表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
MAGICA NEAT  作者: 孤独
第47話『五つ巴②、ルルVSイチマンコ』
172/267

Aパート


未踏の地。未開の地。

それらは世界中にはまだ、数多くある。

それに挑戦をするというのなら、人間の結集は必然。



『マキ。やはり、お前には死んでもらう』

『……さ……寂しい、です……。メグ様……』



ただ1人。

秘密裏に成していたとすれば、人の結集なんて所詮……。

歪ができれば、憎くもある。涙メグにとってはこちらにも理由があるんだろう。



『”妖精の国”を行き来した人間など、私が許すものか。まして、マギがそれを叶えるとは』

『……………』

『何を見て来た?』

『……希望……夢……』



涙マキは、可能性を見出した。

どう詳しくは語らなかった。だが、ルミルミの言う通り。

あの国には……。”妖精の国”は、名前の通りに妖精が数多く住んでいた。自分のような人を助けられる妖精とより繋がられると思い、未来に託せるのなら、”希望”や”夢”と言うマキの答えは間違いではないのだろう。



『拙くもお前が見て来たモノを記録したこの日誌は、私が今後預かる』

『……お願いします』



殺される事を分かっているのに、笑顔。マキには、この人なら託せるという思いが出ていた顔。

その気持ちが隠せていないと分かったメグは


『ルミルミの気がしれん。私はお前を最高傑作と讃えるが……』

『…………』

『お前のような人間。好きになれん。優しく笑うな。死ぬのだぞ?』

『……構いません。私だけが、想っていても……』



”涙一族”と”妖精の国”の関係性は分かっているが、どれほどの綿密なやり取りがあったか。それはもう、涙メグが亡くなった事で把握は不可能であろう。

だが、彼が自分が死ぬ時までも備え、自身の屋敷を厳重に警備させていたというのは、残している情報や記録に大きな価値があるという事。”妖精の国”と”地球”を往来できる”妖精”というのは、少ないながらも存在していたが、”人間”でそれが可能であったという事実は、”公式”では記録されていない。



それは”妖精の国”側もしかり。



人間が”妖精の国”にいけるという証明は、深まる友好もあれば、深まる対立にも繋がる。



涙マキが殺された理由が、ルミルミ自身にもあること。

その本人が気づいていないわけもない。



◇           ◇





「まーったく、なんてところを住処にしてんのよ」


イチマンコが呆れるくらいの天然の要塞。

涙一族達が暮らし、過ごしてきた環境は大自然そのものだった。

大きな山を5つ、海岸を1つ。その土地全てが涙一族が所有しているものであり、道の通りに進んでいくとかなりの時間が掛かる。

おまけに涙メグが警備用に残していた設備もあり、イチマンコが山中からキッス達の屋敷に辿り着くまでは数時間掛かるだろう。


2000人ほどの人間を動員し、一気に荒そうとしても厳しい広さ。



「虫も動物も嫌いだわ」



自身の能力で道を綺麗にしながら、進んでいくイチマンコ。焦りもなく、むしろ余裕な感じ。

こっちから上がっていくより向こうの方から降りてきて欲しいと、人間達を動員する派手な方法をとっていた。




バギイィィッ



そして、目的となる山の山頂。涙キッス達がいる屋敷の大庭園の中央には、ナックルカシーと此処野の2人が激突。

互いに決め手が現れない互角の勝負。

その最中で


「まーったく!手を出すなって言ったでしょ」

「だって……」

「とにかく、今は奥に引っ込んだ方がいいよ」



北野川とカミィが負傷した黛と茂原を屋敷の奥へと運んで、治療にあたる。

一方でルルは自ら先行して、イチマンコの様子を偵察しに向かった。自身の空中飛行を活かし、敵の戦力・正体を掴むのは大事だ。



「1000人近く来てる……操られてるのかな?老若男女問わず……」


イチマンコの能力にある技の1つ。

労働たる賃金(ギフト・マッチング)


イチマンコの金の魅力に取りつかれた者達を、金の魅力以上に働かせる技。

労働時間は8時間・4時間の時間外勤務。

自由度のある制御であるため、個々に人間を操作することはできない。

メーセーの完璧に近い洗脳とは違い、労働契約であるため可能な労働時間を過ぎたり、支払った金額が足りなければ自然と解除される。

しかし、即興での動員数は有能。操れる条件も極めて緩く、イチマンコが作り上げた広告・勤務条件・給与を見て、感じ取れればいいのだから。



「!あいつが首謀者!?」



上空から見降ろして、それができそうな存在をルルは確認した。

これだけの人間が一同押し寄せるなど、涙一族の歴史の中でも初めて。目的があって動いてくるより、操られているという仮説が正解だと伝えている存在。イチマンコの姿を上空から発見したルル。それと同じく



「!なーによ、あのロケット娘。因心界の奴だろうけど」



イチマンコも上空を飛んでいるルルの存在に気が付いた。無理にでも空中戦を仕掛けても良かったが、上空での動きからルルが偵察だという判断。あるいは、正義感が強いのか、操られた人間達を巻き込みたくないため、攻撃の素振りを感じないところを見たのか。

イチマンコはルルの存在に気付いた後は無視していた。

あれが涙キッスじゃないのが分かるからだ。


一方のルルも敵の情勢を知り、すぐに反転。

1000人以上の人間が故郷を荒しながら登っていく姿に、個人がどうこうするのは難しいと判断。



「北野川さんに相談しよう」


イチマンコに空を飛ぶ術がない(やろうと思えば、できるけど)。人海戦術を見るにじっくり来るし、人間達を広範囲に広げるはず。



「戻りました!北野川さん!めっちゃヤバイです!」

「どのへんがよ。どこもヤバイわよ」

「1000人以上の人間にこの山ごと包囲されてます!ジャネモンも何十体かいます!」


屋敷に戻り、ルルが急いで北野川に報告。大勢の人間で囲んでくることは、北野川も想定していなかった。

しかし、その状況でも取るべき作戦を思案する。

ルルの知り得た情報を元に



「レイワーズのイチマンコがどうやら主動している感じです。表原を洗脳した奴がいると、ちょっと手強いです」

「的確な事を言ってくれるわね。そいつをヤるしかないわよね」



イチマンコが作った人間達からの包囲を抜けるのは、造作もない。

いかに被害を抑えるかを練った際、洗脳の要と言えるイチマンコを倒す算段がいる。洗脳する攻撃の恐ろしさは、北野川自身もよく分かっているから。早急にやる必要があり、なおかつ工夫が大事。

敵側の状態は分かって来た。北野川は黛と茂原の手当てをそこそこに終えた後。



「よし!今度は私が行く」

「き、北野川さんが!?」

「別にそんな危険な奴と戦うつもりはないわよ。向こうが焦ってないなら、こっちも焦っちゃダメ」



ルルが知り得た情報は、敵の数やその存在。軍事に近い話。

北野川が今欲したのは、敵側の事情と性格。北野川の本領だ。


「ダメな奴を操るのはリスクが付き物よ。ルルは録路があのバカを片付けたら、二人でイチマンコ達の迎撃に向かって」

「は、はい!」


とりあえず、バトンタッチして屋敷から出ていく北野川。狙いはイチマンコではなく、彼女が操っているだろう人間達だ。

その最中にて。



ドスウゥゥ



ナックルカシーの左腕にアタナの槍が突き刺さり、



バギイイィィッ



返すようにナックルカシーが右の拳をフック気味に放って、此処野の顎を捉えていた。

拳の一発で突き刺さったアタナごと振り解いたナックルカシーではあったが、左腕の傷を見るに


「どーする、続けるか」

「当たり前だ。テメェのようなデブが、一発で調子乗んな」


ナックルカシーは懐に収めていたクッキーを開けて食べ、傷口を癒す。此処野もまた、殴られた顎を調整するように手で弄った。ダメージ量はナックルカシーの方が大きいが、回復力が違いすぎる。

そして、今の攻防で。これから先のダメージは1つ1つが大きくなると、両者は気付いていた。

回復できるとはいえ、菓子の温存はしたいナックルカシーにとって、此処野との戦闘による消耗は確か。何かが近づいている事も分かっている。

一方で此処野も、ここが敵地という事もある。戦闘すら過程なところを含めれば、消極的にならざるおえない。

手が止まり、足が止まり、口が動いた。



「続けてぇなら来いよ」

「あぁ?もうバテたのか、豚野郎。お前が来いよ、格下」



口は互いに挑発をしていたが……。両者の動きは素直。状況の変化を待つ。

その状況がどちらに好転したか、



「よぃしょ」



状況を変えられる存在の1人。ルミルミ。

今、目的の1つであった涙一族の施設内にある、一室の前で悪戦苦闘中。

この部屋の先にあるのは



「ちょーっと、掴まっててね」

『ルミルミさーん!一体なんですかー?』

『何が起きてるんだよー』



因心界や涙一族側が保管していた妖精達が匿われている部屋であった。SAF協会と涙一族との一戦を前に、涙メグが部下達を使って、回収と保護を行っていた。度重なる移動にストレスもあり、またしても襲撃や戦いと来たら中の妖精達が不安になるのも仕方ない。おまけに、この間から涙一族も管理ができていない状態。

この部屋を解放してあげるのが、ルミルミの役目の1つなのであるが。困った事にこの部屋全体。対妖精・妖人を想定してか、相当な厳重ぶり。涙メグがその厳重さに関わっており、自分がおらずとも機能させていた。



「メグの奴……」



涙一族の棟梁をやっていたとはいえ、彼の底知れない実力は死後に評価がされるのも不思議な話だ。これほどの防御は涙メグに枷を付けさせていただろう。この涙一族の里全体に、結界を張り巡らさせるだけでなく、防壁も完璧に近く。通常の力技では突破が困難というもの。そのため、ルミルミも涙メグの想像を超える必要があり、その下準備に手こずる。

ルミルミも多彩であり、その気になれば何でもできる。あえて、真正面からぶつかったり、相手の得意に合わせたりするのは彼女の性格から。この場所では結界を破る時間も手段も少ないとして、ひとまず、邪魔が絶対に入らないようにしたかった。

その一つとして





ゴゴゴゴゴゴゴゴ





「じ、地震!?」

「すげぇ揺れる!!」



屋敷、山ごと揺らす地震が起きる。その強さにルル達は驚愕するのであるが、



「ルミルミか。この仕業?」

「シットリの真似ごとかよ。普通にやんな」


ナックルカシーと此処野だけは、異変を感じながらも互いを見ていた。

だが、他の者達がその出来事に驚き、次に起きた事には腰を抜かすだろう。大地震が起きたかのように見えて、やっていたことは切り取り作業。部屋だけを切り取るといった行為を、紙の図面でやり取りするならハサミだけで事足りる手軽さであるが、現実でやろうとするならば大型の重機をいくら必要として、どれだけの時間と人の労力がかかろうか。



ズボオオォォッ



念動力の類に思えるように、ルミルミは欲しかった一室を、丸ごと空中へと浮上させた。

持ち上げる瞬間がやはりしんどいらしく、ルミルミの表情が辛い。持ち上がった直後に自分の能力で、鳥の生物群を作り出して一室全体を頑丈な縄で縛り上げて安全な移動までも確保する。


「嘘!部屋ごと、持ってくつもり!?」


その様子を見ていたルルも、妖人化して撃墜させようとする無謀も考えたのだが……。明らかにレベルが違い過ぎると悟り、ルミルミを刺激させるマネはしなかった。

そして、そんな様子を見た、ナックルカシーも此処野も


「……あー、止めようぜ。此処野」

「そーだな。なんつーか、お前と戦うのが馬鹿らしくなったわ」


ルミルミとの力の差を見て、この戦いの無意味さを理由に戦意を落とした。

強さだけでも相当ある上に、何をやらしてもできてしまう。ルミルミの場合。性格に問題があるだけで、こいつは天才だ。


「しかし、何が入っているのやら……」


此処野はルミルミが持ち上げた部屋が何なのか分からない。だが、自分が求められているミッションの中に、それが入っている可能性が高いと思った。それからここから脱出する術も


「此処野くん!君も早く来て!」

「そう急かすなって……」


此処野はアタナをルミルミに向けて投擲し、ルミルミもそれを見て目を瞑る。


「”センコームーヴ”」


アタナの光で目を瞑った相手の近くに移動できる力を使って、ルミルミが持ち上げた部屋の上に乗った此処野。


「負担は?」

「平気!それよりみんなの居所って分かる?」

「ああ。みんな、探す気はなかったけど、ルミルミちゃんの事を待ってたよ」

「……案内して。色々とみんなと話したい」

「…………それよか、ルミルミちゃんは何を運んでるわけ?先に聞いてもいいか?」



決して飛行速度が速いわけではなかったが、乗っているのがルミルミと此処野とくれば、もう戦う気など失せる。部屋ごと運ぶ重労働をしてる分、ルミルミの負担は大きいだろうが……。


「此処野がいなきゃ、ルミルミの命を狙っても良かったんだけどな」

「き、危険ですよ!あんな所業をやる妖精には無茶です!」

「ルル。お前、少しは達観するんだな」

「落ち着いてるんです!!」


力量の差は明白でも、無謀な特攻ではなく、できる限りの最善を選んでいるルルを、録路は評価していたものだ。ルル本人は、少し怒り気味であった。

まだ、ルミルミと此処野の姿が見えている間であったが、



「誰がここに近づいて来てるんだ?」

「1000人以上の人間が、操られている感じで、ここに向かいながら包囲しています」

「おいおい、連戦かよ」


ため息をつきつつ、慣れた手つきでお菓子を食べる録路。戦闘になる事を考えて残しておけよって思いたくもなるが、それとこれとは別腹ってところか。此処野とルミルミを結果として、追い払えたのは対処に集中しやすくなる。


「んじゃ、行くか」

「!いいですか?」

「ここで暴れたくないってお前の顔に書いてある。それと待っててもしょうがねぇだろ。負傷したとはいえ、黛がここに残ってればなんとかすんだろ」

「あの……茂原くんのこと。忘れてますよ」



録路とルル。こちらに向かってくるイチマンコに対し、2人揃って討ちに行こうとした。




◇             ◇




サーーーーーー



『雨降らし』



チリチリチリ



『日照り』




3つの街を覆うほどの大きく不安を作る雲が空に出来上がった。

その下にいれば、決して強くもない雨が降り、決して熱くもない感じにさせる。

古野月継は白岩印とのリベンジマッチをするべく、不本意ではあったが、自らをジャネモン化させてパワーアップ。その能力を使い始めた。古野明継の兄という事もあり、彼の持っている資質も他の凡人よりも優れていたのは事実だ。



「どぅわわわ~~」



……そのはずなんだが、いかんせん。



「おまおまおま!俺の言うこと、聞けって!勝手に動くな!」

『ジゴゴゴゴ?』

『ギョギョギョ?』



自らの両足が蛇のような生物となって、自分の行動を不自由させてしまった。困った事にこの蛇達2頭が、月継の言う事をまるで聞きやせず、似ている種族っぽい。


『ギャアアァッ』

『ウガアァッ』

「喧嘩すんな!お前達のダメージも俺にフィードバックするんだよ!」



蛇達は独立した意識を持つのに、月継はこの蛇が受けるダメージも感じてしまう。ある意味、両足が無くなるというリスク以上の仕打ちを受けている。安易にやるべきじゃなかったと、月継は後悔中。

せめて、こいつ等が言う事を聞けば、大分楽なんだろう。



「エフエーにコツを聞いときゃ良かった……」



そのエフエーも随分と長い事、あの黒い球体の中に閉じ込められたままらしい。外からでは中の様子が分からないのと、自分の能力ではあの球体を破れない事は月継にも分かった。

少なくとも、エフエーはまだ戦っているという事だろう。

自由な行動ができず、白岩のいるところまでいけない月継ではあったが、自身の能力から言って直接戦闘タイプじゃない。自由に動けない&動かないというリスクを逆手にとる広範囲の無差別攻撃。




サーーーーーー




降らせる雨に当たる者。



「あ、熱い……」

「み、水が欲しい……」



不思議な雨。冷めるような環境になろうというのに、気温は上がっていき、雲に遮られた太陽が少し近づいてるんじゃないかと疑うくらいには眩しさも感じる。

通常、濡れるという状態になる雨なのに、月継の降らせる雨は”渇き”を与え、”熱”を生み出す。

病を撒き散らす能力だ。

雨を基点に作る、病気の空間。

物体への攻撃能力は雨や気温にはないが、生物にとっては生命活動を危ぶませる(月継とエフエーを除く)。



「うーん……。これってマズイなぁ」

「街中が病気に侵されてる感じですかね!?これ!」



宿の中にいた寝手とアセアセは、この雨に当たらずに済んだわけだが。雨を回避して敵の元へたどり着くのは難しい。傘をさしていけばいいじゃないって?こいつは雨に当たれば発病するタイプなのだ。辿り着く前にやられてしまうが、オチ。


「こーいうタイプの敵。僕、苦手なんだけどな」


感覚操作を行えるため、病気の軽減はできそうなものではあるが。

厄介なのは環境を変える点から見て、敵の広範囲かつ無差別な攻撃なこと。直接攻撃がない寝手にとっては天敵。

おまけにムノウヤ+トラストVSエフエーの戦闘に、記憶操作を利用しているのだから負担増。

宿舎では、雨によって熱を出した人達が助けを求めてやってきた。病院も機能していないようだ。

幸い、田舎の街ということはあって、押しかけるような人数にはならないのだが



「病気がうつる可能性は入れないとね」

「そ、そんな悠長な!なんとかしましょう!」

「そーは言っても、風邪なんかひきたくないんだけどね~。ダラダラするのが苦痛じゃん」


風邪で気分を害され、苦しんでお布団内にいるよりも。

だらけたくて、スマホ弄りでお布団内にいるのとでは意味が全然違う。


「はぁ~。ムノウヤが遊んでるのが悪いよ」


エフエーと戦っていなければ、彼に頼んで月継の始末をさせるのが最善になる。寝手は少し、不満げ。


「でもでも!でもです!なんとかしないと!」

「僕達も病気に侵されるよ。間違いなく」

「だーから!そんな悠長なことしてたら~!」

「敵は僕達が倒れるまで続けるだろうね。そうされたら、僕にはどーしようもない。敵が分からないし」



寝手は言わなかったが、雨が降っているのに体感気温が上がっている事に気付いた。

長時間、この雨が続いてしまうと、街の気温は5度・8度とグングン上がっていくだろう。生物が汗で水分を奪われ、外に降る雨を求めるのも仕方なくなる状況にされる。

そんな戦況を黙って見ているほど



ガラララララ



「あたしが行きます」

「!」

「ほ、ホントですか!?白岩さん!私は風邪なんかひきたくないんで、お願いしていいですか!?」

「……任せて」



白岩印は甘くない。

寝手達に月継の始末を伝えにきたわけだが、



「白岩ちゃん、大丈夫?」

「平気です」

「そーいう顔をしてないと思うな」

「え?」


もしかして、すでに月継の能力を喰らったのかと心配になったアセアセだったが。そうじゃない事は寝手には気付いていた。

だが、白岩が行くと言ったら、止めることはできないだろう。

どっちにしろ、SAF協会からすれば関係ないし。

白岩からも関係ない。



「どーせ狙いは、あたしでしょ。まとめて来なさい」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ