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MAGICA NEAT  作者: 孤独
第60話『LAST STAGE ”696 VS 373”』
257/267

Fパート


潜水艦の上でキッスに頼まれた依頼は……。



「南空茜風と此処野神月、この2人の処分を録路に頼みたい」


キッスが録路に依頼した案件に聞いた本人は


「はぁ?」


一人は自分と一緒に戦っていた、うざくて馬鹿な戦友。死んだ方がいいくらいの相手なのは分かっている。

ただし、もう1人が。

網本粉雪の重要な側近。彼女の率いる、革新党の中心人物と言える。

そいつを、キッスの依頼でやるって事は


「汚れ役かよ」

「頼む。期日は特にない」


粉雪にバレた場合。大きな溝ができ、協力体制が確実に崩れる。デケェ内輪もめになる。成功しようが、失敗しようが……。


「此処野が死んで欲しいのは、分かっているが。南空ってのは、粉雪の最側近じゃないか。なんだよ。キッス。粉雪とマジで戦う気なのかよ?」


むしろ、友好関係が築けていた。それはそうだ。

キッス本人もそれは分かっている。


「私と粉雪の仲は良好だ。なにせ、私が乳飲み子の頃から粉雪は接していた……。私にとっては、姉のような存在に違いない。だが、私の家族諸々、粉雪を信じているわけじゃない」


彼女を信じてはいないというより、彼女のバックである革新党とは……あくまで治安維持や情報共有などの面で協力しているに過ぎない。それはギブアンドテイクという状態であり、互いにメリットがなければ、潰し合ってもおかしくはない。


「できれば、穏便に。彼女を本当に引き入れるのなら、南空茜風には消えて欲しい。私のお父さんの話によれば、元々普通の人という者ではないし、当時から妖精を強く嫌っておられるそうだ。私達の望む、妖精との平和な共存という事には強く反発するであろう。少々、意見の食い違いはあった」

「……俺はあの爺の事をよく知らないが、あの外見からそーいう頑固さは察せられる」


粉雪の本心は分からないが、心の支えの1人がいなくなれば心を変えられると思っている。それが凶行であろうと、キッスには分かっている。


「お前としては、粉雪とは戦わずにやり過ごしたいんだな」

「当然だ。どっちかは死ぬし、どっちも1週間は泣く」



粉雪の側近の抹殺依頼。


「俺を引き入れたかったのは、この役目か」


自分を勧誘してきた、本当の理由を知った。


「私も粉雪ほどに性格は悪い。すまんが、その依頼を引き受けた以上は、やり遂げてもらわなきゃ困る。……まぁ、悪い話じゃないだろう?」



お前は妖精の事を嫌っているわけではない。

妖精と出会えたから、色々なモノと出会えたんだろ?



◇           ◇



ルミルミと交戦していた上に、あの異常と言える戦闘能力。

金習を彷彿とさせるが。どこか違う。


「……私は老いているんだがな」


自虐気味に、ナックルカシーと向き合った南空は


「これほど、”3人”の相手には苦労をする。私は大分前に全盛期を過ぎているのだぞ」


クールスノーが降らせていた雪が未だに残っている。別空間に飛ばされたからといって、すぐに消えるものではないが。これを安否確認とするならば、南空の心理はかなり落ち着いて来た。



「それで、お前1人でいいのか?私と戦うというのは?」

「おう。ヒイロ、お前は早く白岩を安全なところに運んどけ」


居場所が分からねぇ飴子の回収はマジカニートゥと茂原に任せた。


「……任せる。お前も死ぬなよ」


ナックルカシーの言葉をすぐに聞いたヒイロは、足早にこの場を去った。ナックルカシーがいる以上は、南空も追いかけるのが困難と判断。あの二人の回復速度を考慮すれば、数時間はまともに動かない。だが、自分の相手はナックルカシー。タフさに再生力と、……長期戦は必死。

時間稼ぎをするつもりもない、殺気のある戦意だけが好材料。



「お前がヒイロを助ける理由は?」

「お前が気に喰わねぇからだ」

「そうかそうか。私も同じことを思っている。せっかく、……せっかく……」

「!!」



自分の戦意に対抗してくる。南空の気迫、威圧感が高まることを察知する。



「世のためが、”気に喰わない”で、動く。それが人の歴史の根幹か。私も今、その気分だよ」


南空の気配を何よりも、ある意味で止めたのは、此処野だった。


「爺!おい!待てや!!」


命を懸けた事がある。それも自分自身が、1時間も経っていない状況で。


「……ぐっ」


精神は起きていても、肉体がほぼ限界である。死が近くにある。


「テメェの正体はどうでもいい。俺の方を答えろや」

「邪魔だ。だが、生き残れ。私はお前を気に掛けない」

「!俺の父親が涙一族で!母親は」



………………



探している。

まだ、生きていると、南空は確信している。

此処野がもっとも殺したい相手。この境遇を不幸と呪ったことはないが、それに対する始末は家族にあるものだろう。それをしなきゃいけないと、此処野は死ねない。



「お前の母親を知っているのは確かだ」



南空の言葉の後で



「……そうか。お前が涙一族の数少ない生き残りだったとすりゃあ、合点が色々いくよ。身近な奴等とは、随分と違うしな。そこは環境のせいか」



涙キッスが此処野も含めた抹殺依頼にも、色んな事情があるとナックルカシーが察する。

ま、……



「関係ねぇけど、テメェもここで殺す。そこは日頃の行いを恨むんだな」


依頼があったからというモノではない。此処野にはそれなりに同情はするが、そこまでだ。こいつの野放しが危険だってのは、長く戦ってきた自分が分かっているし。仮にこの弱っている此処野を見逃したところで、キッスが黙っているわけもない。たぶん、ここまでのところまで知ってれば、放置するわけがない。

唯一、ナックルカシーが線に繋げられないとすれば、



”涙一族”の人間を、どうやって、”革新党”が匿っていたのか。その逆もしかりだ。



此処野と違って、知るつもりはない。

大体、此処野の事は分かっている。ナックルカシーや彼の妖精であるマルカが知りたい事は、



「で、お前は”何者”なんだ?」

『ただの人間じゃなくて、邪悪な事も感じません。なのに、とても強い』


南空茜風についてだ。



ボォォッ



「知りたければ、”戦い”になるだけで分かるだろう」



……南空茜風みなみぞらあかねかぜ


彼は人間の未来。すでに進化の先の1つに行きついていた。

”学習”していく金習とは異なっているし、”完成形”という存在でもない。

まだ、南空は知りもしない。だが、”確信かくしん”している。


”革新”党……という組織・政治団体を立ち上げたのも、彼の起源に由来する。


手短に。伝える。

と、言うならば。



【人間は皆、”妖精”の力を使わずとも、その能力を宿している】



ここにいる人間達は間違いなく、誰しも平等に進歩できる可能性だけは持っている。極稀に生まれている存在達、人工的に作られている者達。まだ、人類が完璧に発見に至れていないし、秩序も護られていない。


世界がまだ未成熟であるため、南空の存在は生まれがあまりに早すぎており、彼はもう老境に差し掛かってしまった。様々なモノを残してはいたが、その中で”妖精”という存在は、自分と同じくこの世界には早すぎており、なによりも、その仕組みが”妖精”自身も異なっているのではないか?


南空の仮説として、”妖精”が地球を滅ぼすための何らかの兵器ではないかと、疑ってもいた。確たる証拠はないが、十分過ぎる危険度は分かっていた。





「!!?」



チェーンソーを振り回し、一瞬にして、ナックルカシーの首を切断するほどの戦闘能力。

そこに物理的な理由よりも、概念に近い感覚を察知したナックルカシーとマルカ。

圧倒的な身体能力が可能にしただけではないものだ。

南空は一撃でナックルカシーを、通常ならば死に追い込みつつも、止まらずに


「!」


ナックルカシーの再生する箇所を凝視する。

此処野からの情報はもちろん、ナックルカシーの能力についても頭に入っている。菓子の補給を怠らなければ、驚異的な再生能力とタフネスさで継続的な戦闘を行う。

時間を使うことを望んでいない状況ならば、ナックルカシーに付き合うつもりもない。刻んだ箇所に追撃を入れる。再生する速度だけでなく、再生の質を見極めている。


ナックルカシーの再生は、本来の自分自身であること。


これは再生しながら別の存在に変化する事は無く、一度防戦になってしまえば、反撃が難しいとされる。決して、欠点になるようなことでもないが、”今”の南空にとってはその些細な事すら弱点に成り得る。



ドゴオオォォッッ



「おぉぉっ」


ナックルカシーの動きは明らかに南空についてこれていない。

身体の動きだけでなく、受けた攻撃からの思考までだ。死なずとも、現実世界の情報を得るための神経の各種を潰され、呻き声が反射として出ているだけだ。

南空はその状態すらも見切り、唯一の”死に方”を決めているナックルカシーに挑んでいた。



「すぅ」



連撃前の呼吸。隙というには短いものだ。脳に送られる酸素からの思考している。

相手に再生はあれど、反撃がないと察知し、どの程度の塵までやれるのかどうか。

元々、クールスノーや野花壌、此処野神月に戦闘を叩き込んでいる人物。3人に教授したという事は、その上の姿もあり得る。

身体能力という点では劣りながらも、彼が持っている”人智を超えた力”は超えていく。



ドボオォッ



突きの1つがナックルカシーの体内を突き破り、彼を四散させようとも肉片の1つすら逃さず、目が追いかける。頭の中で、おそらく、その景色ビジョンが見ていた。

身体能力の劣りを、未来予知にも等しい先読みがカバーしている。思い描いたことを実行し、結果を引き起こすには技術云々、自己評価、他者評価。なによりも今、この時に対する集中力。

生命が備えているモノで叶えられる。


「!」


南空の猛攻によって、ナックルカシーの飛び散る臓器の欠片。

血の池という表現が正しいほどの状況であるが、血の1滴からでもナックルカシーの再生が始まっていくことに南空は察する。細胞1つからでも蘇ってくる。


「なるほど、しぶとい」


どんな状況であろうと、再生してくるナックルカシー、

それに対して、南空も許容しているのか。連撃の手を緩め、語らう。というより、ナックルカシーの再生からの反撃が薄く、捕縛に近い状態であると見たからだ。

再生する順番も頭から腕。菓子を補給するためのモノだろうと推察。


「ちぃっ……」


両の肩まで再生したナックルカシーに対し、南空はチェーンソーを振り下ろして、彼の頭を半分に割ってみせる。首実検をするかのように



「お前の再生は一からするものではなく、散らばった自分の身体を集めていくタイプのようだな。無論、前者の要素も見えるがな」


身体が再生していく比率を見抜いた。

反撃ができない状態での再生に持ち込みさえすれば、


「どうした?私を殺すんじゃないのかね?君は何度死んでいるんだい?」


安全に挑発をする。というより、事実を伝えたのが南空の本音だろう。

切断された頭がくっついて再生しながら


「……って~」


ナックルカシーは南空を見上げる。体が元に戻ればと、……



ドグシャアァァッ



「見誤りはしない」


そうさせない南空がいる事は確かだ。


「しかし、君を甘く見ていたのは認めようか」


勝敗は何百戦とやろうが、今の南空が勝つ。しかし、ナックルカシーにとっては1度の勝利で十分である。そして、ヒイロを完全に逃がしたのは確かな状況。


「やってくれるなぁ、此処野。この状態の録路をお前に任せたかったが、この再生能力の前には足止めもままならないだろう。お前のダメージも込みで」


南空が此処野に問いかけをする。だが、肝心の本人はもう、起き上がってはいなかった。沈黙。


「……………」

「おい、死んだか?此処野、……お前が?」


それほどの”代償”がある。

戦闘能力のみならず、状態を把握する能力。

逃さなかったのは


「あぁ~」

「!」


再生速度を上げて、口が開く。ナックルカシーは


「なんとなく分かってきたぜ、テメェの強さのカラクリって奴がな」



挿絵(By みてみん)


ルミルミ:今回はどんなコーナーなの?SAF協会、みんな揃ってさ

シットリ:今回はこの作品内で、”どのバトルが良かったか”ってお話だそうです。色々な戦いをルミルミ様達はしてきましたからね。……とはいえ、どれかを選べというのは難しいので、印象があって、ちょくちょく見に行くバトルを見ていたのを紹介します……だと

ダイソン:最新話に近いのばっか、見てるけどな。ただし、例外として気に入っているバトルがいくつかあるので、5つくらい紹介しようというもの

アイーガ:あえて、順位はつけないとのこと。……こーいうコーナーだと初期のバトルは、弾かれちゃうからね。第一部のバトルはどれもランクインしてないなんて……。


A.

”ブルーマウンテン星団 VS SAF協会”


シットリ:むっ、この戦いが入るのか。私とルミルミ様が、あの奇天烈集団と戦った話か

ルミルミ:なになに……。いちお、本性を隠していたけど、蒼山達が命を懸けてSAF協会と対峙したこと。最強クラスのヒイロ、ルミルミ、シットリの3人を相手どったこと。強い弱いでもなく、勝ち負けでもなく、時間稼ぎというバトルが個人的に好きだから……だそうです。

ダイソン:バトル前の導入も、このコントは……なんなんだ?

アイーガ:ひっかき回してる感が凄いね。


B.

”マジカニートゥ VS 怪護”


アイーガ:表原の戦いの中で、この対決が一番なんだね。確かにマジカニートゥって終盤はちょい割食ってたような……

ダイソン:最終戦でも有名所と戦ってないしな。もちろん、いないと作戦が成功してないが……

シットリ:とはいえ、奴の最後の相手はかなりの大物と聞く。……それはさすがにお祭り感覚だからか、選出外にしたそうだ。……ただ、中で選ぶなら、怪護とのバトルだそうだ。

ルミルミ:うんうん。家族のために戦う事で、次に影響があるのもいんだよね。


C.

”因心界 VS SAF協会”(人口島大決戦)


ルミルミ:この話。あたしが睡眠中だから、詐欺だよね?フルメンバーじゃないし。

シットリ:かもしれませんね。……ですが、我々の戦いが入るのは光栄な事ですよ。

アイーガ:なになに……ぶっちゃけると、シットリ戦のレイドバトル感がワクワクしたとのこと。どうやったら、こいつは倒れるんだって思わせる執念。やっぱり、執念。大事だなーって。

ダイソン:実際、シットリをBOSSとした話だからな。


D.

”怪護 VS 金習”


ルミルミ:こいつ、人気だね。マジカニートゥと戦ってた奴じゃん。っていうか、因心界の面々があんまり入らないね。

ダイソン:主役側の戦いよりも、敵と敵の戦いは先が分からないからな。

シットリ:レイワーズで一番気に入っていたキャラだそうだ。ハーブやペドリストも好きだ。

アイーガ:家族を奪うためのジャネモンが、家族のために戦うってやりとりが未だに好き。


E.

”此処野 VS 金習”


シットリ:作者の、作中のベストバウトはこれじゃないかっていう評価である。

アイーガ:ま、まさかの此処野のバトルが一番なの!?相手が良いってのはあるんだろうけど!

ダイソン:あいつも強くなったな。大BOSSを仕留めるとは……。最後の駆け引きも此処野らしくて、とても良い。

ルミルミ:あたしは彼がやる男だって分かってたもん!凄いね!SAF協会の面々が入る戦いが、気に入っているのは良い事だよ!


他にも候補を出すなら

”ヒイロ VS ハーブ”

”マジカニートゥ VS  赤羽”

”寝手 VS ペドリスト” + ”金習 VS ペドリスト”

”北野川 + 黛 VS メーセー + 伊塚院長”

”蒼山 VS 寝手”

”キッス + 野花 VS 殺戮兵器”

”ヒイロ + レンジラヴゥ VS ジャオウジャン”


……挙げるとキリがないけれど。パっと思いつくだけで、良い戦いだったなってのは浮かびます。


ルミルミ:へぇ~~、よーし、せっかくだから、あたし。みんなの戦いを見て来るねーー!


タタタタタタ


シットリ:…………言うなよ、ダイソン

ダイソン:ああ

アイーガ:?どしたの?シットリ、ダイソン

シットリ:いや、なんでもない。ルミルミ様は気付かないままで良い

アイーガ:う~~ん……あ!ルミルミ様の戦いって1つもランクインしてないじゃん!!

シットリ:!馬鹿もんがぁっ!!ルミルミ様があまりに強すぎるから、扱いが大変だったことしかないとか、絶対に本人には言ってはいけないぞ!!

ダイソン:シットリの方が酷い定期……。それを言うなら、クールスノーも入ってないぞ。いや、最終戦のルミルミ様とクールスノーの対決も入るべきだろう。

シットリ:その、……あの、……な。あのバトルはお互いが玄人感を出しているからか、長丁場過ぎるのがかなりの残念ポイントなんだよな。2パートぐらいで決着がつくのが良かったなーって思ってるそうだ。それにクールスノーも、対象外ながら、印象に残るバトルを控えているんだ。ルミルミ様だけなんだよな。


……でも、”ルミルミ VS 涙一族”のお話も悪くないと思うよ。


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