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MAGICA NEAT  作者: 孤独
第3話『私の決意表明、これから生きてみます!その後に寿命宣告だーー!』
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Bパート


夜の焼肉屋で事件が発生。



「火事だーーー!」

「店の中が煙と火、突風で凄いことになってるーー!」

「厨房に化け物がいるぞぉぉーー!」



今、認知され行く。悪と呼ばれるもの。

それを知ってこそ、立ち上がって戦う者。それを知っていても、その道で戦う者。



「うおおおぉっ!!やるぜぇっ!!覚悟しろ、ジャネモン!!」



各々、心を持って、ぶつかり合う。



「行くぞ、バーニ!!」

『うん!サイズチェーンジ!』


正義とは平和であり、1つの君臨。

悪とは混沌であり、1つの自由。

そのバランスは常に難しい。


拳銃以上に巨悪な代物が世に転がりまくるほどである。

ただしきという、使い方。その理解を誰が決めようものか。


1人の男と妖精は信じる正義に、今戦う。

電子レンジの中へ!



ガチャッ



ブーーーーーーーッ



熱線だの、マイクロ波など、なんだかよく分からないけれど。特殊な力を皿の上で周りながら浴び、変身に至る。



ビーーーッ



ガチャッ


変身、完了!

扉が開き、赤いコスチュームは完全に赤い少女戦士さながらであり、体型に至っても女性と言えるもの。

決めポーズと共に


「『ゆうきょ熱くもゆ上がれ、ブレイブマイハート』」

「せっかくの見せ場なのに噛まないでよ!!毎回毎回!佐鯨ー!」

「うっ……だってぇ、女に変身するから。若干違和感あるの!」

「『勇気よ、熱く燃え上がれ、ブレイブマイハート』だよ!はい!解除したから戦おうね!」

「ええっ!……じゃなくて、おう!」

「それはどっちでもいい!!」


因心界の幹部、佐鯨貫太郎さくじらかんたろう。戦士名は、ブレイブマイハート。

普段は熱血スポーツ少年といった運動大好き男子であるが、妖人となると性別が女性に変化する。

バーニ。物体型の妖精であり、電子レンジの姿をしている。佐鯨を妖人化させる際に、体内に入れる。



『換気扇の掃除したのか、この野郎ーーー!』


邪念が換気扇に宿り、焼肉店内はとんでもない煙と風が舞っていた。


「わーーーーっ!ジャネモンだーーー!」

「助けてーーー!」


外以上の煙、そして、風。それを使って渡る火。

逃げ出す客と逆に向かって行くブレイブマイハートであるが、


「きゃあぁっ、凄い風!」


両手で自分のスカートを抑えるほどの突風である。これでは両手が上手く使えない。


『油くせぇんだよ!ふざけんじゃねぇよ!焼肉終わったら、息キレイを食べろ!!』


敵にしてはどうにも、人に気を遣える優しさがある。

自分が汚れているからこそ、他者の身嗜みを訴えたいのだろうか。



ビキィィッ



「敵は見えている。だから、ただ一点を砕くのみ!」



ブレイブマイハートの両足のふんばりは強い。床にヒビをぶち込むほどに。

彼女(彼?)の能力の1つは、ある条件を持ってして、身体能力の強化を成す。

その条件とは、勇気であり



「"勇気とは己の恥を乗り越えるためにあるモノ"」



恥。

恥と思う事を糧に、身体能力の向上を成す。そーして、燃え上がる戦士。

両足に溜めに溜めた、力のバネを爆発させる。



「おりゃあああぁぁっ!」


向かってくる突風を物ともせず、ロケットの如く進む体でぶつかっていったのは、換気扇の中心部。危険であるが、絶対に相手が避けようがなく、一撃で終わらせる箇所。



ドゴオオォォォッッ



「!!いったぁ~~~、血、出た~~」



佐鯨。ブレイブマイハート。換気扇型のジャネモンを撃破してみせる。

そして、妖人化を解除する。


「最近。一気にジャネモンが増えたなぁ。そう思わないか、バーニ」

『うん。きっとキャスティーノ団が勢力の拡大をしてると思う。ジャネモンを作れるアイテムが沢山あって、色んな人達に配っているんだよ。まず、そこを突き止めないといけないかもね』

「まだ俺達の方が強いけれど、向こうにも妖人はいるからな」



怪物が暴れ、自分がそれを止めるために暴れる。仕方ない事を表裏一体にして。


「奴等の元締め、録路空悟を倒さなきゃ。みんなの平和はこねぇな。絶対に俺が倒してやるぜ」

『今は地道に出てくるジャネモンを倒して、平和を護るしかないね』


それが、俺の燃える正義の心だ。そんな彼に視線を向ける者。


「…………ふん、あいつが佐鯨貫太郎か。俺の嫌いな男だ」


そんな男は思ったより近くにいた。今の換気扇型のジャネモンを生んだのは、この録路であるからだ。新型のアイテムを使ってのジャネモンで、試していた。


「安心しろ。俺もテメェを殺してぇんだ。邪魔入らねぇよう、雑魚や馬鹿共の準備がいるから待ってろよ」


今日は一通り暴れた事で、録路も帰路につく。




◇      ◇



もし、あと少し。


死ぬことができるとしたら。


嬉しいって思う。


このままずっと……。



「……んっ…………」


………そんな事を思っていたかどうかすら、忘れちまったくらいに。生きてしまったと残念な気持ちもどこへやら。何をして、何があってここに居るのか。

思い出せないという刹那の思考停止に、状況は素早く命を全可動させる。

セーブデータが残っているぐらいの力が、展開していき。


表原麻縫は意識を取り戻す。



「ここは…………」

「気付いたか、表原」

「えっ?」


眠りから覚めた者、眠りに誘われそうな者。

今、自分のお腹の上にいる生き物が声をかけていた。小さな妖精はあまりにもリアルであり、今日という一日でしか会ったことがないにも関わらず、ありえないって思えぬほどあり得ること。

名が分かる。


「レゼン……だよ、ね?」

「ああ」


ふとした、彼の笑顔がよく残る。


「意識戻って良かった」


その意味が分からない。分からないのに、お互いに嬉しいって。僅かな気持ちが分かってしまう。

クソな矛盾に気付いて、瞬間。沸騰のようにムカついた。



「なにが……よく、覚えてないけど……」

「名は忘れたか?」

「んー……"マジカニートゥ"って、馬鹿にした感じのこと」

「ああ」

「"あたしだけかいっ!"で、変身と力が使えるんだよね。妖人だっけ?」

「覚えてるじゃないか。良かった。また一から教えるのがメンド」



なにが、なにが、なにが



「なにが覚えているの!!?」


分かった、分かった、分かった事じゃないこと。



「私は死にたいのよ!!死にたかったの!!」


詳しくという言葉は分からなかった。しかし、この病院送りにされた傷を付けられたって事は



「死ねたはずなのにっっ!!やっと死ねそうだったのに!!あなたが助けたんでしょ!?レゼンがあたしを助けたんでしょ!ふざけないで!!」



激怒。捨てたい命の続きがあるということ。

終わって欲しかった命を日に2度も救われるという、表現のない屈辱。

まったくレゼンを知らず、言葉を使える生物として、場所や時間など知らずに叫びと、吼えるを行なう女子。


「確かに俺はお前を助けた。そして、因心界を始めとした人々もお前を助けた」

「ふざけないで!!」


なんだってんだ。ホントに。

そこに突きつける事実。


「だが、助けられる命だったのはお前の体と意志だった。お前の体にある意識は死にたくなかったを示した」

「動けなくて、喋れなくて、意識のなかった私がそんなこと言えるわけないでしょ!!」

「!今、テメェは喋ってんだろうが!喋れねぇ奴もいるんだぞ!ふざけてんのは、いつもテメェだったろ!!」


楽しくやっている命は、そうやって臨んで命を遊んでいる。

多くの人間にあって、妖精の大半にないこと。表原が知らなかったが悪いことであるが、ちょっと前に妖精達と久々の会話を交わして、思ってしまうレゼンの差。

前々からこうして後悔をほざき続けた、まだ14という者が。知ったかぶって、知ったふりして。



「忘れちまったかもしれねぇが、死にてぇなら死ね。お前、命の淵にマジでいる。俺の助けあっても、その様だ」

「死んでやるわよ!レゼンなんかどーでもいいし!!転生でも天国在住でもした方がいいから!」

「おうっ。じゃ、俺。寝るからよ。お前が起きるまで、眠かったんだよ」


叫んだのは、最後の眠気に対抗するものだったんだろうか。

動くこともなく、意識を取り戻した表原のお腹の上で眠りにつく、レゼン。

それにムッとして、つまみ出してやろうと彼を掴んだ表原であったが……


「ふんっ」


自分の近くにあった机の上にレゼンを置いて、毛布の中に潜りこむ。


「いっ!」


たったそれだけの行動であったが、体が軋んだ。

こんな痛み。経験なかった。動き辛いってこーいうものかって、今知った。

何も観たくない、何も聞きたくない、何も感じたくないを強く願った。それが自分の意志だと強く付きつけて、何も考えず何も思わず、それでも何を思ってか両目を閉じている。矛盾だと分かっていないフリをして、分かっている。

それとは別に伝わってくるのが、感触。柔らかいものだ。


意識したくないと抱くと、今。こーして触れているところに影響を受ける。

入院服の重さと匂い、枕の高さの違和感、毛布の暖かさ。シーツが伝える、いつもと違う場所だという違和感。

脳が死んだとしたら、そんな邪魔は忘れるだろうが。よくやっている自傷をしてみる。痛いを知って、軽く顎を突き上げて脳のシェイクを望んだが、上手くはいかない。


「むぅっ」


自分が死ねない、せめて眠ろうとするも、意識的な自分の寝相でできない。

なんとも言えぬ、汗も出てくる。

目を瞑っているのになんか、この病室という空間が伝わってきて、寝かせてくれない。


知らなくていいと、心で思っている。辛かったことをこんなにも沢山にも、否定されていく。レゼンもきっと、自分を貶している人達と同じ。ただ契約が欲しいだけでのこと。



「すーぅ、すーぅ」



自分が眠りたいと願っているのに、その隣で何事もなく寝やがっている事に腹が立つ。

どうしてわりばんこで寝てしまうのだろうか。まったく望んでいない。


「…………」



だったら起こして妨害してやりたい。そんなわずかな邪念があっても、しなかった。

理由は分からなかった。けど、レゼンにはムカッとしたから。両目を開けて、観たかった時計のように取り上げる。



ザブンッ



「机の上よりも、毛布の中は暖かいよ」



そんな優しさができると、頭の中にあった一部の感情が削れて、目を瞑っているだけでも意識が無くなっていく。

なんだろう。意識してない方が楽になれた、そんなことだった。



◇      ◇



「んんー……」


もう朝だと言うのは遅すぎるほど、日は昇っている。

学生も社会人も真面目に働いている時間帯での起床とは贅沢な事だ。


死にたいだと、あれだけほざいた昨日は過ぎ、今日生きている日にやってきた表原。


「……えっと」

「おせぇーな。もう9時だぞ」


支給されたヨーグルトを食べながら、レゼンは声をかけた。


「レ、レゼン」

「あ。おはようだったな」

「おはよう」

「うん」


昨日の夜は興奮していたのか、今日の目覚めは良くても。体が感じている痛みってのが、朝から分かってしまう。違和感を知ったという自覚のものか。

同時に


「ごめんね」

「ん?」

「夜……怒って、声出してさ」

「……………」

「レゼン。私が起きるまで、起きてたんでしょ。なのに私さ……」

「俺は気にしねぇよ。どのみち、今のお前は時間の問題。俺は妖精であり、お前は人。俺も俺で、価値観の違いを見境なく言っていたのを覚えている」

「……ごめんね」

「2度もいらない」



こうして言葉を伝えて分かる。恵まれているのかもしれない。

最後のチャンスなのかもしれないと思い、告げる。


「もう少し生きてみる。心配してくれる人が、私にいたって事が。優しいって意味で」

「……そっか」



その声はホッとしていたけれど、そうも言ってられない。

昨日の夜。またしても、抽象的に伝えてしまったからだ。爆弾事実がある。



「どのみち、"このまま"だと1ヶ月しかお前の体は持たない」

「……え?」

「自殺なんかしなくても、"このまま"だとお前は1ヶ月で死ぬ。本望になれるぞ」

「え」


自殺を取りやめる人が、こんなことを知ったらどーいう反応をするだろうか。これから生きるためにでもなく、支えてくれた何かに応えようとしてか。翻した決意に水を差す現実。


「あの……もう一回、言ってくれないでしょうか。今から希望を掴もうとしている私になんて言ったの?」

「理解力ねぇな。つまりお前の寿命、あと1カ月だ」


妖人となった表原であるが、瀕死のダメージを受けたのは事実であり、ダメ押しも含めれば2回以上も死んでいる。

これを乗り越えるには、瀕死のダメージを軽減する肉体を手にしなければならない。つまりは強くなること。

猶予はたったの1ヶ月


「1ヵ月後、お前は死ねるぞ」

「ええええええーーーーーーーっ!?」



まさかの絶望的な事実に表原は、大絶叫するのである。


挿絵(By みてみん)

次回予告



表原:なんなんですか、私の人生はーーー!?

レゼン:まだ生きてるのに、疑問持ってもしょーがねぇぞ

表原:レゼンは人の気持ちを理解してないよ!話を聞いてくれる事もできないの!?

レゼン:答え分かってんだろ。自問自答した後は、切り替えろ

表原:冷たい!鬼畜!悪魔!!妖精じゃないよ、あんた!

レゼン:はいはい。次回行くぞー

表原:『努力なんてあり得なーい!可愛い表原ちゃんはリハビリも戦いもしーません!』

レゼン:そーいう態度だから、殺す気でリハビリさせます。可愛いは余計だな

表原:悪魔だ、こいつーーー!


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