ってみると、使えたので、途中から狩りの時に魔法を使うこともあった。というより、その頃から弓を使わず魔法ばかり使うようになった。魔力量は毎日魔法を使うことで少しずつ上限が上がっていくが、俺が毎日魔法を使うことで日に日にエリスの動きが良くなっていったように見えるからだ。


 エリスに最近体が動きやすいか質問すると頷いたためそうなのだろう。気のせいかもしれないが、俺も少しだけ走るのが速くなったり、身体能力が向上している気がするのだ。魔力量が増えるとそうなるのか、エリスのお陰なのかわからないが、デメリットも特に感じられないのでそのまま続けた。


 エリスに出会ってから数か月経ったころ、その頃の俺はすでに森の奥地でエリスと魔物を狩る日々を送っていた。もちろん魔物も強いのではなくゴブリンなどの弱いのではあるが。最初の方は自分の命を落とすかもしれない恐怖で一杯だったが、最近では本当に奥地で稀にみるオークなども狩れている。相変わらずエリスが前衛で影移動を使いつつヘイトを稼ぎ、俺は魔法で致命となるダメージを与えるという作戦だ。


 この時点で俺もエリスも数か月前に比べると体力も俺の魔力も身体能力もすごく上がっていると実感していたが、さすが奥地の魔物。オーガなどはエリスが攻撃してきて実体化するわずかな隙を見つけて攻撃をしてきたりして日に何回かエリスが被弾する時があった。それでも致命傷をもらう前に退いて立て直すので基本大丈夫だったが。


 俺も魔法のレパートリーが増え、今では雷の槍を複数相手に飛ばして攻撃する魔法「ライトニングジャベリン」をメインで使っている。これが一番消費する魔力と威力の効率がいい。このころから聖魔法や闇魔法、強化魔法に手を出し始めた。聖魔法で俺が負傷したときに回復を行ったり、闇魔法でエリスのバックアップを行う。エリスは聖魔法での回復は逆効果らしくダメージを受けた。逆に闇魔法の中にある相手に闇を纏わせじわじわとダメージを与える魔法「ダーククリング」が回復+強化魔法扱いのようで、「ダーククリング」使用時のエリスの身体能力は1.5倍ほどに上がる。


 相変わらずエリスや俺の実力は隠しているので村人から冷たい目で見られることもしばしばあるが、最近は持って行っているが全く使っていない弓で森の動物を狩ったと言って持って行っているので、少しずつ村人の俺を見る目が変わっていっている。弓ではなくエリスの手刀で狩っているいたり、俺の魔法で狩っていたりするので数はいくらでも取れるのだが、森の生態系などを考慮してそれほど多くは仕留めてはいない。


 それから少ししたころは本で読んだ「魔法を使うには杖を使うのが魔力変換効率がいい」とか書いてあったのを見て、独学で杖の作成の取り組んだりしている。俺は妹と同じ部屋で寝ているので、さすがに部屋で作るわけにもいかず、森の中で作っているが。


 作り方はそれほど難しくもなく、その辺の持ちやすい木の枝に、魔物からとれる魔石を付けるだけだ。本格的な杖はもっと難しい工程があったりするらしいのだがそんなの知らないのでこれで満足だ。


 実際使ってみるとこの程度の出来で1割ほど効果が増していたので上々だろう。大型の杖では村人や家族にバレるので小型の杖だが、それでも効果は出ている。


 エリスもどんどん強くなっていっているらしく、上機嫌で狩りに励んでいる。毎日狩りをしていて信頼が深まったのか、それとも学習しているのかわからないがこのころからエリスは俺が命令しなくてもやってほしいことを何となく察して事前にやったりしてくれている。


 とてもありがたいと思う反面、このまま学習していき俺よりも強いエリスが暴れだしたら止められないので対策を練ろうとしたこともあった。だが、エリスはそれに気が付いていたのか、首を横に振り、俺に危害を加える意思はないことの表明かのように自分の腕を切り落とした。


 俺は慌てて闇魔法で治した。エリスは元々影と近い性質を持っているのでたとえ瀕死の状態でも俺の陰に入ればすぐに元通りになるし、闇魔法の練度も上がってきたのかエリスの体が一欠片でも残っていれば元通りにできるようになった。


 俺は余計な心配をしてエリスに迷惑をかけてしまったことを恥じ、もうしないとエリスを抱きしめた。エリスは珍しくオロオロしながら離れようとしていたが、俺が離さない意思を感じ取ると、抱きしめ返してきた。エリスにもこのころはしっかりとして感情が芽生え始めてきており、まだ読み取れなかったり、無機質なときもあるが、こういう風に予想外の事態が起こると恥ずかしがったり怒ったりする。


 こうして仲良くなったエリスと毎日狩りをしながら過ごすこと実に二年。俺に転機が起きた。


 


分かり辛いかもしれないので、ここでアルの説明を。アルは元々何もできない落ちこぼれでしたが、エリスと出会うことで自分に自信が生まれ、本来秘めていた魔法の才能を伸ばします。エリスとアルの関係はまだはっきりと書かれていませんが、お互いがお互いのステータスを上昇させているような感じです。片方が強くなれば自然ともう片方も強く…といった感じです

大して深い説明もなしにこういった設定が出てくるので気づき次第後書きで抽象を入れていければなと思っています。

なにとぞよろしくお願いします


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