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MAGICA NEAT  作者: 孤独
第4話『努力なんてあり得なーい!可愛い表原ちゃんはリハビリも戦いもしーません!』
8/267

Bパート

キャスティーノ団。

人間としても、妖精としても。不当な輩の奴等と言える場所である。


時間も場所も問わず、反社会的な活動を続け。己という存在を誇示している。



「いけーーー!ジャネモンーー!」


些細なる邪念を次々に利用し、弄び。それがやる行為に来るのは、痛烈な破壊の達成感。

韮本を含めた構成員はところ構わずおり、膨大に増えまくっては散っていく。



ドーーーーンッ


『音楽聴きてぇんだよーーー。外野は黙ってろーーー!』

「ジャネモンが出たーーー!」

「逃げろーーー!!」


因心界の大半が妖人であるという条件付けを踏まえれば、数という差はいずれ抜かされることであろう。

今。本当に社会をぶっ壊してやろうという輩だけでなく、なんとなくやってみようか、という悪意にすら感じられない日常的なものでジャネモンが生み出されようとするもの。

今、ヘッドフォンのジャネモンが街で暴れていた。


「はははははっ!!いいぞ、ジャネモン!」


流行が巻き起こすように、キャスティーノ団を軸とした悪の主柱はしっかりとできている。

韮本などの構成員の多くはいちおのトップを務める、録路空悟からのアイテム支給で戦力と呼べるものになっている。その改造も独自であったり、または商売として扱ったり。

すでに全てを把握している者はいないが、多くを知っている事はあり得る。



「制御が追いつかねぇな」

「暑苦しい奴とコンビはマジお断りなんですけど」

「スマホばっか観てるな。ジャネモンを前になんの余裕だ」

「私、戦闘苦手だし。辱め、拷問担当だから。あんたが戦いなさいよ」



因心界も幹部、構成員を出動させて対応をする。

佐鯨貫太郎と北野川きたのがわ話法わほうという2人の幹部に、妖人の構成員24名を投入。



「キャスティーノ団も、組織の力では止められないほど巨大になりかけている。あなたは録路のデブを倒したいようだけど、それで終わるものかしらね?」

「難しい事言うな。当たってるだろ?」

「半分以上はね」



ジャネモン出現を確認しながら、幹部の2人は動かない。他の妖人に対応させている。

北野川が説明した通り、ただただ出てくる化け物を退治していても先には進めない。

ジャネモンを出しているアイテムを持っている層も、一員の一般的となり始めているのがもう手遅れ。



「んーっ……」

「戦闘するっつーのに、化粧ばっかしてんじゃねぇよ」

「うるっさいわね、熱血スポ根女体化戦士が。あんたも気持ち悪いのよ」

「気にしてるとこズバズバ言うな!!」

「女性がオシャレをするってのは、今が平和を象徴しているの」



この性悪口悪目つきがキツイ、オシャレ大好き女子高生、北野川。高校生とはいえ、白寄りの灰色のロングヘアーを整えながら、戦況を構成員達に任せている構え。

彼女はキャスティーノ団を追い詰めるための能力。ならびに真相を究明するに必要なものを持っていた。



「向こうの事情に詳しい人間を捕えて、拷問して割り出す」

「お前は正義のヒーローをなんだと思ってやがる!?」

「戦いに正義もクソもないわよ。熱くなって馬鹿じゃないの。あんたといい、涙キッスといい、網本粉雪といい」



戦いを得意としていないが、この手の悪口という名の愚痴は在り来たりなのかもしれない。

言動からはそう思えぬ、頭を使っての行動が目立つ。

1つ、1歩。退いて、今ある正義と自分の正義をぶつける。



「録路の居所、その奥に控えてる連中、黒幕を潰さなきゃ平和は訪れない。それも一瞬だけれど」

「………」

「妖人もお役御免の時でしょ?戦いなく、あんたも普通にサッカーしてて、スポーツ空手の頂点を目指すでしょ?今みたいに戦闘員なんて物騒なもんじゃなく、警備員って感じに私達が平和の抑止力になれるのが良いのよ」

「平和の理想が、今にしては高くて結構だな。俺は目の前しか分からねぇ、馬鹿だしよ。そーいうことは」

「拷問かけてからでしょ」

「ちっげぇーよ!敵をぶっ倒してからだ!その先は言わないでいい!」



ノリが違う戸惑いがある。年上になると、こうなるもんか。

まだ自分が目の前という分かりやすい目標を見れて、北野川はまだ分からない視点で考えている。絶対の正義を掲げれば、具体的で理想とされる夢のリアルを築けなければならない。



ドシーーーーンッ


「はぁぁっ!」

「やぁぁっ!」

『邪魔なんだよ、テメェ等!俺を注意するんじゃねぇよ!』



妖人という特別な立場と特別な能力を得られても、相手もそれと同じ事であればプラマイなく、純粋たる強さが多くの割合を占める。所詮は一般人の多く、むしろ、人間的な欠陥が占めて成り立っている率が高い素質は、戦闘たる状況に酷く脆い。

相手が怪物であり、暴徒を目的とした生命活動は、明らかに殺戮と破壊の素質が妖人達よりもある。

容赦なしに来る。



バヂイィィッ



妖人の攻撃を払いのけ、その数の暴力を否定するように個の暴力でやる事は誠実。

大きく太く生えた足で踏みつけ攻撃。巻き込まれる妖人達が、力を合わせて両手からの全身の受け止める。


「くううぅ」

「ううう」


物理的な攻撃に対しての抵抗は可能とはいえ、特殊な攻撃は厄介。このジャネモンは踏みつけを受け止められると、原型がヘッドフォンらしく大音量。大迷惑で嫌な音楽をMAX。



ミギャアアアァァ


「ひっ」

「きゃっ」



オゾマシイ音が全身を身震いさせ、力が抜けていく。耳を塞ごうとしてもその一瞬で、体が砕かれかける。


『俺を注意すんじゃねぇ!!俺の勝手だ!!音楽の自由だ!』

「ぐううぅっ」

「こ、このままじゃ」


力に屈すると分かりやすく、踏まれることで終わる活動。

それを阻止するのは完全なる自分にあった正義。組織の正義や規律など、中で活動をする人にはある程度の目安に過ぎない。許せない事を許せないままにするか、許しちまうかはそいつの裁量。

助けに入るにしては、遅すぎるし、何やってんだと言われかねない。


「今助ける!とおぉぉっ!」



ドゴオオォォッ



明らかに他の妖人とは動きの全てが違っている。

佐鯨貫太郎。ブレイブマイハートの横槍で、ジャネモンがぶっ飛ばされる。


「ブレイブマイハート!!」

「ありがとう」

「下がって!あたしの正義が、今と戦う事、助けたい事を求めてる!」



本来の指示では、ジャネモンと戦う事が目的とされていない。

ジャネモンを使役する存在を捕えるためにいる。ブレイブマイハートが出てきては、逃げられる可能性が高まるといったもの。



「勝手に戦うって、あの馬鹿。このあたしに迷惑って分からないのかしら?」


ブレイブマイハートの戦闘力の強さは因心界でも上位クラス。自分自身にある強い、熱き正義と信念。勤勉に妖人として戦い続けている網本粉雪と同じく、敵に回した相手からしたら、因心界の中でも厄介な存在だ。

悪党が嫌う正義の使者。それが彼の根にある、強い意識。

構成員共が足止め程度の任務で、命がやられるくらいなら死ねとでも言いたい。暴論女王の北野川はブレイブマイハートの軽率な行動に、ようやくその重たい腰を上げた。

短い制服のスカートに隠れた、太ももにつけられたベルト付き収納ケースから取り出したのは、キレイな白い子猫と黒色のハートが描かれた小悪魔的に可愛い手鏡。開かれる。


「カミィ」

『ほいにゃん!話法ー!変身するかにゃ?』

「ええ」


猫語を思わせる可愛らしい声。手鏡に映るは、北野川とはまったく異なるが同じ年代の美少女が映し出されていた。

北野川とカミィの心を通わせ、向かい合って動き、意味を伝え確認すること。


「『Talk Dancing、"シークレットトーク"、オ・シ・エ・テ・ネ』」



北野川話法。"シークレットトーク"。

姿形の変化としては、服装以外のモノになり、隣に現れるのは人間。同じ制服を着た女子。

その灰色の髪が色を奪われるように変色していく。オレンジに寄れば、隣の具現化される人間は黄緑色の髪。ヘアスタイルこそ違うが、同じ髪質と長さを持つ。身長、体重、体型は同じであり、まるで分身。



キュッキュッ



見分けが付きやすいように互いに違う髪型にセットし、アイラインの調整、付ける香水などの化粧の仕方も異なる。

これがシークレットトーク。そして、能力。

分身を生み出して共に戦うという能力なのか。


「危なくなったら呼んでね」

「うん!そっちもね!」

「私はブレイブマイハートを呼ぶ」


多少の身体能力の強化はあるが、互いに戦闘には程遠い。分かれての索敵、調査、変装といったところは本領のおまけってところ。



「あ、あれは!ブレイブマイハート!!」



そして、ジャネモンを使役していた人物。韮本模葉にらもともすはは幹部の到着を知り、甘く見て戦いを挑む。


「へへへ、あいつを倒せればキャスティーノ団での立ち位置も金も、権力も……妖精だって手に入れられる」


欲にまみれた発言ではあるが、その欲に判断力を失ってしまう。調子に乗って暴れ続けた事、通常の妖人なら倒せるという事がそいつを選んだ。

ブレイブマイハートの行動は誤算ではあったが、許容の範囲内であると涙キッスは理解しており、指令に私情をそこまで挟まない相方をつけた。結果、韮本は幹部が1人来たというだけの思考になっていた。ジャネモンが出現し、市民の皆様方は逃げ出したり、立ち止まったりする中で。食い入るように戦況を見つめる人間がおり、ジャネモンの応援でもしてようものなら、そいつが関係者であるのはすぐに分かる。



ミギイイィィッ


人の動きを阻害する、大音量かつ嫌な音。身体能力の低下は否めないが、精神のボルテージは上がる。



「うおぉぉっ、あっつく、なーーれ!!」



音の攻撃を防ぐにしろ、軽減するにしろ。対処がしにくい攻撃だ。それを持つのはブレイブマイハートも同じ。

周囲にある"無生物"とブレイブマイハートが認識した物。そこに存在する熱。



ゴオオォォォッ



最初は温かく、次第に熱く。焼き焦がさずに、熱というそれだけを過剰に上げる。

道端に落ちている石やゴミ。挙句は木、家、地面。


『あ、あちいいぃぃぃっ』

「熱の力が当たれば、ガードはできないでしょ!」


出力重視であるため、周辺を問答無用でその熱の攻撃が襲い掛かる。


「周辺、暑~い!」

「ブレイブマイハートの攻撃の余波だーーー!」


ブレイブマイハートの近くならなおさらであり、直撃かつ避けられないジャネモンにとっては、一気に死地に落とされたこと。この熱攻撃によって、体力も削られ、身動きが取りづらくなったところで、ブレイブマイハートの格闘術の餌食となる。



「な、なんだこの熱さ!?くそー!あっさりやられて、使えねぇジャネモンだぜ!何が新型だ!録路の奴!もっと強力なのをよこせ!」



韮本は敗戦をこの目で確かめて逃亡を図る。

戦闘が終わった直後に、ジャネモンを生み出す材料などなく。まったくの無防備状態だという事を理解せず。大慌てで逃げ出す仕草。調査の網にかかる。



「みーっけ。あいつ、キャスティーノ団ね」



北野川が韮本を発見、追跡、捕縛を狙う。

戦闘向きではないが、人間の身体能力を上回っている。ジャネモンを出せない人間など相手ではない。



◇      ◇



歩く姿は不慣れたところを歩くよう。

少女は外の風に揺れるスカートを抑えながら、ピクニックでもしにきたみたいな手提げカバンを持って。淡白色の、甘ちゃんオーラを服装から感じ取れる。幼さ、あどけなさ。



「えーっと」


その少女はお使いを頼まれた。向かっている場所は病院。

姉の指示により、こんな小さくて簡単なことなどやりたくないという表情。声を掛けられる。


「道に迷ってないよな。ルル」

「大丈夫だよ、ターメ!私は涙家の一員。お使いくらいできるよ」



周辺に誰もいない。しかし、ハッキリと口から喋ったという声が響いていた。

髪飾りにしては可愛さより、不思議系。少女のパッツンの前髪を白く捻れて、フワフワしている奇妙な代物が彼女の妖精。ターメである。



「表原麻縫ちゃんか」

「歳はルルより下らしいぞ」

「じゃあ、私が先輩だね!でも、こんなに早くから。お姉ちゃんの伝言をされるなんて、いいなぁ」

「それだけレゼンがやばい妖精なんだよ。イスケも認めているからな」


伝言を預かって来たが、その中身があまりにもスカスカで。ルルにとっては、物足りないというか、頼りにされていないものか。

表原麻縫とレゼンがいる病室に向かう、本部からの使い、なみだルル。因心界のトップ、涙キッスの妹である。入院している病室に向かっていると、言い合いが聞こえる。



「もう体が痛いのに出歩きなんか無理です!マジ無理!!リハビリ無理!」

「ただの筋肉痛だろうが!慣れろ!3日くらいで落ち着く!」

「3日も!?」

「体が弱すぎるんだろうが!こんなのになるなよ!」

「天性的な事を指摘するのは、どうかと思いますよ!!」

「そりゃあ、呼吸器官の病気を抱えたり、肉体になんらかの病気がある時だろ!お前はその最初の一歩がノロいんだよ!重たいんだよ!体は健常者のくせに調子乗ってんな!!」

「なっ!こ、こ、こ、心の病気だってあるんですよ!!失礼です!」

「お前はどー見ても心の仮病だろうが!!ホントに心を痛めた患者に、生きながら死んで詫びろ!!」



体を起こす程度の事であるが、たったそれだけでも負荷が表原を襲っていた。

トドメに心を抉ってくるレゼンの罵声。むしろ、こっちの方がキツイ。なんて厄介な妖精、もとい鬼にとりつかれてしまっただろうか。



「もう死んじゃう。今死んじゃう」

「筋肉痛で死ぬ死ぬ言う馬鹿はお前くらいだ!死にたいなら死ねって言ってるだろ!!その足を動かせねぇと、念願の飛び降り自殺なんかできねぇぞ!!」

「あんたは妖精じゃない!!完全に鬼だ!!天才じゃなくて、天災だ!!」

「上手い事言える元気がありゃあ、今日中に散歩くらいできるわ!リハビリ行くぞ!!」

「いやだあああぁぁっ!!ベットの上でスマホとか漫画読みたい~~!!やっぱり嫌だ~~!!」



もっとも、表原にも問題がある。性根も腐り切っている。

レゼンは事実を事実と、誠実に真面目に受け止めて伝える。


「解約~~、あなたを早く解約したい!」

「じゃあ、早く歩こうぜ。先送りにすると、互いにデメリットしかねぇぞ」


そんな大喧嘩をしているところに、恐る恐る顔を覗かせるルル。


「あの~……ここが表原麻縫ちゃんの病室ですよね」

「!」

「!!そうですけど!それより、レゼンをどうにかしてください!」


この雰囲気で伝言をしていいのか、どうなのか。って空気。

こんな喧騒は好きじゃないルルであったが、勇気を振り絞って



「私!因心界の使いのものです!涙ルルと言います!」


元気一杯の声で、……ちょっとした静かな間を作った。やはりと、思ってレゼンも黙った。


「あなたが妖精のレゼンで、そこにおられるのが表原ちゃんですね!」

「う、うん」

「待っていた!」



表原の危機を乗り越えるには、因心界の協力は不可欠。ジャネモンを発見するには大きな情報網を持つ組織が必要だ。



「えっと、お姉ちゃん……。違った、涙キッス様から、妖精レゼンへの伝言です」

「!」

「表原麻縫と共に、"半年後に因心界の幹部まで上りつめろ"……だそうです」



たったそれだけの伝言。それは黒い内容を知らなければ、分かりようがないことだろう。伝言役の涙ルルもこれだけの事でなぜ自分が来たのか、分からない。


「……そうか。必ず、この馬鹿を涙キッス、イスケが認める妖人にしてみせる。そう伝えてくれ。ありがとう」

「は、はい!頑張ってください!」

「…………あの、レゼン。さっきから思ってたけど、因心界とかジャネモンとか。そろそろあたしに説明して欲しいんだけど」

「説明するから。まず歩けないと戦えもしねぇだろうが。表原アホウ」

「その呼び名。結構前から言われてますよ!何番煎じだと思いますか!」

「言われている事を気にしろ、表原アホウ」



◇      ◇



また病室で表原とレゼンの喧嘩が始まる。ルルはお邪魔と感じて、素早い退散。大きな溜め息をつきながら



「ふぅ~、なんかあっさり終わっちゃったね」

「……ルル。またお前、お姉ちゃんって呼んだな」

「いっ」

「涙キッス様な。そこんとこちゃんとしないと、認めてくれないぜ」

「そ、そんなことないもん。お、……涙キッスに頼られてるから。表原よりも早く、幹部になってやるんだから。ターメだって負けちゃダメだよ」



想像していたものと、互いに違っていた。

ターメはレゼンを知っている妖精であり、相方の表原が多少、気の毒だと同情していた。

一方でルルはあんな2人に自分達が劣っているどころか、姉に認められている事がちょっと許せなかった。

悔しいって気持ちを隠し切って、飛び出していた。



「あら」

「ルルちゃんじゃない」

「!」


そんな俯いたルルに声をかけたのは、政治活動を終えて病院に戻ってきた網本粉雪と野花桜。


「粉雪さん!野花さん!」

「どうしたの?こんなところに?」

「あ。ただの伝言役ですよ。確か、粉雪さんが表原ちゃんを預かっているんじゃ?」

「ここは因心界の本部系列の病院だし、襲撃はないでしょ?古野さんが彼女専属じゃないしろ、ここに常勤してるしね。仕事は他にもある」


涙ルルにとって、憧れている人はこの網本粉雪だった。

妖人としての活躍に加えて、人間社会と関わり合う政治団体のトップ。因心界という組織が人間社会に上手いこと組み込めたのは、彼女の実力とカリスマ性にあった。因心界のトップは、ルルのなみだ家が引き継いでいったが、本当の意味で。お姉ちゃんではなく、網本粉雪あっての因心界だと思っている。


あなたじゃないでしょって……互いに思い合っている。と……



「伝言って。表原に?」

「はい。なんだかよく分からない伝言でしたけど」

「ふーん、どんな伝言なの?」

「えと」

「あー、まぁ。あなたの口から悪いし、どうせ"表原ちゃん"ってそーいうところ甘そうだから、ポロリと教えてくれそうだけど。ふふふ、でも。聞いていい?キッスには言わないし、私と野花は信頼できるでしょ?」



仕事は伝言という役目。すでにそれはもう終えたと思った、涙ルルはかなりアッサリと教える。中身がハッキリ分かっていない事もある。

いちお、2人だけに聞こえる小声で


「『"半年後に因心界の幹部まで上りつめろ"』って、伝言だけです」

「ふーん、確かにそんな事であなたを使いに出すなんて、キッスは相変わらずね」

「ですよねー!もぅ。……お姉ちゃん」


どうせならって、他人を悪く思う気持ち。

涙ルルは自分を振り返る事が少ない。そして、その事を家族でもなく、長い付き合いがあったわけでもない粉雪と野花には分かっていた。



「それじゃあ、お先に失礼しますね」

「ええ。気をつけてね」

「じゃーねー、ルルちゃん」



涙ルルは病院をあとにする。

とても簡単な指令であったというのに、その仕事すらこなせていないという失態に気付いてすらいない。ルルがこの場にいないからこそ、率直に彼女への評価を述べる粉雪。



「ホント。キッスは"あんな妹"を抱えて大変ね。名門、涙家の面汚しがホントにお似合い」

「粉雪、どー思った?私、レゼンくんが裏でキッス達と通じているね」

「同じ意見。表原ちゃんが何も知らないのは、確か。まぁ、怪しいけど。キッスのそーいうところが良いじゃない?悪巧みを教えてくれないのは、ちょっと困るし。協力してもいいんだけどね」



因心界という組織。ここもまた、巨大が故に。人間同士の溝ができていた。


挿絵(By みてみん)

次回予告



野花:こんにちは、野花桜です。まったくもって、濃い人物達が出てきましたね

粉雪:あら、それは誰の事かしら?

野花:粉雪は自覚して!と言っても、私以外でまとも人なんて……数えられる人しかいないんです

粉雪:え?いつから、野花は自分が常識人だと錯覚してたの?あなたの妖精は……

野花:私はふつーの女です。私はそーでしょ?

粉雪:あなたの胸部分が振動してるんだけど

野花:えー、それでは次回

粉雪:『零からスタート!さぁ転げ落ちていけ、表原のリハビリ生活と妖人達の活動期!!』

野花:あの、表原ちゃん。次回、完全に虐められてるじゃないですか


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