表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
MAGICA NEAT  作者: 孤独
第60話『LAST STAGE ”TRUST”』
254/267

Cパート


「すでに戦いは終盤だろうか。1時間を超えた」


殺戮兵器を撃墜させたが、ジャオウジャンの”CCP”が世界中で広まり、吸収され、ヒイロ達に粉砕されていることを知ったキッス。この日本でも大きな被害が報告されているが、その報告よりも気になる事があった。

ルルは野花桜の手当と称して、その場から離されており、キッスが話したい相手は野花壌の方である。



「南空茜風という男は何者なんだ?」

「キスキスももっと近い年代で生まれたら、魅力的に思うでしょ~!私も同じ年代だったらなぁ~って」

「そーいう男の話ではなく、生物的な話だ。あれか、噂で聞くが、”仙人”という存在なのか?涙一族とどのように違うか、あなたならよく理解されているはずだ」



キッスの身体はイスケを抜きにしても、凄まじい硬度を持つ特殊な人間である。それは家系に優れた妖人を持っているという理由もあるだろう。しかしながら、南空にはそーいう家系とは思えない。もちろん、エリートという肩書が嘘偽りなく正真正銘なもの。

多少、特異な能力を持つ人間というのも、いるものではあるが。南空のそれはその中でも異質と言えるものだ。

真面目な話だなぁ~って、ちょっと残念な顔をしてから、野花壌は……真剣モードでキッスの質問に答えてあげた。とはいえ、



「南空さんには秘密だよ」

「…………」


その言葉。その意味。

野花壌がこっち側に来てくれた理由も、キッスには分かるし、壌も”覚悟”しているという事だろう。



「”仙人”なのは違いないんだけれど。その中でも、超絶に進化しちゃってる人。いわば、金習の存在がすでに完成された。って言った方が良いわね。もちろん、今はかなり老いちゃってるから全盛期でもないのよね~」

「人間には成長期があり、衰退期もあるものだが?」

「そりゃあそうなんだけど。これ言っちゃったら台無しなんだけど、金習の存在そのものは、南空さんやその関係者にとっては研究対象に過ぎなかった事よ!南空さんの遺伝子やらをちょちょっと弄って、金習の体に組み込まれてる。当の本人はそんなことなんて知らないはずだけど。あはははは」



金習の学習能力の高さ、身体の変異。それらに南空は肉体や遺伝子の提供をしていた。

金習のシステムにおいて、優れた人材の交配や引継は非常に重要なモノであり、南空も若い頃はその研究には協力的ではあった。しかし、ある時を境に止めたそうだ。その時にはすでに、金習の存在が形となっていたため、独自の研究で進み、もはやお互いは大きく違う存在となった。



「なんで、南空さんはその研究を途中で止めたんだ?あの人なら自分のような存在が現れてくること、未来を育てる類は好みそうなものだが」

「さすがに国外の研究に指定されちゃったところもあるけど、急ぎ過ぎたのが一番の原因かな。そこは本人に訊かないと私には分からないな」

「……そういえば、あの人にはお子さんやお孫さんはいるのか?」

「いないって。いたら、私は孕ませてもらいたいぐらい。けっこーアピールしてたのよ?」


キッスも自分の境遇からして、周囲と違う人間は色々と考えている事が違うことには納得できる。周りの人とは違うことをしようという輩とは違う。

自分も異常な領域に踏み込んだとはいえ、人の手や違法な薬物まで費やしてなお、その近くに来れただけというもの。過去というのは輝かしい。そして、老いとは残酷だ。

キッスは南空に嫌われている。それは自分と似ているところもあるのかもしれない。詳しくはもう聞けないかもしれないが、自分でもまだ思い留まらせたいことだ。


「なぜ、南空さんは”妖精”を嫌う?」

「直感じゃない」

「直感?」

『……ま、俺達の正体を知ってるとかか』


うっかりもらしたイスケの言葉は、壌には聞こえていない。

だが、それが分かっているように、壌は南空が考えていることを100%当てていた。


「人間にとっては必要のないことだと思うのよ。桜んチェリーやゆきんゆきん、キスキス達のことはホントに必要だって、思ってくれてるはずよ。けど、おかしくない?妖精さんって、どうしてこう、人間達に不平等な力を与えるの?平等って言いながら、彼等がするのは良くない人に兵器を握らせるようなモノよ。ジャネモンちゃんも良い例だし」

「……私は才能に溢れていたせいで、厄介さまでもすぐに理解できるが。危険性を理解できん者ほど、便利なことは良くないな。それはそれとして……」


壌の言い方で間違いなく、合っている。

直感だけでそこまで行き着いたというのなら、傑物の類だ。およそ、発展に必要とされる技術に警鐘けいしょうする人であり、その者がいなくなってから”曲解”されて理解されること。

金習の目的が、”妖精”の資源化というのなら、成功する可能性は高く、どちらにしても滅んでしまう可能性もある事もキッスには分かっている。悪辣共の制御などできない。人の成長を第一とするなら、基本はそこからであり、人の大事さと説いている。


「私には妖精との”共存”の道でありたい。南空さんと粉雪が、やりそうな事は分かっている。壌さんが個人的にこっちに残ったのは、娘のために協力しないためか?」

「ずきゅ~~~ん!そうそう!桜んチェリーや育つーりんを残すなんて、私にはできなーい!……でも、ゆきんゆきんはやりたくないはずよ。ただ、南空さんのやり方は正しい!!それは、南空さんの傍にずーーーっと、いたからね!」

「……………」



”革新党”のやり方を聞いた以上。おそらく、向こうでは止まらないだろう。絶対の勝利ではなく、絶対に内容を求められること。今更、キッスが向かったところで遅いだろう。



「お母さんが粉雪と南空さんを強く警戒してたのも、直感だったんだろう。だが、お父さんはあなた達の行動を少しでも変えたかったはず……でも、どこかでそれは”無理”だと分かり、私にその後を託したんだろうな……」


達成されることを前提とするならば、その後処理が大事になる。

ただ、そーいうことをさせたくないのは、まだキッスにも心があり……少なくとも、粉雪を止めるためには



「南空の排除を”ある男”に依頼している」

「!」

「私と粉雪が、”まだ”、和解できる機会があればと思ったが、……ヒイロとレンジラヴゥの戦い。ジャオウジャンの存在と出くわせば、もう曲げないだろう。2人は必ず、”そう”動いてくると思う。ヒイロ達には伝えてある」


自分自身で南空を倒せないのは、粉雪が感情的に明確な敵対を示し、互いが滅ぶまで行くかもしれない。しかし、そんなことを壌に言ったのは、南空を直々に殺しに行くと宣言しているとも言える。その後、革新党とぶつかり合う事もキッスなりのケジメ。もちろん、自分の子供から共に戦ってくれてもいる。ただ、根本の方針が違うことは分かっていた。


「無理」

「?」

「キッスちゃんでも、南空さんが、もしも、”万が一”」


”人間”を諦めちゃっている南空さんになるのなら


「戦うことになっても負けない生物なんだから」


なにせあの人は、人間の進化の先にもう行っちゃったんだ。



◇          ◇



カーーーーーーーッ


4名が光り輝く空間に呑まれる。


「わ~~っ!?」


慌てているのはマジカニートゥだけであり、他の3名は冷静に相対する者達を見ていた。


「異空間!?別世界に飛ばされてるのか!」


レゼンもどこに飛んでいくのか分からない。分かっているのは、地球じゃないって事だ。

もちろん、ナックルカシーとトラストも、そーいう予感はしていた。もっとも安全だとするなら……



ズバァッ



空間移動を終えた瞬間。

みんなの足に触れたのは、草と土。視界に映りのは森と山。地球上に存在する植物とはやや異なるような、生態系である。踏み入った事は無いが、吸い込んだ綺麗な空気は、レゼンやマルカを懐かしい気持ちにさせる。当然、ルミルミにもだ。そんな中で


「先手必勝!!」


誰よりもこの戦闘で動いたのは、


「な!?」

「生き残りキーーーック!!」



ドゴオオォォッッ


マジカニートゥが現地に着いたと同時に、トラストに向かって、飛び蹴りを決めて彼を吹っ飛ばす。やられる前にやるという勝利の形を1つ。そして、


「じゃあ、あとはナックルカシーお願いしまーす!逃げるよ、レゼン!!」

「ここでも不意打ちかよ!!」


ものの見事に決めることも含めれば、移動中に騒いでいるのも作戦だったのかと思う。別の世界に移動するんだから、周囲を警戒するのは当然であり、初動はルミルミだと思っていた。そして、逃げることでルミルミが自分の後ろを守ったこと。逃げ切れる……



ドゴオオォッッ


「!?ったぁ!?なんで!?どうしてぇっ!?」


と思っていたマジカニートゥであったが


ゴオォォンッ


「ぐっ……まさか、君から仕掛けてくるとは。それとこの空間内からの脱出はできないようだな」


吹っ飛ばされたトラストも見えない壁。もとい、マジカニートゥの空間の領域外に飛び出そうとした時、弾き返されるように中に戻された。作った本人は動揺しまくりであったが、


「ちょっとちょっと!話違う!やっぱり、逃げたい!地球に帰りたい!」

「……たぶんだが、地球に帰るために、空間内から出れないようにしたんじゃねぇか?置き去りにならないよう、自分で無意識に組んじまったんだよ!」

「じゃあ、あたしはこの中で殺される可能性があるんかーーい!」



レゼンの落ち着いた分析に、レゼンに怒ることなく、自分にちょっとキレてしまう。……それはそうと、自分自身の能力は扱いづれぇ。あーして欲しいや、こーして欲しいを、瞬時に叶えてくれるような力ではない。強欲が過ぎるかもしれないが、子供はそれくらいの方がいい。


「空間内はちょっと歪だが、30m平方ぐらいか」


満足に戦闘ができる範囲。ナックルカシーは周囲の様子を確認しつつ、マルカの様子が少しおかしい事に気付いた。そして、それを教えるようにルミルミから言葉を出した。


「ここは”妖精の国”。あたし達の故郷」

『!やっぱり。こんな綺麗な空気は久々です。でも、ここはどの辺ですか?』

「お前等の故郷か。なら、見つからねぇわけか」


マルカの知らない場所。当然、レゼンも知らない場所だった。ここは


「シットリとダイソンに稽古をつけてたところであり、……アイーガの生まれ故郷であった。あなた達は都市部にいたから、来た事もないでしょうね」

『!そこから結構、遠いんですね』

「…………」


ここならどんな妖精も訪れないと思う。当然、人間達も来られない。

シットリと話し合った末に、ジャオウジャンの心臓の隠し場所はここだと決めていた。

マルカとレゼンが、”妖精の国”に意図せず来た事。相方であるナックルカシーもこの場の状況をけんしたのは、自然であった。その中で、異質な動きを見せたのが、ルミルミだ。



「絶対にっ!!」



この場所だって事は、ルミルミには分かっていたからこそ。

この一手で状況の逆転を狙った。本人もここが帰りたかった場所だった。



「お前達に」


本当に、妖精のための国を作りたい。

まだ道半ば。仲間達は、ルミルミの決死をまだ、望みはしなかった。

なぜなら、ルミルミそのものこそが妖精達を統べるために必要だからだ。だから、自分達と命を同じにして欲しくない。


「譲らない!!」

「!!お前っ」


ルミルミは強い。

ここで選択した行動は、明らかに、ナックルカシー達を逃さないためだ。

マジカニートゥの能力を警戒し、使用させてからの攻撃は非常に有効。そして、マジカニートゥの致命的なミスにつけこんだ。


「えっ!?」


マジカニートゥが驚き、いきなりナックルカシーがこちらに突っ込んで来て、レゼンも愚痴るほどのこと。


「それはねぇだろ」


そして、トラストもすぐに剣を出して身構えた。


「ルミルミ。君は……」


ルミルミの身体が点滅しながら光輝く。力で止めようとしても、間に合わなかっただろう。

そして、逃げようにも、マジカニートゥの空間が裏目となって閉じ込められている状況。そして、”妖精の国”が滅ぶことがないのも、分かった。

この残りを言葉通りに全てを使い、


「”風雷捨奸ふうらいすてがまり”」


ルミルミ自身の身体を、内側から雷と風で大爆発を引き起こす。自らの身体を犠牲にして放つ大爆発は、ナックルカシーやマジカニートゥ、トラスト。3人を一度に同時に襲い掛かった。

ジャオウジャンのため、世界を滅ぼすため、時間を稼いでくると思っていたが、この空間にいる者達を抹殺しようとした狙い。



「ひぃっ!?」

「伏せてろ!!」


マジカニートゥには雷と光も見えなかった。ナックルカシーがそのまま庇うようにしたからだ。

逃げ場のないところで自爆技を選択して来た事で、ナックルカシーもトラストも防御に徹した、ルミルミの思惑に間違いはなかったのだ。



くよ」


シットリ、ダイソン、アイーガ……あたしもそこに……



マジカニートゥの空間が強固かつ外からの干渉が不可能であったため、妖精の国全体に被害は及ばなかった。だが、空間内では雷と嵐が巻き起こり、密閉された空間は生物の生存を許さないほど。

直撃を浴びたナックルカシーの命を幾度も奪っていく。




バギイイィィッッ



雷と風のエネルギーはこの密閉空間で放出されることはなかった。

それ故、内部にいた者達が死ぬことを、ルミルミも命を使うに値すると判断した。


「…………げほぉっ……」


身体が何度も消滅していくが、その度に異常な再生能力で蘇っていく。


「な、な、ナックルカシー!?」

「お前、生きているのか!?」


マジカニートゥとレゼンが、ナックルカシーに守られる形で無傷で生き延びられた。


「良かった!あたしの代わりに盾になってくれたんですね!!」

「そっちかよ!?」

「っていうか、生きてます!?」

「おい、大丈夫か!?再生能力に自信があるからっつっても、今のはっ……」

「……………」


マジカニートゥの調子の良い発言に返事すらもできなかったが。ゆっくりとではあるが、自分が再生していくことで生存をアピールしたナックルカシー。とんでもねぇ生命力で、ルミルミの命がけの自爆を耐えきった。

無限の再生というのが、やっぱり誇張でしたと思われていいくらいの自爆。

全力の自爆だったら、何一つ残らなかっただろう。


「!!って!わああぁぁっ、レゼンレゼン!!」

「!」


ナックルカシーの再生の方が明らかに早かったが、その損傷具合はとても言葉は現わせることじゃないほどだ。それよりもハッキリと形に残って再生していくのが


「るるる、ルミルミが自動再生してる!今の自爆で死んでてよ!!」


ルミルミの身体であった。だが、目は閉じており、妖精の力を感じてない。

レゼンもルミルミの潜在能力に恐怖しかけたが、


「……大丈夫。あれじゃあ、当分、目覚めねぇ!」


レゼンの言葉は正しい。ルミルミは今、良い夢の中にいた。


「………………」


自爆をしてみんなの元へ逝こうとしたが、ここで命を散らして欲しくはないと、仲間達が力を分け合ってくれたようだ。この力で引き返して欲しい。

あのしぶと過ぎる代表をして


”ルミルミ様。あなたはまだ、ここで死んでは困ります”


「………………」


泣きそうな気持ちと、嬉しい気持ちがごっちゃになった、涙がこぼれた。せいぜい、このくらいしかできなかったけれど。自分にはまだ、”この戦争以外にも役目がある”。そう伝えて来る、仲間達から受け取った奇跡の命。

本気の自爆だった。だから、ナックルカシーを追い込めた。偶然、生き残ったのは、助けられたからだ。

この場所だからこそ、そーいう残留思念が現れたのかもしれない。



それはルミルミ個人の問題であり、ナックルカシーの戦闘不能。マジカニートゥからすれば、そんな偶然があってたまるかという気持ち。

レゼンにこそ、もう戦えないと言われても。あんな自爆を見せられた以上は、恐怖するなというのは不可能だ。ナックルカシーが身体を張って盾にならなかったら、一瞬でお陀仏だった。思考が助かったことやまだルミルミが生きているという気持ちが、ある1人を見逃し、遅れをとったのは確かだ。




ガシャアァッ



「え」

「!?」



ルミルミの自爆が、明らかにナックルカシーとマジカニートゥに向けられていたというのは、やはり、ルミルミにとっての敵だったに違いない。

空間全体を攻撃した事に違いはないが、この空間内に大事なモノがある。それは無防備に置いているわけもない。万が一の戦闘や、偶然にも誰かに発見された際の、プロテクトはされていた。

それが自らの自爆で破壊されてしまったが、大事にするべきモノは護られていた。手にした者は、



「ジャオウジャン様の心臓。確かに」

「「トラスト!!」」



その形はハート型の水槽であり、中には小さな鯨が一頭、泳いでいるという……心臓には思えない形状。あえて言うのなら、この水槽の中にいる鯨こそがジャオウジャンの本体と言える。その体長はメダカほどに小さく、パッと見では鯨とは気付けない。そして、その一頭分の水槽とくれば、トラストの手で持てるくらいのサイズだ。


【……おおおっ!トラスト!!トラストではないか!ようやく、我を救出してくれたのだ!!よくやった、我が部下よ!】

「……ええ……」

【早く我の身体の中にいれてくれ!!そうなれば、我はさらに強くなれる!!あのヒイロ、レンジラヴゥを超える力を得られる!!世界を邪念で支配できる!!地球に戻るのだ!!】


中で喜ぶジャオウジャンに対して、トラストは意識が朦朧としていた。ルミルミの自爆の余波を受けているのは確かであり、能力を知らないマジカニートゥ達からすれば



「ど、どーやってあの自爆を凌いだんですか!?」


ルミルミがわずかにナックルカシーとマジカニートゥを狙っていた自爆だったとして、空間全体を襲った雷と風。ナックルカシーとルミルミの身体がズタボロになるほどの威力を、無傷ではないとはいえ、四肢欠損はなく耐え、ジャオウジャンの心臓までも回収したトラスト。

その秘密は、彼の握っている剣にある。


「私はエネルギーを吸収する能力がある。……さすがに、全てとはいかなかったが。私に対してのルミルミの自爆は軽減できた」


マジカニートゥの質問にあえて答えた上で、


「近づくな!この剣には吸収したエネルギーを放出できる能力がある。お前達は今、なにも能力を持たないんだろう!?ナックルカシーが身を挺してなければ、死んでいたはずだ!」

「いっ!!」

「!」


詳細を知らなくとも、吸収したエネルギーがどこに行くかまでも考えられる。マジカニートゥとレゼンの動きが止まったのは確かだ。

トラストとの間合いを詰められない。ジャオウジャンの心臓を欲していた者同士で、この”妖精の国”までやってきたが、目的が違っていたのは明らかだ。


「チャンスはある」

「……うん」

「いや、チャンスなんてない!」


レゼンの言葉にマジカニートゥも頷いたが、トラストはそれはないと断言する。

ジャオウジャンの心臓をかけた攻防は、……あるタイミングからだ。



挿絵(By みてみん)


キッス:あ~、ルルが行ってしまった!ちょっと待ちたまえ、挿絵の順番違くないか!?私が先だろう!

表原:それだとルルちゃんとキッス様がイチャイチャしてるだけですよ。ルルちゃんはそれを嫌がったんですよ。

キッス:むぅ……ところで、イチャイチャで思い出したんだが、蒼山はいるか?

表原:え?

蒼山:地獄の底からあなたに会いに来ました、キッス様。なんですか?この死人を呼び出して

キッス:いるか……その前に、表原ちゃんとルルは耳を塞いでいなさい。大人の話をする

表原:なにか嫌な企みを感じますね。キッス様と蒼山さんなんて、ダメ過ぎるコンビだ。


表原とルル、退場中……


キッス:……なぁ、蒼山。例の件はどうなった?

蒼山:例の件?と言われても、僕は死んでるんですが?

キッス:ルルを題材にしたHな本の事だ。私はそれが欲しいと言っただろうが。”BLUE MOUTAIN”シリーズ。

蒼山:でも、死んでるし。設定途中までしか

キッス:な、なに~~!?ルルの胸は今なお、大きくなっているんだぞ!!

蒼山:そう言われても、死んでるから

寝手:その話。僕も興味がある、ぜひ協力させてくれ

蒼山:!寝手!お前とは、性癖が違うって言っただろうが!

キッス:おおっ!寝手くん!君が引き継いでくれるのか?

寝手:面白そうだし、実の姉が許可どころか求めているのであればね

キッス:ぐ、ぐふふふ。できればぜひ、私とルルがHHな展開になるようにな

寝手:マジで派手にやっていいと

蒼山:おい、それならキッス様は僕の○○○という設定にしろよ、寝手!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ