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MAGICA NEAT  作者: 孤独
第31話『非道のレッドブルー!涙一族の闇とルミルミを支える者!』
95/267

Dパート

シットリの戦略はルミルミの身勝手によって、大幅に変更した。

しかし、それでもメンバーの欠員はなかったので新たな戦略を立てる事は容易だった。

ルミルミには寝手、アセアセの紹介を一度きりにしていたのは、彼女の身勝手を考慮していたことと寝手の能力を理解してのこと。

SAF協会を少数精鋭方針で運営していたのは、数に頼らずとも圧倒的な実力で、人間達と渡り合えるという自負から。そして、その目利きは確かであった。



「ムノウヤ」



使いたくはない。

SAF協会の残り2名の協力者は、いずれも厄介者であり、シットリからは使いたくはないという気持ちがあった。

その中において、実力に関しては自分と同等に近いと見ている存在。


「起きろ、ムノウヤ」


因心界が国家などから認められた最重要な事件の主犯に、この生命体は記載されている。

涙一族が生み出した怪物であり、ジャネモンを生み出していたきっかけでもある。

ナギ、サザン、革新党など、多くの勢力や人間達の力によって、倒された怪物ではあったが。


「……起きろ!!いつまで寝ている!!」


死んではいなかった。

ナギ達にも長い戦いにさせられた、この生命体の実力。


「……ぅぅっ、……あ~~~~~~~あっ」


見かけは高校生ぐらいの人間ではあるが。肌色が蛙の皮膚をしており、しっぽや舌の形、耳の位置に至っては頭部の上の方にある異形。

非常に眠たそうな表情で、シットリを観ると


「気持ち悪っ、なんだこのナメクジ!?」

「お前っ…………誰のおかげで起こされたと思う」

「……うーー……誰だっけ?いや、会ってるよな」

「会っているぞ」


長い眠りのせいか、記憶が曖昧のムノウヤ。

黒の蓑虫寝具から這い出て、起き上がってシットリにもっと近づくと


「ごめんごめん、シットリかぁーー。ふぁぁっ……ごめん、眠い」

「なんなんだこの組織は!?どいつもこいつも、眠気に勝てない奴多すぎる!!」


ルミルミ、寝手、そして、このムノウヤの3名は非常に眠りに弱い。とはいえ、3名とも異なる眠りの悩みを持つ。


「ぅぅーー。シットリかぁ。???あれ?もしかして、僕を殺しに来たの?」

「さすがの俺でもお前を殺すのは無理だ」

「そーなの。まー、眠いなぁ……くー……くー……」

「だから、寝るな!」


数年近く眠りについていた怪物。

因心界側は彼を倒したと情報を広めてはいたが、実際のところは彼を封じたのではないかと推測したシットリ、ダイソン、ルミルミが彼を探し当て保護した。

因心界などと戦い続け、涙一族に生まれるつもりもなかったのに生まされた存在。SAF協会との利害の一致もないが



「ふーー、……"死にたい"なら俺に従え」

「!」

「生命として苦しみ、生命として喜べないお前の願いは、死ぬことだ。俺達に従えばお前を殺してやれる。それだけ高みのある戦争になる」

「……中途半端に寝かせてくれる君達には勘弁なんだがね。あーーっ、まぁいっか」


生命体として存在しているが、永い眠りと快楽を伴った戦闘によって、当時の記憶の大部分は失われていた。おぼろげではあったが、酷い目に合わされながらもまだ自分の死ねるステージではなかった。


「色々教えてくれよ。君の企みはとても楽しい」



◇      ◇



クールスノーは20秒持てば、……。そーいう言葉を使ったわけだが。



ドゴオオオォォォッ



「!!?」


巨体であるシットリを軽々と殴り飛ばし、雪の壁にぶつけるキッスの拳。壁に張り付いたシットリに追い討ちをかける連撃。雪の壁が崩壊していきながら、その中を悠然と一方的な拳で進んで行く。妖人化をし、妖精の中では最硬度の力を持つイスケの力も加えた、乱打。



「……キッス!巻き込むわよ!」

「任せる!!」



クールスノーは再びスノーボードに乗り、周辺の雪を操作し雪崩を引き起こす準備に入る。


「!!」


同じ中にいるトラストはこのレベルの違いを察知し、雪崩の届かない上空へと跳ぼうとするが、



バヂイィッ


「!?ゆ、雪が離れない!?シールか!?」


妖精フブキの雪と、妖精テンマのシール。これが組み合わさり、雪にシールの性質を持たせ、身体中を雪にこびりつかせ、硬直させていく。体が重くなり、思うように跳べなくなるトラスト。

一方で雪崩の準備が完了したクールスノーは、キッスも巻き込むほど巨大な雪崩を生み出し。



「"白龍逆鱗はくりゅうげきりん"」



ドゴオオオオォォォォッ



シットリを完全に雪で飲み込み、雪に埋めてやった。

身体を凍えさせる雪。身体の自由を奪っていくシールの性質。直撃で生きていたとしても、拷問のような体温低下。


「…………こいつ」

「分かっている。キッス……」


キッスとクールスノーのコンビを相手に20秒。一切の抵抗をする事無く、直撃をもらい続けても死なない。

だが、すぐには出てこなかった。その時間に


「殴った感触がシットリのそれとは違っていた」

「今ので無事ってわけ?」


不吉な感じをしたのはキッスとクールスノーの方。

見た目、匂い、声色。それらが全て、シットリである。それは事実。

だが、彼が一切の能力を使わず。それでいて、こちらの攻撃を無防備に貰い続けても動いているということ。



バギイイィィッ



「まさか、こいつ」

「…………それより、キッス。そーなると」

「分かってる!」



こちらの作戦は東京駅の奪還とシットリの殺害。

入念にブルーマウンテン星団、革新党、そして、因心界の者達からも独自で集めた情報で、内部の状況を把握していた。

シットリがここにいるという事実をしっかりと受けていた。

そして、ちゃんと……シットリがいる。だが、その戦い方とたたずまい。直接、手を合わせて感じ取れる相手の感情。それが一切、シットリと一致しない。


「あ~~~、う~~」


雪に埋もれた状態で唸り声を上げる。さすがに何度も攻撃を受けてしまえば、気付かれてしまうだろう。自分もこれだけの攻撃を喰らって、思い出す感じになってきた。

そうそう、奴等との戦いはいつもこんな感じだ。

まだ幻術を解かれていないから、彼女達にも自分にさえも。自分は"シットリであると"思い込んでしまうもの。

しかし、自分を取り戻せばその力を発揮し始める。

自分の体を埋めてしまうほどの雪を削るように喰う影が現れる。



バグウウゥゥゥッ



「シャーベット。頭キンキン」

「まだシットリの姿をしているのは、どーいうことかしら?」

「今の攻撃でハッキリと分かったぞ、ムノウヤ」



グショグショ



まだ自分自身も幻術をかけられたままで、シットリの身体となっているムノウヤ。

身体から自由に動かせる影を伸ばしていき、クールスノーの雪を喰いながらキッスとクールスノーにもその捕食を行なうとしていた。

だが、そんなノロい攻撃に対応できない2人ではない。向かってくる影を蹴り飛ばし、攻撃を防ぐ。

ムノウヤという怪物がここに現れたこともそうだが、それよりも



「クールスノー!ここを任せる!」

「ええ!ムノウヤは私に預けなさい」



こっちの標的シットリがここにいない!

どこから彼を見失ったのかを調べる余裕もない。問題は奴がどこにいるか。東京駅のどこかにいるのなら企みがあるはず。

キッスが急ぎ東京駅から離れ、シットリを捜す……。


「いない」


そう見つかるもんじゃない。

そもそも、自分達と戦わないシットリが東京駅にいる理由なんてあるわけない。



「まさか」



これが因心界や革新党などの戦力をこちらに集中させるための作戦ならば、



「父さん達が危ない!」



シットリは間違いなく、そこにいる。


◇      ◇




ヌチャァッ



「予定では病院の襲撃を考えていたが、手間が省けた」

「……………」


因心界の本部の近く。

マジカニートゥ達がダイソン達と戦っている場所の近くに本当のシットリはいた。彼の身体にくっつかれ拘束されているのは、キッスの妹である涙ルルの姿が……。

なぜ、彼がこんな場所にまでやって来れたか。

どうやって、東京駅からここまで来れたのか。



それはムノウヤと寝手のおかげである。



まず、本物のシットリは東京駅にそもそも行っていないのだ。

ルミルミの無事を確認し、寝手を先に行かせて幻術を張ってもらい、ムノウヤには相手にもシットリと思わせるような幻術を仕掛け、合流させた。

寝手の能力をこの組織の切り札として、手の内をあまり明かさなかったのは、この幻術が因心界達に対して有効であると判断したため。

情報戦を制したことで彼が自由に行動ができる。



「敵を騙すなら味方からとも言うが、穏やかではないだろう」



幻術も完璧なものではなく。事実、シットリをよく知っているダイソンやヒイロは、東京駅で合流したシットリに違和感を感じていた。(ルミルミが気付かなかったのは、馬鹿だから)

ルミルミからしたら、余計な心配やら騙した事を言いそうなのものだが。どーあっても、彼女が死んではいけない。シットリは後の叱責で命をとられても構わないとしていた。

ともあれ、ルミルミと同レベルの警戒をされていた存在がフリーで動けること。

彼の狙いもまた、涙一族。ルミルミの死闘を手助けするためのことだ。そのために涙キッスの隔離と足止めは優先するべきこと。


「涙ルル。お前を最大限に使ってやる」


その能力さえ、不明。予測困難な能力だとシットリは推察しているが。

彼女の決定的な弱点。それは家族にある。

ルルを拉致した上で、彼女の中にある邪念を呼び起こそうとシットリはしていた。それと同時にルミルミが戦いを行なっている、因心界の本部へと移動している。



まだ、ナギ達はシットリの姿を捉えていない。



◇      ◇




「あれがジャオウジャン様の、……敗れた姿か。ムノウヤ」


実力の違いを見せ付けられ、相手にされないまでも。立場をわきまえて、ムノウヤとクールスノーの戦いを見守るトラスト。

自分達が仕える存在にあられる者の同種。

そんな怪物と1対1の勝負となったのは、クールスノー。そいつを相手に徒手での戦い。雪の上とはいえ、足を封じてしまうスノーボードはこの相手には分が悪いし、別の手段もあるから。



「まさか、あんたが生きてたとはね。しぶとい」


妙に懐かしい気持ち


「……あー、君か。君は……残念だ。えーーっと……あー……?」


一方でムノウヤは悪気はないが、記憶が曖昧で……彼女と手合わせをした事がありつつも名前を思い出せない。戦った相手を忘れるのは少々、礼儀がなっちゃいないが。


「名前忘れたけど、……ナギに泣きながら助けを求めてた子だよねぇ?大きくなった……?あ、歳をとった感じに見えるね」

「…………」

「彼とサザン。カホも来れば、いいかもねぇ。あいつ等、生きてたら君は助けを呼べるね」

「テメェ」


安い挑発ではあったが、思い出せないのなら今度は違う思い出を叩きこんで、永眠させてやろうとクールスノーは巨大な影に包まれたムノウヤの顔面をぶん殴った。

殴ることはできるし、寒さを感じる相手でもある。しかし、不死身に近い。先ほど、キッスの打撃をモロに浴び続けていても、すぐに立ち直ってくる辺り。


「死んで後悔させてあげるわ!!」


クールスノーの打撃、冷却。どれも並なら必殺に値する攻撃をモロに受けても。


「君が疲れるだけじゃないか」


ムノウヤはいくら攻撃を浴びても、意識しない。

どんな攻撃もこいつに、受けられてしまう。


「君も忘れてるのかな?私の前では"無能"となる。涙一族の、1000年研究の失敗作。それに本来、妖精の敵であった私は死ぬことを許されないんだよ」

「はっ、それは興味ないわね!」


バギイイィィッ


クールスノーがそう簡単に息切れをするわけがないが。ムノウヤのペースに嵌ると、確実に競り負ける。馬鹿げた耐久力、回復力、鈍さ、防御力。今は一方的に攻めていても、崩しきれない。

シットリが目覚めさせる事を躊躇していたのは、彼を始末するのがとても面倒だからだ。



「…………そろそろ、攻撃してもいいかな?泣き出さないかな?ナギが来るのはシットリの計画とズレるから、困っちゃうんだ」

「誰に言ってんの!!」


いくつもの打撃を通しても倒れない。

ムノウヤも痺れを切らすように自分の影を無数の蛇の形に見立てて、クールスノーを飲み込もうとした。


「!」

「今度は捌けるかい?」


蛇の口部分に吸い込まれると、ムノウヤに取り込まれる。全方位からの攻撃をクールスノーは構えてからの、


「はああぁぁっ」


気合と共に迫り来る影の蛇を弾き飛ばしていく。以前対峙してきた時よりも、キレのある体術で防御してみせる。連続攻撃を華麗に捌いていくのだが、ムノウヤの攻撃には呼吸の隙がない。

速くはないが、とてつもなく長い。

持久力も桁外れであり、約4分にも及ぶ一方的な影の攻撃を前に、



ベジイィッ


「!」


クールスノーのミスとは良い難い。疲れによるわずかな鈍りをついて、防御の型を崩しかけた。そこを突くようにムノウヤは攻め立てる。



「アホ」

「お」


防御が崩れかけたのは事実であったが、ムノウヤの攻撃を捌きつつ。天候を操り、意識を十分に外させた上で、ムノウヤの左右後方から雪崩を呼び込んでいく。周辺の状況を一辺させ、再びムノウヤを雪の中に埋め込む。クールスノーに向かっていた蛇の影達も消失。

クールスノーは再びスノーボードを装着し、急ぐように大雪を降らせ、自分のゲレンデを作り出して滑りにいく。



「こちとらテメェに負けたままでいられない」



バギイイイィィッ



クールスノーの雪を喰ってしまうムノウヤの影。身体から射出される影は雪を飲み込み、その雪の上でスノーボードで滑るクールスノーにまで届く。

影から影をまた作り出し、どこにいるか分かっていないが自分の上にいるクールスノーを狙うムノウヤ。生き埋めにするつもりだろうが、その程度で死ぬわけもない。こうして、いつ終わるか分からない攻防。



「逃げ回って機を伺うか。私が凍死するのを期待するのかな?」

「久々に会うわよ。その余裕ぶった態度の奴をぶちのめしたいわ」



クールスノーVSムノウヤ。


SAF協会からすれば、因心界の最強の一角をムノウヤ1人で足止めし、戦えるだけでお釣りが来るほどのこと。

彼女を抑えつければ、因心界側が東京駅の奪還は難しくなる。

そして、本命である涙一族の抹殺にルミルミとシットリの2名が向かっていること。


確実にSAF協会側の戦略にやられている因心界。

シットリ達が隠していた戦力が予想以上であり、想定外も多くあった。



だが、隠してきた戦力は因心界側にもいる。


次回予告:

寝手:次回は覚悟して臨む戦いだ。

アセアセ:カッコいい事を言うのはいいんですが、私のこの恰好はなんですか!?

寝手:いよいよ、僕と蒼山の対決だ。R_18になるかもしれない戦いだ。

アセアセ:聞きたくないんですが、いちお予告ですから訊きます、どんな戦いになるんです?

寝手:幻術で宇多田や猪野春達を苦しめ、追い詰め……

アセアセ:あ、まともな感じが……

寝手:僕と蒼山は女子高に行って、淫らな行為によって、女性達の尊厳を破壊し、……

アセアセ:ちょっとーー!まともな戦いをしてください!

寝手:僕達は殴り合うの大嫌いだから、女の子を壊した数で

アセアセ:じ、次回!次回予告やりまーす!

寝手:『お断りです!ブルーマウンテン星団VSスリープハンズ教団!性癖爆発のギリR_18バトル!』



挿絵(By みてみん)

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