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MAGICA NEAT  作者: 孤独
第58話『LAST STAGE ”HERO & SIGN”』
241/267

Fパート


【でっけぇな~】


初めて出会った時の言葉。

見上げる彼、見下ろす自分。ちょっと気にしていた事ではあるけれど、この人のそれにはいつもと違う気持ちが湧いた。


【名前は?】


…………、答えた。

そして、こちらも尋ねた。今まで出会ってきた人とは、違うって本能的に察知した。向こうもそれは同じで


【頼りになる】


笑顔で言ってくれた。

彼が自分と同じ妖人であったと知ったのは、もう少し先の事である。人間同士で最初に知り合えたのは、ホント偶然に、数少ないチャンスって人生にはあると振り返れる。

彼もそのことを覚えていた。


【お前、強くなるな】


それは、あなたも一緒です。とっても、強い。

そこに惹かれた。彼の健気な容姿と、同じくらいの人のさ。

身近にいなかった自分には、彼の存在は大きくて、頼ってしまっていた。


”あいつが傍にいる”


って事を除けば……。



【幼馴染だ】



もし、先に出会っていたら、きっと私を選んでくれた。

だけど、そうじゃない。ってあなたも思ってくれるのなら、私もそう思う。

そう思い続ける。そうやって、アプローチしていく。

あいつがいなくても、私がいればいいってくらいに……私だって強くなりたい。だって、あなたは強いんですから。その強さを求める理由に、私もついていきたい。



【大事な人ほど、傍に居て欲しくない。俺が色々巻き込んじまう】


……けど、それは辛くないですか?


【失う方が辛い。俺といて、悲しいとか辛い思いさせる。戦いばっかなんだからよ。俺と近いと色々とな】


”だから、あなたは……そーやっているんだ”

”じゃあ、私は?”


【信頼できる仲間。……俺は思っているんだが、2番はライバル。3番は純粋に強ぇ相方。4番は俺が一番頼れる仲間。王道たる、主人公や敵組織周りの相関図は~……】


ふふっ……


【人生と一緒で、”数字が全て”じゃねぇけどよ。どうしても、俺が大事にしてぇモンは、ちょっと、遠くにしてるんだ。俺より先に死んで欲しくねぇ】


……嘘つき。史上最低の嘘つきです。


どんなに私が成長しても、あなたはもう私の立ち位置を決めている。

そして、それに気付いている。

私は辛いよ。私は辛いんです。私は……。その立場に殉じる代わりに、私の気持ちを……



【………………】


……………


【………………】


あなたの大事な人が”傍にいない”のなら、どうですか?

私っ、それでもっ、そーいうあなただからこそ、あなたのことを、



【……もう1人な】

「!」

【話し合ったんだ】



◇            ◇



「ヒイロ♡」


レンジレヴィルがヒイロに襲い掛かったこと。彼女の表情は恍惚で、愛を求めているかのようである。ジャオウジャンによって洗脳されている中でも、思い描いているヒイロが


「……………」


自分を斬ったこと、別の女を護ったこと、それでも自分を助けにやってきたこと。

今、自分がこうして剣を持って襲うことにも、思い描いている先というのがあり、

こうも……。




ドスウゥッ


「…………」

「あ」


思った通りに、ヒイロの身体に剣を突き刺せること。ヒイロが無防備で自分の攻撃を行い。それでも、自分のことを見てくれている。


【ふははは!そうだ!刺せ!ヒイロはお前に手出しができぬ!】


この場にいるジャオウジャンだけが、2人の思い描きの中にはいない。カヤの外の存在に違いない。だからこそ、あまりに場違いと気付かずに口達者かつ早口となる。


「ヒイロ」


ジャオウジャンから命令を出されている。レンジレヴィルは、無抵抗で居続けるヒイロを斬る。それが何を伝えているか、2人は分かっている。



【レンジレヴィル!ヒイロを手に入れろ!!力ずくでいい!!我がしもべにしてやれるぞ!】


2,


【今のお前の能力は我と同化し、互いの距離が近いほど強くなれる!】


3,


【ふはははは、ヒイロ!これはお前が受けるべき、レンジレヴィルの”邪念”なのだ!!自分自身で知るといい!】


4,


【レンジレヴィルが持つ、愛のある”邪念”を身体に刻まれろ!!】


5……。


無抵抗なヒイロの身体を5回も斬るレンジレヴィルであった。

その中にいる、1つの”邪念”でさえ、間違いもなく言えること。姿形だけでなく、彼の行動が自分の中とイメージと一致すること。


「ヒイロ……だよね……」

「……ああ」


自分が斬ってしまうことを分かっている。自分がどうなっているのか分かっている。

レンジレヴィルの動きは、ヒイロが何もしないこと……というより、本当のヒイロがそうするであろうし、自分自身もそうしているという信頼があってのこと。

この場で一番混乱するべきではないのが、喚く


【!?どうした!!レンジレヴィル!!我がしもべ!!お前はそのヒイロと永遠にいたいのであろう!!その身体にしてやった恩を忘れたというのか!?】


ジャオウジャンが混乱しているのは、ヒイロが何もせず、ダメージを受けても回復しないこと。レンジレヴィルに触れているだけでも、自分の邪念が感染するはずなのに、細胞の何一つも動いてくれない。そして、レンジレヴィルの動きも止まってしまい、命令を出してもピクリとも動かない。

動いた口は、ジャオウジャンに向けてでもなく、相対するヒイロに向けて


「きっ…………て……ヒイロ」



涙をこぼしながら、こんな姿になって、ヒイロに剣を向けている自分に……。


「見ない……で、……ヒイロ……あたし……」


ヒイロは迷わずに、危険なんていうことを考えもせず。



ギュウゥゥッ



しるしに会いたかった」

「!!」

「俺はどんな君も見ていられる」

「…………ヒイロ」

「だから、遅れてごめん。君を好きなことは変わりもしない」

「……うん、……大好き」



レンジレヴィルの身体を抱きしめる。ただそれだけであった。

言葉をかけて、身体で繋がった。

攻撃しても、誰かの言葉をきいても、愛を示すような♡を投げても、……そこにはなかった、熱が、彼から伝わった。


温かい。



「ヒイロ」



ドスウウゥゥッ



もう一度、動いて、ヒイロの身体を至近距離で剣によって貫く。

こんなことをする自分は嫌でしょ?……さぁ、早く。早く。早く。早く。

2人共、その感情を出してくれ。


【絶望しろぉぉっ!!なにを良い感じにやっている!?我がしもべ、レンジレヴィル!!ヒイロを殺せぇぇっ!!そして貴様ぁっ、自分の女に刺されているんだぞ!!なぜ無抵抗でいる!!それでも欲するのにかぁっ!】


独占欲、色欲、憧れ。それらが偽りだと分かっていても、止められない事もある。止まれないこともある。

愛による負の側面を引き出された状態で、正しい側面の愛を知った……いや、思い出した。


「あ、あ、あ、あ」


レンジレヴィルとジャオウジャンの2名が語っている愛とは、とても”利己的”で”一方的”な心情を増大させられていたモノである。相手からの”拒否”、”不理解”といった、マイナスな反応でも構わずにいた。

しかし、彼女の思うがままに、ヒイロが行動していること。それが心を理解していたことで、ズレを生んだ。


「ダマレ」

【!?】



い、言うことを聞かない!?なんだ!?どうなっている!?しもべのくせに、反抗してきた!?


「……………」


レンジレヴィルの苦しんでいる表情が少しずつ優しく、そして、温かくなる。

冷たい身体がヒイロの熱によって、本当の愛を思い出す。

レンジレヴィルから流れる涙が機械的で、苦しみからの涙から、温かい涙と鼻声で……


「た、ただいまぁ……ヒイロぉ……」

「ただいま……しるし


バギイイィィッッ


レンジレヴィルの胸元にあった邪念が溜め込まれたダイヤが破壊された。それはヒイロが何かしたわけではなく、白岩自身がやってきたこと。


【ぐぅっ!】


レンジレヴィルの姿が徐々に白岩印へと戻っていく。それに焦りが生まれたジャオウジャン。


【思い出せ!!我がしもべ!!お前っ!しもべにならぬのなら、貴様はっ!!ヒイロとは永遠にはいられない!!そうであろう!!貴様の妖人化は、自分の身体にダメージが蓄積される!!我がしもべとなれば、そのリスクを祓ってやれる!!事実であろう!!ヒイロ!貴様もだ!!触れたからこそ、この”邪念”が伝わったはずだ!!女が大事ならっ、永遠にいられるように!!我がしもべとしていられる幸福をっ……】


永遠にいられるというのなら、それも悪くない。


「……………随分、早口で喋る奴なんだな」


ヒイロがようやく、ジャオウジャンに向けて言葉を送ったのは、白岩の容態が安定してきたからである。しかし、ヒイロの身体は一切の再生をしていない。それは


【ヒイロ!貴様!!白岩の身体にある邪念を浄化しようというのか!?そのために、自分の身体の再生すら切っているのか!その痛みは屈強なお前が泣き叫ぶ…】

「白岩を傷つけた痛みの方が痛い」

【ああぁっ!?ふざけたことを言ってんじゃあっ、ねえええぇっっ!!クソクソクソ!!愛だなんだとイチャコラしやがって、腹が立つなぁ、このバカップルがよおぉっ!!JKおっぱいに魅了されたぐれぇのことがよおぉぉっ!!】


激高し、その言葉汚くも、ジャオウジャンの内の心理は。

声と違っており。今、ヒイロと白岩を見るに相応しく、とても臆病なことでしかない。

これでもなお、”真の姿”を隠している事



し、仕掛けられねぇっ!なんだ、こいつ!今、ヒイロを仕留めるには十分な隙!白岩を庇って、傷を治しているという無防備だというのに!なんで、そんな冷淡な瞳を作れる!邪念の一切も感じさせないオーラはなんだっ!これは



俺をぶっ殺す!!

そのオーラだけで動けねぇというのか!?



ガチィッッ   ギチイィッ



【何をしやがったんだぁっ!!テメェ等ああぁぁっ!!ふざけんなあぁぁっ!!お前等みたいな!甘っちょろい人生を喜んでるんじゃねぇぇっ!!不満だよ!憤りだ!!死だ!生だ!!独占だ!!歪みだあぁっ!!ぶっ壊れろよ、世界ぃぃっ!】


ジャオウジャンはたけるこそするが、動けない。

ヒイロが何かをしたに違いないと分かっている。その分かんないという問題に苦しむ。人生、答えがないから楽しいし、難しいし、ムカつきもする。

戦争を必要とする、ジャオウジャンですらも、根本は同じだった。

しかし、ヒイロの口からは



「お前はさっきから何をやっている?」



達観したというより、呆れというより、どーでもいいというか。

ジャオウジャンを倒すことは目的であるが、ヒイロにとっては白岩の無事と救出が最優先であった。彼女がいなくては、ジャオウジャンを倒せないのも事実であるが。

ヒイロの言葉にジャオウジャンが冷静になれるわけもなく、相手にもされない言葉に



【テメェが何かしたんだろうが!!!】

「?」

【この我を嵌めたのは、貴様だーーー!!】



自分がこの状況下で動く事ができず、さらにはヒイロ達の怒りを増させている事実。



【誰だ!?我をわらってるのはああぁぁぁっ!!卑怯者ぉぉっ!!】


ジャオウジャンの中で何かが起こっており、それについては、ヒイロの方も伝わっていた。なぜなら、白岩の身体を抱きしめたことで、ジャオウジャン以外ではありえない”邪念”の異物を察知し、それが意志を持って教えたのだ。



「……礼は言わない」



白岩を影ながら守ってくれた者。そして、その本人の望みまでも伝わった。

この時までジャオウジャンの動きを止めていた者は、自分自身が唯我独尊としている態度が裏目に出たとしか言えない事だった。

ジャオウジャンが気付くまでに、まだ時間を要していた。



◇           ◇



「なるほど、”彼等”だったか」



ヒイロの視覚を盗み見て、白岩をひとまず奪還したことと、ジャオウジャンが動けぬ理由。


「飴子ちゃん。回収を頼んでいいかな?」

「回収!?」


まだ早過ぎでしょって感じ。

負傷者、リタイアといった面々を回収するわけで


「クールスノーが封鎖してるじゃん!」


地上と地下への移動は大雪によって封鎖されている。

飴子単体なら脱出できても、負傷者をこっちまで連れて来れない。けど、それでいい。


「ヒイロが全力で戦う上で邪魔なのがいると、困るでしょって話」

「ええっ!?よりによって、ヒイロのところおぉぉっ!!?それ一番、あたしヤバイじゃん!!巻き込まれるじゃん!」


自分が向かわなかった階層まで、行ってこいということ。


「それが飴子ちゃんの役目じゃん」

「あ~~もぅ、終わったらすぐ戻るから!」



どこもかしこも今。派手な戦闘を始めているところである。

ヒイロ+レンジラヴゥ VS ジャオウジャンの戦闘も、もうすぐ、始まりそうな雰囲気だ。

お遊びが過ぎる茶番なく、殺し合いをしているところは今



「そうすぐ、決着はつかないようだ。さすがにルミルミちゃん」

「ルミルミ様!やっぱり強いんですね!!……って!なんであの人、戦ってるの!?ここは休戦をしてですね!」

「始めたんだから無理でしょ」



どちらも今、膠着という状態である。

戦闘をしながらそーなるというのは、実力の差がまだ現れていないという証拠である。

感覚のみで見ている寝手は、本人が直接的な戦闘をするタイプではない事も相まって、どの程度の技量かまでは分からない。しかし、強さという点なら



「相手方の方が上だろうね。ジャオウジャンもだけど」

「っ!寝手!それはヒイロ様も敗れるって事ですか!?」

「”邪念”の総量だけを見れば、ジャオウジャンが一番だよ。現に白岩ちゃんが洗脳されるほどの総量の持ち主。あーいうのがやたら強いってのも、ジャネモンや妖人の特性なんだから」

「で、で、ではなおの事!ルミルミ様がヒイロ様に協力をですね!」


どっちが強いかは分からないって、寝手は言っているのに、アセアセは分かっていない。


「ルミルミちゃんはヒイロに戦うよう言っているんだ。”何か”があるんだよ。それで合意したんだ」

「!!」

「まったく、ずるいよな。秘密主義の奴等って……僕も言えないけれど」



お知らせ:


表原:5月はこのお話だけです。ストック有るのに勿体ない。再開は6月です

レゼン:さすがにオーバーワークなんだと……。

寝手:とはいえ、R_18の内容になるからの休載なんだけれどね(タイミング早いけど)

表原:わーーーっ!出たーー!!?R_18!?また、そんな描写!い、いいい、一体誰のですか!?

寝手:……色々とネタバレになってるそうだけれど、主要の1人の大人な過去のお話だ。

キッス:……じゃあ、私じゃないな

白岩:あたしは前回だったし

北野川:あたしでもない

黛:ないない

ルル:お姉ちゃんが変じゃないのなら、OKです!



野花桜:まぁ、あなた達はないでしょうよ。昔話なわけだから

野花壌:はいはーい!私と育つーりんの、HなHな夜の~

野花桜:お母さん達はもっとない!!私が絶対拒否!!需要ない!……というと


……………


粉雪:あら、それって私なのかしら?

全員:…………

粉雪:まぁ、あの”お話”のことだったら、しょうがないわね。話しも終盤に入ったわけで……そろそろ話さないといけないわ

全員:…………

粉雪:……なによ!あんた達!その目は!!その目は何よ!!

南空:粉雪様、過去の話は美化され過ぎるものですよ


バギイイィィッ


粉雪:南空ぁっ!!殴るわよ!!

表原:粉雪さんの過去編なのかぁ~~……

粉雪:表原ちゃん!そこは過去編って言わないで、R_18でいいのよ!私の最近の思い出ってわけで!


昔を最近と言い出してるのはやべぇって

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