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MAGICA NEAT  作者: 孤独
第61話『EXTRA STAGE』
260/267

Aパート


ブロロロロロロ



「南空さんが死んで」



戦闘が終わってから、一機のヘリコプターが現地へと駆け付けていた。

中に乗っているのは、



「金習も死んだか」



ナチュセンコであった。

金習の動向を監視、この戦争の決着を決めつつ、これからの指針に関わる男に違いない。

南空が自分に何かあった時、その保険として残しておいた人材の1人だ。


「その両方が死ぬとはね」


……世界における金習の影響度は大きい。彼を失った事で得られるもの、本当に失ったもの。しばらくは戦争なんかが起こるような事はないが、彼の権威や極秘の情報は利用価値が高い。



”世界平和は理想ではあるが、あくまで自国を栄えさせるため”




「”妖精”を利用するのも、金習を利用するのも。……まだまだ、我々には早いようですね。しかし、いずれはその可能性に近づきたいですが」


”妖精”にはその可能性があり、その制御ができる手段。

南空さん。あなたはある可能性に……


「金習と南空さんの遺体は必ず……」



ナチュセンコが駆け付けてきた時には、ここで戦っていた者達は撤退していた。彼が来たのは、やや遠回りではあったが、”向こう”からのOKが出たからだ。


「うぇぇ~~~ん、南空さんが死んじゃったの~~!?嘘だと言ってよ~~!!」


野花壌は、南空の死を悲しんでいたが……。その陽気なテンションのせいで、深刻さをあまり感じ取れない。


「録路も死んでしまったか。あいつには色々と押し付け過ぎたな」


南空の死に関しては、録路が殺したことを確信しながら、壌と一緒に報告された事を淡々と聞く涙キッス。


「生きている者達は無事に脱出しているんだな、寝手くん」

『うん。生存は、僕と麻縫ちゃん、飴子ちゃん、茂原くん、ヒイロ、白岩ちゃんだよ』


まだ命を繋いでいるという条件で言うなら、この6名は戦場から生き残れた事だ。突入組の多くが死亡しており、まだ生死不明の者もいるが


「こちらができる、最大の任務はこなしたという事か。とにかく、みんなが無事に戻ってくることを願うよ」


人間と妖精。双方の歴史に残った戦いはここまでとなった。

なぜなら、これから先を記録する事はこの世界のその先を決めるきっかけになる。とても柔らかくて、とても危険なこと。最初の一歩が大事であり、どっちに歩き出すかという目的を決めること。

涙キッスにもその覚悟を決めなければいけない。

寝手との連絡を終えて、



「壌さん。南空さんからどうするか、聞かされてますか?」

「え~~ん。そんなの知らないよ~!私、ただの協力者だし~!南空さんの従順なペットよ~!主を失って」

「この状況でよくふざけられますね」

「んもぅ!キスキスは真面目だね!そりゃあ、そうか……」



仕入れた情報から確定している事がある。


「ゆきんゆきんが、”妖精の国”に向かったのは確かでしょうね。私はキスキスと戦う理由ができたわけだけど」

「…………」

「南空さんが死んじゃったら、意味ないじゃん!!も~、いやぁ~~!」

「それが賢明ですね。とはいえ、どっちにしろ。後処理については、あなたに任せて宜しいか?革新党に関わった人達が、頭を失った時の暴走はこちらも考えたくない」


革新党の最高幹部の1人だ。というか、ナンバー3と言える壌が、南空と粉雪の目的を知っており、その機会を伺ってたのも知っている。

彼女の意図を分かっているなら、敵わなくても、キッスの足止めは忠誠があるならするものだ。


「粉雪の奴は”妖精の国”を潰すつもりなんだな。ルミルミも、ヒイロも、今は疲弊していて、向こう側がまともに戦えるのは少ないはずだ」

『俺は絶対に潰すようなマネは許さないぞ!キッス!!”妖精の国”に戻る!!』

「落ち着け、イスケ。私達がそうできるなら苦労はしない。今、できることは。粉雪を止める事よりも、進んでしまう世の中で適切な対応をとることだ。落ち着け」



キッスの言う通り。

そもそも、”妖精の国”に行く手段が限られており、キッス達はそれを持ち合わせていない。そーいう状況なのも含めて、粉雪と南空が動いて来た。それに気付かなかったわけもない。


キッスと野花壌。……それと2人から離れているが、絶頂失禁している野花桜と、その彼女を世話している涙ルル。殺戮兵器をぶっ飛ばしたこの4人組を、とんでもない遠いところから見ている者がいた。

もちろん、ヒイロ達の情報を知ってのこと。



「やっぱり”妖精の国”が危ないのね」


全ての元凶と言える、アダメであった。

日本を護り切った後はキッスの様子を探っていた。彼女として、サザンに何かあった時は、キッスを頼るつもりだった。(サザンに言われた)。

日本を護る役目に貢献するためでもあるが、”妖精の国”で留まっていたり、帰った場合


「テンマ達にも殺される。私は殺されたくない」


命を狙われる状況になるのは確かだ。

粉雪側からすれば、アダメを始末するために”妖精の国”に向かうのだから、アダメ自身はその時に地球に来た方が、身の安全がかなり保障されるというものだ。そして、キッスに……


「彼女はホントに私に協力してくれるのかしらね?サザンを信用するの、凄い不安。騙し討ちされるんじゃ」


キッスを”妖精の国”へと飛ばし、粉雪と戦わせる。

サザンが粉雪と対峙する上で、彼女とまともに戦えるのは、キッスしか残っていないと判断している。そして、そのキッスをアダメ自身で説得しろって言ったが


「なにより私がなんで人間達のために頭を下げるのよ!」


本人のプライド的に、元凶という自覚は多少あれど、無関係だということを貫きたいようだ。自分の色んなミスを喋る事に抵抗があった。あんた、余計に傷口を広げているんだが……?



そんなこんなで、キッス達が”妖精の国”に到着するのが遅くなったのは事実だ。



サザンがせっかく粉雪を足止めし、キッスを”妖精の国”に先回りさせることができたなら、……おそらく、変わっていたものもあったろう。



◇            ◇




「えええええぇぇぇっ!?」


表原麻縫が驚愕するのは仕方ない。


「今すぐ、日本に戻って来い!?」


サポートに徹しまくったが、終わった後での報告から任務が盛り沢山。


「白岩さんを救えたのは良かったですけど!!まだ意識不明で!しかも、それをしたのが粉雪さんとあの南空さん!?というか、裏切り!?あの録路さんも死んじゃうなんて!お礼言ってないですよ!」


戦場の中で戦い続けたからこそ。

そこで一緒に行動していた録路の死をすぐに受け入れろってのもそうであるし、彼女がすれば、突然に粉雪が裏切って、”妖精の国”に行ってしまい、目的はその世界の破壊と来た。

色んなモノが起きても整理がつかないというのに……


「僕も麻縫ちゃんと一緒に戻るよ」

「寝手くんはここで寝てて良いですよ!!ホントにもぅ!君は安全なところで楽しんでたよね!!」


表原の言う通りだが。……寝手はサザン自らがやってきて、これからの顛末を聞いたこと。録路達とは繋がりがそこまで強くなった事もあって、切り替えが早かった。その早さには表原も困ってしまう。

今の面々は、戦闘前に予め手配しておいた病院の中にいた。

ヒイロや白岩、飴子の負傷もそうだが、表原自身、感化される事がある。



「もーーーー!!ふんっ!!」



この中じゃ、ほとんどダメージを負ってない側だ。

確かにまだ動けますよっていうのは正しい方だ。だが、そーいう身体的なものではない。怒ったように表原はみんなから離れたのだ。


「……表原ちゃん」


ヒイロの顔には自分の不甲斐なさもあるものだ。彼も、色々なことが起きている中で、すぐに動けという指示に従うには難しいものだ。ましてや、自分はそれを拒絶している。


「いだだだっ!此処野の奴~~!あたしを後ろから刺しやがって!!死んでるからぶん殴れないし!!」


飴子は負傷した此処野を手当てしているところに、彼に一突きされて意識を失っていた。とてつもなく痛かったわけで、命が救われたからといって許せるわけもない。

その行動については


「飴子が自由にしてたら危なかったでしょ。此処野さんが気を利かせて、君を気絶させたんだよ」

「茂原ーー!だったら、あんたが刺されてなさいよ!!あいつにそんな優しさあるかー!此処野信者めー!」


茂原の信じられない発言が、8割方、当たりだとは……飴子本人以外は納得している。今の状況を考えれば、あの時、あの場で一番危険だったのは飴子だ。

瞬間移動できる奴を逃せば、粉雪達の計画にもズレがあったろうし。かといって、放置をしていたら……。南空か粉雪が飴子を不意打ちで仕留めたかもしれない。


「此処野の奴……」


半分半分だろう。

革新党の一員ではあったが、粉雪達の目的には賛同していなかったようだな。


「とにかく、負傷している俺達が動けたとしても、できることはない。身体を治す休息がいる」

「ヒイロさん」

「気持ちの整理もある。表原ちゃんは、心の整理ができていないのが原因だろう。彼女の本心は非戦闘員。それに今回は、録路を始め、仲間を失ったり、これから戦うこともあり得るんだからな」




◇            ◇



「ぷ~~」


表原は外に出て、出せない不満を溜めこんでいた。彼女の頭に乗るレゼンからすれば、”妖精の国”が危険な事はそうであるし、粉雪と対峙するため、自分の上司であるサザンが異空間で一騎打ちをしているところ。

妖精として、故郷を護りたい。あんな一瞬だけど戻れたものだが。それが最後なんて思いたくない。だが、表原にとっては……これ以上の危険はもうコリゴリだし、今度は明確な敵というわけではなく。

自分と一緒に戦ってきた仲間の1人。そして、その事について



「大人ってズルイよね、レゼン」

「あ。ああ、……大人になるってのは、そーいうズルをする事だとも思うぞ」



……お前お得意の不意打ち、騙し討ちは大人要素はなくて、悪戯娘みたいな感じだもんな。



「あたしがいな~いところで、話しが進んで、こーいう時に頼って振ってくる!キッス様やヒイロさん。粉雪さんと仲があまり良くないのは、雰囲気が分かってましたけど……これはちょっと違うでしょ!!」



表原の因心界、加入に関しては、1年も経っていない。

粉雪はキッスと同じく、初期からの最古参であり、……赤子の頃からメンバーになっていたキッスとは異なり、しっかりとしていた事も含めれば、今の組織のトップと言えるような存在だ。その人がずっと、ずーーーっと、本性を隠して、機を伺って動いて来た。

もっと辿れば、こうした状況を作るために、暗躍していたというのを……噂程度も信じられる。


レゼンもサザンからはそれなりに粉雪への警戒を聞かされていた。

というよりかは


「革新党という組織は、因心界の傘下というわけじゃなく、あくまで対等な取引相手だった。粉雪さんと南空さんからすれば、対等じゃねぇなら切るって事だろうよ」

「ズルイ!!でもね!それだったら、もっと仲良くなれるようにするべきだったでしょ!!キッス様もちょっと悪いと思うよ!お互い仲良さそうにしてたけど、そーいう組織間で仲良くするべきだった!」

「そう上手くならねぇよ。ルルちゃんなんか一族で揉めてて、お前だって父親と喧嘩してたじゃん。古野兄弟もそうだったようだし」

「むうぅぅ……」


自分も含めて、仲良くやるってのが難しい例を出されてしまう。

ど正論を言われたくなかったが。表原は無暗な反論なんかせず、今の怒りから、


「はぁ~~~~」


悲しみだ。

自分もそうだけれど、それってつまりは


「粉雪さんって、キッス様達と戦うつもりだったって事でしょ?そうまでして、欲しいモノってあるんです?それが分からないのに、あたしは協力するべきなの?」


仲間同士で喧嘩することに、なにかの理由はあるものだ。

表原にはこーいう仲間同士に、良い悪いをつけるけれど……。今回の件に関しては、キッスも粉雪も、……個人ではなく、組織同士の対立に近い。そんなもん、止めてしまえって思う。

自分の力はどんな形かは分からないけれど、キッスにも粉雪にも力になれることだ。

ただ、表原からすれば、その理由をちゃんと知りたい。それに納得できるかどうか、阻止するべきかどうか。表原本人は、レゼンもいる手前。


「気に入らないのだけ、ぶっ飛ばして帰って来てください」

「……”妖精の国”の全てを壊す気はないと思っているよ。不審に思ってるもんだけ、取り除ければ、良いかもしれないな」


表原の提案は、ホントに丸く収まることかもしれない。ただ、それで納得できるようなもんじゃないのが


「でもよ、自分の気持ちだろうよ」

「…………」

「粉雪さんは本気なんだ。本気で変えたいって時に、その機会チャンスをようやく掴んだ。もちろん、それに備えていたキッス様も凄い」


マジカニートゥの能力を含めて、レゼンが言うからこそ。

粉雪達の気持ちはとても伝わる。表原もこれが気まぐれだったり、短絡的なモノではない。自分が生まれる前から計画してきた事を、この場で実行できるというのは……本人に曲げる意志がない証。

それはキッスも同じなんだろう。

出来る限り、この最悪な事態は避けたいと、対等な関係を維持しつつ。自分達の力を維持し続けようとしていた。いつかは戦うと分かっていたから。



「協力は嫌だって言ったら?」

「”妖精の国”は終わるだろうが、お前は助かるよ」

「協力したら?」

「……危ねぇだろうな。というか、キッス様がどうするのか分かんねぇけどな」


だったら、絶対に絶対に。協力しない。これなら、レゼンには悪いけど。


「粉雪さんとキッス様が戦わなくて済むのなら協力しない」


表原としての答えはそうだ。こんなの戦わせるべきじゃないって事だ。他の方法や協力者を募ってとすれば、戦わなくて済むし、どっちか失うことはない。

とりあえず、レゼンと話して、自分の落ち着いた答えは出て来た。

それでいい。それでいいけれど。



「日本に戻るから」

「!」

「協力しないって、キッス様に言うだけ。2人の本気は分かったから、あたしは全力で止める!……この考え、同じ仲間がいると思う」

「…………かもな。ルルちゃんはお前の意見に賛成だと思う。野花さんも同じだろうよ」

「多数決した方が良いよね!絶対!!」




レゼンと話して心が落ち着いてきた表原。

ムカついて、バックレようってのはない。そんなのできないって気持ちで、いつか来る、大事な選択を前に逃げなかったのは、やっぱりみんなのおかげだ。

そんな表原とレゼンの会話を病院の外で盗み聞きしている、寝手とアセアセと……


「表原ちゃんを元気にさせてあげたかったけどなぁ~」

「寝手!盗み聞きは良くないですよ!」

「心配だったからさ。でも、表原ちゃんの意見は優しくて気に入ったよ。改めて、好きになる」


元気になってくれたというより、色んな決心ついた表原にホッとした寝手は


「君も早く元気になるといいね。運が良い」


キッス達には報告していない生存者がいた。


「…………なぜ、助けた?」


そもそも、なぜ生きていられるかが、まだ本人にも分かってはいない。自爆したあの時、自分も消滅すると決心したのに、生き残ってしまった。



「トラスト。そこに理由は要らないだろう?それに僕達は爆発に巻き込まれた君を回収しただけだよ。死ななかったのは、ホントに運が良いね」



ジャオウジャンの部下であったトラストだった。裏切って、ジャオウジャンのトドメを刺したと言える彼にとって、生き延びてしまったというのは、後悔は色々とある。それでも



「生きろって事でしょ。たぶん、ムノウヤは君がジャオウジャンを裏切るのを予想してたんじゃないか?彼がジャオウジャンとは別の形にしたんじゃないかな?」

「……私は怪物だ。どのみち」

「死ぬまで時間はある。今は身体を治療する事に専念しなよ。君も、この戦争では英雄側なんだ」


寝手が勝手に助けたのもそうだが、助けたことを知っているヒイロ達が黙認しているのも事実だ。

今はトラストに構ってられない状況もそうだ。

……ただし、



「やっぱり、あの男。イケメンよねぇ」

「飴子さん?窓から誰を見てるんですか?」

「あ~!あたしの事を介抱してくれるのが、あんなイケメンだったらなぁ!」


権田飴子にとっては、トラストの容姿はどストライクらしく、結構気に入っていた。そんな彼女の様子に


「一緒に怪我人になれたんだからよかった……だぁっ!」

「なんだと茂原!!このキモオタがぁ!!」

「殴るなよぉ!」

「うるさい、無傷!!」



◇           ◇



十分に話し合ったつもりであり、それでもなお、



「もう喋らないか、フブキ、テンマ」


喋らない理由が、クールスノーを絶対に信頼しているためのもの。

喋らせる事を求めると、嫌でもサザンは情報を話す必要が出てしまう。

昔話を話そうにも……自分はルミルミに振り回されていた事ばかりで、同期の思い出として、こいつ等は影が薄い。話せないものだ。それではダメなのだ。


沈黙するという行為が、ようやく、サザンを動かせた。



「……アダメさんが、妖精の国を建国するに、日誌を作っていたそうだ」



サザンの目が本気になった事を、クールスノー達も感じ取った。

こっちが話したくねぇ事を話すって事は……サザンも、もう、しょうがねぇって事と、勝算がないことも含めていた


「全部で5冊あって、王様である私が管理しているのは知っているはずだろう?……だがな、いつの頃からか、知らないが。もう1冊、アダメさんは持っていたらしく、現実も紛失中だそうだ。これは絶対に秘匿情報なんだがな」



テンマとフブキの意志の固さに、その日誌の内容や事実が含まれている。

それはすなわち。



「テンマかフブキ。お前達がそれを持っているのか?」


取り返さないとマズイし、その内容を全部知ってるとすりゃあ、見逃す事はできない。

”妖精の国”の秘密や人間達の秘密。



「サザン。それについても……」

『クールスノー。……ここは俺が喋る』


クールスノーはどうせ黙るだろうと思っていただけに、テンマが自ら、発言するというのは、デカイ案件かと察した。テンマは絶対の信頼をおいているが、


「私にも黙ってることがあるのね?」

『南空さんの確証と大まかに一致しているんだがな』


テンマの言葉に、紛失した日誌の一冊の今の持ち主が分かったサザン。しかし、そっちよりも、テンマと喋らせろと交渉し続けたのにシカトされ続け、しょうがなく喋った重要な話で口を開く。知ってる事には首を突っ込む、オタクのような様。それはサザンが詳しく知らないからこそ、悪態もつきたくなる。


「…………おいおい。アダメさん、思ってるより、ヤバイのを記録してたの失くしたのかよ」


ふざけんじゃねぇぞ、あのクソ女。やっぱり、あいつをぶっ殺した方が良かったかな?ルミルミの意見が正しい気がして来たよ。ずっと前から思ってたけど、あいつは存在がロクでもねぇよ。何やらかしてんだよ、このポンコツ女。お前の凡ミスばっかで世界も宇宙も滅茶苦茶だよ。

私が命懸けでクールスノーと戦うのが馬鹿みたいじゃないか。

知ってる内容にしろよ!!知ってる事実だけにしろよ!!テンマ、やっぱり喋るの止めてくんねぇかな。


戦闘における緊張とは違う雰囲気。

心して聞いているのは、サザンの方になった。

そして、テンマは一番に問題視している事を述べた。それはサザンも知っていることであり、それを前提として喋った



『俺達は人間を滅ぼすための生物兵器だ』

「……知ってるよ」

『そう知らぬ妖精達が数多くいる。サザン、お前は黙っていたな』

「……あぁ。混乱するから」


少しホッとしているような表情が、サザンには出てしまっていただろう。それはテンマもフブキも不快にさせるようなものである。知っていたのなら、どうして、今の世代に至るまで変えなかったのか。

”混乱するから”という回答は、サザンが王様という立場であるから、正解なのだ。事実を述べたら、ルミルミのように暴れ狂うのは仕方がないこと。



「知っている上で、知らなかった事が正しくなれば良かった」

『そうなのか?お前達にはその努力や政策が見えて来ず、ただただ、隠しているだけの努力だったと思う』


痛いところを突かれて、サザンも目を瞑ってしまう。今も事実を言わないでいる事もある。

大きな隙を見せてしまったが、目を開けて、どの口がって思われていい


「テンマとフブキもそうだったろ?」

『…………』

「ルミルミは違うが、結果は伴ってなかったな。被害だけだった。だから、私の選択が正しい……私の中じゃな」



批判は大いに結構。

サザンなりの言い方ではあるが


「私達はそうやって生まれたつもりはない!!だったら、事実を隠すのも選択だ!!テンマもフブキもそうなりたいのか!?違うだろ!!」



事実を公表することよりも、嘘をホントにしたのは確か。テンマが言ったのも事実。

だったらだ。



『サザン。お前は妖精の力をどう思う?明らかに争いを産むために作られていると思わないのか!?レイワーズ達との戦い、SAF協会との戦い、キャスティーノ団との戦い……歴戦の者の一人なら、お前は分かっているはずだ!!妖精の仕組みは、人間達を滅ぼすためにできている!!今は良くても、未来ではダメになる!』

「それに抗っている!」

『抗っていない!!お前は、……お前こそ!!アダメのように逃げているだけだ!!ルミルミもソッポを向く!!お前にそんなのはない!!』



じゃあ、お前は何をするんだ?その問いにテンマは”妖精の国”に、強力な仲間達を連れて来た。

だから


「テンマ。妖精が全員消えて、それで人間達を救えると思っているのか?」

『妖精がそのために作られた、生物兵器である事実ならそうだ。複雑だが、妖精の1人として、……俺は”妖精の国”を滅ぼす!そのためにここまで来た!!』


彼の思いはとても人間達を想っているからの、妖精との決別。首謀者の本心が分かった上で、


「人間同士でも上手く行かないぞ。なぁ、クールスノー」


唯一、この場で生きている人間に。人間同士の難しさを尋ねるサザンは意地悪な奴だ。状況が分かっているのかと思いたいが、


「今は妖精同士の討論でしょ。あとでその分、テメェの顔面とカホの貧相な胸を貫いてあげるから」


少しは我慢した。鬱憤晴らしも兼ねられそうな気分。

しかし、サザンの言った意味。テンマとフブキが分からないわけがあるまい。妖精が人間達を滅ぼす存在だとしても、そんな妖精を利用するのも人間。そんな使命感を捨てて、自由に生きるのも選択だろう。

その選択をしないで、この凶行をやるには足りな過ぎる。


「テンマ達はヒーロー気取りかもしれないが。私達にとっては、ただの自己満足を求める妖精だ。粉雪が協力してくれるからといって、ここに来たのはお前達だけだぞ」

『お前もここだと一人だろう。死者を愚弄しているお前が、最後の砦!!笑わせるな!!』

「自分達の存在のせいで、人間は変わらないし、終わらないんだよ!!」



……やっべーー。テンマに超言いてぇーー。

どう考えてもアダメのせいだよなぁ!テンマと言い合う度に、アダメのアホ面がチラついて、王様降りてぇ~!

妖精のせいだし、原因作ったアダメのせいだよな、はい!



発言するものと、サザンの内心は……驚くほどに違っている。

とはいえ。王様としてもそうだし、妖精としてもだ。



「妖精は死なせない。それなら私だって、どんな手段も出る」



テンマとフブキの説得を1チャンできればと思っていたが、やっべーよ。これ。

アダメがやらかした事を知らないぞ、テンマとフブキ。完全に正義感で”妖精の国”を滅ぼす気だぞ。お前等がずっとずーーーっと、黙っていたせいで、優れた妖精同士でこんな戦いをおっ始めるのか!それが妖精達の宿命とはいえ、抗うのが私の夢だけど。



『絶対に妖精達はいらない!!俺は、多くを知っている』


テンマの熱い気持ち。

相対するサザンも感じ取れるほどの盲目な正義であり、アダメの実情を知ったとしたら、どうなるだろうか。

しかし、……しかしだ。

サザンもまた一点見落としており、粉雪もその事については気付いていない。


『知ったからこそ……俺達は戦う』

『テンマ』


テンマとフブキも言えなかった。地獄まで秘匿にする。

どうして、自分達がアダメの大事な大事な日誌を手に入れた経緯を言わないのか。


『ごめん』


……それはまだ純粋に、自分達の妖精をもっと知りたいがため、アダメの部屋に潜入しちゃった事があるからだ。

そんなことで手に入れてしまった、大事な代物と情報を。

まだ純粋に思っていた頃のサザン達に知られたとしたら、大混乱になっていたのは間違いないからだ。



そう、これは。



全員が”本当の気持ちや理由”を秘匿した事から始まり、終わる。



「……そろそろ、ここで始める?テンマ、フブキ。それと、サザン」

「良いだろう。とにかく、そっちの事情も分かったよ。テンマが喋ってくれただけ、嬉しい限りだ。もう引き下がれないなら、妖精同士の宿命だ」



最後の戦いになるのである!



表原:今回のサブタイトルは”EXTRA STAGE”ですか……余分な話って感じですか?

レゼン:まぁ、ぶっちゃけるとな。俺達の最後の活躍回だ。そして、戦闘だな。

表原:むむっ……あたしが誰と戦うかは、なんとなく、想像ついているんですが。覚悟できてませんよ。

レゼン:この回がなくても、物語の結末は変わっていないからこそ、”EXTRA”って意味を込めたそうだ。もうオチまで書き終えて、作者は今、燃え尽き症候群と連載中にやりたかった事をやっている状況だ。長期休暇な気分だそうだ。

表原:よくそんなにも……暇な奴ですね。

レゼン:オホンッ。……ここで公開する事はできないがな。スケッチブックを買って、HBの鉛筆と消しゴム使って、ラフ漫画を描いているらしい。なんだかんだで、キャラ作りの基本はラフに行き着いて、それなら漫画を描いてみようってな。色付けないし、公開しないから気楽にやってるそうだ。

表原:公開できないってどんな理由が?

レゼン:簡単に言えば、二次創作だ。ちょいエロの……なんの二次創作かは、今回のお話で分かる。

表原:わ~~、大人がそんな事に夢中なんですね。あたし達が書かれた理由の1つになりますが、避けては通れませんよね。物語の締めの前には持ってこなきゃいけませんよ。

レゼン:これは俺じゃなくて、寝手か蒼山にやってもらいたいけれど……。”MAGICA NEAT”は作者が挿絵に挑戦するための物語であり、なにか参考になるのがあればいいなって事で、”プリキュア”を参考にしていると。活動報告などで伝えている。

表原:元ネタって言うほど、大袈裟ではないし、創作関連にはそーいう意識は無意識だろうとあるもので。ぶっちゃけ、似てないけれど。名前とかでぼや~んっと分かるのもあったしね。

レゼン:他にも色んなキャラクターを参考させて頂いたので、それを書いておこうと思う。全キャラってわけじゃないけれどな。


表原麻縫:キュアフローラ + キュアソード + キュアエール

王冠ついているキャラクターと、ちょっとポンコツ気味なところを参考にしました。ちなみに、表原に飛び蹴りが多いのは、第一話のキュアフローラがカッコよく決めてる飛び蹴りから来てます。精神力の強いキャラクターは、作者好みなんで。キュアソードでポンコツ扱いのドキプリはレベル高いです。表原のデザインはこの3名を参考にしました。


キャラクター名は、”BUMP” から ”魔法の料理”より


網本粉雪:キュアハート + 青キュア

彼女の決め台詞からも露骨過ぎますし、キャラデザインの髪型が、人間状態とプリキュア状態で逆になっています。キュアハートのまんまにすれば、あまりに完璧過ぎるので、青キュアの年上感要素を混ぜてみました。キュアハートはなんかこう、1番とかに立つタイプではなく、桃キュア勢の中で縁の下の力持ちができそうですよね。言葉にし辛いですが、粉雪がそんな感じなところもね。

戦闘スタイルに関しては、ハンターハンターで一番好きなキャラ、モラウさんの老獪な動き。レオル……いや、ハギャ……いやいや、グラチャンの”TUBE”。ヒソカのバンジーガムのガム要素を混ぜたりしました。おかげで強くなりすぎ。


キャラクター名は、レミオロメンの”粉雪”から


涙キッス:キュアムーンライト

今のプリキュアは大人になっていますが、大人系のプリキュアかつ桃キュア以外で周りを纏めそうなのこの方でしょ。姉妹がいる設定……あっちは相当重い設定ですけれど。キッスとは違いますが、生身でダークプリキュアとやり合える戦闘能力は、最強候補に入るかと。


キャラクター名は、サザンオールスターズの”涙のキッス”から


野花桜:キュアダイヤモンド + キュアロゼッタ + キュアエース

ドキプリとはぐプリを見ている影響からか、この2つのシリーズが多めとなります。野花の戦闘スタイルは完全に初期のキュアエースです。圧倒的な力を持ちますが、制限時間付きです。ロゼッタというか、四葉財閥のお嬢様感+本人が持つ生身の戦闘能力(黄キュアの中だと1番なんですかね?)、粉雪との関係性や彼女のデザインというか、初めての挿絵のポーズはキュアダイヤモンドからです。

あと、対○忍要素も入れました(そりゃそうだよな)。


キャラクター名は、レミオロメンの”SAKURA”から。歌詞聴いてたら、そのまんまです。


白岩印 + 太田ヒイロ:キュアドリーム 、ココ + ジョー岡田

非常に失礼かと思いますが、白岩の洗脳シーンはもう、作者が性癖をぶっ壊した同人作品の影響です。先に言いました。一番有名な桃キュアと言ったら、この方でしょ。そして、一緒に戦うことをコンセプトにするとヒイロも、彼をイメージしました。ジョー岡田は本編じゃかなり辛い境遇でしたが、プリキュアほどではないにしろ、戦える……というか、騎士っぽさになったのは彼から。

近いんだか、遠いんだかの距離間で、2人はこの物語を過ごしていますね。


キャラクター名は、ミスチルの”しるし”、”HERO”から。


録路空悟:プリキュアアラモード   

これを連載した時は、アラモードしか食べ物関連のプリキュアはありませんでした。まさか、デリシャスプリキュアなんていう、食を扱うプリキュアが出て来るとは……。録路の技名は全部、アラモードから来ております。お菓子を食べて強くなるという能力も、アラモードを参考にした感じです。

キャラクターのデザインとしては、ポケモンのカビゴンと、分かる方がいれば嬉しいのですが、寺恵一という不良漫画に出て来る不良の1人です。彼は作中の勝率は悪いんですが、作中開始時点でメンタルがボロボロな状況で始まっているのが~。少なくとも、紙飛行機よりも強いんですけど。


キャラクター名は、BUMPの”66号線”から


北野川話法:スイートプリキュア

北野川のデザインは、スイプリの3名からです。序盤の昼ドラみたいなストーリーが、シークレットトークの能力の参考になりました。この能力があったら、ホントに日常では危ないですからね。

デザインは、

北野川が、キュアメロディ。……こっちも粉雪と同じ理由で、目つきを悪くしました。

分身体が、キュアリズム。

カミィの人間体が、キュアビート。

を参考にしました。


キャラクター名は、北条の”北”、南野の”野”、黒川の”川”をとって、北野川。


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