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MAGICA NEAT  作者: 孤独
第2話『雪雪降れ降れ!網本粉雪さん、マジカニートゥをフルボッコ!』
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Bパート


フロントガラスの大きなヒビは、確かに人の形をしていた。

わずかに道に落ちている血の跡。


「何かにぶつかったんですよ!」


トラック運転手は語る。

そして、そうとしか言えない事故の爪跡。


「衝突前に声も聞こえたんですけれどね。何も見えなかったんです!ホントです!」



警察もこれにはお手上げと言ったところか。

しかし、それの答えをすぐに教えてくれる者が現れる。


「それはきっと妖人の仕業でしょうね」

「!野花さん!」

「おおっ!"因心界"の方がいらしてくださいましたか!」

「ご苦労様です。警察の皆様。あとの調査は"因心界"が対応致します」

「はっ!」



"因心界"


それがこの社会を支える1つの巨大な組織。


「キャスティーノ団の可能性もあります。我々も全力で対応していますが、今回。管理が行き届いていない不手際、真に申し訳ございません」

「いやいやいや!超常現象に真向から対応していただいてる、"因心界"を否定するわけじゃありませんよ」

「はい。人に宿る力。それを使うのが何も持たない、人。人がどう使うか。そこでしょう。"因心界"はその管理を真っ当していただいている」



警察だけでなく、国家との連携も深い。妖精の国からとも連携ができている。

管理が行き届き、人間社会と交えられる武力集団。



『話は分かった。そいつは透明になれる能力を持っているわけだな?』

「そうみたいですね、キッスさん」


たまたま現場近くにおり、素早く駆けつけた野花。警察と連携し、事故を手早く処理していく中。"因心界"の本部に連絡を入れる。同時に粉雪からの要望も伝えた。


「粉雪から、索敵しても宜しいか?っと。さすがにそう遠くまで行ってないとの判断です」

『ふむ。交通網がグチャグチャになるが、放置するわけにも行かないしな。構わない』

「分かりました」



涙キッスの了解を得た。それを見越して、すでに粉雪は準備を整えていた。

大空に残るは雪雲。



「OKだって、粉雪」

「あんまり手間取ると、交通ストップどころじゃないからね」


シンシン……


粉雪の雪が都会に降り注ぐ。

事故現場の検証により、相手が透明である事実以上の事は分かっていた。


「血はそこまで流れていない。奴は生きている」

「雪で細かく人を特定できるの?」

「個人個人はさすがに無理だけど、常に位置の特定さえできれば十分。奴は高速で動き回れるはず、そいつを特定して追いつき捕らえる」



殲滅に特化した戦闘機みてぇな事を軽々しく言う粉雪。クールスノー。

彼女がその程度で収まるなら、甘く安すぎる考えであろうが。

降り始めている雪の数々がレーダーとなって、透明化していようと特定できる。距離を詰めれば、透明化など関係はない。




◇      ◇



クールスノーの言葉通り、マジカニートゥは生きている。

そして、高速で走っている。いや、高速で頑張って帰宅を目指す。

トラックにぶっ飛ばされること、20mほど。そこから起き上がって、すぐに高速道路から離れる早業。彼女にとって、トラックにぶつかった時は死を感じたが、うっかり見えない綺麗なガラスドアに、全力疾走でぶつかったくらいの衝撃で済んでいた。


「や、やっと。制御できる感じになった!」

「いい加減、家に帰れ」



それでも頭から血を流し、腕を骨折。胸骨もいくつかイッた。

すぐ動ける程度のダメージで抑えたに過ぎない。



「これホントに大丈夫なんですかね!?もらしてて、怪我してるんですけど!!」

「大丈夫だ。すでに大丈夫じゃない」



今、人間に戻ったら死ぬだろうか。だが、今が凄く苦しくて痛いのだ。

それでも家に帰るという思い。


「もうどうとでもなれですよ!」


ヤケクソ。その生き方である。

すでに色々あって、迷子状態という悲しい存在になっていた。帰る方向を見失い。電車に乗ろうにも、金もない。


「無賃乗車しろよ」

「で、でも!こんな姿で透明化が解除されたらヤバイじゃないですか!1時間しか持たないんですよね!?それまでに家に帰れる自信がないです!それに、匂いとか残るんじゃ」

「……そうかもな。確かにキツイ臭いをしている」

「いちいち言わないでください!できるかぁっ!」


コッソリ帰りたいのだ。この透明能力でこっそり帰りたい。

それを願っているのに、まったく成功する気配がない。



「はぁっ……」



やっぱり何をやってもダメなのかもしれない。


「あたし、やっぱ。ダメかも」

「ダメじゃなかった時あるのか?」


トドメ刺しとる……。

そんな言葉に反論できない辺りが、希望の欠片のない表原のこれまでの生き方ということだろう。


「良い事なんてなかったなぁ」

「14年だけ生きてて、人生を知った被るな。そんなことは死ぬまで思うな、バーカ」

「レゼンは励ましたいの?それとも、貶したいの?」

「両方ない。それが羨ましいんだよ。俺達妖精はな。人間に妖人化してくれないと、死んでしまうんだ。でも、妖人化したからといって絶対に死ぬわけでもない。この辺のところは、家に着いたらゆっくり話そうと思うが……聞きたくないなら、帰るのを止めればいい」

「……体が痛いし、こんな姿で死にたくない」



なんでこうなんだろう。

人生、訳わかんない。どうして、生きているのか。それを考えてしまう人生のルートに来てしまった、表原。


シンシン…………



「まだ人生って楽しめるのかな?」

「!!ちょっと待て、そんな事どーでもいい!」

「え?」


唐突に話を区切られ、自分語りという。1つのストレス解消を閉ざされる。



「この雪は……まさか……」


それは希望だろうか。それとも絶望だろうか。

透明中という状況下を考えれば、それはあまりにタイミングが悪い。どーしてこーなったか、分からない。



「!見ーつけた」


雪が周囲の物に接触。本来、落ちるはずのところに落ちず。雪が人でありながら、人とは異なった動きをした者を感知する。相当遠くからの追撃であるが、一度掴めば逃がさない。

相方の野花を置いて、クールスノーは単身でマジカニートゥに直行する。


「と、透明化を解除できないか!?」

「え!?」

「この雪。おそらく、クールスノーの技だ!つーか、知らないのか!?」

「ク、クールスノー?」

「網本粉雪だ!!奴の名は、妖精の国にも名が轟いている!"因心界"の幹部、"十妖テウスエル"の1人だ!」

「!あ、網本さんって。確か……」


妖人という存在はとにかく希少。都市伝説とも言えるレベルのところもある。

故にマジカニートゥが知らなかった事もあり、網本粉雪は知っているところもある。



◇      ◇



「不当な妖精の人間界の進出はこれまでの秩序を乱す事である」


サザンは危惧している。


「先に述べたが、妖精は力を与えることがほとんどだ。それが人間社会を掻き乱し、妖精の社会をも乱す」


故にこの問題を解決せねば、混乱と暴走は止められない。

涙キッスに頼み込んで、この事件の解決に協力していた。無論、人間界もそれに取り組んでいた。


「当然、処罰。処理すべきことです。"妖人"は人間という生物を何十倍もの成長で生きてしまうものです。これが平然と起これば、我々の管理外を超えて、お互いの破滅にも成りかねない。事実、キャスティーノ団などとの反社会的組織も形成されている。最近の事件の多くが警察や国、法の範疇を超え、"妖人"はもう都市伝説や噂などにも収まらなくなってきている」

「済まない。私が人間界で活動できれば、もう少し協力できるのであるが」

「私の大切な家族を巻き込みたくはありません。サザン様も私の家族と同じですよ」

「そうかな?」



時間が進めば、時代は変わり行く。

正義にも様々あり、伝統を重んじるか、革新に行くか。



「今、私の他に網本粉雪が、"因心界"に所属している事が幸いです。彼女には社会的に強い影響力も有している。ただ強いだけではなく、人間界のヒーローとして活躍してくれるのが嬉しいことだ」



網本粉雪。クールスノー。

彼女の名前は2つ共に有名である。その名だけ見れば、涙キッスよりもだ。



因心界のエースとして、クールスノー。

そして、人間としての網本粉雪は……



「若くして政治家も兼ねている。ただ単純に強いだけじゃなく、人間社会における情報網と多くの後ろ盾を持っている」




◇      ◇



「テレビやネットによく出てくる有名人ですよね」

「そうらしいな、サザン様から聞いている。というか、"因心界"の最強候補として有名だ!涙キッス、白岩印しらいわしるし、そして、網本粉雪。この三強がいるからこそ、人間界における正当な妖人組織と言える武力なんだ!俺がいるとはいえ、今のお前じゃ足元に及ばない!」



その解説はまるで敵が説明するかのようなものであるが、半々である。


「と、透明化を解除しろ!クールスノーに説明して降伏するんだ!!」

「はい!?」

「俺が向かうところなんだ!だが、向こうは俺を知らない!!透明化したままじゃ、何言ってもしまらないどころか、攻撃されるぞ!」

「解除って……え!?このジャージを脱ぐんですか!?」

「脱げよ!それで解除されるはず!」

「ちょっと!もらしてるのに、人くるわけですよね!できるかぁ~!恥ずかしい!!」

「この姿で戦う方が恥ずかしいわ!負けた瞬間も考えろ!無理だ!戦う理由もねぇのに!」



迫ってくる事と迫られる事で意識の違いがある。レゼンがヤバイと伝える意識と、マジカニートゥの甘い意識は違う。その認識よりも高みにいる、クールスノー。

脅威的な身体能力という点では、彼女には凄みがある。



「!」


クールスノーが視界に捉えたのは、雪の積もりが明らかに見えないのに人型というもの。


「あ、人が……」

「!!」



見えていないという事実がある以上、マジカニートゥの意識が鈍く。認識の違いがある。見えていないという安心感と不安感が、互いにズレる。先制は当然としていて、クールスノー。



ドゴオオォォッ



マジカニートゥを正面から着地と同時にアッパーカットで上空に打ち上げる。

拳の一撃であるが、トラックに衝突した時より激しく来た。



「っ…………」

「やはり、透明能力か」


姿を見せないとあれば、クールスノーの殲滅するという意識が剥き出しになる。

重なった傷の数々に追い討ちをする。



「マジカニートゥ!しっかりしろ!」


レゼンはマジカニートゥの服をキッチリ掴み、声を掛け続けるが。あまりに見事な一撃で意識がぶっ飛んでしまった。それを対峙している者達が気付かず、動きを封じたところで脇腹を突き刺した飛び蹴りで、さらにぶっ飛ばす。

人間とはいえ、妖人。それを軽々と蹴り飛ばし、マンションを貫通するほどの威力で蹴り飛ばすのは異常。その一撃で



「うわぁっ!?」



しまった!

マジカニートゥと離れたせいで、俺の透明化も消えた!マジカニートゥの姿も俺からじゃ認識できねぇっ!



「姿を隠すのは結構な事だけど、出て来ないのなら見えない死体として片付けるわ」


身体能力のお化け。

乗り込んでいるマシンは化け物スペックの差であろうと、運転手の力量が本来覆るはずのないマシンの差を軽々越えている。素人以下と百戦錬磨の違いはこーいうものか。

一瞬の隙が、どれほどの実力差を覆すものか。弱気の発想とも言うが、慢心なく、躊躇も抱かず全力で叩きに来る。姿が見えないとはなんと皮肉を事を作るのだろうか。


「止めろ!!」


レゼンの声は戦闘中のクールスノーには届かない。真剣なる戦闘において、住民の安全はもちろんであり、第三者の声を拾うよりも率先して動く方法が確実に救えるからだ。

人間でなく、妖精である事も含めれば、無理。そして、離れていく。




ドヂャァッ



「頭かな?」



ドゴオオォッ



握った両手の打ち降ろしが、マジカニートゥの頭蓋骨を見事に叩き。地面にクレーター生んで、見えずともに埋まった形を作った。戦闘センスの光る攻撃にもう数秒で終わろうという時だ。



グイィッ



「!」


マジカニートゥの首根っこを掴んで、ようやく透明になっていた彼女の姿を見たクールスノー。


「……なにこれ?」


自分が与えた傷が思っていた以上に深く。それよりも大分傷付いていた体。


「こいつが……。涙キッスが出迎えろって言ってた奴かしら?こんなにあたしやっちゃった?」


敵か味方かも分からず。透明になっていた以上、実力行使をしたクールスノー。

このまま病院に連れて行けばいいか。



「おっと、本体よりも妖精が第一と言っていたわね」



妖精にも色々いるから。そいつが自立行動タイプで戦闘向きの可能性もある。となると、この子は手元に留めておいた方が良いか。本体がやられると妖精の寿命も奪われるわけだからね。

そいつがどうやら、あたし達を上回るって言う話し。殺したり浄化する気はなかったけど。



クールスノーは警護のような守り方である。


「手を離すと透明になる能力のようね。ホントにヤバイのかしら?」



経験上。そう遠くないところに妖精はいる。

向こうから声を掛けてくれればいいが、


ピリリリリリ


『粉雪』

「野花。例の妖人ちゃんを捕えたわ。ちょっとやりすぎちゃったけど、回収を手伝ってくれない?まだ妖精を見つけてないのよ」

『了解。粉雪のGPSで追うから安心して、捕まえてて』

「うん、さっすが相棒」


挿絵(By みてみん)

次回予告



表原:ぐわーー、めっちゃ痛い!こんなに殴られたの初めて!

レゼン:なんとか生き延びる事ができた……命拾いした

粉雪:もーぅ、隠れてるから手加減できなかったわ

表原:謝らないんですか!?

粉雪:ふふ、いや。なんか楽しみな子が現れたって感じ。嬉しいのが勝っているの。一緒に戦う日も近いかも

表原:いやいやいや!あなたに完全にボコられて、病院送りの入院確定コースです!

レゼン:トラックに撥ねられたより重傷を負ったぞ

粉雪:それでも次回はやってくるのよ。さー、次回は?

表原:『私の決意表明、これから生きてみます!その後に寿命宣告だーー!』

レゼン:これは次回で表原の命が終わるんだな

表原:なんでまた、私が楽しめないタイトルなの!?



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