Dパート
ジャラッッ
「まったく、いつまで監禁生活させんの?」
超特別。
という言葉を使うくらいには、ゴージャスな牢屋暮らしをしている者が一人。
しかし、その牢屋はこの人物一人で勝手に内装をしているだけである。
「ハーブの事も、ペドリストの事も話したんだし。解放してくれてもいいんじゃない?」
フカフカのベットに有名なバンドの楽曲が流れ、両手の錠を付けられている中でミルクコーヒーを頂いている女。
「ダメです。あたしはあなたの監視を任されているんです!!」
「真面目な女ねぇ~。あんたとは相容れないわね。……姉の方が話が分かるわ。呼んで来なさい」
「ダメですっ!!」
鼻息荒く。監視する者。嘲笑うこと。捕まる者。
因心界の投獄室でのやり取りは、
「あなたをこうしている事だって、あたしはかなりの我慢をしてるんですよ!!」
涙ルルと
「じゃあ、やってみれば~?ほらほら、ルルちゃ~ん。戦おうじゃない」
レイワーズのイチマンコの二人である。
ルルは彼女を捕らえ、キッスの命令で彼女の監視を任されている。イチマンコの能力は、金によって様々な事象を引き起こせるモノであり、表原やその他大勢の人間を一時的に操作したり、爆弾を作ったりなど、多種多様な能力を持っていると言える。反面、力という面は他のレイワーズとは異なり、劣っている部分もある。
ルルの真面目さと愚直さは、イチマンコの買収は効いておらず、脱出をするにしても戦闘能力の高いルルを相手にするのはかなりのリスク。
因心界側からすれば、適任の中の適任。
イチマンコの子供らしい挑発にも、ルルはまったく乗らず、イチマンコを監視するのみ。
「…………ちっ。あんたみたいな、夢もねぇのに、真面目な奴。……大嫌い……」
「結構ですよ!!それで!もう、表原達に酷い事させないんだから!」
捕まって以降、キッスや野花、北野川、黛と話しをしたが……こいつ等の方が馬が合うから、監視を変えてくれというも。……NO。イチマンコはとても退屈な牢獄生活を送っていたが
「だいたい、自分の力で色々と牢屋を改造するなんて!贅沢過ぎますよ!囚人のくせに!」
「それがあたしの力だも~ん」
ルルからすれば、とんでもねぇことをされていると思っているが。それでもなお、イチマンコは足りず、渇く、そんな気持ちのまま、牢屋の中にいる。脱出しようと思えば、脱出ができそうなものだが……イチマンコはそれをしない。
ルルとの相性の悪さもあるが、その後ろに控えているのが野花桜とセーシだ。
ルルと野花が基本的に因心界の本部で待機しており、この2人を同時に相手するのは……という言い訳。牢屋を自分の力で模様替えし、飲み食い自由にやって、好きな音楽をかけて、ネットの中に潜ったりと……。
「…………ちっ」
十分過ぎる贅沢。そう言える囚人でも……。何かに苦しんているのは、確かだ。そして、長いこと彼女の監視についているルルが、それに気付かれる事を心の中で恐れていた。図星は恥ずかしい。
「大人しくしてればいいです!寝る時も一緒ですよ!」
「はいはい。規則正しくしてればいいんでしょ」
最初の日こそ、イチマンコが大人しく従うわけがなかったが。段々とルルの言う事を、文句を言いつつ従うイチマンコ。相容れない存在だと思っている。
◇ ◇
…………パチッ
「………?」
パチパチッ……
「???」
彼女からすれば、半年近くの記憶が無くなっている。それほど眩い白い光が瞳を襲った。身体への異常は少ないが、何かが異常なのは分かる。どこかのベッドの上で熟睡よりも、封印されていたような感覚。
「どこ?」
権田飴子が完全な意識を取り戻した。
寝手によって洗脳されていた記憶の全てを取り除き、まだ意識のあった頃の自分に戻ることができた。飴子が洗脳される直前までに、寝手と表原との交流があり、それを元にした記憶の調整……。
ベットから起き上がった後、近くにあった紙にはメモのようなモノ。通常の記憶を辿れば、誰が一番この手の説明を穏便にできるか。打ち合せ済み。
「?……録路!そっか。ここ、キャスティーノ団のどこかなのね!」
録路の名前付きと連絡先付き。意識が戻ったらここに連絡を入れろのメモ。彼女の中では、なんらかの方法で彼に救い出されたと解釈した。最もすでになんらかをされたわけだが……。飴子がそのメモを頼りに録路に電話を入れたのは自然のこと。
連絡をもらえば録路の方も
『おー、起きたか?』
「録路!!ねぇ!ここは何処で、頭鴉はどうなってんの?」
『あいつ?結構前に死んだぞ』
「ぶ~~~~~っっ!!」
全然!配慮してねぇ、説明っっ!!
それもそのはずで
『俺は今、そこにいねぇ!だいたい、お前の事は表原がテキトーに押し付けた話!』
「ちょちょちょっ!説明をヨロッ!マジでどうなってるわけ!?頭鴉が死んだ!?嘘でしょ!?」
『あーもう、面倒だな!キャスティーノ団はもう解散した!俺は今、因心界で雇われてる!お前がいるところは因心界の本部だ!』
「はあぁっ!?」
『命の補償はされてるし、自由もある。北野川に話しを聞いて、協力してやれ!』
「……いや!あんたは今なにをっ……」
『此処野の始末だよ!』
自分が因心界の本部にいない理由と、今の目的を語って電話を切ってしまう録路。彼が向かう先は、SAF協会が滞在しているとされる宿。寝手とアセアセの情報の確認もある。彼の標的はどうやら、此処野神月らしい。
「まったく、あのデブっ!!」
記憶の整理が追いついてない中。因心界の本部にいる今の状況。妖精のレイクレイクも手元にいる事で、飴子はここから脱出を図ろうとするが。その前に目覚めた事を知ってのお迎え
ガチャッ
「!」
「起きたー!あんたー!飴子だっけー?」
「……誰?」
「あたし?黛波尋!姐さん……じゃなくて、北野川が話あるって」
因心界の面々が今、飴子に会いにいけば逃走されていただろう。だから、黛が彼女の呼び出し役を任されていた。彼女の加入はつい最近であり、飴子とは共通する点もある。まだ整理できていないから落ち着けないけれど
「逃げる!」
「だー!止めて止めて!あたし、あんたを瞬殺できるから!せっかく回復したのに痛めつけるのは嫌なの!」
「……………」
「ここは因心界の本部。逃走したって先ないよ!あんたに起きていた事も含めて、北野川と表原が説明するってさ。お腹も空いてるんだし、食堂あるよ。あのお菓子好きのデブ(録路)と、あの根暗中二病(茂原)と顔見知りなんでしょ?」
「後者については誰の事か知らないけれど、……録路の事も知ってるみたいね」
「二人共、本部にはいないけど」
録路も電話で似たような事を言っていた。
いきなりバトルよりも、敵からでも情報を得ようと飴子は、とりあえず黛と同行する形となった。それと大人しくしたらという事で黛の方から、
「あー。これ返しておくわ」
「わっ!?拳銃を放り投げないで!これ、あたしが使ってたのでしょ!」
「そうらしいね」
「まったく……」
なんていい加減な子だと、飴子は黛に感じたわけだが。妖精のレイクレイクに、自分の拳銃までも……しかも、弾付きで返してくれる辺り。向こうもそれなりに譲歩しているらしいと伝わる。逃げたら逃げたでどうとでもできそうな、雰囲気もある。元々、大きな組織でその組織内にいるんじゃ、多少の自己防衛ができるだけでも有難い。
◇ ◇
「滅茶苦茶痛いですよ」
因心界の病院に務める古野は、二人の女性を見てこう言った。……痛いのは、たった一人だけ
「安心なさい。とっとと外して」
網本粉雪だけである。
「いいのか?麻酔もなしで右腕を切り落とすんだぞ?」
心配をするキッスであるが、
「すぐにぶち殺しに行く。麻酔なんかで2日も感覚を鈍らせられない。古野は腕の良い外科医さんでしょ?」
「信頼してくれるのは有り難いんですけど……。まぁ、恒例に言わせてもらいますが」
何よりも心配する古野。粉雪のこーいうのを強さというべきか、狂気染みているというか
「あんたぁねぇ。やりすぎなんですよ?毎度毎度」
信頼してくれるのは嬉しい限り。古野は妖精のサングラスをかけながら、
「サング。少々手荒く行きますよ」
『分かった!』
「粉雪さん。力を抜いて、楽にしてください」
「してるわよ。脱力はいつでもできんの」
キッスと粉雪の手首が繋がった中間部分を触りながら、この連結部分を解きに掛かる。ハーブが仕掛けた人体改造は、キッスではなく粉雪側に仕掛けていた。これはキッスの体が異常体質であるため、改造が不可能であった事を示す。
粉雪の腕がキッスの左腕と繋がった状態を見るに
「…………ふむ」
決して強い力ではないですね。粉雪さんなら自力で外せた事でしょうに、随分とご慎重ですね。
粉雪さんの手首を切断から接着ではなく、粉雪さんとキッスさんを一つに纏めた状態。これほど上手に神経や筋肉、血管を繋げるとはお見事な相手です。
「この状態はどれくらいですか?」
「73分」
「お互い、体温とかは大丈夫です?平熱ですか?」
「大丈夫よ」
この現象を見れば見るほど、
「粉雪さんが怒る理由も分かります。キッスさんは感じてませんか?」
「……ふーむ」
二つの体を一つにされた状態。これが意味する事は、ハーブにもキッスを破る術があったという事だ。それに粉雪が利用されている事を察する粉雪も、化け物。
キッスをして、少し赤らめながら本音と共に
「この状態にするなら!!ルルと一緒に成りたかったーーー!!分かるぞ~~!粉雪の脈が!」
「あーあー。悪かったわね~。妹じゃなくて、お姉さんの方で……」
「これは恐ろしい状態ですよ。分かっているようですけど、時間が経てば、粉雪さんとキッスさんは同じ1つの生物となる。粉雪さんへのダメージがキッスさんに。キッスさんのダメージが粉雪さんに変える」
堅牢無敵。完全なる硬度を活かした涙キッスと妖精イスケのタッグは、間違いなく最強候補の一角。これを破るにはとんでもない破壊力が必要であるが、それを解決する上で弱体化させるという発想。通常の弱体化すら通さないはずのキッスの体に届いているのも、驚きだ。
「粉雪さんが死ねば、キッスさんも死んでいた。敵はそれを調べてもいたでしょう」
「あー、いいわいいわ。説明なんか。腹立つな」
それを言うと、粉雪が足枷扱いになる。そりゃあ腹が立つ。
ブシュゥゥッ
キッスの腕から粉雪の腕が離れる。その際、粉雪の血は相当な量が流れ、激しく痛覚を刺激したであろうが。粉雪の表情は変わりない。そこに戸惑うことなく、古野も最短の治療で離れた部分を連結させる。
「自然治癒の方が宜しいかと?」
「あなたの腕を信じるわ」
「……ホント、自分にも厳しいですな。痛いでしょうに……」
一切の傷跡なく、細胞の一つ一つをキッチリと繋ぎ止める。ここからは自然治癒が好ましく2日ほどの安静をお願いするところ。しかし、そんなわずかなところギプス代わりにするように、雪で覆って接着。冷たくないのか?っていう問いも、問題なしで答えるんだろうって古野はため息をつく。粉雪の判断が早過ぎる。
「これで大丈夫。問題なし」
「私への信頼は嬉しい事ですが、過信は困りますよ」
粉雪は戦闘OK。一方で、傷なしであるキッスの方は……少々、考え事をしていたようだ。先ほどのようないやらしい考えではなく、真面目に戦略的な事だ。
「粉雪は革新党の情報網を使うか?」
「まぁ、そうなるわね。地道に……」
ハーブがどのように逃走し、どのように潜伏しているか。それについてはおおよその検討はついているが、数が数だけに通常のローラー作戦などで捕捉は不可能と言える。奴から仕掛けてくるのが望ましいが、おそらくその可能性は低いと見る。なぜなら、一度本気になれば、どんな手だろうと使ってくるからだ。
それともう1つ。
「私とハーブの相性は良くはないな。今は、”人間”を集めている事だろう。傷つき、どうにもならない人間を集め……ガチャンッ」
効果音を、声に出して表現し
「傷つく相手と結合させ、ダメージを与える。こーいう防御無視の攻撃は、私の天敵だと思う」
「喰らわなきゃいいし、痛みで悶えるキッスは見てみたいわね」
「対策がないわけではないし。そうすぐ、根をあげる根性なしではない。ただ、鍛え上げた相手にはとても有効な攻撃を持つのは厄介。……私達のように強者同士ならな」
それがどれだけかは分かったもんじゃないけれど。
ハーブの次の攻撃手段を予想した上で、慎重な意見を出しつつ、それでも対抗策を講じる。
「だから、私としての最善手は」
まだ、粉雪との協力体制がとれるこの時。キッスの大胆過ぎる一手。
「!……ははは、あんた。サイコーね」
「……あの?キッス様。正気ですか?」
それを聞いた粉雪は、改めてキッスの面影を好めるところと、革新党としては痛手はないから
「ノッた!ヒイロに先を越されたくもない!」
キッスもまた、粉雪だからこそ、その個人には大きな信頼を寄せている。それが成立する妙手。
「交渉成立だな!私も、粉雪とじゃなきゃできやしない。ヒイロよりも先にハーブを討とう!」
一方で、そんな方法を喜んでやることを聞いた古野は、確かに2人が揃っているならできる事かもしれないが。
「お互い、イカレてますねぇ~」
◇ ◇
「いきなり僕に尋ねるとは驚きだね」
因心界の本部に戻ってくるや否や、すぐにアプローチをかけて来た。
「出来なくはないし、さっきの戦いもアシストしてたからね。それにしても、よく……」
アプローチを受けたのは、寝手とアセアセだ。そして、そのアプローチをしてきたのは
「俺を信頼してくれる者はいても、キッスも粉雪もそうすぐに心は許せない。寝手くん達とは少しの間、交流もあったし、白岩の世話をしてくれた借りもある」
ヒイロであった。
お互い敵同士であったり、仲間にもなったり、また別れたりもしたが……。確かに互いの立場を鑑みれば、この2人がペアを組むというのは難しくもない話。索敵担当なら北野川や表原も候補に挙がるが、
「キッスと粉雪の作戦にも2人が関わるだろう。完全に調査を求めれば、寝手くんがあまりに適任だ」
「こっちも麻縫ちゃんにアピールしたい機会だし、ちゃんと活かしてくれる仲間がいるのは嬉しいな」
ハーブを倒す手柄を挙げれば、周りからの印象も良くなるだろうと単純な事を考える。それでいい。まずはそこからスタートだって、
「検討はつくの?ハッキリ言って、ハーブの逃走経路と潜伏方法が分からないよ?」
とはいえ、戦闘後に消えたハーブの行方は未だ掴めていない。それでもヒイロは
「一度戦い。他から仕入れた情報を見て、まず間違いない事がある」
「それは?」
「奴は人間の中に隠れて、俺達の目をやり過ごしている。潜伏についてはそれで間違いない」
「じゃあ、1000万人の中の1人にハーブが紛れてるって事?例えにしても、少ない数にしたけど多すぎないか?」
人体改造を得意とする能力であり、自分だけでなく相手までも改造をするのなら。その過程で体内に潜んで逃れるという方法は、まったく行方を掴めない事と一致する。
「あ!もしかして、ヒイロの中にハーブがいるんじゃないの?」
「馬鹿を言うな。そしたら、俺はなんのために降りてきたんだ。”妖精の国”から……」
「あはははは。ま、そりゃあないよね。いくらなんでも。冗談だから剣は握らないでくれ」
「キッスも粉雪もその線はない。間違いなく。俺が思うに、潜伏方法は検討がつく。しかし、奴の逃走は事前に想定しないと、捕えられない」
ハーブがあの絶体絶命の状況から脱した術。
「その答えを導くためにも、ハーブの捕捉は必要。寝手くんならできると思う」
「……できたところで、君達が素早く急行するのはできないと思うけどね」
「…………できるんだろう?」
「当然。捕捉するところまでは、僕のお仕事として受け入れるよ」
感覚操作・幻覚を見せるといった芸当。その他にも、寝手が持っている闇グループ、スリープハンズ教団のネット情報網もある。そこに自身の能力を加えつつ、監視カメラやスマホのカメラなどからの情報。
ハーブの潜伏手段から見れば、
「完全に彼が乗っ取ってると思う?」
「それはない。人の意識はあるはずだ」
「外見的特徴は?」
「さほどないと思う、あくまで予測だ」
見ただけ、会話しただけでは掴めない。相当な情報がいる。膨大な情報を一つ一つ確認するには、一つの脳みそでは足りない。だが、寝手の事だ。
「足りない頭は、他を書き換えて利用するだけだよ」
ハーブの特定に全力を尽くしてくれるようだ。どれくらいの時間を要するかは分からないが、今のヒイロはそれを待つだけである。
粉雪とキッスよりも早く行いたいのは、彼女達からの疑うを少しでも晴らしたく、白岩との合流に協力して欲しいからだ。
「……………」
因心界の面々は決して団結と呼べる形ではないが、レイワーズの最後の1人となったハーブに対して、誰かと協力し合って行動をする事となった。誰でも理解しているのは、単独でやるという行為はしない事だ。
そして、ハーブを相手にし、なおかつ。彼が本気を出すというのなら、もう1つ現れる協力者。
彼の”宿主”への対処。それを任されているのは……
「だーから~、待機!」
北野川話法をトップに据え。その部下として
「ハーブを捜せば分かるんでしょ!こっちはノーヒントなんだから!」
黛波尋。
「そうです。所在だけでも掴んで、粉雪さん達と一緒に戦うべきです!この面子、なんか不安ですけど!」
表原麻縫。
「な~んで、私がこんな危ない事に協力するの~……も~っ」
嫌々思いつつ。人間としての心を取り戻したばかりの、権田飴子。
計4名による、ハーブの”宿主”。赤羽和希の討伐である。
表原達にはハーブの状況などはまったく入って来ておらず、まだ”宿主”ができている事すら知らない。しかし、ハーブと”宿主”が近くにいるという事は表原や黛の経験から言って、正しいと思っている。……が
「粉雪とキッスが同時に相手すんだから、勝てる奴なんかいるわけない。それにヒイロも来てくれたのよ」
3人の実力を良く知る北野川だからこそ、
「あいつ等と一緒に戦ってたら、邪魔するわ」
それはちょっと反論できないって表原と飴子の表情であるが。黛はそんなこと分かっておらず、
「だったらそいつ等もまとめて叩き潰ーす!」
「味方と戦ってどうする!?つーか、勝てんの!?あんたに!?」
黛をよく知らない飴子の言葉は、とても正しい。
チーム分けはいつもの事で構わないが、今回は助っ人のヒイロを抜きにしてもなんかおかしいと、北野川は感じてる。現状の戦力を考えれば、表原と北野川のセットは正直ねぇし。粉雪とキッスのセットもあり得ない過剰戦力。
ハーブの実力は確かであるが、
「お互いにやり方ってのがあるわ。ヒイロやキッス、粉雪の動きを見てからでも十分よ」
これに尽きる。
それに犠牲を出す言い方ではあるが、
「それと相手の情報も仕入れてからの方が良い」




