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MAGICA NEAT  作者: 孤独
第27話『ロゾー編!東京駅襲撃事件!ルミルミの生殺与奪!』
78/267

Bパート

「ただいま~」


そう表原が声を出して、帰って来た場所は……


「表原。ここ病院だけど……」

「でもやっぱり、私はここが良いと思うんだよ。ルルちゃん」


いつも使っている病室であった。

そして、同じ病室を使うことになったルルが出迎え。彼女から表原へ疑問が投じられる。


「っていうか、帰りが早いじゃん。今日の夜って言ってなかった?昼だよ」

「お父さんと揉めて、出て来ました。一日泊まったからいいでしょ。母さんには説明もしたし」


ぷんぷんした表情でベットの上に座りこむ。

なんなんだって顔で、ルルは表原ではなく、付き添いで行っていたレゼンに顔を向けた。


「あー。その……まぁ、予想以上に重たい家庭だった」

「そ、そうなんですか」


会うべきだ。話すべきだ。そう言っていた張本人。人が嫌がるわけに興味はあるし。それを克服するべきものでもあり、手助けするべきこと。だが、それが上手くいかねぇから苦労するんだよっていう厳しい現実。

表原が家庭を嫌っていながら、家庭的な事を難なくこなせている理由も分かる。


どうして、人は生活に少しの不便を感じただけで文句を言ってしまうのか。

それくらい納得の行く答えを見せてもらった。


ルルも家が名家である。家庭の事情というのには敏感な反応を示す。自分も今、別の意味で因心界の本部には戻りたくない。あの涙メグが嫌いなのだ。幼い頃から彼には強く言われていた。自分の生まれは、あのメグのせいでもあり、それに満たせなかった自分もどこかにいる。


「ロゾーと浦安は?」

「相変わらずというか、意地の張る子って奴ですよ。手の掛かる子ですねぇ~」

「あー……そうか」


大変な奴と契約してしまったなって、兄として思うレゼン。

そんな浦安の相手をしているのが、ロゾーともう一人。野花桜であった。


「あなたの身を案じて、私達が保護してますから」

「……それでも嫌だね。出て行ってくれ。身を案じるなんて言い方」


妖人となったが、得られた力を自分本位に使いたい浦安。因心界のために使って欲しいという、因心界側の都合なんて知った事ではない。それに、粉雪のせいで痛い目にもあった。


「とてもあんた達の味方になれないな」


その言葉は誰にでも言っている事だろう。

話し合いに持ち込むのは無理そうだ。


「でも、浦安。1人じゃ危ないよ!」

「知らない!俺は嫌なんだ!お前も……!力だけあればいい」

「そんな~」


契約者としてコミュニケーションを図るロゾー。助けた人間にこんな言われようは思いもしなかった。それでも折れるわけにいかない。彼が死んでしまったら、ロゾーも死ぬのだ。


「因心界も、ジャネモンとかいうのにも、関わらない生き方をする!俺は俺が決めるんだ!」


カッコイイ事を言っているが、ようは面倒ごとは引き受けないという思いが見えてくる。

どーしてそうなのか。


「ロゾー!妖人化というのをさせろ!」

「えっと……」


ロゾーの目は浦安から野花の方へ。怪我人とはいえ、妖人化すれば脅威。野花からしたら余計にだ。絶対に納得しない限りは、力を与えるべきではない。


「ダメよ」

「!なんであんた達が俺の行動を決めるんだ!」

「教育とか指導の一環よ。あなたは少し身体が大きい子鴨に過ぎない。もっとも、ロゾーちゃんがいるからそうなっているだけ」


キツイ態度にキツイ返し。大人の余裕を見せつつ、反論というのをさせない。

そんなやり取りをかれこれ3日も続けて


「…………分かったよ」


浦安の方から折れてきた。だが、そこから使ってくる言葉は癖のあるもの。


「一緒に行動はしてやる。だけど、お前等の言葉は聞いても指示は聞かない!」

「……うん。いいわよ。それで」


因心界を敵に回すというのが、どれだけヤバイ事か。浦安にはその規模を知らず、ロゾーの力だけを固執したもの。どうとでもなりそうな考えはあるんだろう。


「じゃあ、私が監視と護衛役の責任者をしてるし。その補佐にルルちゃんと表原ちゃんがいる。ハーレム設定いい?」

「……ふん、好きにしろ」

「あら、そーいうのはまだ分からない」


別に思ったところがないわけじゃないが。この因心界の雰囲気を良くは思っていない浦安。

まだ会って数日の人間が、今までを語るわけもない。長い時間は必要。

現時点でも、野花が怪我をしている浦安の面倒を見てるように、その近くではルルと表原がいる。その3人の情報を知れる位置に飛島が待機しているところ。



「監視の任務なんて、超楽ですよぉぉぉぉっ」


そんな言葉を吐きながら感涙し、スマホで漫画を読みまくる表原。野花からは浦安と一緒に居れば何をしててもいいという。レゼンが頭の上に乗っかって、浦安とロゾーを見てくれるから。表原は有意義に娯楽タイム。


「ふへへへへ」


初任給&家族からの餞別もあり、表原は今。楽しむ事で我を忘れる楽しさに浸る。

なんて……なんて……


「ダメな奴だ」


浦安も言うほどの表原の怠け癖。ここんところ忙しく、命が掛かっていた事を知らない浦安からしたら、当然の言葉と思う。ただただ生きていても楽しくはない。そうだな。


「表原は充電中だよ」


パートナー勤めて、呼吸が分かってきた。毎日に本気を出す継続力も重要だが、表原の場合は爆発力のある本気。今は好きにさせれば前者も習慣的になれるだろうって、レゼンは思う。

それはそれとして


「ロゾーは俺の妹だ。浦安或って言ったな」

「なんだよ」

「もし、妹のロゾーになんかあれば……俺はお前を許さねぇ」


因心界にいてくれなきゃ困る。それはあくまで組織として。個人的な気持ちで言えば、


「どう動こうが、ロゾーが良いなら俺はお前のやり方を許す。その逆なら、俺は表原と一緒にお前を倒す。それが兄としての責任だ」


レゼンの言葉。異種な存在も含めて、浦安がどう捉えたか。


「ふんっ」


面倒なことで。興味ねぇことで。

監視下に置かれた状況の中、浦安達は眠りにつく。




◇      ◇



ザッザッザッザッ



国内最大の駅。"東京駅"。

一日50万人以上の人間が行き交う駅である。約30種の電車が各地を走っては、この駅に停まって人々の移動を担っていた。

通勤ラッシュの苦労。仕事に向かうストレス。人々の種類は電車以上もあって、



「邪念がいっぱ~い」

『今はそんなのを探さなくていい』



ジャネモンの召喚チャンスではあるものの、人間として紛れているのはアイーガと、箒という本体のままでいるダイソンであった。


『俺の適合者を探してくれ』

「そんなこと言ってもねぇ。テキトーじゃダメって言うダイソンがなぁ」

『当たり前だろ。録路へのリベンジを果たすには、まず人間から選びたい』

「厳選厨め……」


録路の敗北。ルミルミによって、体を戻してもらったが適合者がおらず、力不足の状態。人混みの多いこの駅で適合者を探していた。

人間達が築いている社会の歯車、その中心部の一つと言えるこの主要な駅を、なぜにSAF協会が狙わなかったか。標的が因心界や涙一族、革新党と言った組織と呼べるところにあるのが1つ。革新党を中心とした情報操作、隠蔽により、SAF協会という存在があまり認知されていないという事もあり、それに乗っかっている点も1つ。


ここは当たり前だが、人間の世界だ。

数と知識、怪物になってしまう邪念を持つ人間達を大勢に相手どれば、SAF協会と言えど塵も同然。もっとも、人間達がSAF協会というそこそこある結束力とは違い、人間達に結束力というのは少なく、同士討ちなどの反発を利用できることもある。



「おっと」


アイーガとダイソンが発見したのは、涙一族が囲っている妖人だ。

他にも革新党の中枢と関わりを持つ者も……。

因心界が世間を守っている評判もあるが、それは市民からすれば一番距離が近いからだ。革新党も涙一族にもそれぞれの防衛圏があり、任務を全うしている。

大雑把に分別して言えば。



因心界は、市民を守るための組織。

革新党は、社会を守るための組織。

涙一族は、組織を守るための組織。



こんな人間の主要拠点を早々に攻撃しないのは、因心界はおらずとも、革新党と涙一族の2つの組織が防衛を強化している。それを同時に相手取り、長期戦をやるにはかなりの時間をかける事と戦力の増強は必須。

それよりもジャネモンを活かして、ゲリラ活動で人間社会を周りから苦しめる方が理には叶っていて、革新党も涙一族も動き辛い。

弱者を助けるほど、ムダな事はないからだ。

因心界という組織は、互いの組織の見たくないところ、弱いところをカバーしている。


互いに頂点が居座り、コントロールしている。


「うーん…………」


ダイソンが人間を厳選するのにも、理由がある。強さや録路へのリベンジだけでなく。

シットリにはなんらかの戦略で因心界も、涙一族も、革新党も、倒す方法がある。

それがルミルミがこれまでやっている行いの1つなのだろうが、それよりも先に彼等の牙が届く。彼の秘密主義というか、確かな統率力にはそれなりの大きな手があり、そこには自分の復活以上の事が求められている。


「適合しただけで納得いかないなんて……」

『アイーガの技能は優秀で器用だからな。俺のはそうはいかん』

「ほ、褒めてくれるなんて……あたし、泣きそう」

『……アイーガは自信を持っていいぞ。俺は褒めて周りを伸ばすタイプ。シットリは叱りつつ、自分が悪役になって伸ばすタイプだ』


綺麗好きな性格がいい。そして、周囲に嫌気が差しているような邪念。

此処野とは似ていて、同族を嫌悪するオーラが欲しい。


『通勤時間帯では、俺の求める奴には出会えそうもないな』

「終電まで待つの~?」

『ああ、因心界達その他もいる中で、上手く隠れてくれ』


この2名のやり取りが午前8時頃。

そこから30分後、広い駅の中ではあるが、異質な部下を引き連れている者達。


「ラフォトナ様、本当に因心界とまだくっつくので?」

「五月蝿いなー。お前達を"解放"するためだ。今は僕についてきてくれ」


ブルーマウンテン星団。蒼山が率いる組織だ。

その統括である蒼山は、何か思うところがまだありながら……。因心界の本部に居られない状況をなんとかするべく、元いたアジトに戻ろうとしていた。そこでの独立を部下達は望んだが、蒼山は決して首を縦に振らなかった。

蒼山と部下達の意識が違うのは、時代の差を感じさせるもの。見た目からしても、一回りは離れてそうな年齢の差。


「統括!」

「ええーい!」


イライラしている蒼山の顔。

統括の権限として、


「今は僕の指示に従え!!今、僕もみんなといるべきかどうか。真剣に悩んでいるんだよ!」


そして、個人の主張として。


「僕が……」


あー、ここから変態声明を上げるのですね、分かりますと。

流れがそう感じさせるが、濃厚な邪は



「キッスや粉雪の水着や下着なんかで満足できるかよぉっ!!下着盗撮写真でこの性欲を抑え続けろって!同人で我慢しろって!絵で我慢しろって!!願望を吐き続けて、現実見続けろってか!!それでいいのか、蒼山ラナ!!」


自分が自分へ叫ぶ。人が行き交うこの場所で、目をやってしまうような自己主張。それに部下達はなんの恥ずかしい挙動の1つも見せず。やはり、自分達が見て、育てたこの人物を信じた。


「ふーっ……」


激しい性格が出たのは、久しぶりだ。怒りが声だけで留まっただけ、少しは大人になったんだろう。まだ、蒼山ラナとして理性を保って、それなりの考えで因心界の動向を探る。元々、彼が所属しているのはこの部下達のためと、涙キッスへの忠誠のみで。それ以外に興味はないと思ってはいた。

ただ、時間はそう思わせなかったんだろう。


「ふーーっ……」


ブルブルと、胸が震え始めた。

自分から話すことは珍しいんだが


『蒼山、溜まってるねぇ。でも、今はダメだよ。我慢しなきゃ……』

「……分かってる。分かっている。フォト」

「では、戻りましょうか」

「統括にとっては、久しぶりだもんな」


今、その気持ちをここで爆発させようものなら。ついて行くまで。

この男を偶然拾い、育て上げ。我々が残すべきモノになっていく。

どれだけクズな行いをしてきた中で、失った数々の中で残った小さな1つを大切にする。


ブルーマウンテン星団は、行く。

真の姿、形に戻るため。



◇      ◇



"東京駅"


入り組んで複雑な構造を持つ戦場。

駅内、電車内、何層もある地下空間、高層ビル。

人の往来は盛んな場所であり、その中でも国で最も……と、付ける事は間違いないだろう。

人間の拠点と言っていい場所に狙いをつける目。

別の高層ビルの一室からの視線は、興味から実行の目に変わっている。


「んんー……ここはいいねぇ。人がいっぱい」

「どんな目をしてるんですか。10数キロはまだ離れてますよ」

「やっぱり人が集まってるところで、殺戮したいじゃん?邪念を募りたいじゃん」

「……人の心の力は、私共のエネルギーになるわけですが。それを利用して怪物ジャネモンを産んでいる。やはりここで止めたらどうです?」

「ダーメッ!イヤッ!」



ルミルミとヒイロ。

あんなところでジャネモンを出す。それくらいはまだいいが、ルミルミは思いっきり怪物を出現させる気なのだ。それが世界を滅ぼすための第一段階なんだろうと、推察。


「……ルミルミ姉さん。改まって言います。俺は、サザン様からあなたを止める戦力として、人間界に降りてきた」

「サザンの名前を出さないでくれない」

「人間を嫌うシットリは、俺と対立する理由もあるけれど。あなたはそうでないでしょ?だって、あなたは因心界の初代メンバーなんですから。人間と妖精が共存する世界を作ろうとしたじゃないですか」

「それがなに?時と出会いで、考えなんて変わるもの」

「そうでしょうね。でも、あなたも俺も歩んできた中で大切なモノを見て来たでしょう?それを壊すあなたに何が残るんです?」

「……妖精が残る。そうして欲しいと、あの子は最後に願っていたのよ」


決意を強めさせてしまうだけになってしまうか。


「人間の屑共が……屑がよぉっ……」


あの時。戻らなければ、自分のパートナーを失わなかった。

あんな卑劣な事をする存在を守ってきた事が、許せなかった。疑わなかった自分が悔しく。残した言葉のまま。


「地球は妖精の国とする」


ルミルミ。

東京駅へ、潜入!!

人間を滅ぼすための第一段階の作戦、スタート。


実はシットリの作戦を無視して始めてる。


「やれやれ。容易でないのは分かっているでしょう?革新党も、涙一族の勢力も守っている東京駅です。キッスやナギ、メグが来る可能性も高い。もちろん、粉雪も」

「望むところ」

「……シットリの作戦は知らないが、ルミルミ姉さん。あなたの個人行動であいつが苦労してるのが分かる」

「五月蝿いな。シットリは付き合ってくれるの!」

「今日は俺が守らせてもらう。あくまで陽動なら文句ないだろ」


因心界の戦力ダウンによって、確かに手薄なところも出てきたが。一度、奥まで行ったら引き返すのは難しい。片道切符になるだろう。こうして補助するべきか悩むが、シットリに代わってルミルミを守るため。微力ながら手伝いをするヒイロであった。



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