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MAGICA NEAT  作者: 孤独
第50話『縦横無尽に暴れすぎ!どいつもこいつも変態ばっか!』
189/267

Aパート


バチンッ



「近寄らないでください!!」


表原からのムスッとした顔に加えて


「サイッテー!!」


シンプルな暴言+感情が込められた、顔面へのビンタ

流れる血をペロリとしながら、



「……ゾクゾクするなぁ。今、僕はそんな気持ちかなぁ」

「キショい!!」

「そのシンプルさ。こんな感情はないよぉ」



再び、表原のシンプルな暴言を聞いた寝手。一方で、マジで彼を嫌悪している表原。その様子をアワアワと不安そうに見ている、アセアセである。そして、一番この中で落ち着いているレゼンをして


「あれはねぇ……」


指差しながら言っている相手とは、権田飴子である。

寝手の呼び出しで液体の中から現れた彼女であるが、顔と状態はとても人とは言えない。交戦した事もある表原達にとっては、衝撃的な事であった。人間ではなく、寝手が操る人形の如く。


「……………」


感情がない。命令を聞くだけの存在になってしまった。

これは明らかに寝手の能力を悪用した結果となり、それを利用すりゃあ。


「俺や表原すらもお前の玩具にできるって事だろ」


人間を操作する能力があるのは分かっている。だが寝手の恐ろしさは、この人形のような状態にすれば、本人の労力は必要なくなっている。ここまで持っていくまでの……汚い言葉であるが、その難しい調教さえ済ませれば寝手の思うが儘。それも操作範囲も細かく、意志を持つ。

裏切らず、絶対の忠誠、全力を尽くすという人間操作。



「君達が見せろって言うからでしょ?」

「わ、私達は表原ちゃん達にそのような事はしません!!」

「言葉で信用できるかーーー!!」



表原が落ち着けるわけがない。確かに寝手達が飴子を回収していたのを黙認した自分達だが……。こうなっているとは知りもしなかった。負けてたらこうなっていたのかって、表原もゾクゾクしてしまった。寝手の性格からして良からぬことをしているのも分かる。そして、この調教には相手の無抵抗は絶対条件だろう。組んでもこーはならないと言えるが……表原には言えない、レゼン。

しかし、これだけ見て分かる。寝手という奴はヤバイ。実力として見ても。



「完全な洗脳は術者への負担が大きいもんだが、寝手はそうでもないな」

「調教済みさ」

「怖いわ!!」



ひぃ~って感じに、表原が寝手から離れる。近づいたら怪しい薬でも打たれそうだ。

その怖がりをどう思ったかは不明だが、寝手はいつもの顔で


「共闘でしょ?僕の手の内は見せた。それでどーする?表原ちゃん。誠意があるってもんじゃない?」

「言い方止めろ、コラァッ!」

「立派な胸元を隠す必要ないでしょ」


表原を返答を待つ形で沈黙が続いたが、


「レゼン……」

「俺はそれでも寝手達と組むべきだ。心配するな。どうせ、こいつに俺達を洗脳する事はできねぇ」

「しませんよ!!必ず!!」

「飴子、……レイクレイクの能力は、お前も体験してるだろ。液体移動は潜入に向き過ぎてる」

「むむ~~っ、レゼン!あんたはあたしを護ってよ!」


組みたくない組みたくない。そーいう嫌悪。表原のそーいう態度が、なぜだか寝手にはグッと来るらしい。

嫌われてるって感じなのにだ。嫌いな奴ほど好きになる感覚。服従させたい気持ちには必死の抵抗がある程、燃えてくる。寝手のやる気は密かに上がる。



「寝手くんがいる前で、能力なんか使えないし!」



とんでもない出力と対応力を誇るマジカニートゥの明確な弱点は、連戦だ。1時間は能力が固定される(それが弱点かというと微妙だが)。決してその間、無防備ではないが有効な手段や動きがとれない。共闘でも信じたくないという感じであるが



「じゃあ、お前。あっちの方に行くか?」

「うっ……」

「どっちも性格面は変わらないと思うが」



別々で入って来てもいいが、こっちの助っ人は野花壌だった。あれに絡まれるのもウンザリ気味の表原。

それに船と島の侵入経路を考えると、寝手とはしばらく一緒にいる。


「アセアセさんと飴子ちゃんはあたしの両隣に来てください!!寝手くんを省いてください!」

「え~~、冷たいなぁ」

「それでいいですよ!寝手は少し私達がから離れるくらいで、表原ちゃん達が協力してくれるならOKです!」



こうして、なんとか(?)無事に寝手との共闘を許した表原。

あと30分ほどで島へとたどり着く。こちらの方が都合上、壌達よりも早く島へと入る。島に着いた段階で、そだつの方から連絡が入ってサポートをしてくれるらしい。




ボォォーーーー




そして、船はエロシュタイン島に着く。

表原達を”商品”としてされた形で、島内に入った。200人以上の人達が乱れた行列を作りながら、島の中。……地下の方へと案内されるのであった。



◇            ◇





ブシュウゥッ




表原達の到着から90分後。

野花壌と表原巫女の2名がエロシュタイン島の正面口の港へとたどり着いた。



「わ~~、大きい。このような大きな城を生で見るのは初めてです」

「でしょでしょ!私もビックリだよ、みこみこ!」

「なんだかホントに、夢の国って感じ」



島が見え始めた段階からでも、その城の大きさと出来が見えていた。まだ何も知らされていない巫女からしても、


「このような場所が海外にはあるんですね」


マイナスや黒い噂を信じられないと言った感じだ。

乗船されている人達は自分とは違う雰囲気を巫女も感じている。立派な大金持ちといった雰囲気。そして、壌もそっち側で



「ホントに私が行っていいんですか?」

「いいのいいの!」

「ははは、私。価値観が相当違いますよ」



美味しい料理とは家族で食べられるモノを巫女は想像し、壌達は高級料理を食べる事だと想像しそうなくらいだ。下手に場を汚したくはなかったが、



「後から行くって!この歳で可愛い男達と楽しめるなんて、もう人生で一度きり!お孫ちゃんができないとねぇ!」



にひひひって笑う姿に、女性というか。人間としての境界線ができる瞬間を思い出す。そして、壌はきっと来るなんかの信頼もある。

歳の数、月日の数よりも感じるのは


「思っているより若くはないですね」


普段は飲まないお酒に挑戦する。そんな瞬間。



ゴオオォォッ



巫女は船から降りてから、船に残る壌に向かって


「待ってますからねー!壌さーん!」

「いってらっしゃ~~い!」


私も早く可愛い男の子達に無茶苦茶した~い!


そんな言葉は心に締まって、巫女を見送る壌だった。ここまでが素の彼女。

革新党としての彼女の姿も見せ始める。


「……………よーし!」


巫女が城内にいてくれれば、育くんがそこの情報をかき集めてくれる。ロバート裁判長が自らステージに上がるとは思えないし、そこで戦うとなると参加者に迷惑がいく。参加する連中は、私ほどじゃないにしろ、性癖が歪んでても、世界に関わっている重役が多い。欲望が強いほど金に執着しやすいし。死ぬと面倒なのもある。


船内に残ったのは壌だけではない。ロバート裁判長が持っている特殊部隊の一部と、壌と同じようなボディガードとしてここまで来ている人達だ。決して多い人数ではないが、全員に相当な武装がある。

騒ぎがあれば、ここまで来た船を爆破するプランもあるだろう。



『無事に島に着いたみたいだな』

そだつくん」


到着時刻と巫女の車椅子と御守りに仕込んだGPSが育のところまで情報が飛び、壌と通信のやり取りを始める。小型マスクとワイヤレスイヤホンで、船内の部屋で育とやり取りをする壌。



「表原ちゃんは?」

『あっちも潜入成功で、情報交換は済ませた。まだ標的の位置は分からないけど、順調だろう』



巫女を先行させたのは、壌が邪魔されずにロバート裁判長を始末するため。潜入なんて第一歩に過ぎない。城内の様子は別で知りたい。



「良い潜入経路は?」

『そう焦るな。船には見張りが何人もいるんだろ。気を付けてくれよ』


心配する夫の声だが、全然


「大丈夫。育つーりん。騒ぎを起こさないのが難しいってだけだよ」

『そっか』


余裕らしい。それに育も信頼している。


『少年少女とセレブな人達の〇〇パーティーの開始直前には、大きなファンファーレが島内に響く。巫女ちゃんに仕込んだ盗聴器からその合図は予告されるだろう。鳴ってから、10秒程度だ』

「その間に船から抜け出して、城内まで入り込めっていう、当初の作戦だよね?」

『ロバート裁判長達にも面子がある。パーティーが開始してすぐに、侵入者や脱走者程度で、中断はしないはずだ。特殊部隊を動かしてくる。客を護りながらだとロバート裁判長の警護は薄くなる』

「みこみこはまさに適任だね」

『言ってやるな。逆にヤバくなったら……』

「護るって約束したし、男の子と遊ぼうって誓いもたてたもん!」


夫にそれ言うか。そして、その事を巫女の夫である徹は知らない。

っていうか、妻と子供が抜け駆けしてるのも知らない。徹は酒でべろんべろんだ。



ザアァア~~~



港に寄せる波の音。至って静かな雰囲気だ。

船を護る武装する人間達も、ファンファーレがもうすぐであると分かっていて、少し気を抜き始めた。

港という場所なら海に飛び込んで逃げ切るのも有りだが、城内に入るよりも先に脱走者が誰であり、それと関わった人物を特定されると不利。30分に一回はお客様の部屋に見回りと点検があるため、特定だけは避けたい。

短くても2時間くらいは、壌が自由に動ける時間が欲しいところ。

トイレなどはOKであり、船内の移動も自由であった。これは決して人質という価値がない。壌のようにボディガードのような立場で、この近くまで来ているに過ぎない(いちお、彼等も参加資格分の金を出してる)。ボディガードを城内まで招くというのは、良きとは思われない事はある。

壌は武装している1人に何食わぬ顔で近づく。その時からすでに勝敗は分かっていた。銃を持つだけじゃダメ。



トントンッ



”武装する人間”と、その”武装で構えてる人間”は違う。

そして、何も持たない者に警戒は薄い。その上、女性だ。


「ちょっといいですか?」

「ど、どうしました」


見た目からしてハレンチな女性としか、相手は思っていなかった。油断。

壌が片足で立ち、溜めを作っていても無防備である。そこから放たれる、蹴りの一発。



「『UKUCER THE LOCK』」



バギイイィィィッッ



人を砲弾にも思わせる大砲並の破壊力。喰らった相手からすれば、体全身に走る衝撃と激しい視界の移動に加え、吹っ飛ばされる先が海だ。衝撃と音、破壊力は確かに大きいが、その実、周囲が感じ取れたことは少ない。それは壌と相手が感じるだけに過ぎない。

音や匂い、殺意も少なかった。

石ころを蹴り飛ばす感覚なんだろう。それを周囲が気にする事もない。



「じゃ、始めよっか」



ファンファーレが鳴るまでは確実に、一人ずつ船内から追い出す。無防備に一人になっている奴に近づき、



バギイイィィィッッ



海に向かって蹴り飛ばす。その距離は、港から沖合まで吹っ飛ばすほどのパワーだ

特別な力を持たず、”人間”レベルでの、……あえて言うなら、”超人”や”仙人”のような物の怪の類の領域を持つ野花壌の戦闘力。”妖精”を用いた強化とはまた違う分類。金習と酷似しているパワー。



パァンパァーーーンッ



島内でパーティーを始めるファンファーレが鳴る。これが鳴る前に4人ほど船内から追い出した壌。少しでも数を減らした後、まだ残っている人間はここの特殊部隊の数名と、お客様が個々で雇ったボディガード達。そんな彼等を捜して、向かっていき。

その体1つ。足技1つでやってのけるのが、蹂躙。

いきなりやってきたと思ったら、人の意識を簡単に刈り取る打撃系の足技。武装をまったく恐れない精神力と、恰好から来る変態ぶりも含め、予想不能。



バギイイィッッ



「……みんな、2時間くらい寝てくれればいいよ~ん」



終わってみれば、10分ちょっとで船内の人間達を気絶・リングアウトさせる。さすがに全員を船内から追い出すのは労力と体力を使うのでやらないし、無関係な人物も多い。

ともかく自由になり、まだ壌の行動がロバート裁判長達側に把握される事はないだろう。誰の仕業かという特定が難しければ……。セレブお抱えのボディガードまでも倒されたとあっては、全体の面子に関わる。ロバート裁判長達の予想できる行動は、パーティーの続行。その後、壌やそれに関わる連中を”狩り”に来る。

今はまだ、襲い掛かった相手を、ロバート裁判長が知らない。



”誰か”が分かれば対応を練る。



『いくら壌が天下無双でも正面は止めてくれよ。5人以上で固めてる』

「それは分かってるよ、育つーりん」


船内の制圧は、可能な限りで不意打ち部分が多い。

軍人もボディガードも、ホントに自分が襲われる立場である事は想定していない。しかし、向こうから”狩る”つもりで来られると、壌でもキツイ。特殊部隊の連中は、装備からでも分かるくらい立派だ。

一般でそれが常備されてるとすれば、もっとヤバイのを使う連中もいる。ロバート裁判長を抹殺したくても、小国よりも手強い武力があっては大事にはできなかったわけだ。(1個人が抱える武力としては、大きすぎるという意味)



『行けそうか?』



正面突破はまずやらない前提かつ、ロバート裁判長個人を仕留めればこの任務は終了。

頭さえやれば終わる組織。



「う~~ん、OK」



身を隠しながら城に近づき、壌が自分の目で確かめたのは、城の構造。

3階より上だ。特に窓を見ていた。中の様子までは分からないが、侵入可能。そこから上に引っ込んでると思われるロバート裁判長を狙おうとしたが、



『!ちょっと待て、壌!』

「ん?」

『今、ロバート裁判長が1Fにいる!みんなの前に顔を出してやがる!』

「嘘ぉ?ホントにホント?」

『間違いない!巫女ちゃんに仕込んだ盗聴器で奴の声と、俺がハッキングしたカメラからあいつが映ってる!』


お客様も身辺警護として、銃やナイフなどを持っている。楽しみに来ている者が多いが、時には恨みがあって襲い掛かろうとするのも多い。そんな彼が自らみんなの前に出てくるとは、かなりの驚き。嘘じゃないかと、壌も疑った。



「上で待ち伏せする?」

『1階~3階までなら、俺もサポートできるが。4階~7階はまったく分からない。本来は、奴の私室でやる作戦だぞ』

「終わった後に、みこみこと可愛い少年達を捕まえる予定だったのにね~」

『保護していいのは、8人までだぞ。育てようなんてな、大変なんだ』


突入前に知れて良かった。しかし、困った。作戦の都合上、自分と表原の戦闘は別々でやった方が安定すると思っていた。下の階で、それも無関係な連中も気に掛けなきゃいけない。

位置は分かっても、ロバート裁判長のその後の行動は読みづらい。

壌はしばらく考えた後、育に



「正面から行っていい?」

『おーい!いくら壌でも……』

「私から動こうと思ったけど、先に表原ちゃん達に暴れてもらって、そこでカッコよく私が救世主になって登場ーみたいなぁ」

『あー……そんな感じか。まぁ、俺が言うまでもなく、表原ちゃん達が一悶着起こしそうなのは確かだな』



そろそろ人間競売が始まる頃合いか、あるいはその行為が始まってるかもしれない。

事前の情報にはない、ロバート裁判長の行動に様子見をする壌と育であった。



◇           ◇



「ロバート裁判長が自ら出てくるのなんて何年ぶりだ?」


ロバート裁判長には5人のボディガードが常におり、さらに交代制を敷いているため、8人もの人数が周辺を固めている。彼の執事もその1人に入っている。



「およそ、1年半ぶりでいいのか?その時は金習がやってきたからだったで、いいのか?」

「それほど大事なの。まぁ、あれと関わった以上はそーいうこと」



親友とは違うが、身辺を固めていた彼等にとっても珍しい事だ。



「さっさとおんだせよ。妙な事をされたみたいだが」

「ぶは。チビになったから、イライラしてるな」


彼等を持ってしても、ペドリストを止められなかったのは確か。しかし、本格的な交戦もなく、メンバーが揃わなかった事もある。戦争をしないというのなら、ムダな命を削りはしない。

そもそも、ロバート裁判長が持っている個人の権力・武力だけで、より多くを動かせるわけもない。命を奪いにいかないのは彼を警護している連中の、強さと対応力にもある。

人間という枠組みではあるが、8名揃って、”人間としてははみ出し者”



その身体能力。その扱う武器。その頭脳。

一癖、二癖もあって、軍隊と渡り合える8名である。

今、ロバート裁判長の近くに2名。競売の最中で怪しい動きをする奴がいないかと、巡回するのが4名。

そして、ロバート裁判長の執事が、今日は休暇中のもう1人を呼びに行っているところ。



ピピッ



「……怪しい電波の流れ、有り」

「その両目は相変わらず便利だな、ホワッキー」

「女性のパンツや女湯とかじゃ見えませんよ。エーブラック」

「聞いてねぇよ」

「男の子のパンツの中が興奮してるとか見えますが」

「言うんじゃねぇ!見んな!男の凶器の熱を測るな!!」



ホワッキー。

褐色女性の警護人ボディガード

戦争孤児の1人であり、幼い頃に両目を戦争で奪われてしまう。その後、ロバート裁判長に買われる。医療技術・軍事技術の進歩と称され、危険な人工の視覚を埋め込まれる。彼女はそれに成功し、通常の視覚情報だけでなく、目では捕えられない電磁波などの痕跡を認知できたり、衛星情報を利用した分析も可能となっている。銃器の扱いにも長ける。




エーブラック。

2mを超す大柄な男性の警護人ボディガード

ロバート裁判長の幼馴染。幼い頃から腕っぷしが強く、昔はロバート裁判長と喧嘩をしていた。メンバーでは思想も強さも常識人枠であり、その強さも元来の肉体のみ。……でも、意外と強い……?




「んん~……あの日本人でいいのか?車椅子に乗った子でいいのか?リーシィア、あれでいいのか?」

「みたいだね。でも、気を付けて。私達と同類かも……。ってか、グレイフアさ。あんたは顔に反して自信なさすぎ」

「俺がやっていいのか?倒せていいのか?」

「ヘタレてんなら、私がやるよ」



グレイフア。

スキンヘッドの眉なし強面の男。おっかない外見に反して、慎重な性格を持ち、本人は医者も兼任する。

常に「いいのか?」が口癖のせいか、周りからヘタレと言われるのが最近の悩み。



リーシィア。

元は外国の強盗団の実行部隊長。数多くの犯罪を自分のナイフのみで遂行してきた男。捕えられるもロバート裁判長によって、罪を不問とされてからボディガードになった。




ドヨドヨ……ドヨドヨ……



「さすがに緊張が走る。全体しかり」

「いざとなれば、私達が護ります」



舞台に上がるロバート裁判長の左右を固めるボディガードが2名。

命は絶対に護るとしながら……当のロバート裁判長は


「私がおおやけに出て来たからって、こーなるもんかねぇ」

「ぶつくさ言うとる……」



正直、演説する気なし。

しばらくはペドリストの犬を気取っておくため、やや危険を冒してみんなの前にやって来ていた。



「仕方がないだろう。ダースサン。ロバート裁判長の死は大きく世界を動かす。その行動1つに影響力がある」

「せっかくなんか凄いのと協力できるのに……。……ワズーシャもワズーシャで真面目」



ワズーシャ。

護衛人。大手の警護会社から派遣された、最高ランクの護衛人。

武道の達人でもあり、どんな対象者でも金で護って来た人物。金があれば、人は真面目になる。



ダースサン。

葬式屋さんのお嬢さん。護衛対象を適切に運ぶ(避難)役目を持つ。車などを乗りこなす他、本人もとてつもない機動力を持つ。



現在6名がこの城内におり、他2名ももうすぐ到着する予定だ。

ロバート裁判長が持つ武力・協力者も出揃い、ロバート裁判長の挨拶のような演説を始めようかとする時だ。



「ちょっと車椅子のお嬢さん。お話していいのか?」

「はい?」

「何やら物騒なのを持ってるんじゃない?」

「????」


何も知らないで待たされている表原巫女に、武器をこれ見よがしと見せて接近する、グレイフアとリーシィアの姿があった。




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