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MAGICA NEAT  作者: 孤独
第17話『まさかの内通者!?レゼン、踏み潰される!まさかまさかのあいつがいる!?援軍ビックリ!』
43/267

Bパート


純愛学園ラブストーリー。

そんな感じの漫画本を仰向けになりながら読んでいるところ、連絡が来た。



「白岩で~す」

『キッスだ。緊急の連絡』

「なんです?」

『A班への応援要請だ。ヒイロと共に、現地で待っている表原と合流してくれ。飛島と佐鯨、ルルの3名に危機が迫っている』


因心界本部の中には特別に、幹部専用の個室がある。白岩はそこを自分の遊び場として、漫画、音楽、小説、ゲーム。スポーツジムで使っているテニスラケットとそのボール、ユニフォーム。綺麗に整理されてはいるが、なんというか組織で使う個室ではない。家の自室のような内装だ。

学校に通っている時もあるが、今はやや物騒な時期のため、周りの事も考えて休学中。

代わりにヒイロやキッスに、勉強を教えてもらっている。



「はい、行きます!!」

『早っ!』

「許可の降りた正式なデート!これもう決定!雨中のデートも粋ですね!」

『違う、ルル達を救って来てくれ!!頼んだぞ、白岩!!』

「お土産、楽しみにしてください。和菓子ですよね!」

『会話が噛み合ってな~い!でも、おせんべぇを希望する!』



ガチャッ



こんなんで、因心界が誇る三強の一角。

決断した時は早いが、なんというか。任務をデートと勘違いをして、おしゃれに勤しみ出すという行動。大事であるが、向いていない。

とはいえ、同じ本部内におり、白岩のあのマイペースぶりをなんとかしろって事で、こっちは直接。キッス自らお願いしにいった。


「ルルの事を任せるぞ、ヒイロ」

「任せてくれ。迅速に向かう」

「ついでに白岩の事も頼む。敵の能力は、白岩と佐鯨が苦手としているタイプだぞ」

「心配ない。彼女は強い。俺が護る」

「アホの子だから、心配している」


将来的な意味でもだ……。

妖人としては絶大な戦力であるため、学校などにも制限的な登校となっており、迷惑をかけている。

キッスは自分の性格を含めて、白岩にはかなり甘くなっている。


「あまり遅くならないでくれよ」

『分かってるよ、ヒイロ』


プライベートの通信で白岩に連絡を入れるヒイロ。

まだ車を出したりするので、時間は必要だった。しかし、思いもよらぬ人物が本部の駐車場で待っていた。どこかへ出向くのか、それにしてはこちらに視線を送り、向こうから尋ねてきた。



「ヒイロ、出撃命令もらったの?」

「北野川。君もかい?」

「そんなわけないでしょ。ないけど、……」



ヒイロが使おうとしている車ではなく、自分のスポーツカーが今、空いていると誘うようにか。待っていた。


「ったく、使えない連中よね。ヒイロと白岩まで出向かせるなんて。この問題、私達がやるべきもんじゃない」

「……俺は確かに、SAF協会への牽制の任がある。しかし、キッスの指令で俺が出る」

「別に代わろうとか思ってないわよ。白岩に悪いし。……ちっ」


ったく。とか。ちっ。とか。

なにやら言葉を閉じ込める代わりに、文句の小言を発する北野川。


「私が運転した方が速いわ。一刻も早く、行かないとね」

「そーか。じゃあ、遠慮して俺と白岩は後ろを選ぶよ」


本部にいたのは、たまたまであったが。事情を知った北野川もこの戦いに参戦。


「あ、北野川!もしかして、一緒に行く!?」

「行くわよ。ま、邪魔しちゃうかもだけど」

「うんうん!北野川と一緒に出かけるのも、楽しいし!事件解決したらパフェめぐりいこー!助けた仲間も一緒に、パフェパフェ祭だよ!」


白岩と合流した後、すぐに現地へ車を走らせる北野川。

その時にヒイロの方から北野川を含めた、幹部3人で表原達の応援に向かうことをキッスに報告した。



◇      ◇



「はぁ~~……」

「どーした?俺はお前に座られて、絶賛負傷中だぞ?」


雨宿りをしながら、キッスからの極秘指令を受け取った表原は溜め息。というより、自信なし。

それに


「レゼン。ず~~っと、黙ってたの。なんで?」

「俺だってそこまで事が進んでたのは知らなかった。しかし、まぁ。お前にそのことを喋ったら眼が離せなくなる。それはゴメンだからな。それに知らない方が良かったろ」


いや、だったら。

直球を言うが。


「因心界に入らず、レゼンの力で楽して生きたかった。なんでこんなことまで……」

「そーなってたら力は貸さないし。なによりお前、俺と契約した時は自暴自棄だったじゃねぇか」

「あの時はそう。今は違うし」


無理矢理やらされた事の方が多いが、

本当の意味で


「こーいう事ができて、楽しく思えてきたのに。さらにさらに命狙われるとか、勘弁」

「…………わっけわかんねぇ」

「!な、なにが!?」

「いや、死にたかった奴が。今になって生きたいとかさ」

「う、五月蝿い!まだ分からないけど。なんか、こー。みんなの命運?とかを握って、震えてる自分が大半だけど。ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ頼りにされてる……」

「それはない。お前にそんなの期待してない」

「なんだとーーー!!」


さっきの罰でも懲りてないのかと、レゼンの首を絞めてあげる表原。

今、周りには誰もいないから


「………自分は辛いことをしてきたと思う。でも、そんな自分に急に。こんな大きな話がきてさ」


自分語りという名の、自分の心の整理。

レゼンなんかに話して気が晴れるのか分からない。けれど、今。すーっと、心に掛かったプレッシャーを渡すように、話していたと振り返る表原。


「こんな自分でも、生きてきた意味と、やってやらなくちゃって意義。世界中に妖精が降りて、悪い人達と組んじゃったら、お互いの世界が大変なんだから。私が……」

「勇者面するなよ」

「だって……」

「ハッキリ言うが、お前は平均並を目指せ。アホなんだから」

「アホ言うな!」


弱い人間ほど、完璧という言葉を甘美にしたがる。成功というプレッシャー、それが足枷となって失敗してしまう。恐れがある。


「まだ始まってないのに、新たな敵に怖がる顔をすんな」

「むっ」

「俺がついている。あとはお前がマジに本気を出せばいい。常に立ち向かうだけじゃなく、今日みたいに逃げるって発想もできたお前なら、できる。そーいう任務だよ」


もし、たった一人だったとしたら、そんな愚痴というのを悩みのままになっていたかもしれない。

できるという要素を含めちゃいるが、表原の良い面を言って


「アホなんだから」

「さっきからアホアホ言うな~!分かってるよ!白岩さん達と合流して、飛島さん達を助けるのが目の前の問題!!キッスさんの極秘指令は、後回しでも大丈夫だし!そーいう場面が生まれなきゃ、できない任務!でしょ?」

「……頭の回転は早い方だな」



ブウウゥゥゥゥン



雨という天候。それに車の通りも少ない場所。そこに爆音と爆速のスポーツカーが来たら、意識が行くのは当然。そして、それがすぐに。因心界からの応援であることは表原達にも分かったが、


キイィィィッ


「お、も、て」


後部座席の窓から笑顔に出迎える白岩に対して、運転席から怒気が込められた言葉が飛ばされた。


「早く乗りなさい、表原」

「へ?」

「急ぐからよ」


なぜか北野川がいる。しかし、ヒイロと入れ替わり?と思いきや、白岩と手を繋ぎながら後部座席にいるヒイロ。さらに応援が来てくれたのは嬉しいが、よりによって表原が苦手としている北野川。

物凄いスピードで発進、進行。


「わわっ、シートベルト。まだですよ」

「ジェットコースター気分~」

しるし。その言い方は褒めていないよ」


なんか、北野川がキレている。それは運転だけでなく、言葉にもちゃんと出てくる。


「つっかえないわね。逃げ帰るなんてね」

「!むっ」


表原に対しても責任があるとした上で


「それに飛島とルルに、あの災害級のバカまで、なにをてこずってんのよ」


A班全員のミスを指摘する言葉。

こーいう人はやっぱりいるものだ。そして、なにより。そいつができる存在だからこそ……だ。


「北野川。まだ佐鯨くん達がやられたとは限らないよ」

「こーして私達が応援しに来てる時点で、あいつ等は負けよ」


……いや、北野川は勝手に来ただけじゃん。


「私達の身にも成りなさいっての。表原ちゃんはこの前、貸しがあるから良いけど。他3人は罰則ものよ」


めっちゃなんか荒れている。

ヒイロと白岩がいるから、言葉をまだ抑えているんだろうが。



キーーーッ



あっという間に、佐鯨達がいるマンションに戻ってきた表原達。一度出た時とは違い、一掃したジャネモン達がまた溢れ出している。このマンションを護るように、蠢いている。

車から降りた4人。


「うわー、ジャネモンいっぱい!」

「これは一大事だ」

「そうでしょ!飛島さん達はどーなっているかな」


戦闘をしていた形跡はあるが、続いている様子が見えない。とても静かだ。

そして、あまりにも北野川が飛ばして移動するものだから、表原は作戦と呼べるものどころか、話しもまったくできていない。しかし、ヒイロと白岩はすでにやる事を決めていたようだ。

の前に


「白岩。ヒイロ」

「なーに?」

「ジャネモンはあんた達に任せる。江藤とかいう奴はあたしがやる。馬鹿達の居場所を割り出さないといけないからね」


この人、絶対に上司となったら、部下に慕われないだろうな。

組織運営は上手いかもしれないが……。


「オッケー!北野川が来てくれたから、飛島さん達の事を任せられるよ!あたし、苦手だもん!!」

「印……」

「白岩さん。なんで自信満々に来て、苦手とか告白するんですか」

「キッスさんと粉雪さんの2人が強いのは分かるんだが、白岩さんだけは別ベクトルだな」


それにしてもだ。

因心界の№2と、三強の1人。たかが、"萬"の1人を討ちとり、仲間を救出するだけにこれほどの大物が戦い、それを観られるというもの。


「……みんな、気をつけてくれ。なにかいる……」

「?敵の江藤という妖人じゃないですか?」

「奇襲が得意な相手だからよ」


ヒイロは現場についた瞬間、なにか意味深な事を気にした。

そんな後ろめたい事なんか気にせず、初っ端から白岩がど派手に暴れる模様。やるべき事はこのマンション内に隠れている敵を、炙りだすこと。嗅覚で探るような事もできないであろう、白岩がどーするつもりか。

内容が気になるレゼンと、羨ましい妖人化にワクテカしている表原。


白岩はあの通信アイテムを取り出し、その向こう側にいる妖精と連絡を取り合う。



ピロピロリン



そして、ヒイロもまた。通信アイテムを取り出し、力を解放する。

……なぜか2人共、同時にやっている。いや


「え?」

「やっぱりか」



表原はやや困惑な表情で白岩とヒイロを眺めていたが、レゼンはなんとなくそう思っていたが。確証がとれなかったため、この時までその言葉を隠していた。

白岩とヒイロが同時に、声を挙げる


「『愛してる』」


白岩の通信アイテムのディスプレイからは、ピンク色のハートマークが噴水のように溢れ出し、瞬く間に白岩の体を覆い始めていく。それと同時に黄金の光を放ち出す。

一方でヒイロは、体全体が赤く輝き始める。同時に妖人化。


「ちょっ、ええっ!?」

「ツッコミ入れるな、なんか分かり辛い」


バレリーナのように白岩の体はゆっくりと美しく回りながら、着ていた服が消えていく。左腕、右腕、脚部と順々に、可愛らしいハート重視の妖人化のコスチュームが発現していく。

一方で、ヒイロは騎士の格好通り、白岩の妖人化を護るように構える。


「『繋がる力に愛を込めよ!』」


回転が止まると同時に両手の指でハートマークを描くと同時に、あの立派な胸をしっかりと覆い、太もも程度までの丈に抑える半袖ワンピース系のコスチューム。髪も新たに結われ、髪飾りも変化。

この長い変身の隙を突かれないよう、ヒイロが護っており。


『愛のメタモルフォーゼ!』


ヒイロはさらに内に秘めている力を解放。

そして、白岩はイヤリングまで装飾済み。まつげも少し伸び、口紅も入って大人らしさも演出。


「みんなの愛を繋ぐ!"レンジラヴゥ"」


変身ポーズもキッチリとって、完了。

つまりは


「ちょっとーーー!!ええぇぇっ!?なになになに!?どーいうことをぉぉっ!?レゼン~~~!」


あまりの展開に表原の頭はついて来れず、レゼンを振り回している状況。負傷していることを忘れている。


「いででで、いや。見たまんまだろ」

「見たまんまって……ええっ!ヒイロさんって!太田ヒイロさんって……」

「そうだ。間違いなく」


正直、表原の中では。因心界随一の良い人+イケメン系、男性であり、ちょっとだけ憧れていただけにこの現実はショックだった。そういや、車の中で仲良く白岩と手を繋いでいた事を思い出す。

一方でレゼンも不覚を感じながら、思い出していく。


「妖精だ」

「人間の妖精っているんですかーーーーー!!?そんなの有りーーー!?」


白岩印。

妖精、ヒイロ。騎士の妖精。

戦士名は、レンジラヴゥ。


「思い出した。いや、思い出せなかった事が悪いな。そーいや、妹がファンだったな」

「へ?」

「"聖剣伝説Ⅱ"の主人公。妖精の国にいた、とてつもない力を秘めた妖精で、その実力は滝を4つに叩き斬ったり、不正を行なう妖精達の100体斬り、最強剣士とも呼ばれていた。モデルとなっている妖精が因心界にいるとは聞いた事あったが……まさかな……」



レゼン本人も驚いている。人間を模した妖精は、自分達エルフ系よりも珍しいタイプ。ほとんどは物体や物質に宿ったり、生物でも小動物のような妖精が多い。

人間ほどになると大型扱いの妖精。知的性も含めれば最上位。

初めて出会ったのがヒイロであるほど、幻と呼ばれるほどの妖精だったのだ。



「サザン様はかなり特殊なタイプの妖精だったが、ヒイロは違うな。セーシさんと似た、正統派の強者だ」

「あのセーシさんと同列って表現、ヒイロさんに凄く失礼かと?」

「……見た目はそうだな。力以外で完全敗北してるかも」



野花のエクセレントチェリーが圧倒的な強さを誇っていたのには、セーシの力が大部分あった。

だが、白岩の秘めたる資質とヒイロの秘めたる資質は、五分五分。それも互いに認め合い、高め合えるという協力が強力となる。因心界、"最強"と"最強"のタッグ。


強い奴が強い。どシンプルな強さ。


レンジラヴゥの強さ。

それを象徴するように。


「愛の光より、集まり鋭利となせ!」


レンジラヴゥの通信アイテムが光り輝きながら、具現化されていくのは剣。ヒイロが握っているとお揃いの剣ではあるが、纏っているオーラ的なものは遥かに凌駕している。


「け、剣なんか出してどーするんです?」

「さぁな」


ヒイロが妖精であり、武器の具現化を見るに。普通ならばそれが能力だと勘違いする。

無論、レンジラヴゥの能力は、武器の具現化じゃない。


"自身の妖精と近くにいるほど、身体能力が強化される"


つまり、今この場。手が触れ合えるほど、近い距離での力は。



ドオオオォォォォォォッッ



「え」

「ぉぉっ」


初めて見る、体験する。表原とレゼンは当然、驚愕する。

縦斬りにしたことで"上下への衝撃"だけで済んでいる。

マンション内でいたジャネモンの群れは、あっという間に2分割にされ。その余波とついでか、マンション全体も合わせて同方向に斬られては、宙へと舞っている。

地面も数十メートルは深く切られている。だが、何よりも高さだった。この大型マンション、15階建てを下から上までキッチリと斬りとしただけでなく、唐突に太陽の光が差し込むほどだったのだ。

この雨の天気の中、それが起こったこと。



「ええっ……」



雨雲までも斬られているほどの、超範囲の切断。

剣が伸びた?いいや、振っただけで起こった衝撃波。まだ斬られたマンションが地面とぶつかる事もなく、静寂。



「静かに」


北野川が口に人差し指を当てて、耳を澄ませている。

その中で確実に聞こえたのは



「な、なによ。一体ーー!?」



わずかな人の声。叫び。




ドガアアアァァァァァァァッァァッ



大型マンション全ての敷地がレンジラヴゥの攻撃によって、斬り落された。

その時、物凄い力を地下から感じたヒイロ。一方で、北野川はその気配に気付く事なく、目的を果たすために聞いた叫び声。つまりは江藤の元へと向かう。奇襲を仕掛ける者ほど、奇襲に脆い。


「ぎゃーーーー!!なんなんですか!この攻撃ーー!?」


表原だけは一般人感覚で驚き、当然のように尻餅をつく。

地下の空間が地上と繋がった事で、巧妙に隠していた気配は漏れ、やってきた相手に対してやる気満々。隠れる事を止めた者。


「!!」

「こ、この気配!」

「やはりいたか、この湿った気配」



なぜここに、コイツがいるのか分からない。分からないが、この時ばかりは自分達が本気の状態で相対できる事に感謝している。無論、相手も唐突ながら、そのことを微笑んでいるだろう。



ヌチャァッ



このマンションの地下から這い出て来たのは、それはこのレンジラヴゥですら、警戒という態勢をとらざる負えないほどの怪物。現在の見た目同様に、実力も無論。


「まさか、お前が来るとはな。少し前なら喜んでいた」


その言葉はマンションを叩き斬ったレンジラヴゥではなく、その相方である妖精、ヒイロに向けて放っていた。


「"俺"は失望していたんだ、こんなに弱いお前をぶちのめそうとしていたなんて」

「……いつ失望した?」


久しぶりに会うと、お喋りになってしまうのはそれほど、深い関係がある。

地下から出てきた数十mの生物。それもヌメッてしていて、顔も不気味でしかない。初対面の表原が悲鳴を挙げるのはしょうがない。どストレートな言葉を言ってしまう。無理もないが、妖精だとしても、これほどのアレは初めてだったからだ。


「ぎゃあああぁぁっ、なんですか!?なんですか!?巨大ナメクジぃぃっ!!?気持ち悪いぃぃっ!!」

「!っ、この妖精は……」


敵意を剥き出しにされている事もあってか、吐き出された実力は殺意を含めて、レゼンがこれまで体感してきた妖精の中でも、凶悪性に富んでいた。自分より格上という事実だけでなく、そのものがどれほどの実力者なのかを測り切れないという、異常事態を起こすもの。

同じ組織にいて、アイーガとダイソンを見たが。それらとは桁がまったく違う存在。あの見た目、生物から見て、間違いないと名をもらす。



「シットリだ」

「いやっ、めちゃヌメヌメしてる!ヌメりまくった、ナメクジだよ!あれ!シットリって!?全然、容姿と名前があってないじゃん!!」

「SAF協会の、ナンバー2の妖精。シットリ」


この絶望感の空気をツッコミ1つでぶった切ってくれる表原が少し、空気を入れ替えてくれる。

やたらと一般人に文句やイジメの声を飛ばされているわけだが、今のシットリは何か様子がおかしく。


「あれが噂の妖精、レゼンか。そして、その隣にいるのが、アイーガを倒した表原。姿は覚えた」

「なんか怖いこと言われたーーー!?っていうか、人語を喋るナメクジーー!?」


妖精の声は、適合者以外には聞こえなかったりするものだ。無理矢理に人間と適合し、そいつに話させるというパターンもある。レゼンやヒイロはエルフ系や人間というタイプのおかげか、ちゃんとした口と声帯気管を持っているわけだが、このシットリはどうやらそれすらなく、人語を喋っている摩訶不思議。


「シットリ!なんであなたがこんなところにいるのっ!!まさか、」

「変わらず利口ではないな、レンジラヴゥ。聞くより試してみるといい」

「!!」

「私の目的はすでに達成されたのだ。そして、俺の目的の1つも今日、果たされる」



ドゴオオオォォォォッ



「ヒイロ!!貴様の命、この俺が決めているんだ!!なのに!!クソゴミに大恥かいて負けた事、許さないぞ!!」



シットリの激昂と共に、レンジラヴゥによって切り裂かれたマンションの瓦礫の中から現れたのは、巨大なタコの足のようなものだった。その動きはウネウネと動きながら、早い。だが、



スパァァッ


それよりも遥か先を行っている、レンジラヴゥの方が迅い。握った剣でその足を斬り落とした。まだ地中深くにこいつはいるが


「ジャネモンだね!表原!!逃げて!!シットリはヤバイ!!ヒイロ!!」


このアホな子が冷静な対処と指示を出すなんて、別人かと思ってもしまう。本能なんだろう。

そして、ヒイロは冷静な表情をしながらも、闘気を隠さず


「レンジラヴゥ。シットリの相手は俺がする。あいつの出した、ジャネモンを頼む」

「そうでなくてはな、ヒイロ。お前との殺し合いはこうでなくちゃいけない。でないと、俺は俺じゃなくなる」


ただの救出作戦がとてつもない死闘となる。

だが、そんな急転こそ。そんな偶然こそ。人生にあるものだ。妖精を含めれば、全ての生きるにか。



「ヒイロ。これ以上の失望は、死ねだ」

「想像以上の力をつけたようだが、今の俺には印もいる。愛を知らないお前には負けない」



ヒイロ VS シットリ



「じゃね~~~もん」

「巨大なタコ型のジャネモン。この前に戦ったジャネモンと、なんか似てる。強い」



レンジラヴゥ VS タコ型のジャネモン



「さっきからいきなり、なんなのよーーっ!教えなさい、シークレットトーク!!」

「教えて欲しいのはこっちよ」

「佐鯨達は無事なんでしょうね?」


シークレットトーク VS ルービュル




「……あ、もしかして。あたし達は休みか~!やったね!」

「というか、表原。今日、3回目の妖人化をしたら吐くどころじゃないだろ」

「そだね!いやー、つまりは……」


表原麻縫とレゼンは、お休み!!見学!!


「あっ!ちょっと待って!人間状態だと、メチャクチャ危険じゃん!!ヤバイじゃん!命が危ないじゃん!!」



挿絵(By みてみん)

雑談:


表原:あ、あれ!?まだCパートが残っているのに、挿絵が付いてる!集合絵!

レゼン:時々、キャラ紹介以外でも挿絵を入れようという考えらしい。

表原:レゼンもようやく姿が公開されたね!左下!17話の戦いの組み合わせに、背景に私がいるんだね!で、私はなんでこんなポーズをとってるわけ?

レゼン:この時、寝ポーズを練習していたかららしい。雑誌のポージングを参考にした結果だ。

表原:ふーん。右下はシットリで、……右中央は、さっき私達が会った人だね!まだ名前が出て来てない。

レゼン:シークレットトーク(中央上)とレンジラヴゥ(左中央)はまだ、正式なコスチュームが現時点で完成していないから、修正する予定。

表原:あ、次回の挿絵というか、集合絵は佐鯨さん達男性メンバーなんだね!投稿は20話の予定!

レゼン:いつものキャラ紹介的な挿絵にも今後、マジカニートゥやクールスノーといった、個々の妖人化した姿を正式に投稿する予定だ。

表原:………ねぇねぇ、プリキュアを参考に私達の妖人化のデザインをしてるみたいなんだけど。それってキモくない?

レゼン:……そう言うな。本人も、恥ずかしがりながらも、参考にできるものは使うし、練習するとのことだ。

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