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MAGICA NEAT  作者: 孤独
第29話『因心界、東京駅奪還作戦!』
86/267

Bパート

戦況の様相はまだ詳しく伝わっていないが、



「ルミルミが追って来ない」



完全に逃げ切り、因心界に報告。そして、キッスと粉雪の2名が現場に到着するまで待機。

2人は無人となっている建物の壁に寄りかかって、色んな気持ちになって待っていた。

レゼンはこの安堵感から、戦場の戦いが終わり。ルミルミがこちらに牙を向けることができない状態から、連戦ができないほどの消耗は確かだと感じた。

だが、それだけだ。


「…………野花さん……」

「……………」


表原とルルを逃がすため、殿を務めた野花が帰ってこない。

その事だけを心配している表原に、ルルの内心は苛立ちのようなモノを出していた。その根源がなんなのか、まだ自分自身は気付けてないでいた。

そんなギクシャクした場所に、一台の車が向かってきていた。

革新党の車だ。



キイイィィッ



「南空。あんたは革新党本部に戻って、戦力を整えなさい」

「了解」

「そーいうことだから、宇多田。こっちも始めるよ」

『……統括の覚悟、しかと受け取りましたよ』


粉雪は南空へ。蒼山は宇多田への、次の作戦に移るための指示を出し終えた。


ガチャッ


一方でキッスはイスケを装着したままドアを開けて、ルル達の方へ歩み寄る。


「ふぅ……」


何度も見ているが、今日のは一段と感情が出ていると姉には分かった。

そんな姉妹のやり取りの最中。粉雪は外に出て、車のトランクからこの戦いで使用する道具を取り出し。蒼山も蒼山で、自らの力でオタクっぽい格好から、いつもの妖人化とは違った。とっておきの勝負着に早着替え。その姿はまるで怪人ヒーローのようなもの。ちょっと変態とも言える。それは元々か……。


「お姉ちゃん……」

「無事で良かったぞ、ルル。表原ちゃん、レゼンくん」


姉として、温かい目でルルを見ているキッス。本人として、無事であって良かったと思える肉親だ。


「状況を聞こうか」


威圧的なんてない。それでも、ルルには怯えているような顔をして


「…………ルミルミが東京駅に現れて、……混乱して、野花さんがみんなのために……ルミルミと戦って、……表原と一緒に逃げ出したけど……浦安とロゾーちゃんは…………表原が、……」


最後の言葉を言おうとした瞬間。


「浦安はあたしが見捨てました!どうなったか、知りません!!」


表原自身がキッスに直接、理由もなく告げた。横槍のような口調に


「助けられたでしょ!表原!!あんたの勝手のせいで!!」

「むぅっ!事実を言っただけ!」


ルルと表原が言い合いになりかけるところで、準備を整えた粉雪が道具を持って2人に歩み寄った。ガムを食べて、黒いサングラスをかけ、肩に担ぐほど布に包まれ、どデカくて長い棒が入っている代物。粉雪の武器の1つだ。


「でぇー?なに?」


そして、本人は当然。怒り気味であった。


「野花はどーなってるわけ?ルルちゃん、表原ちゃん……」


そりゃ当然か。それを聞かれているのに、ルルはどーやって言いたいか。口を噤んで考えていたところ。


「私達を逃がしてくれるために、ルミルミと戦ってくれました。後のことは分かりません!」

「!ちょ、表原!」

「私達は逃げました!全力で逃げて、粉雪さん達に情報を伝えに来ました!」


そんな情報。結構前から知っていると、言いたげではあったが。


「……そう。野花は役目を真っ当したわけね」


粉雪は、相手がルミルミというラスボスを相手に、迷わずに果敢に戦う彼女を評価した。言葉や結果だけでは深いところまで理解されないだろう。良き理解者以外には……


「おっとと、大丈夫かーい!」


蒼山も車から出てきて、


「ぐへへへへ」


気持ち悪い笑みを表原達に向ける。無事で良かったと思っているんだろうか、


「無事で良かったぁ~。まだ表原ちゃんとルルちゃんの薄い本はできてないからぁ」


ニチャアって笑うの、キモイ、止めろ。


ドゴオオォッ



そんな彼にキッスと粉雪から鉄拳制裁!こんな時でもふざけてんじゃねぇよって事だろう。無事だったルルと、無事じゃない事が分かった野花。立場が逆転だったら抑えきれないだろうから、キッスは粉雪に対して、言いたい事があるなら言えと、目でサインを送っていた。その気遣いに遠慮なく


「話しは分かったけど、……ルルちゃんさ」

「はい」


容赦ない本性を出した。


「野花や表原ちゃんと違って、あんたはなんかしてたの?」

「!!」

「さっきから感情任せにベラベラ言ってたけど、あんたが何やってたのか。私には伝わらないの」

「!っ……そ、それは……」

「ジャネモン倒してたとか、そんだけ?倒したからって、あんた達以外で助かってる奴いるの!?飛島はどーなってんの!」

「えっ……!?え……」


当然ではあるが、飛島の二重尾行は表原とルルの2人には伝えられていない。えっ、居たの?みたいな顔になる表原とルルであったが、それに気づいていたレゼンが



「俺達は、見ていないのは事実だ」

「ふぅん」

「残っていると思う」

「……どーやら、飛島も任務を全うしたわけか。表原ちゃんの判断はともかく、」


聞く限り。しかし、予想通り。


「あんた、何も役に立ってないじゃない!どーせ、表原ちゃんがここまであなたを連れて来たんでしょ!」

「!」

「浦安がポンコツなのは分かってた。そして、判断できる立場にいたって事も。感情で誤るならば、使えない判断も一理ある!無論、処罰は処罰で受けてもらうけど!」


知りもしないのに、そこまで把握してしまう。多少の感情が合っても、粉雪の判断に鈍りはない。ノリにノッて。


「一番困るのはルルちゃんよ。あなた!ここに大好きな姉がいるけど」


キッスの目の前で、誰かさんを重ねるように粉雪はここで忠告させる。大分前から彼女に思っていた事を粉雪は。


「判断もできない。立場も分かってない。そもそも、実力がない。迷惑をかける。そんな足手纏いのあんたが夢見て、私達と肩を並べられると思う!!」

「っ!………」

「ルミルミと戦う意志も、その相手の力量も測れずに、怯んだお前は一族の恥!」


認めたくないが、周りの評価の事実に顔を俯け、涙を零すルル。怯える泣き声。トラウマを抉られる言葉に、いつもいつも。姉は



「その辺でいいか、粉雪」

「……ええ」


妹になんて事を言うんだと、家族の目線で扱う。守ってくれる。その優しさが辛いのを知ってはくれない。

粉雪が言ったこと全て、因心界として伝えるべきことを言ってくれた。総合的に、まだまだ力量が足りていない。粉雪の配慮にも感謝しつつ、


「これから私もここで戦う意味が分かるな、ルル」

「…………強い、……から」

「……そうだ。ルミルミとシットリ。……まだ隠れているだろう戦力を相手に、不完全な戦力は不要だ。ここは、私と粉雪、蒼山。因心界は3名の少数精鋭で、野花と飛島の奪還。そして、東京駅を取り戻す作戦に移る」


規模の大きさが国を賭けた大きさ。世界と戦うレベル。

苦戦してたり、負けたり、足手纏いと言われている存在が関わってはいけないところ。

表原もレゼンも、プレッシャーを感じて震えていた。そして、そんな自分は精神的な弱さも含めて、何も頭が働かない。


「世界を滅ぼすための拠点を東京駅とするなら……ルミルミとシットリは二手に別れてくる。特にルミルミは母さんと父さん。涙一族を狙ってくるに違いない。激しい戦いになる」

「……………」

「……………」


そんな戦いを予想できないわけではないが。自分では……。

姉の目は、信じている眼差しだった。


「私達が帰ってくる場所を頼むぞ。ルル」

「………!?」

「私の帰る場所を守ってから、私の元に来てくれればいい。私からは以上だ」


俯いているルルを通り過ぎていくキッス。その背中を見たルルは、いつもより大きく頼もしくて、憎たらしいほど、羨ましい姉がいる事を思い出す。



「……ま、そーいうことね。表原ちゃんとレゼンくんも、因心界の本部をお願い」

「は、はい!!」

「それと蒼山!!置いてくわよ!」

「蹴飛ばしておいて、そーいうの止めてくれません!?」


粉雪も後からって感じで表原に指令を出す。


「さぁ、行こうか」

「ええ」

「了解でーす!キッス様!!」


因心界、"十妖"による、東京駅奪還作戦が始まる!



◇      ◇



ルミルミの出現によって、警戒が増していた。対応は早いが、それをすぐに抑える戦力を用意するのは困難極まる。


「キッスの案であるのが癪ではあるが。網本党首も同じ考えでしょうか」


南空が車を飛ばして向かうは、革新党の本部。すでに東京駅の警護をしていた革新党の連中がやられている情報は届いた。

だが、それはあくまで構成員。しっかりとした戦力はまだやられていない。そして、人数もまだまだいる。革新党が担っている戦力は、"数"。これに尽きる。

本部についたところで



ブイイィィィッ



ピッ


『俺の大切なさくらはどーなっているんだーーーー!!』

「!……なんだ、そだつか」


野花桜の父親。野花育のはなそだつからの、緊急の電話が南空に。

直球で


「無事でないのは確かだ」

『ふ、ふざけんな!!クソ爺!!テメェ!!』

「網本党首も同じお気持ちだ。お前は黙って落ち着いて待て。お前ができる最善は分かるだろ」

『!だとしても、あんたを頼る俺も最善だ!!爺!!』

「できる限りはする。期待はするな」


ピッ


いくらなんでも希望は薄い。


「…………育も、人の血をひいているか。まぁ、あの変態女の夫をやるのは大変か……」


南空からすれば、娘とその父親もマシに見えてしまうものがあるらしい。

育よりも関係的には古い付き合い。革新党と野花財閥は昔から繋がりがあり、その血を持っている存在とは……


ピタンッ


「だーれが変態女ですか~!?」

「お互いの歳を考えろ」


南空の後ろから胸を当て、あまつさえ両手で目隠しをするキュートな行為。容姿も南空からすれば孫娘に感じるような若さ。彼女の実の娘と、さほど離れていない。

離れろと顔をどかそうとする南空であったが


「………」

「どうなさいました?」

「なぜ、お前はブラもつけずに上半身裸で私に抱きつく?」

「えええーーー?そんな妄想しちゃいます?」

「現実だろうが」


南空の後ろから抱き着いている形であるが、彼で隠せている状態でもあった。


そだつーリンの電話だよね!?ねっ!!」

つち。お前は"実の娘"を心配しないのか?」


…………。


「うん、心配だけど!大丈だいじょーブーりん!」


娘が心配するほどの子供染みた言動。この変な電波女性が野花桜の母親であり、野花育の妻。

野花壌のはなつちである。

野花財閥の女性会長でもあり、南空と同じ地位にいる革新党の大幹部の1人である。


「いいから離れろ」

「離れたら、私の○首が曝け出されちゃ~う。お尻も下着が一枚だよぉー」


娘の危機だというのに、母親は着ている服も情も薄いようだ。

仕方ないがそーいう変なやり方なのだ。こーいう辱めで来る、夫婦。


「……なんとかしてやる」

「かっこいいぃぃぃっ!!南空さん、抱きしめちゃうぅぅぅっ!!」

「離れろ、馬鹿。育にしてやりなさい」



◇      ◇



「まったく、若いってのは良いもんだぁ。ラフォトナ様は羨ましいね」

「余計な事を喋っているな、猪野春」


革新党の準備に対し、ブルーマウンテン星団は出撃体勢。東京駅の奪還作戦に組織として加わっている。


「皆、分かっているな。数年ぶりの戦争。この意義は……」


蒼山不在時のリーダー、宇多田によって速やかな戦略に入る。

部下5人、統括1人の組織人数ながら、脅威と呼ばれる存在。敵である涙キッスから、その封印を解かれて今。


「東京駅を取り返さないと、全国のデリ○○が値上げするからな!!」

「おおおおぉぉぉっ!!」

「女の流通を取り戻すために戦う!!」

「うおおおぉぉっ!!」

「痴漢と盗撮の戦場を取り戻す!!」

「おおおおぉぉぉっ!!」

「正義のためじゃなく!俺達の〇犯罪のためにある戦いだーーーー!!」

「おおおおおおおおおおおお!!!」



拠点である教会が揺れ動くほどの雄叫び。

変態的な考えのみで動いている馬鹿共であるが、かつては因心界や世界を恐怖に陥れた連中。今も負け犬なおっさん、昔も惨めなおっさんだったこいつ等。



「田所!!準備はいいな!!忘れ物はないよな!!」

「ないです!なくても、ラフォトナ様が転送してくれる!!」

『そーでぇ~~~す!!』


田所翔也。

所持している妖精は、3Dデザインソフトの妖精、マーヤ。

この妖精は普段、田所専用のPCの中にいるが、有事の際はノーパソに入れられる。スマホとかには対応していない。

画面上では、3Dの女の子の姿で現れる。



「猪野春!!戦闘準備は!?」

「誰にモノを言っておる」


ちゅぱちゅぽあぁ……


猪野春雅。

所持している妖精は、真ん中に穴の空いたコンニャクの妖精。テンスケ。

穴が空いている部分はテンスケの口部分らしい。どーいう妖精なのか……セーシと似た類いであるのは違いない。

穴の中に指をツッコむな、猪野春。



「安住、並河!?」

「オーケー。SEX TIME」

「いっちょ、世界を救いにいきましょう」



安住芸耶。

所持している妖精は、コンドームの妖精。ドンコ。


並河全。

所持している妖精は、アイドルだった人の手の妖精。デシーア。



「じゃあ行くぞぉぉっ、ベロロロロ」

『にゃは~、出陣であーります!』

「相変わらず、その舌はなんとかならんのか?宇多田」


宇多田響。

所持している妖精は、舌の妖精。ターン。



ブロロロロロ



涙キッスによって統括の蒼山が先に戦場に行ってしまい、これから部下の5名も追いかける……。っと思いきや。

向かった先は東京駅の反対方向。これほど大きな戦いは久しく、あの敵対していた因心界と手を組むと言った話だ。



「報告だけでもしなければな」

「みんなで行くのは久しぶりじゃな。儂と、働いてる並河のせいじゃが」

「あれから10年近くか……」


時間と共に風化されゆく。

かつての仲間達。


「若いってのはいいね」

「おっさんになったわけだ」


ザッザッザッ



車で向かった場所は墓地。かつて因心界と戦い、戦死してしまった仲間達がここに眠っている。

敵対した組織と手を結び、共に戦うことなんて……普通の組織であるならば断固として、反対もあろう。しかし、その戦いを知らずに後を継いだ者。その1人によって、それができるのであった。



「今日はみんなで来ました。蒼山ラオ、盛岡蜥蜴もりおかとかげ大前九十九おおまえつくも


眠る者達の名前と組織の名、"BLUE MOUTAIN"が刻まれたお墓が3つ並んでいた。

その中央だけは一際大きく作られており、ここに眠っているのが。ブルーマウンテン星団の初代統括、蒼山ラオ。

宇多田が代表となって合掌。


「ラオ達が亡くなり、10年以上。ご報告したラオ様の後継者を拾ってから7年。私達はその間も日陰に隠れていましたが、…………やはり、皆。私達は同じ考えのようです」


"この世の女の性を受けた者は、男への絶対服従を"


「……皆、溜まっています。足りないんですよ、性的に。暴力的に……この平和な世の中」


中年の汚いおっさん達が目を妖しく光らせる。股間の主張も激しい。

妖人の資質。人間としての欠陥を抱えた、大人達の象徴的な姿。そして、1つの輝かしい過去の栄光によって、静まりかえってもいる。

因心界と手を組む屈辱もあろうと、そうしてでも自分達の夢が叶うのであれば、その靴をも舐めよう。地を這ってみせよう。


「今日より全世界○奴隷メス○化計画、再始動します。ラオ様の唯一、無念となった計画」

「SAF協会の世界の滅亡など、我々の計画と相反する」

「儂等を疼かせおるよ。儂等が育てた、あんたの後継者」

「中はラオ様と全然違っていますが、それでも僕達の統括は蒼山ラナです」

「新生、ブルーマウンテン星団。見ててください」


計画、夢。それらを見れずに、散らした命も仲間もある。

奪われた時間は決してムダではない。このゴミで性欲の固まりの中年で汚い男達にとって、また一花咲かせる闘い。よもや。自分達の計画のために、SAF協会と戦うという覚悟。

挨拶を済ませると……。


「!おー、もしやとは思っていたが」

「あんた達も出てくるのね」

「………誰だ、こいつ等?」



この蒼山ラオ達が眠っている墓を訪れる3人組。その1人には録路空梧。この中で最も若き人物であり、彼等の栄光を噂程度にしか知れないほどだ。

そして、残りの2人に。過剰な反応を見せる宇多田達。それもそのはずだ。墓参りをするのには文句のない用意ではあるが、


「!!ナギ、カホ!!」

「……なんじゃ、お前等もどーしてここに来た」


自分達の栄光をぶっ潰した存在でもある、涙ナギと涙カホ。


「ラオ様を殺した仇敵」


そう。かつての統括を倒し、殺した男が涙ナギだ。そして、


「俺の親友であり、強敵ライバルだからだ。それでいいだろ。宇多田とか知ってるだろーが。ラオとの付き合いは、この中じゃ俺が一番長い」

「ふん…………」

「まったく笑わせてくれるぜ。"蒼山ラオ"の後継者に、お前等が"蒼山ラナ"って名を与えるんだからよ。ズルズルに引っ張ってんじゃねぇか」


よく、敵であった者達と喋るナギに対してカホは居心地悪そうに、ナギよりも早くラオのお墓の前で手を合わせる。そこからお墓の掃除、3人分もやり始める。

その合間に


「俺はもうあの時を最後に戦うつもりはなかったんだが、やっぱりダメだよな。途中で実の娘に投げちゃーよ」

「お前は戦力になるのか?」

「今のままじゃ、お前等には勝てねぇな。録路くんを付き添いに誘ったのも、護衛って気持ちでよ。宇多田、お前等もこのままじゃ終われない考えだろ。時代は動くもんだけど、破滅に向かう可能性がありゃあ、黙っていられない老害もいる。俺とお前、猪野春とかな」


新たな世代に希望を感じていた。それに託す選択もあった事だろう。だが、現状。今の世代でも厳しいものがあり、まだまだ自分達にも可能性があると思ってだ。

お互いの後継には絶大な信頼を寄せてはいるが、まだ力になれること、伝えられぬこと。


そして、ナギもラオの墓前に立ち。


「こーしてこの前に立つのは、3ヶ月ぶり。最後となったのは……10年以上か。……まだ、お前のところに行けそうもねぇ。またみんな、こうしてお前の元に集まるだろうよ」


もし、そんなことになるとするなら。ナギとしては、迎えをお願いしたい男だった。


「俺達は死なねぇ。そして、お前も生き返らない。だが、もしよ。また出会えた時は、世界はこう震撼するだろう」


"ナギとラオは、世界征服をした"


一同、静かな黙祷。

それを邪魔する事無く、


「………………」


護衛という立場で付き添った録路。見た事はないが、蒼山ラオという男の噂は何度か聞いている。

キャスティーノ団の前身。エンジェル・デービズの、さらに前にいたとされる組織のリーダー。因心界を設立するきっかけの1つとも言える、凶悪な妖人集団を率いたカリスマ。

メンバーの多くを世間に知られず、悪を実行し続けたリーダー。


今、ここに墓参りに来ている男共がその組織にいた連中という事だろう。


挿絵(By みてみん)


おまけ:


キッス:猫の手は要らない、必要なのは強者のみ

ルル:お姉ちゃん!!?

粉雪:100%勝つ気でやる。それが妖人の戦いってものよ

ルル:粉雪さんも!!?

蒼山:ふっ、ルルちゃんは今、一種のパニック状態になっている。あとは僕達に任せて、ベットで休んでいるといい。

ルル:蒼山さんはこの戦いでハゲるんですか。ご愁傷様

蒼山:僕だけ冷たくない!?あの人いなかったら、人類敗北だったからね!ハゲたけど、仕方なかったからね!!

表原:というか、ルルちゃんが挿絵初登場なんだ。超意外……

キッス:作者曰く。ルルのペアは決まっているんだ。まぁ、私とだな……

粉雪:あんたはこの前、そこの馬鹿としたでしょ

表原:おっと。どーやらこの章ではこーいうオマージュが多いとか、危険変態描写があるとか。不安だらけだって

蒼山:なんで僕を見ながら言うんですか?まったく……

表原:挿絵のキャラの服が話しの内容と違うのはごめんね。

キッス:イスケ。お前が凄く描き辛いんだ

イスケ:え?俺のせいなの……

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