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MAGICA NEAT  作者: 孤独
第15話『”聖剣伝説”の再び、激闘の因心界VS萬!』
36/267

Bパート

「ごほぉっ……ごほっ……」


因心界本部の召集でやってきたわけだが、ダイソンとの死闘から間もない時に足を運んだ表原。

少し体調が優れていなかった。

朝から咳き込んでおり、体に寒さを感じ取っていた。


「いくら体が奇跡的に戻っても、ダメージの全てを取り除けたわけじゃないからな」

「うん……そうっぽい」


それもあるだろうけど、寿命が近いことにも起因しているのかもしれないと、表原は後ろ向きな事を思っていた。

ダイソンと戦う前はそんな体の異変を感じなかったが、不安を一度経由したこともある。

表原の様態は聞いているが、それよりも大事な話をしている飛島達。


「ラクロでの追跡はできるが、車やバイクでの移動を考えると私達では難しいな」

「合同でやるつもりはないわよ」


呼び出されたA班もB班も、キッスにお説教される形でなんとしてでも岱勿を捕まえるように指令を出された。

とはいえ、逃げるのが上手い相手。隠れた相手を捜すのには飛島のラクロは適しているが、この手の問題には不向きであった。故にB班の3名がこの事態の解決の鍵を握る事となった。

特に



「岱勿が狙う店を張って追跡する」



北野川話法。



「そう簡単に分かるものなの?」



蒼山ラナ。

この2人の能力が要となる。


「シークレットトークの能力は、相手を捕まえてないとできないんじゃない?」


説教で済むのならそれでいいやと思っている、野花。

上手い事、北野川と蒼山の2人でこの事件が解決する事を願うか。あるいは、飛島達が捕えてくれることを願っていた。

対象者の秘密を知る事ができる、シークレットトークの能力ならば、先回りも不可能ではないが……。

その秘密を知っている者を捕まえる必要性がある。


「私の流儀に反するけど、犯罪者相手に正々堂々なんか言ってられないわよね。あ、表原ちゃんにもこの機会に見せてあげるわ」

「は、はい?」

「ついてきなさい。飛島と佐鯨は来なくていい。あんた等は待機してな」


北野川はとある方法で岱勿の居所を探ろうと考えていた。

こいつを使えば他の"萬"の居所も分かるかもしれない。

表原、野花、蒼山の3人を連れて、北野川が向かった先は



【拷問部屋】



「な、なんでこんな部屋が本部にあるんですか?」

「敵から情報を引き抜くためよ。生かしている敵がいるのよ」



北野川専用の部屋とも言えるところだ。


「私ね、ショタ辱めるのが好きなの」

「それっぽい雰囲気だと思ってました!!」

「ホント趣味の悪い奴……」


凄く嫌悪な顔をする野花と、分かっていた感じがした顔の表原。

しかし、一方で……。


「はぁ、はぁ……僕、下着以外にも変な興奮してきました」


蒼山は妙な意識をし、野花と表原を引かせるのであった。そんな、他者の意見など気にする事無く。北野川は中にいるとある男を呼び出した。


「韮本く~ん、調教のお時間ですよ~」

「ひ、ひゃぅ」


以前、北野川が捕えたキャスティーノ団の構成員、韮本模葉。

口に拘束器具をつけられており、半裸となって檻の中で過ごされている惨めな生活ぶり。ペット用の餌入れに食事を置いていたような形跡があり、韮本の手には汚いながら残りカスもついていた。



「うぇ……」

「別の意味で気分悪くなるな」


眼を逸らしてしまうほど、捕虜に対して酷い扱いをしている。慣れのない表原にとっては今の体調と相まって、キビしいものだった。北野川はこれを分かっていて見せている辺り、ホントに嫌な性格をしている。

北野川は檻の中にいる韮本のおでこをなでなでしながら、


「よーしよーし、いい子にしていたわね」

「はっ、はっ、はっ」

「すっかり調教できてるのね」

「当たり前でしょ、玩具なんだから。とはいえ、今日はこの子を処分する事になるんだけど」


死の宣告を何気ない日常会話に盛り込まれること。韮本の顔が青褪めながら、北野川に媚を売っていく。

人ながら犬のように転がって機嫌をとり始める。もうまともな言葉も喋れない体に調教されていたのだった。


「はっはっはっ」

「あはははは、可愛いー」


どこが?


「でも、ごめんねぇ。次の玩具を仕入れると、あなたのスペースが邪魔になるの。カミィ」

『ほいにゃ!』


北野川は手鏡を取り出した。表原は初めて見る、北野川の妖人化。

北野川とカミィの心を通わせ、向かい合って動き、意味を伝え確認する。


「『Talk Dancing、"シークレットトーク"、オ・シ・エ・テ・ネ』」


するとどうだ。北野川の隣に別の人間が現れ始め、北野川の服装や髪色なども変化し始めた。


「君の知ってる秘密を搾り取るから」

「心も一緒に知り尽くしてあげる」


1人が2人になるという、その独特過ぎる妖人化。

表原もこれには驚きながら、ちょっとムッとしていた。理由は分かっているとレゼンは溜め息をついてしまう。


「北野川さんの妖人化。結構当たりじゃないですか。あたしとしては、蒼山くんの方がいいですけど……」

「やっぱり僕の事、褒めたくなる?」

「いや、あなたはまったく褒める気ないです。あなたの妖精、フォトくんを褒めてるんです」

「ショックだー!!」

「そんなこと言いながら、ポケットに入れてる誰かの下着を弄ってるんです!?」


というか、……。

それなりに幹部であるからか、妖人化の変身シチュの当たり率も多いのかと思う表原。

白岩が大当たり、続いて蒼山、その次に今初めて見た北野川。

普通な感じである古野。ちょっと変わってるくらいのが、飛島。

大きく外れているのが、自分と粉雪。あと録路のナックルカシーか。


佐鯨の妖人化をまだ知らない表原であるが……。変身コスは当たりの部類であるため、普通というラインだろうか。

ルルはどっちかというと当たりかもしれない。

ヒイロとキッスはまだよく分からない……。


「あ」

「?どーしたの?」

「いえ、なんでもないです」


隣にいる野花の妖人化も知らなかった事を思い出す表原。妖精は、ちょっとその、バイブというとてもまだ自分には早すぎる代物、セーシを扱っていた。

野花さんはどっちなんだろうと思った時、シークレットトークの能力が韮本に向けられた。

くすくすと、嘲笑う表情と声とともに



「こーんな惨めで」

「生きてて恥ずかしくな~い?」

「もう死ねば?」

「死ねるのかな~」


シークレットトークの2人は韮本の前で会話をする。その姿は女子達の噂話、陰険な内緒話を見立てるようだった。表原も嫌うそのグループ的な光景。


「"萬"の連中って知ってる?」

「知ってる事?名前は、岱勿弁刃」

「イムスティニア・江藤、茂原伸」

「えーっ、なにそれ。あたし達、それ知ってるんだけど。もっといい秘密教えてよ」

「電話番号とか、よく使ってるアジトとか」

「特に岱勿のことを知りたいんだけど、知らないとかゴミじゃない。あんた、仲間からはぶられてるんじゃない?」

「別にあなたが知ってる秘密じゃなくても~」

「岱勿のことを知ってる人とか教えてもいいのよ」



会話を続けているというちょっと不思議な光景。

野花が分かりやすく、シークレットトークの能力を表原に教えてくれる。


「人の秘密を知れる能力なのよ」

「うわぁっ……やっぱり。話しは聞いてましたけど」

「あーいう感じで相手に話しているところを見せること、聞かせることで、二人は対象者の秘密を探れるの。隠し事はできないし、記憶や記録でもないから、対象者が覚えてなくても過去の情報を得られるそうよ」

「そ、それ。めっちゃ嫌な能力ですね。自分の黒歴史を知られるなんて、嫌です!」

「カミィは性格も悪いからな。それと合わさるように北野川も性格が悪い。似ている二人が力を合わせれば、それだけの能力になるってもんだ」

「レゼンくん、辛口じゃない。合ってるけれど……」


好戦的な人物と好戦的な妖精が組めば、互いの力をさらに引き出すものだ。

搦め手を好んでいる両名だからこそ強力な能力になっている。


「僕も盗撮だって趣味だからね。フォトとの連携はバッチリだよ」

『写真大好きだし。ボクを活かしてくれる蒼山と組めて、嬉しいよ』

「お前等とあたし達を一緒にすんな!!」

「牢屋にぶち込まれなさい!!根に持ってるから!」

「蒼山くんは性格がサイッテーです!!あなただけは取り得がありません!!」


なぜだか蒼山の機嫌が良いことに、なんか腹が立つ表原達3名。

機嫌が良いのも当然か。

なにせハーレム状態だし、頼られているというなんとも言えぬ、至福感。ちょっとした疑似モテ期を満喫中。

表原ちゃんはあまり可愛くないが、この中で最年少とあって、そこからくる可愛らしさがある。隙だらけだし、その自然さあるパンチラショットも良いものになるかもしれない。将来有望な女性幹部になるなら、パンチラ写真は売れるんじゃないかな?

北野川はツンツンかつ陰険、どS。言葉責めも体で訊くのも上手い、若き女王様。オシャレしてるのと鼻を安らげてくれる匂いは良い。エロい下着着けている時があるのも、知っている。今日はその日かな?

野花はナイスバディ。それを隠している格好がなんとそそられる。持っているプロポーションも、選ぶ下着も素晴らしい。野花財閥のご令嬢だったというのも、ポイントUP中なんだよな。

この3名を見てると、やっぱり。最終目標の網本粉雪と涙キッスのパンチラショットを必ず、ゲットしてみせる。そんな勇気が湧いてくる。僕が因心界にいるのはそのためなのさ。


「はぁ~、……今回の任務は良いなぁ」


飛島もいないし、佐鯨もいないし、古野さんもいないし。

僕って今日。すっごくツイてるんじゃないかな?


「えへへへへ」


端から見ると、韮本が辱しめられていて、それを見る事とされている事に興奮しているのかと思うと……


「マジキモイんですけど。野花さん、なんとかしてください」

「たぶん、無理よ。あたし達の罵倒でも喜びそうな感じがするわ」


率直な感想も通じない。このB班と表原に、蒼山を止められる者がいないのが残念である。

とはいえ、蒼山が上手い事変態的な行動と発言の数々によって、それよりも残酷な言葉のイジメ



「まったくダメねぇ」

「排泄するだけの生物」

「足を引っ張るクズ」

「そういないほどの、無能ですね」



そんな言葉がマシに思えるほど。中々に惨い内緒話によって


「あっ、ぁー……」


自信や希望を奪われ、瞳に光を失った韮本はこの人生の全てから離れていった。

完全な廃棄処分。

シークレットトークを解除し、北野川に戻れば


「十分な秘密はとれたわ」

「あ、あの……彼。倒れてますけど」

「心を圧し折ったのね。もう二度と活動できず、死んで行くんでしょ」

「えっ!?」


そう訊いてもピンと来ないが、恐ろしさがヤバイことだけは伝わる。

彼女の能力で殺される事はとても緩やかな死を受けること。何も感じられない。


「新しい玩具は岱勿くんにしようかな。芋づる式で他の2人も釣れそう」

「せめて、能力が分かれば対策にもなるだろうね」

「で、どんな秘密なの?」


足早にもう無人にさせようと野花が3人を急かせて、この拷問部屋から出る。

ここに帰ってきたとき、韮本は死んでいる。



◇      ◇



翌日。



ブロロロロロ


"萬"の1人、岱勿を倒すためにB班と、その補佐として加わった表原とレゼンは野花が運転するスポーツカーにいた。


「さ、さすが野花さん!すっごい車を持ってるんですね!!」

「超高級車だー。こんなのに乗った事ないよ!ご令嬢ってすげー!」


ウキウキで後部座席に乗っている表原と蒼山であったが、


「これ中古じゃない?汚れがあるわよ」

「ケチつけないで」

「あたしはもっと良いスポーツカーに乗ってたわ」

「ライバル意識?止めてくれない」


前に乗る野花と北野川は敵対心のような、ちょっとした言い合いになっていた。

今回の任務は逃げる相手を追いかけるわけで、車も特注にしなければならなかった。


「作戦を確認するわよ」


偉そうに指揮をとる北野川。韮本から得た秘密。

そこに浮かび上がってきた人物に、まずご挨拶をしに行く。



「ここは車屋さん?」

「そ、岱勿達の車は改造車で。よくこの店で改造しに来るそうよ」

「でも来るんですか?」

「別に来なくていいのよ。今日も奴等はどこかで強盗をする。その一件で待ち構えればいいわけよ。岱勿以外は警戒心の少ない人間」


北野川がこの車屋さんで降り、野花と蒼山、表原の3名はまだ車の中である。

車屋さんの店主に


「お客様の個人情報の管理ができないなんて」

「終わってるお店ねぇー、汚いし」


シークレットトークの能力であっさりと岱勿達の連絡先を入手し、バレないようにこの店からの電話やLINEで岱勿達に連絡を入れる。


「あいつ等が電話に出たり、返信があればあなたが話しなさい。この無能店主」

「ちゃんと居場所くらい聞きだしてよ~」


先ほどから可哀想なぐらい、自分の能力で無関係な人を巻き込んで利用しているシークレットトーク。

懲罰されないのは因心界だからだろう。

第三者を通して、代勿達の居場所を特定する事により、違和感なく先回りができる。車に乗せた状態より店内での白兵戦を望んでいるわけだ。これなら逃げられる心配は少ない。



「もしもし」

『なんだい、店長!あんたが改造してくれたこのイケてる車はサイコーだぜぇっ、ひゃっはーー!』

「そうかいそれは良かった。話しなんだが、実は。君達の車の部品に使われているものがね、一部なんだけど、不良品の疑いがあってねぇ」

『マジ~!?不良品押し付けられた、ツイテ、ねぇーーー!!』


うっさ。

そんな顔をしながら、電話の向こう側にいるひゃっはーな代勿の連れに、苛立つシークレットトーク。


「"今どこにいるんだい?"近くにいるなら、寄ってくれないかな?」

『ひゃっはー!そいつはまた今度にしてくれないか!?今、街ん中を爆走してるとこなんだっぜ!!』


全然違う者同士との会話の中であろうと、その中に割り込んで話を差し込めば


「今度はないよ?拷問部屋行きなんだから」

「うーん、赤石町の"2つ星宝石"という店に向かっているのね」


相手に会話を聞かれてなくとも、目的地や居場所の秘密を探ることができる。

ほんの僅か過ぎるため、とても単純なことであれば見つけ出す、シークレットトークの脅威な情報収集能力。


『じゃあ、切るぜ!』


電話が切れる。相手はこの電話で自分達の目的地がバレてしまっているとは、気付いていない。

とはいえ、ちょっと強引過ぎるやり口。

急ぎで野花に連絡を入れる北野川。


「野花!赤石町の"2つ星宝石"ってところに先回りしなさい!あたしも後で追いかける!」

『分かった!』



ブオオオォォォッ



パトカーや救急車のようなサイレンを出してしまうと、気付かれる恐れもある。

それでも急がなければならない。

押し入り強盗のような手口ではなく、万引きのようなやり口で代勿達は盗みをやっている。逃げられる前に追いつくことが最低限。できるなら、代勿が車に乗る前に戦闘を始めること。

野花は激しい運転をしながら、ナビに目的地までのルートを求める。


「うわーーーっ!野花さん、飛ばし過ぎ!」

「赤石町の"2つ星宝石"まで15分ってところね。信号次第だけど」

「そんなに遠くはないところで事件ですか!」



相手が今、どの位置にいるのか分からないが、襲撃されている情報は入って来ていない。

急がなくても間に合えばいいが。


「蒼山!あなたはもう"妖人化"しておきなさい!店について、代勿達が来たら戦うのよ!」

「えっ!?僕が戦うの!?」

「あんたはまだ何もしてないじゃない!私は運転!!表原ちゃんは、補佐!!北野川が位置の探知!!あんた下着弄ってるだけじゃない!!あんたが戦えーーー!」

「いやいや!僕、戦闘向きじゃないよ!」

「いいから!戦うの!代勿達が盗みをやったその瞬間に、攻撃開始よ!」

「無理無理!絶対勝てないよ!僕、戦闘向きじゃないんだけど!サポートがメイン!」

「なーにもまだ、サポートしてないじゃないのよ!!」


なんだか知らないが、また野花が人に押し付けるように戦う事を促している。

こんな光景。表原もちょっとウンザリ気味に思えた。粉雪に対してだけかと思えば、飛島にもやっていたことだった。どーしてなのかという理由も曖昧にしている。

もうすぐ、3人が目的地に着く。


「!!」


そして、代勿が向かっているお店ではすでに……



ジャララララ



代勿がショーケースから宝石を素手でぶんどっていた瞬間だった。


「ひゃっはー!逃げるぜ!」

「ご、強盗だーー!」


ドゴオオオォォォッ


物凄い衝撃で道路に違法駐車されていた車2台、そしてオートバイ1台に猛スピードで体当たりをかますスポーツカー。どっちが悪者か分かったもんじゃないが、


「ぐわああぁぁっ!?」

「いでええぇぇっ!」


車内にいた代勿の仲間達の動きを一度に封じるには、十分な追突事故。

住民の皆様にはちゃーんと、怪我がないようにやった悪意のない交通事故である。


「私の車、壊れちゃった」

「げほっげほぉっ。無理しないでくださいよ。こっちにも衝撃が来ましたよ!」


乗り込まれる前に足を封じたのは大きい。

あまりの大事故に大半が動けず、代勿もまだ宝石を抱えて店の中にいた。

その彼と戦うのはしょうがなく、


「フォト!ドレスアップ!!」

『了解』


自撮りする。その写真の中にいる自分を好きなコスチュームにセッティングさせ、今日の気分で決まればロードする。蒼山の体は光り輝きながら、変身していく。


「『はかまなびかす空を護る使者!スカートライン!!』」


下着を握った超ど変態の姿から一転したライダーヒーローに変身。

蒼山ラナ、スカートラインが彼と対峙する。


「因心界か!それも幹部の1人だなぁ!」

「正直、帰りたい!!」


そんな彼に襲いかかる攻撃は、背後からのダブル平手打ちであった。


ドガアァッ


「やっぱり蒼山の妖人化の変身が当たりなのが気に食わない!!」

「下着を握りながら妖人化しないでください!ヒーローを侮辱してますよ!」

「ちょっちょっ!」


別にセットではないのだが、妖人化が完了するとなぜだか味方にブーイング込みの手洗い仕打ちを受けるスカートラインであった。足蹴にされていて、相手の代勿もポカンとしていた……。


「はっ!いけねぇ!こっちもしかと、妖人化しねぇとな!!コットウ!」


ゴゴオォッ


「!?」


その音はどー見ても違和感しかない、ズッシリと重たい物を引き摺る音。どーやってそれを今まで持っていて、こちらは捕まえられなかったのか。ちょっと恥じてしまうような、大きくて重量感ある壷の妖精であった。


「あれ、妖精ですよね。あんな大きな壷をよく持ち歩いてますね」

「不正な妖精だからサイズ変更の能力が失われているのかも」

「いや、なんであんな妖精を持ち歩いていながら、今まで逃げられてんだよ。因心界とか警察、大丈夫なのか?」


そのサイズを常に持ち歩いていたとなると、よく頑張っているなと思う一同であった。


「『高値に決めちまいなぁ!ドゥーム・ザ・ホール!』」


壷は反転し、代勿の頭にスッポリと入った。

すると、その中に代勿は吸い込まれていく。全身が完全にコットウの中に取り込まれると、


バリイィィィンッ


壷が爆発するかのように破壊され、中から現れたのはアラビアンナイトのような姿をした代勿こと、ドゥーム・ザ・ホールであった。


「やるのはそこの男か!?3人掛かりでも俺は構わねぇぞ!」

「じゃ、後ろの2人があなたの相手をします!!」

「お前は戦えーーーー!!スカートライン!!」

「前衛しながら戦わないのはおかしいです!」


3人もいながら、譲り合う謎の展開に。


「……なんか調子狂うな、なんでこんな3人が俺を追いかけて来たんだよ!!」


敵ながらドゥーム・ザ・ホールは心配するのであった。



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