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MAGICA NEAT  作者: 孤独
第49話『仲間に売られて潜入しちゃいますよ、イケない島の本気かよ!』
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Aパート


因心界 革新党 SAF協会 レイワーズ 金習。


5つの勢力が乱れ、行動を起こした。


「妖精か。因心界を取り込もうとするのは、難しいかな。南空も苦戦しているようだし」


金習は逃げながら妖精の大量確保を考える。

キョーサーの持っていた情報なども利用し、そのプランを考えていた。

彼がどのように妖精を使いたいかは、語らなくても邪悪な事が想像できる。


そして、彼ほどの権力者が”使いたい”という事をするには


「協力もいる……」


互いに牽制し合う国家同士が、一堂に首を頷く。

多少の犠牲を払っても、やり遂げようとするには必要。仲間や同志とかじゃなく、邪悪な弱味。



それを狙うため、確保したい独立勢力に近い暗部の組織がある。

彼等の住む島が、



「エロシュタイン島の占拠が早いか」



再び、5つの勢力がぶつかり合った舞台ステージとなる。



◇        ◇



ブオオオォォーーーー



「初めての飛行機に乗って、初めての海外……」



大空を飛んで日本という国を超え、海外の大海を進んでいく大型の客船。これは、これは



「これは海外旅行!!それも家族旅行!!」

「楽しみね~、麻縫。私達家族まで招待してくれるなんて、野花さんには感謝しなくては……」

「まさか、革新党の粉雪さん達がご用意してくれるとは……仕事も久々に大型連休になったし……」



10日間に及ぶ表原一家の海外旅行が行われていた。

レイワーズの怪護との死闘後、休息をとっていた表原麻縫。無事にキッス達が不在の中で、因心界を守り切った功績は大きい。それ以上に見合う褒美として、表原の家族に与えられた海外の慰安旅行。

それはそれとして、表原からすると一つ。気になっている文句がある。


「キッス様達もみんなでなんかしててズルイし~……」

「俺達みたいな旅行じゃねぇだろ」

「なによ、レゼン!あたしだけ外されて、ちょっとプンスカなんですけど!」

「任務と旅行を一緒にすんなよ。あの録路が重体で戻ってきたんだ」

「元気に菓子食ってましたけど……」

「あれが奴の習性だ。マルカの奴も可哀想だ」


旅行前にキッス達とは交流している表原。その中で、録路がボロボロになって戻って来た事には驚いていた。


「実力的に録路さんを追い込めるなんて、数えられるくらいな気がする」

「ルルちゃん達が無事なだけ良かったろ」


戦力的には安心できる面々が因心界に残る。

キッス達は残りのレイワーズの捜索やら、SAF協会との決戦の準備を進めるらしい。表原も怪護を倒したわけだが、キッス達の方もレイワーズのイチマンコを倒した報告を受けている。

これで半分以上は倒れ、残りわずかの生き残りとなるレイワーズ。



「今の内に英気を養うってね。というか、10日以内にキッス様達が片づけてくれないかな~」

「そう上手く行くかよ。なんだかんだで、怪護との戦いから2週間以上は経過してんだ。居所は目星付けてるんだろうけどさ」



残っているのが、派手に動かないタイプのレイワーズのためか。

キッス達に躊躇があるように感じるレゼン。無害ならわざわざやる必要がないのは、確かだ。



「それよりもSAF協会……むが!?」



考えごとがどうにもマイナスっぽくて、表原はレゼンの背中をドンッと押しては、口まで抑えた。



「はい、そこまで!!願望のまま、旅行しなきゃ!!」

「お前な。まぁ、そうだな」


確かに表原達は家族一緒に海外旅行中だ。そんな時に任務の事やら、敵の事を考えるのは野暮過ぎるとレゼンも思う。表原からすれば、今の状況。


「家族と旅行より、お父さんの転勤の方が多かったんだから!!」


表原はふんすーって鼻息荒く、船内を歩いて、母親の巫女の車椅子を押して回る。

色んな客に迷惑をかけんなよーって、表原の頭の上に乗りながらレゼンは思う。海外というデカイ世界を触れて、いい刺激になったんだろう。それはそれとして……



「OH、VERY CUTE」

「えへ、へへへへ」



表原は妖人化し、自分と家族達が船全体で誰とでも会話ができるようにする空間を作ってしまうとは、どーしたものか。

便利ではあるが、外国人からすればコスプレ少女が語学堪能となっている事に驚愕もある。物珍しそうだ。


「いやー、1時間だけとはいえ。いいね!」

「自分勝手な妖人化は止めろ……」


嬉しそうな表原麻縫と表原巫女。2人に関しては、ただの話し合える楽しさであったが。



「わはははは、日本という国ではなー」



美人な外国人を相手にナンパをしているかのような、表原徹の軽快なトーク。日本がどんなところなのか語っては、相手の国の事も聞いてあげる。ちゃんとした社会人であると同時に


「仲が良さそうね~……徹さん。得意気で」

「お母さん。ちょっと怖いオーラを出してる……」


嫉妬っぽいオーラを徹に向けて出す巫女の姿。

海外の女性達はやっぱり輝いて見えるのだろう。それでも


「あの人も楽しんでくれて、良いわね」

「……うん!!」


家族旅行を楽しんでいた。


「そういえば……」


この海外旅行。表原が家族だけでなく、もう1人。知り合いが来ている。

それは表原と同じく、因心界を護っていた一人。


「野花さんももうこの船に乗ってるんだよね?野花財閥の船だし」

「そうじゃないかな?遅れてくるとは言ってたな」


野花桜と一緒の旅行であった。彼女も息抜きという事でこの旅行に参加すると、キッスや粉雪から聞いていた。

まだ会っていないのだが、そろそろ会いたいなぁーって思っていた頃。

表原の背後から音もなく、そして素早く



ムニュムニュ



「ぎゃああぁっ!?」


成長途中の胸を掴んでは、下のいけない部分にまで手を伸ばす輩。

自分の母親がいるだけでなく、色んな外国人達がいる場で、この恥辱をしてきたのは……


「ひっさしぶり~~。まほまほちゃーん!元気にしてるね」

「!!!いやあああああああぁぁぁぁ」



かなり露出度が高い……ってレベルじゃないくらい、肌を晒した格好をしている野花桜の母親である、野花壌であった。




◇        ◇




ビイイィィッッ



電話が鳴っているが、野花は気分が悪いそうな顔をしつつ、スルーを続ける。黙々と、目の前にいる粉雪とキッスによる将棋の勝負に意識を向けているのだが



「電話が鳴っているぞ、野花」



パチッ



「表原ちゃんでしょ?」



パチッ



「聴こえない聴こえない……私は感じない……」


野花は小声で着信を無視する事を伝える。

前回と同じく。キッスの部屋で、キッスと粉雪が将棋を指して、野花が審判を務めている状況だ。

野花が電話に出ないからか。それを良しとして、キッスは粉雪に尋ねる。



「革新党からは壌さんと育さんの2人が、選ばれたのか?」

「別に私や南空さんが推薦したわけじゃないんだけど」



お互いに囲いを作りながらじっくりとした序盤の将棋。



「壌さんがエロシュタイン島に行きたいって私や南空さんにゴネまくるから、2人で行かせてあげた」


粉雪の答えを聞くや、審判をしている野花が頭を抱えて


「あの馬鹿母……馬鹿父……」


その島がどーいうところか知っている野花だから、異常な変態性を持つ母の奇行には頭を悩ませる。

どうやら革新党もその島に用があるらしく


「で、表原ちゃんには何も伝えないで、エロシュタイン島に行かせていいわけ?」

「レイワーズの討伐くらいは伝えても良かったかなとも思ったが、家族も一緒だとそうもいかないだろ」

「いや、なんで家族も一緒に参加させたのよ、キッス……」


どんな場所かを知っていて、表原の家族ごと巻き込ませるのはどーなんだと思う野花。

因心界も、エロシュタイン島に今。レイワーズの1人が紛れ込んでいるという情報を掴んで、表原を送り込んだわけだが。当人はまだその事を知らず、因心界は彼女しかいない状況だった。

その理由として


「絶対にルルは行かせない!!あんなところに行かせるか!!私の傍にいてもらう!」

「聞いてねぇし」

「それはキッスの気持ちでしょ」



まず、任務なら行きそうなルルがメンバーから外されたのは、キッスもその島の事を情報から知っているからだ。その事をルルには絶対に知る必要はないと思っていた。



「北野川もその事を知ってるし。黛ちゃんにも言うと思わなかったんだよ」


北野川も事情を知っていたが、黛はそれを知らず。表原と共に行動させようと思っていたが、北野川がその闇の部分を黛に教えるもんだから、黛も拒否した。録路は負傷中。茂原では役に立たないし、条件が合わない。古野を長期離脱させるのは無理。


「だから、野花も行けと言ったじゃないか」

「いやよ!私もそんなところに行かないわ!冗談じゃない」


事情を知っている上で行ってくれそうな、野花に頼んでみたのだが。本人は断固拒否。

エロシュタイン島に興味はない。嫌悪感しかない。っていうか、家族一緒も嫌だ。

そのため、確実な戦力ということで表原を派遣させたキッス。旅行と名目しているのは、とにかく行ってもらうためだ。



「ぶつかれば分かるだろうし。壌さんがその事を教えてくれるだろ」

「キッスね。あの人に常識が無さすぎるのは、娘の私がよく分かってる。今頃、表原ちゃんで遊んでるわ」

「……私も、あの人には許せない事が1つだけあるのよね」



娘の野花は母親の事を良く思っていないのは分かるが、粉雪にも彼女にちょっとした出来事があって、不快感ではないのだが。アレはねぇーやって事がある。しかし、将棋の飛車を龍に代えながら、粉雪から感じる野花壌の評価は概ね。



「それでも、革新党の件は上手い事やってくれると思うわよ」



パチッ



「何より強いからね」



任務に関しては南空レベルで信頼ができ、その強さにおいては懐刀と言えるくらい。粉雪の相方が野花桜なら、南空の相方が野花壌と言える。ただの変態ではないのだ。その事もキッスや野花桜は分かっている。

その言葉の後に、野花に鳴っていた電話が止み。代わって粉雪の方に電話が鳴るのであった。着信相手を見ずとも



「表原ちゃんね」

「ちょ、出ないでよ!粉雪」



そう言われても、粉雪は耳を塞ぎながらアッサリと電話に出てしまう。第一声がブチギレているのは分かっている。


『ちょっとーーー!!粉雪さーーん!!どーいう事なんですか!!?野花さんが来るって言ってたけど、こっちの野花夫婦は聞いてない!』

「……あーーーっ、そう」

『この人ヤバイんですけど!!野花桜さん、近くにいるでしょ!!電話出ろよ』

「本人、私の近くにいないわ」



ナイス嘘って、野花がガッツポーズをとるのに。キッスは不憫そうに野花を見ていた。

怒る表原を宥めるよう粉雪は通話機能をスピーカーにして、キッス達にも聞こえるようにしつつ、訊いてあげた


「何されたわけよ?」

『そ、それはですね……電話越しで言えませんけど、セクハラの数々ですよ!』

「ウォーミングアップって事でしょ。いざって時は、壌さんは常識人になるわよ」

『何がウォーミングアップですか!?なんで革新党はこんな夫婦をあたしと一緒にするんですか!?っていうか、なんで!?』


怒ってる言葉を冷静に拾っていく事で、キッスと粉雪、野花もなにかオカシイと気付いた。

粉雪に代わってキッスが咳払いを一つしてから


「表原ちゃん」

『!キッス様もそこにいるんですか!?何してくれるんですか!』

「まぁ落ち着いて。壌さんから聞いていないのか?」

『は?なにを!?』

「名目は旅行にしてるが、そこの行先はちょっとアレな上で、レイワーズの1人が潜んでいる情報を掴んでいるんだ」

『はぁ!?なんも聞いてないし!!というか、それならあたしの家族まで巻き込まないでくださいよ!!鬼畜過ぎる!っていうか、またあたし単独行動!?』


野花夫婦の相手を表原1人で相手にするのはしんどい。


『野花桜さんをなんで一緒に、連れて来てくれなかったんですか!?』


真っ当な意見。せめて、もう1人仲間を派遣しろよってのはもっともであり、その言葉に


「言われてるわよ、野花」

「私は表原ちゃんやキッス達と違って、家族の仲が悪いです」

「一方的にお前の長い反抗期だろ」


野花の気持ちを批難するキッスと粉雪ではないが……。

ともかく、表原の怒りがそこそこ落ち着いたところで


「もう船に乗った以上は降りるのは難しいだろ」

『だから、家族と一緒に乗せたんですか!?キッス様も粉雪さんも、野花さんも鬼過ぎる!!』

「そう言わないでくれ。……実は、その船が向かう先はな。ちょっとヤバイ島でな。北野川達も遠慮したものだから、表原ちゃんには何も伝えず乗せたんだ。そこは悪かった」



一呼吸おいて


『なんなんですか!!?』



一言で分かる怒り。船内がざわつく様子も分かる。



『一体どこに向かうって言うんですか!?』

「エロシュタイン島よ。表原ちゃん」

『はぁ!?なんですか、その島!!?』


表原からしたら聞いたこともない島の地名。一般的には名が広まっていない。


「……話してあげるけど、小声で落ち着いてなさいよ」


粉雪とキッスが、壌に代わって。エロシュタイン島ってところがどんな場所か、表原に伝えてあげるのであった。

聞いた後で表原は


『そんなの聞いてなーーーーい!!』


そう絶叫するのであった。まぁ、無理もない。そんな場所なのだ。



◇           ◇



”悪魔崇拝”



ある集落での習い、生贄。

集落から少女、少年を悪魔に差し出して、集落に降りかかるであろう災厄を祓うとされる。

古代からある習いは時代の変化と共に廃れていき、それはまやかしであったと認識されていく。平和は平和。生贄や崇拝など、何かを犠牲をする行為そのものが、己の不幸を認識している。

神にも、悪魔にも、祈っても意味はない。

残酷にも。



『こちらに来なさい』



神も悪魔も空想。人間が作り出す、憧れ、恐怖、……心が生み出す、化身。触れない化身。

下々が恐れを失い、神も悪魔も空想などと思い込んだ中で。表に出て来ずに実在している神も悪魔もある。

それが、結局のところ、人間という奴。

人間が人間と繋がることが、罪なことと呼ぶ者はいない。

生物としてしかるべきこと。それが出来ぬとは、人間にも生物にもなれない、ガラクタ以下。



『ほぉ……柔らかで、初心な』



悪魔の人間は幼き者を愛でた。

先を生きる者。当然、若さを失い、老いを知る。それ故、傍に若きよりも優れた幼さを求める。

何も知らぬとされる体と心。それを教え込むことで生まれる情に、滾る者。

”悪魔崇拝”の習いは密かに、各国のどこかには存在していた。それらを統率し、最大のビジネスにして、政治における弱味として暗躍する場所が、大金・正義・法律などによって作られた。

天使も、感情1つで、悪魔にもなる。


子供・美女・美男子を売買。人種などは問わず。

しかし、捨てる時には人とは見なされず。

エロシュタイン島は、人身売買や国の機密情報を非合法ながら管理している島。

現在、その管理の実質的なトップを任されているのは



『ロバート裁判長』



罪人を裁く立場にいるはずの、大国にいる法律の番人。

それもトップに位置づけられる程の存在が、エロシュタイン島の管理・運営を担っていた。

ロバート裁判長。現在、58歳。

表向きの職業は、最高裁判長。国の法律において、トップに君臨する存在。

裁判長という職務を持つが、体はかなりガッチリとしていて30代に見えるくらい若さ。一方で、髪の方が若干ながら薄くなっている事を気にするこの頃。好きな年齢の相手は、13歳~23歳。美女美男でも構わない。

とにかく、幼く可愛く、初心なこと(これ大事)。


国の権力を利用し、自らの国の子供達を誘拐や隠蔽をしているだけでなく、発展途上国などにいる子供達も攫っては見世物として扱うし、国の有名なアイドルといった者達すらも喰う化け物。国内外問わず、色んな厄ネタをハニートラップや悪魔崇拝によって抱えている事もあり、彼に従わざるおえない国もある。

法律のトップが、法律に縛られないという矛盾した存在。


彼はエロシュタイン島を管理しつつ、軍隊とは違うが、諜報・暗殺などを生業とする特殊部隊を抱える武力を所持していた。場所も大国の孤島であるが故、自国も他国も容易に攻め落とす事ができない。

軍という手段でエロシュタイン島を消すという事は難しい。そして、ここを利用してしまった何人もの政府関係がいる。そのような情報・動きがあれば、彼の特殊部隊が動く。



『なんの用だ。俺が何者か分かっているのか?』



彼を消したいとするなら、警護にも抜かりない特殊部隊を掻い潜り、近づく必要性がある。

例えば、そう。



娼婦とか子供とか。




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