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MAGICA NEAT  作者: 孤独
第47話『五つ巴②、ルルVSイチマンコ』
177/267

Fパート


トラストは、本当ならもっと早くから動こうと思っていたが、ムノウヤが止めてくれた。


「…………やるのか、ムノウヤ」


そーいう解釈を今まで思っていたが、それは大きな間違いだったんだろう。

いつでも勝てる相手に甚振りを続けたムノウヤの意図には、傷ついたトラストの状態が安定させる事もあったが



「はぁ~、ひゅ~、はぁ~」



エフエーはすでに、自分の小太刀を口で咥えられず、冷え切った汗を流し続けては影を避けるために動き続けていた。もちろん、疲労から影の攻撃を受けているが、致命傷ではないレベルで留めている。一方でエフエーの龍の方も、頑丈な鱗が剥がれていき、ところどころでは中身がむき出しとなっていた。

過度な甚振りによって、



「トラスト。あとは自分で一騎打ちをしなよ」

「私が、今のエフエー様と互角というのか」


反論はないんだが。そうまでさせた理由は


「責任の取り方ってあるじゃん。これは君が招いた事なら、君が処分を下せばいい。違う?」

「違う。少なくとも、お前も最後まで協力しろ」

「即答困る~。まぁ、時間有り過ぎたから、即答か」



ふふんっと笑っているムノウヤ。



「じゃあ、エフエーは僕が殺してやるから。龍の方を任せるよ」

「……ムノウヤ、優しいな」

「ん?」



斬りたくない方ではそうなのだが、疲労困憊とはいえ、未だに素早い動きを得意としているエフエーよりも、自慢の防御力を剥がされ、動きに制限がある彼の龍を狙う方がトラストとしては楽であった。




キュインッ



トラストが剣を具現化し始めた。エネルギーを吸収し、放出するこの剣は、エフエーとの戦闘開始時にあの龍の衝撃波を吸収していた。

一度放出してしまうと、再び吸収しなければいけず、その容量も決して大きくはないが。保存されている時間は無制限。トラストの動きが機敏とは言えない(エフエーやムノウヤと比べんな)が、巨大な体躯を持つエフエーの龍はエフエーと髪で体が繋がれているため、動ける範囲に制限がある。硬い鱗を活かしてエフエーを護る盾にもなる彼が、その盾の役目を果たせないとしたら。



「もう手出しはいい」

「そ?」

「あんまり、見くびるな」



ムノウヤは、トラストの攻撃に合わせて。せめて、エフエーの動きを止めてあげようとしたが。トラストはそれを断って、一回切りしか使えない力の放出を行った。

エフエーごと斬るつもりはないからだ。



ダッッ



大きく疲弊しているとはいえ、エフエーの神速が対応できないようのタイミングと角度。龍が綺麗に真っ二つに斬り裂けるよう。トラストは1足、2足、徐々に加速していき。龍の横からその剣で斬る。

”斬る”ところまでは、トラストにしかない自分の能力でやるしかないという、欠点はあるが。


「”一極噴出プロ・スプライト”」



吸収したエネルギー。それらを無駄なく、”ただ1点に”集中して変換する事により、その1つに限っては吸収したエネルギーを超えられる事ができる。

今、トラストが吸収したエネルギーの変換は、”切断”という1点に集中した。

炎の熱量、音波、風圧。様々な属性と力を、たった一つの切断に集中さえすれば、



ズバアアアァァァァッッ




「!!オオォォッ~~!?」

「お前”だけ”を斬るなら、最初の”一撃”からできる……」


ムノウヤが龍の鱗を削らずとも、一撃で切り落とす事ができた。1点に集中するその変換は切断以外にも多様にできるが、あくまで剣が行える範囲であり、トラスト自身にバフが掛かる事はなく、1度しか使えないという制約は比較的重たい。

トラストの切断を受けた龍が白い目を向けてうめき声をあげ、エフエーと体が分離したまま宙を自由に舞う。



「!ぐああぁっ!?」


エフエー自身も悲鳴を上げた。体が繋がってないとはいえ、ダメージのフィードバックが多少あるのだろう。動き続けた彼が地面に転がり、しばらくは動けずにトラストの名を恨むのように小声で呟き続けていた。


「トラスト、トラスト……」


許さん。絶対に許さん。エフエーがそーいう表情であるのは、顔を合わせないで背を向け続けているトラストには分かっていた。今、剣に溜めていたエネルギーを放出してしまったため、ただの剣でしかない。エフエーが平静になろうとした時、龍が悲鳴を上げ続けて死ぬ寸前まで暴れ続ける事に乗ろうとした……そーいう興奮ではない。



「!」


わずかに白い光。影で作られた黒い球体の内部からすれば、それほどに明るい光が差し込んで来たことで、恨みごとなど忘れ、生き残ろうとする逃げを、本能からエフエーは選んでいた。

なぜだか分からないが、ムノウヤがこの黒い球体の空間を解除し始め、脱出を許可しようとしたのだ。


ダダダッ


「はーっ、はーっ!!見くびるなぁぁっ!」



もし、万が一。逃げ切るための、力は残していた。自分を閉じ込めていたこの空間さえ解除すれば、自分の神速を活かした逃亡ができる。まだ、己の龍が死ぬ前に……。暴れていれば、ムノウヤにも危害が出ようとする、わずかなチャンスに乗っかり、逃げに走った。全速力で



「おー、さすがに速い」

「…………」


ムノウヤはエフエーが逃げる姿を関心しつつ、最後のあがきとして暴れる龍の攻撃を影で封じようとしていた。特に衝撃波や火炎放射といった多彩で広範囲攻撃を仕掛ける基点となる口を影で塞ぎにきた。体の半分をトラストに斬られ、ムノウヤの影によって呼吸を乱されて、龍は宙から地面へと落ちていった。最後は蛇のように悶絶するかのように。

そこまでの時間なら、エフエーの姿は時間的にもう暗闇の山中も相まって、補足は難しいだろうが



「でも、影から逃れるスピードじゃない」



ムノウヤにとっては、もう追いかけっこにもならない児戯。すでにエフエーの影の中に、自分の影を仕込ませていた。



ドスウゥッ



「ぶふぅっ」



敵に背を向けてまでの全速力。水面みなもでも走り、風のように速い。そんな自分に容易く追いつく、追いかける。

自分という影は、そこから鋭い小さな針を伸ばして、エフエーの背を突き刺した。

それでもエフエーは振り返らないとした。何が何だろうと振り切ろうと、走って逃げる。


「ムダ」


ドスウゥッ  



1発で止まらないなら、2発、3発。



「がふぅっ」



攻撃によって血反吐を吐き、ようやくエフエーは転んで止まって、叫んだ。



「ひ、ひ、卑怯だぞおぉっ!!影から!背から!俺に攻撃を仕掛けるなーーー!!」


走っても走っても、軽々と追いついて、彼の影の中から背を討つというムノウヤの戦闘手段。エフエーの逃亡を見越してのこと。これではいくら速く動けようが、避けられない攻撃。いつでも殺せるというムノウヤの余裕のメッセージと、ここまでプライドをぶち壊す戦闘を仕掛けられた事で



「本性を壊して晒すのは楽しいねぇ」

「趣味が悪い」



ムノウヤの絶頂へ。トラストにはその表情が、とてもムノウヤの嫌いな一面と思えた。

エフエーからすれば、ムノウヤの影すら見えず。見えているのは、自分の影だけ。



「!うっ」



エフエーが倒れて尻を地面につけ、自分の背後から現れた自分の影。鋭く痛そうな雰囲気・予感。どこか知っている、痛みを……、



「もう一度、恐怖するといい。影は君と一緒だったからね」


対象者が抱いた恐怖や苦痛。影がそれを覚えていること。ムノウヤが本性をぶち壊すことを楽しいとするのは、彼の最大の攻撃が、敵のトラウマを影から召喚して再び思い出させること。

自分の体から、自分の意志と反した動きをする影が本体を取り込んだ時。



「うああああぁぁぁぁっっ!!?」



対象は知っている発狂と、恐れる感情で体を傷つけ弱らせる。

エフエーは生きていながら何度も死を味わう痛みに見舞われた。いくら自分が傷ついても、影が消えない限りは死なない。それだけで、まだ死にたくないと足掻いた。


「あっ……あー……」


耐えきったのは、ムノウヤも織り込み済み。だが、これ以上の抵抗や戦意は湧かないだろう。実際の戦闘不能。

もう2度とエフエーはムノウヤ達には挑まないだろう。



「無様なものだな」



山中で叫び倒れるエフエーの、そんな姿を捕捉には



「キョーサー……貴様っ……」

「随分とボロボロになったもんだ。大した戦果だしな」



同じレイワーズのキョーサーが、ムノウヤ達との戦闘で弱ったエフエーを今まさに吸収しようと、その口を開いていたのであった……。



それと同じ時刻。

ナックルカシーが迫っていた原子力潜水艦の内部でも、ある異変が起こっていた。



◇             ◇



【人間の狂気を超えていくものはない】



大昔。とある王国は、王様の影武者を制作しようとしていた。

まだ通信技術、情報伝達が発展しない時。王様が”一人”というのは、権力を素早く発揮させる事に難点があり、また敵から狙われ失った時の混乱を軽減させるため。王様でありながら、野心というモノを持たずに黙々と雑務、判断を行う。

言い方が悪いが、王様であっても人間では困る。人間に反抗されても困る。



容姿が似ているだけならまだしも、その能力も時代と共に成長してくれねばならない。



拷問に近い容姿の変貌に、科学が発達していない中での英才教育。それは不合理も多くはあったが、”感情”・”邪念”が人間から怪物へと変化させた。それは人間という生物ではなく、概念的にもある。

本来なら、別の人間から”一人の人間”を確実に作り上げる技術。その過程で生まれちまったのが、”学習し続ける人間”が出来上がってしまった。

その2つの技術が合わさった時、人間の成長速度は跳ね上がり、もう人間とは呼べなくなった。



昔の偉人は、警告を残したが。時代の流れと共に警告は薄れ、賞賛だけが残った。

人間が手にする技術・感性。脳から生まれる記憶・知識。今はまだ、”ソレ”で済んでいたものが、新たな技術との出会いで発展する。途中で止まった成長が再び始めた時の伸び具合は、危険性が見えないものだ。




そうそう、名はなんと言えばいい?



ある時期になって。やがて、自分達が1つになる時。それに見合った名があるといいと思った。

数分の自分達同士の話し合いで生まれた名が、”金習”だ。計画が始まってからというもの、そこには王国の威信をかけた財力が投入されたこと。学ぶと似た漢字を当てはめたかったこと。それくらいの理由は

奴は……



「人間のようで、人間じゃあない」



………………



「”今”の奴の異名は、”民族虐殺”。ただただ、他国の民族を一人残らず滅ぼしたのとは違う」



南空茜風は、彼を警戒している。

彼の所業。というより、その概念は今や人間を超えようとしている。

今まで技術、感性、知識、記憶、肉体と、人間が人間として認められるレベルでの、非人道的な教育は。言うなら、神の領域。生きていく人間達の憧れである。南空、革新党もその部分に触れてはいるが、なんらかの障害といったことにぶつかっており、夢は夢のまま。しかし、それだから金や他の者達は追いかける。

これは完成させるべきではない。南空にある”人間として”の答えは、実はできていた。



金習が今、学習しようとしている事は……。




◇           ◇




ボギイィィッ




原子力潜水艦の内部にいる方のキョーサーにある異変。違和感が襲い掛かった。



「あ?」



痛みはない。彼は怪物。驚きの方があるくらいだ。今、自分の腹部から人間の右腕が貫通してきたのだ。

背後から襲われたわけではないし、ここに金習達がいるとはいえ。今の彼は、用意された部屋の中で一人でいるのにこんな現象。



「どこから腕が出てきやがった?」



キョーサーは冷静。至って、冷静。

口から零れる血にも動揺は少なかった。それとは違って、キョーサーの体を貫いた腕は……、ブンブンと振り回すように動いているようで、虫の脱皮、殻から抜け出すようにも見える動きを出しては、体が徐々に現れる。



「ぐうぅっ」



急速な空腹感が来る、キョーサー。

背中の無事具合から、体を貫通されたものではなく。それすらよりもグロテスクな生誕。



「ごふうぅっ」


腕から始まって、体が現れた時。溶かされていたせいか、本来より少し縮んでしまっていた。ブルブルと裸な体を震わせて、キョーサーの体液を振り払っては……。別にどーでもいいとしている表情で、奴はキョーサーを見て



「金習か……?」

「あーぁ。君の胃酸は、随分と汚かったよ。はぁ……」



契約者として取り込んだはずの金習が、キョーサーの体内をぶち破って現れた。少し息切れを見せた金習に、腹をぶち抜かれたキョーサーは



「勝手に出るなよ」



口に入りきらなかったクレープを食べるかのように、脱出した金習を再び食おうとした時だ。

金習の掌は開き



「こうか?こうかな?」

「!?」



キョーサーの口よりも小さい掌はとても素早くグーパーグーパーしているだけで、キョーサーの口を再現するようだ。

確認すらあるくらいの間は、キョーサーの攻撃が多少遅かったのもあるが、それとは別に現れた金習の動きが別格。食いに来たキョーサーの攻撃を意に介さずして避け、金習はその掌でキョーサーの体を掴んだ。



バギイイィィッッ



「!!ギャアアアァァ!!」



腹部を貫かれようと平静だったキョーサーが喚いた。捕まれた箇所が弾け飛んでの絶叫。

金習の掌に捕まったことは、キョーサーの腹部を貫いたものよりも傷の大きさだけで見れば、大したことと思われないのだが。その絶叫は攻撃のものだとすぐに判断でき、通常で考えられる効果でもなかった。


「ふんふん」


掌の硬さはこの世の鉱物よりも硬く、その速度と握る力は重機による1秒で何千・何万に及ぶくらいのプレス、……純粋なパワーはそれであり。


「君はこーいう体をしているのか」


キョーサーの肉体に触れること、潰すことで吸収・学習することで。食う以上の知識・技量の会得。

握り潰した相手の力量をそのまま取得していると言える、超高速の学習能力。

キョーサーに取り込まれたかに思えたが、実際には彼を取り込んでの大幅な学習能力の強化を果たした金習は、


「君はもう要らないや」

「き、貴様あぁぁっ!!」



ボギイイィィ



混乱するキョーサーに、思考させる暇など与えまいと。

金習はキョーサーの首を握り潰して、一瞬の内に爆散させるのであった。


原子力潜水艦の内部にいたキョーサーは、金習の出現からあっという間に殺害されてしまった。……のであるが、




◇           ◇




「ん?なんだ?お前等は……」



漁夫の利と万が一に備え、自分の体を分けていたキョーサー。そのもう1つの体である方は、エフエーを食していた。

彼とムノウヤ達の戦闘だけでなく、白岩達の様子まで把握していた。ここに留まるのが危険だと分かる相手がやって来た事で、逃げようとするキョーサーの前に現れたのは



「なんだ?……というのは」

「失礼じゃないか」


ここにいるキョーサーと、原子力潜水艦の内部にいたキョーサーとは別個体で、互いでやり取りする情報はなかった。

だから、なんだ?という言葉を出すのは当然で。それを失礼だと思って返す。

エフエーの力までも食して得たキョーサーは、立ち塞がってきた愚かな連中を侮る。



「気配がしなかったのは、相当な者だがな」



たかが人間の気配。お菓子を食べるぐらいの感覚である、暇な気分にもなった。

小さな管を体から出しては、管の先端部分は不気味な顔をいくつか作り出す。


「最後は食ってやろうか」


液体を飲み込んだり、生き物を喰い散らかす。それによる吸収能力がキョーサーの力であるが


「あ?」


管の先端にある、その不気味な顔は……呆けたのように口を広げて、血を流しながら、”人とは言えない”物体を吐き出している。何らかの嘔吐であることは明白で、そいつが物体としか見えない肌色のそれは、生き物の破片に思えるように”痙攣”し始めた。


「なんだ?……なんだ?」


キョーサーは違和感しかない。

思えば、自分と接触して来たこいつ等はどこからやってきた?二重尾行を仕掛けられたとしても、自分は相当な時間をこの場所で使っている。

正体不明よりもどーやってここに来れたのかが、謎。



ヒュゥッ



「お前の分析は」

「終わったぞ」



そいつ等は息を合わせたように左右に分かれてから、キョーサーを挟み撃ちする形で戦闘を開始した。

自分の姿や食事よりも不気味さを出す、この2人を相手に。


「なんだ、お前等!?」


必死の応戦を試みようとするキョーサーであったが、2人に管を捕まれると一転して



ブヂイイィィッ



「ッっ!」



キョーサーの体から管が、力で引き剥がされる。それによるダメージはないが、キョーサーの乏しい攻撃手段を断たれた事は同じ。

引き契る力もさることながら



「速いっ」


スピードもコンビプレイも完璧に近い。手数を断たれた状態で挟まれて戦うことは、キョーサーの頭にはない苦戦。まだ何者かも分かっていない状況と、最悪の相手が来ている事も含め、



ダダダダッ



「エフエーの健脚に追いつけるものか!!レイワーズ一の俊足だ!!」



手にしたばかりの力で逃亡の一手を選んだ。相手にするか、という強い意志を持っての逃げ。すでにエフエーの力を手に入れる目的は手にしたのだ。正体不明の相手の事など興味もなかったが、何かヤバイという予感も大きくあった。



「水面すらも駆ける、この身体能力アビリティを持ってすれば捕まる事などない!!」


ムノウヤの例を除けば、エフエーの最高速度に追いつけるということは……。

純粋な身体能力では不可能と思えたが



「ほー、速い……」

「あーやって、走るのか」



一瞬の隙を突かれて、キョーサーに逃げられてしまったが。逃げる姿を見るためにか、正体不明の2人は動きを止めて、観察……。

そして、



「だいたい」

「分かったぞ」



理解した。脳だけでなく、体が理解と対応をしてしまうほどの、ヤバさ。



ドンッ



2人が同時にロケットスタートのように走っていく。足の踏み込み1つから、人間の重量とはいえない跡を残し、逃げるキョーサーを追いかける。



「はぁっ!はぁっ!!」



エフエーの健脚を得たところで、キョーサーの肉体そのものはエフエーよりも重量があり、手に入れたばかりな事もあって体がそれに対応していなかった。対して、それをただ見ただけ、取り込まれていただけ。そーいう”体験”をしただけで、この2人は容易にエフエーの力量に近づいた。



「「やぁ!」」

「!?」


すぐにキョーサーと2人は並走していた。


「お前の能力はどうやら」

「完璧に取り込むまでに時間が掛かるようだな」

「はぁっ……はぁっ……」


キョーサーは走りながら、間に挟まって声を掛けられた。自分の、相手を取り込む能力の、その上を行かれるこいつ等の力に



「だ、誰だ……何者だぁっ!!テメェ等!!」

「??お前、私を喰っただろう」

「私だよ。金習だ!」



ここのキョーサーを襲ったのは、なんと。原子力潜水艦にいるはずの金習であった。

それも2人もここにいる。



「ど、どーいう理屈だ!?」


そう荒ぶるのも無理はない。相手は人間のはずだ。だが、ここにいる奴は人間や自分達を凌駕している怪物・化け物・……神様の領域に行こうとしている生命体。

そんなキョーサーの疑問に1つだけ答える金習


「お前ができた事は」

「ずっと前からできていた」


とても、残酷な事実を告げた後。


「じゃ、お前は」

「もう要らない」

「……っ……」



ドガシャアアァァッ



「あっ……」



人間2人に挟まられる。そこに人間の弾力を少し感じたが、高速かつ頑強な2つの体で圧し潰されたキョーサー。ようやく、彼の足が止まって、地面に転がる。即死であった。

肉体が弾けるように四散し潰されるという末路。

それにしても、



「じゃ、帰るとするか」

「そだね」



謎の生態を持つ、金習。

レイワーズの1人、キョーサーに取り込まれたと思われたが、逆にキョーサーを討っては力を奪い取るという荒業をやってのける。

ただの人間。”何か”を持つ人間であるが、戦いを挑むのはあまりに危険だ。

その危険を知らずに、戦いを挑む事になる奴がいる。




「こんなに敵がいるとはな。ジャネモン2体に……その顔!ニュースで見たことあるぜ」

「最近の若い者も世界情勢に通じていて嬉しいね。私は君を知らないけれど」


丁度、2体のジャネモンを追いかけ、海面に浮上してきた原子力潜水艦へと潜入した録路。


「テメェは金習きんしゅうだな」


次回予告:


メーセー:ははははは。キョーサー、相当強そうなオーラ出しておいて、この様かよ。

ムキョ:…………(可哀想)

エフエー:五月蠅いぞ、お前等!!メーセーもムキョも、早々に退場しただろうが!!

キョーサー:そうだそうだ!!退場部屋にいたくせに偉そうにすんな!!

メーセー:だが、我とムキョはちゃんと活躍してるのにな。我達の方が強くないか?

ムキョ:…………(お前等良いとこなし)

エフエー:殺す!絶対に殺す!!……ところで怪護やイチマンコはどうした!?

キョーサー:そうだ、あいつ等も負けてるじゃねぇか!イチマンコに至っては、私より扱いが

メーセー:まだあの2人は出番あるから、ここにいないんだってよ

キョーサー:なんだと!?

ムキョ:…………(次回)

メーセー:『五つ巴③、録路VS金習』


挿絵(By みてみん)

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