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MAGICA NEAT  作者: 孤独
第55話『因心界 VS レイワーズ!俺と大差ねぇじゃねぇか!!』
216/267

Cパート

錦糸千登勢はぶっ続けで、自分の能力を活かしてバズりを狙う。始めた当初は、13万人というフォロワー数が18万人という数になり、残り6時間もあれば、20万……あるいは、30万人に到達してもおかしくはない。

世界中の色んなところを見せたり、色々な面白企画を始めたりと、この空間の中では……ダイスで決められているとはいえ、様々なことができる。錦糸千登勢が動画でやりたかった事が叶う。そんな夢を生み出せる。

楽しすぎて、しょうがないのだ。



シンシン…………



「!」



一方で、クールスノーのフォロワー数は未だに”0”。動画投稿も呟きすらも挙げてない!何もしていないアカウントである。

残り6時間でニシシシチャンネルのフォロワー数を上回るのは、不可能と言える。

いや、0から1にするという行為だけでも、相当なモノだ。誰かに見てもらうという事は、運の方が必要であり、流されるモノばかりだ。

それを知らぬわけがない。

クールスノーが目覚めた。


「う~~ん、よく寝たわ~。それじゃあ、やろっかっ。動画投稿やら、フォロワー稼ぎやら」



この空間にも雪を降らし始め、客席からゆっくりと舞台ステージの上に戻っていく。


「あー、ようやくやる気になったの!?今から動画投稿とか、遅すぎなんだけどぉっ!?ぷぷぷっ!」

「そーね。そりゃあ、どうも」


クールスノーは舞台に上がるなり、手に取ったのはダイスと……それとリンクする背景に目をやった。寝る前に撮影用のスマホだけは持っていったようだが、それ以外は特に。

いきなり動いて、


「さぁ~~!みなさ~~ん!この人もよーやく!撮れ高集め始めるよ~~!初心者も応援してねー!」



錦糸の嫌味な応援を気にせず、ダイスを振って……”X”の面が出る。


「”X”……”X”ってどーーーんなところだ!?それは~~」



パァーーーンッ



「メリークリスマス(X’MAS)!!」


クールスノーの背景にクリスマスの催しをしている風景が。大きなクリスマスツリーに、特大のケーキ、トナカイにソリに、サンタさん。とても楽しそうなクリスマスの光景が広がった。その中にクールスノーは入り込む……が、誰もクールスノーの存在には気付けていない。自分の体もこの空間の中では自由にできるようだ。



「…………」



クールスノーは小腹が空いたのか、それともケーキを食べたかったのか。勝手に1つを拝借しつつ、スマホで撮影した後、この空間から出て来る。ケーキも一つ手に持ちながら……その後、スマホでSNSへ投稿。その様子をジーーーっと見ている錦糸の目は、……正直に褒めてるものではなく


「やったねやったね!初ツイートだねぇっ!!”いいね”や”登録”をしてくれるといいね!!」


人の夢を嘲る言葉であり、仲良くしようというのは建前。お互いに繋がろうというだけで……。しかし、クールスノーはそんな錦糸の言葉に、何かの笑み。



「……これって、楽しいのかしら?」

「?」

「知りもしない他人の食べ物や景色を撮って投稿して、何が面白いのかしらねぇ」

「……………」



自分がやったことではあるが、クールスノーの場合は、錦糸との勝負であるためだ。別にするつもりはない。ある意味、何気ないことで”そー思う感想”ってのは、世の中多い。錦糸がすぐに反論も何もなく、クールスノーの挑発に無視スルーをしたのは、それだけ投稿に歴がある事だ。

しかし、


「それでもあんたより評価を貰うには、ちょっと理解は必要ねぇ」


クールスノーはケーキを頂きながら、考えている様子。……それはそれとして、ケーキが美味しいと彼女の舌は喜んでいた。

自分のやりたい事・伝えたい事。それを混合するのは難しい。錦糸が少しの沈黙から出した言葉は


「色んな人と繋がる事は楽しいんだよ!!少しずつ伸びていく登録者や評価は、自分の励みになるんだ!」


クールスノーがこの手の事に疎いと見て、子供にも分かりやすくて単純な始め方。誰でも始めが肝心であり、そこに評価を貰えるというのは大切なもう1歩になる。進んでいくことだ。

登録者数を増やす事の難しさと、それができた時の達成感。自分が世界に知られている事を喜び。自己顕示に喜びがなくて、何かを身に付けられるわけもない。


「ふ~~~~ん、そうなんだ」


めっちゃ興味ねぇ~~~って顔をするクールスノー。登録者数の裏を返せば、それ以外は誰もお前を知らねぇーだろって、正論を言いたげなクソ悪い顔でもある。


「有名になりたきゃ、なれば?」


その界隈の”有名人”でも、他所からしたら”誰それ?”って奴。あるいは、……


「おいっ」


……クールスノーが少し怒りそうな事ではあるが、過去の人や一発屋と呼ばれるような。時代の流れは激しく早く、一週間前の事でも化石になったりする。そして、幾度も壁にぶつかるだろう。急に注目された事を自分の力であるのは、確かなことでも、自分も他人も時間は決まっている。自分を見てくれる、気に掛けてくれるなんて、身近にいなければまずない。SNSという空間でそれこそを気にするなんて、よっぽどの暇人か別の何か。

”あの時は良かった”って嘆く事もあり、時代も常々変わる。

だが、それは”良識”や”善良”、”成功”に限る……。誠に残念ながら




「”G”……次はどこかな~!?」


錦糸が振ったダイスが出した面は”G”。……現れた先は、なんと



「ぬわ~~!ファミリーレストラン~~!?ここで私に撮れ高がでるかなぁ!?」



どこかの飲食店。そこに入った錦糸は、……このお店の看板メニューっぽい、



「よーーしっ!!鉄板200gステーキを食レポしちゃうぞ~~!この美味しい料理をみーんなで食べにいこう!!」



本来、飲食店内での撮影なんてNGもんだが。この空間なら、そんなNGもない。自分の理想を叶えてくれる場所だ。そんな空間にガムを膨らませる女が


「ふふっ、食べなさいよ」

「あんた!なんでこっちに入ってくるの!?」


クールスノーが、なんと錦糸の空間に入って来たのだ。それも堂々と本人が入ったところを……。一度、クールスノーが試したのは空間にある制約などを自分で確かめるためだった。およそ、確信していた事ではあるが。錦糸が選んだ空間に、自分もそのまま同行できるのは何となく読めていた。空間内での動きの自由・現実世界と異なる規則の解禁など。

勝負の云々は、あくまで高め合いやコラボなどの要素。



ジューーーーッ



「ま、いいか!それじゃあ、ステーキも焼けたし!」


自撮り棒でスマホを掲げながら、ステーキと自分を映す錦糸。その光景をクールスノーは見逃さず、


ガシィッ


「おらっ、食いなさいな」


錦糸の頭を掴んですぐに、ステーキが焼かれている鉄板に顔を押し付けた。そして、その間に錦糸のスマホを拝借もしている。頭から熱々の鉄板へと叩きつけられ、さらに押し付けていく。


「うぎゃああぁぁっ」


錦糸の叫び声に気にも留めず、クールスノーが図っているのは、”ある時間”である。そして、錦糸のスマホを拝借したのは、もう1つのため。それを分からせる、簡潔な1つ。このゲームを制するのは、紛れもない数であり、その数に質は問われていない。誰もが


「あんたにカスが見たいモンを見せてあげるわ」

「がぁっ……なに……」


見たいモノとは、人が見たくもないモノだったりする。SNSという空間で、自分自身を良く魅せる大事な事の1つ。自分が”周りとは違う”、……という発想・自信。誰にでも出来そうな事を飛ばしたところで、大海に水滴を落として捜してくださいと、お願いすること。



バギイイィッ



「ふふっ」



錦糸のこれは天性的な能力だとは、クールスノーも読み解いた。それは根っこから自分の想うモノを編み出した事とは異なり、本人が気付いていても、気付けてない深い心が作り出した現象である。

自分の思い通りに撮影ができる、誰もできないような事ができる空間。そのようなプラス向きな発展もあれば、マイナス向きな発展もある。絶対に”勝てる”と、興味もない人を勝負の場に立たせている辺り、人間としての本性が現れている。数字や結果を拘る。……それは本人の中で、自分がどの位置でいるかで拘るのならいいのだ。それに支配されつつある。



ゴギイィッ



”無限残機”による、命の保障も錦糸の深層心理と言えよう。いくらでもやり方がある中で、これが選ばれたのは。彼女には、リセットをしたい願望があるからだ。

体験した事を忘れたい。その嫌な事があるのは、誰しもあり、現実ではそうできないのだから、SNSの中ではそれを許されたい。数分前の記憶をリセットして、復活するという蘇生はそんな気持ちからだろう。

2つのマイナス向きをクールスノーが悟った時、お互いの悪いところをくっつけてやれば、どうなるか。……SNSの怖いところは、気付いた時にはほとんど焦土と化しているものだ。




「あれれれ?イライラしちゃった?」



錦糸が蘇った時、目の前にはクールスノーがおり、何かしたか?という表情でいた。そして、


「あはは!私、もうすぐ20万!まだ、あなたは0じゃあ、お話にならないもんね!でも、殺したって何も起きないよ!」


先ほど、殺されたとは思えない明るい笑顔で話す錦糸であったが、クールスノーも同様に笑っていた。無限残機がどのあたりで記憶が止まっているかが、理解できた。死んでから生還まで、1分ほどの記憶のラグがある。これは自分が錦糸を始末するには丁度良く、錦糸に何かをするには十分過ぎる時間。

そして、錦糸は復活の際に、それに気付いている感じではなかった。殺された事を覚えていろって、警告をしたいんじゃない。自分は何をされてしまったかが、まったく抜けている。



「自分が頑張らないとこーいう事はダメなんだよー」



錦糸はダイスを振る。

それがどんな面を出そうが、別に構いやしない。クールスノーにとっては、



ブロロロロロロ



「北の大地をツーリングしてまーす!!みんな、この大自然で……」



錦糸が撮影をしている最中に妨害を仕掛け、それを配信させた後、ぶっ殺して錦糸の記憶を抜いている。その妨害にどのようなやり方をしているか、単純に人がやらないようなこと。


ツルッ



「へ?」



ドガシャアアァァッ



加速している錦糸のバイクの車輪を雪で滑らせ、動きを封じつつ、カメラからではそれをハッキリとはできない、雪の人形を錦糸に壊させた後に殺害する。やらせのひき逃げ現場を作らせているが、それの証明よりも宣伝させる事を狙っている。

例えば、有名人が引き起こした大事件を生配信で見られるというのは、大きな衝撃ショック。そして、それを錦糸は忘れちまう。無限残機で復活すりゃあ、



「わー!一気に2000人増えちゃった!なんかボーナスステージ!?」


登録者数のみを意識して、再び、撮影をしている。……どんなモノをSNSで流したのか、あるいは広まらせているのか。数字や結果に固執した辺りから、……仕事としてなら”満足できる人数を堅実”にするだろう。しかし、自分の承認欲求が上回れば、止まらない、止められない。



ペロペロペロ


「あっ……あっ……」


寿司屋にやってきた錦糸に、クールスノーは無理矢理、お茶の出る蛇口に錦糸の口を付けさせる。シールの性質で錦糸の舌が蛇口からとれなくなる。


「これ便利ねぇ~」


最初は少し戸惑ったか、クールスノーも慣れて来てしまった。1分以内に撮影、配信、殺害をするというパターンを組んでいたが……。錦糸のスマホを奪い、錦糸に危険な行為をさせ、配信をスタートさせる。これを配信中に長々と流すんじゃなく、10秒程度のショートで流せば、多くの人間に見てもらえる手軽さがある。それに演出も簡単だ。

これで視聴者が増え、登録なども増える。不覚にもだが、確かに楽しいと思う。



シンシン…………



舞台の上では、クールスノーの雪は相変わらずである。

そして、勝負を決めるであろう、”登録者数”や”いいね”などの表記に雪が掛かる。ここに”BAD”表示がないのは、錦糸の心理が良く出ていると思う。注目を浴びる事がなによりだと、彼女の本心。それがどんな方法でもだ。



「あははははは」



無限残機で復活する度に、自分が沢山注目されている。それが嬉しくて、興奮してきて、次の何をやろうってものが、錦糸自身も暴走し始めていく。完全な記憶の引継ぎ、人格の引継ぎは成されないんだろう。精神的な崩壊も始めるが……。クールスノーの攻撃はまだ小さいモノだ。

視聴者が増えれば増えるほど、良い奴もいれば悪い奴もいる。そして、それを見逃さない”本営”もいるということ。

1時間以上、経過をすれば……ニシシシチャンネルの登録者数は、”50万人”を超えてしまった。



「注目されてる!私、注目されてるよぉぉっ!!こんな数は、ドキドキするっ!」


……あれ?でも、私はなんの動画を挙げているの?いつも気が付く度に、登録者数と評価だけが伸びていく。凄いことはしてるんだあぁぁっ。


「ああ。あああ。もっと、もっと、みんなに私を知ってもらわないと、世界が私を知らないと……」


これほどの数になれば、大した考察などもないコピペのような、ただ語るだけのモノでも相当な再生数になるだろう。どこかに出て来る、保守的な行動が出る。だが、それにはちゃんと歩いて来た歴史があるだろう。記憶を消されている錦糸にはそれがなく、自分がどのような動画を投稿しているか分かっていない。……確認しようにも、クールスノーがスマホを奪っては殺害してくるからだ。


伸びていく功績に対し、中身がまったく伴っていない。


あるにはある事だろう。



それが生み出す結末。



「そろそろかしらね。野花」


クールスノーは現実世界のいる仲間の名を出した。

事実上の外部工作も可能であり、それを待ってからの始動。万が一、精神を持ち堪えた時、時間に余裕があれば負けてしまう可能性があった。それ故、6時間も派手な動きをしなかった。

50万人どころか、10万人ですら、半日で覆すなんて非現実的。0からスタートする時点で、



”BAN”



「へぇ?」


ニシシシチャンネルを”垢バン”させて、リセットさせる以外の手はない。それが制限時間から残り2時間を切れば、立て直しは不可能と言えよう。

錦糸にとっては、最悪。なにせ自分が何を投稿しているのか、まったく分かっていないのだから。



「なになになになに!?なんでっ!?」


自分の登録者、評価、その全てがふっ飛んだ事。自分の苦労が全て消し飛んだ。その時、自然に発した言葉は……6時間前だったら絶対にあり得ない言葉だろう。錦糸は殺される度に変わったのではなく、周囲に影響を受けて変わったと言える。

変わらない人間などいないし、夢見た事だっていい。



「こ、これじゃあ!!収益も何もないじゃない!!」


訳もわからず、あり得ない幸運を掴んだ時に出るような言葉せりふ。クールスノーはその言葉で、心を完全にへし折ったと確信し、もう不動だった。

スマホで頻繁に撮影していた彼女がそれを手にしていても、……行動をしない。



「大変だったんだよ!いっぱいしたんだよ!50万人いるんだよ!50万人も私をっっ!!なんでっ!?”垢バン”」


私はいっぱい動画を出したんだ。いろんな企画に取り組んだ。いっぱい歌ったし、踊ったし、食べ歩きだってしたし、……あれあれ?なんで私、苦労ばっか思い浮かぶの?みんなのコメントが見えないよ、みんなの気持ちが伝わらないよ!



「いっぱいっ!いっぱいさぁっ!!」


私はどーやって、50万人の指示を集められたの?ねぇっ……答えてよ!!こんな言葉は本当の私じゃないはず!


「私はっ……頑張ったんだ!!」


それは紛れもない事実だし、一般人以上のモノは感じる。それでも今の錦糸には、とても認められないような人間が叫ぶような言葉ばかりを、言ってしまう。無意識にそっち側。心が折れてもうどーにでもなれ、みたいな。

死体に鞭を打つ以上な事をしておいて、クールスノーは錦糸が起きてる心理を伝えてあげた


「”アンダーマイニング”って奴」

「!!」

「あんたはこの空間を愉しんでたようだけど、動画投稿を続ける内に、いつの間にかみんなからの評価を気にしちゃったのよ。それがモチベーションになってたの。”やらされてた”って奴」


その”やらされてた”を作ったのは、クールスノーである。

それが敗因の半分と言えるだろう。自分の記憶リセットしてでも、できなかったこと。”初め”の達成感を忘れた行動なんてつまらん義務。


「”垢バン”させて決定的ね。あんたはもう、動画なんか作れない。だって、みんながあんたを見ないし、大変だったから」

「!!」


優しさと厳しさを伝える言葉だ。労力と報酬が釣り合わないと感じたら、それはもう仕事になるし、楽しみではなくなる。みんなと一緒に無限に楽しむなんて大変だ。

クールスノーの言葉に、そーなんだよって、悔しい涙が錦糸からあふれ出てきた。


「ひぐぅ、やだぁっ、……いやぁっ……」


心は折れている。動画を作ろうという意志を砕かれ、0にされた絶望。だが、それで終わるのならクソの人間。錦糸が”宿主”として、資質を認められているのは



「まだ終わってないっ!!ここからでも、あんたを上回ればいい!!ううぅうっっ!!何も知らないあんたに!!私を認めさせない!!」


まだ、時間はある。

2時間を切ったが、ここからでも錦糸が逆転できる可能性はある。なぜなら、クールスノーの評価や登録者数も未だに”0”だ。そして、本人にはその意志は低い。やり直すのは大変だが、培った経験があれば、この勝負には勝てると錦糸は再起した。心が壊れても戦うという姿勢には、見習える。



「諦めが悪い。とんでもない方向で」

「うううぅっ」


シンシン…………



どうして、この空間内でもクールスノーが雪を降らせてると思う?

勝敗を決するだろう、互いの評価に積もる雪は



「私が何もしてないわけないでしょ」

「え」


互いの評価を見せないためにだ。雪に色を付け、本当の数を錦糸に誤認させる。いや、それよりも錦糸からすれば、いつの間にって感じだ。クールスノーの本当の登録者数や評価は



「もうこのアカウントで、1000人以上の評価をもらっているのよ。悪いんだけど」

「!!?はああぁぁっ!!?」


の、残り時間。2時間で1000人以上の評価を得る事なんて、経験者からすれば不可能だって分かる事だ。立ち直りかけた錦糸の心が再び折れた。自分がまったく知らない間に、相手も相当な事をしていたこと。


「い、イカサマだ!!不正よ!!」

「正当な方法よ」

「どうやって!!」


錦糸には詳しく言わないが、


「寝てる時でもみんなは見ている者よ」

「!」

「特に男連中はね」



……6時間の睡眠も、この制限時間ギリギリの勝負に持ち込むためだけではない。

男というのは、日常的なエロには結構敏感な反応をする。錦糸が楽しんでいる間に、そーいう写真を時間差で投稿しながら、注目を集めた。動画や写真の中身?……年齢不詳の



「細かいところは言うな。胸とお尻とかが見えそうな写真アップしとけば、馬鹿な男なんてホイホイよ」



まだまだ体も顔もイケるという事だ。



特殊なルールでの戦闘ではあったが、これでこの戦いは制限時間を過ぎるまでの勝負となった。決定機。



クールスノー VS 錦糸千登勢。



勝者、クールスノー。


しかし、12時間もの間、クールスノーを足止めしたという錦糸の実績もまた、讃えるべきものだ。

その彼女達の戦いは戦場において、3番目となる決着であったのだ。

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