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MAGICA NEAT  作者: 孤独
第43話『凶悪タッグ形成!?古野兄弟と涙姉妹が、結構違う!』
153/267

Eパート



地球を妖精の星にしてあげる。

ルミルミがそのような思想を持ち、人間が住む地球にそのような事をしている理由。

ただただ、



「危ない奴め」



力と強さ、……足りぬが、強力な部下を従わせるカリスマだってある。

それらには強い目的がなければ、目指さぬだろう。

キッスとルルが慎重過ぎる戦い方をしているのは、ルミルミの強さを警戒する事は勿論。



「答えろ、ルミルミ。お前は、”妖精の国”で、何を知っている?」



現在。

地球にいる中で、”妖精の国”の事情を知っている者は、ルミルミしかいない。



「シットリとダイソン、アイーガを、……まるでいなかったように消されて、お前は何も思わないのか!?思っていてそれなら絶対に間違うぞ!」


キッスからルミルミの詳しい答えを知りたかった。

だが、


「あんた等なんかに教えない」


サザンの味方をしている、因心界のトップだ。

ルミルミからすりゃあ、



「サザンがあんた等を信用してないんだよ!!敵のあたしが、あんた等を信じるわけないでしょ!!」

「そりゃそうだ」

「お姉ちゃん……、納得が早いよ」


キッスも速攻で納得する言葉。サザンがまーったく話さず、はぐらかして来やがる。

人間と妖精の中間に位置する存在バランサーであるキッスにとって、それ以上の追及は自分の立場を悪くしやすい。これ以上のデカイ争いは避けたい。事情や原因の分からない戦いほど、そこで戦う者や巻き込まれる者達にとっては無益なものだ。

劣勢に立たされたことと、ルミルミに気遣いをする行為に怒りが増した。感情的にキッスへの攻撃を激しくする、ルミルミは自らや敵の状況など顧みない。この厳しい状況でも攻めて、攻めて、攻めて。力で奪い取ろうという性格を出し、



ドゴオオォォッッ



「!!」

「じゃあ、連れて帰るとする」



自動回復するパワーも削ったところで、カウンター気味にキッスがルミルミの腹部へ、強烈な一撃をかまして地面にぶっ倒す。

こーいう力ずくも止む無し。引き渡す代わりに、サザンから事情を聞ければと


「お姉ちゃん!」

「ルル、油断するな。気絶させたが、すぐに意識を取り戻すかもしれない」


ルミルミを因心界の本部まで連れていくというのは難しい。そして、メリットもない。むしろ、逆に因心界の本部がこっちに来てくれる事、サザンがここに顔を出して欲しいというのがある。

涙一族の生まれ育った場所にして、色んな歴史が詰まっているこの場所に無関係な者達を呼びたくはなかったが。いずれ、そんな血筋も要らない世の中に繋がればと、キッスなりの思うことがある。涙一族の本家である、涙メグの末路を知るからこそ、絶やしたい事もあるんだろう。


「私はルミルミをここで監視する。だから、ルルは”直接”、私がこれから言う仲間をここに連れて来てほしい」

「き、気を付けて!お姉ちゃん!」


ルミルミを捕らえたが、彼女を大人しくさせる檻のようなものもない。彼女が一度、暴れたら……止められるのはキッスしかいない。


「北野川と録路を連れて来て欲しい。ルミルミを捕らえた写真を見せれば、事実と事情も2人には分かるだろ。多少の付き添いも許す」

「うん!」

「ただし、粉雪や南空、野花には絶対に悟られると面倒だ。サザンと通信ができる装置も必要。あれは取り外せるように設計してあるから持ってきてくれ」



革新党の動き。

ムキョの処理について、キッスはまだ気づいていない様相。(情報が来てないが正しい)。

だが、直感。因心界にその後処理をさせようってのは、気付いている感じだ。

粉雪や革新党にレイワーズの処理を押し付けたい、キッスの思惑。

キッスと因心界にレイワーズの処理を押し付けたい、粉雪の思惑。

いざという時に協力ができないのは人間というものか。

そもそもで、サザンを始めとした、妖精達の動向にも問題があるとキッスは思っており、まだ話し合いで済ませようとする穏健寄りだ。


「って、お姉ちゃんにあたしに、録路さんや北野川さんまでここに呼んだら。誰がレイワーズの相手をするの!?」


なんで肝心の1人を外したかというと、間接的ではあるが、粉雪の危険性とヒイロからの言葉を聞いているからだ。


「その間、対外的な事は表原ちゃんに全てを任せる。あの子しかレイワーズとまともに戦えるのはいない」

「それ本人に一言も言わないでやらせるのーーーー!?」

「しょうがないだろ。本当のなんかがあれば、本部の留守を護る野花がなんとかしてくれる」



防衛をどうしても手薄にしてしまう。

危険は承知だが、先々を見据えている。それだけに”妖精の国”の現状などを知りたいのだ。

とにかく秘密に、とにかく内密に。




◇           ◇



「レイワーズの2名を倒してくれたらしい。ジャオウジャンの力は1/4は削いだという感じかな?」



妖精の国では、因心界の戦況の報告を受け取った。

勝報に喜ぶよりも


「関西全域では一時的な社会活動の停止。クールスノーとムキョの戦いは、激しい戦いのため、その被害は軽くみても街が3つ、機能を失ったというもの。ムキョは色んな役所などを襲撃しているようだし……(人は死んでないけど)」


レイワーズとの戦闘でどれだけの被害が出たかというもの。

ジャネモンや悪い妖人達の戦いのレベルを、軽く超え始めている。日本という国一つで収まる被害になるか。それよりも恐れているのは、



「”望み通り”になっているんですかね?アダメさん……」

「な、な、な、な、なんのことでしょ~」

「妖精の国が滅びる可能性がありますね。人がここに来られる術を知ったら、間違いなく来ますよ。ホント、殺しますよ」


妖精の国が滅びるかもしれない。あまりの危険性と独立した意識を持つ生命体。

地球上の生物においても、外来種の生物が現地の生物を駆逐する勢いを持つ事がある。

人間がそうすることは、歴史上、書かれていなくてもして来たこと。地球上の生命の頂点にいるのだからだ。



妖精の国では、サザンとアダメが今後の方針について、協議をしていた。

というより。


「早いとこ、言い訳を考えてください」

「お願いですから、サザンも協力してください」

「いや、無理ですね。私は見守るだけで責任を放棄します」

「それトップがやることなの!?」

「いや、あんたもトップだろ。なに責任は負いませんって、顔をしてるんですか」


まだ、ルミルミがキッスに捕まったという情報を知らない。

その前提ではあるが、


「キッスが私達の存在を曖昧に捉えてくれるのは、彼女があまりに強すぎるから。人間はそう強くない。人間にとってちょっとした強さはね、すぐに挫こうとされるんですよ」

「むむ~~っ」

「まずはキッスが納得する話をするべきです。事実も含め、ここは陳謝して事態の収拾をするべきです」


やはり誰かの立ち位置から聞いた話というのは、先入観で色々解釈が違ってくる。

まだサザンやアダメからの話ならば、キッスは”妖精の国”を好意的には捉えてくれるだろう。反面、ルミルミやシットリが話すならば、それは危険という認識をされる。すでに粉雪や革新党は、危険性には十分入れていて、利用価値もあるとするだろう。

不思議に思う事は


「粉雪に関しては、どうして私達の事を危険視しているのか、疑問がありますね。対話も避けるべきかと」


何かしらの根拠のある事実を、粉雪は入手しているとみる。

甘さを見せれば”妖精の国”に危機が訪れるのは確か。ヒイロもそーいう見立てをしていて、彼女の危険性を訴えている。


サザンの助言に対し、アダメは



「嫌だ嫌だ嫌だ!!恥ずかしいよぉぉっ!!無理無理無理無理!!そんな理由で、……言えるかーーーあああぁっっ!!」


悶絶し、頭をミックスしようかという発狂した動きと叫びをして、拒否をする。

よほどの理由があるらしい。

前回、北野川がいる前で事実確認をとられた際、サザンが秘密をそこまで抜き取られなかったのは、サザンが当事者ではなく、真実を知れたという立場だったからだ。現実として、それを体験してきたのはアダメ1人だからだ。



「認めない認めない!!!何も認めないぃぃぃっっ!!お前等下等生物の混乱なんか知るかぁぁっ!!」

「その下等生物にも馬鹿にされる理由なのにですか?」

「っっ…………」



地球の生活から”妖精の国”へ、正式な形で戻って来れたのは、サザンだけである。

だが、現実。行き来を可能にしている妖精は他にもいる。

そして、公式では記載されないが、サザンと同じく戻って来たルミルミは純粋過ぎる上に、妖精の国に戻された理由も含め



「ルミルミも私達にブチ切れますよ。……だってね。私達、妖精が存在している理由。それは”地球を侵略しに来た生命体”として、あなたに生み出されたんですから」



侵略者として作られた生命体。

それは妖精の国では、秘匿扱いとされている情報である。

どうしてそーいうものだったか、その仕組みについて、アダメは上手いことやっていた。


「弱き人を助けるため、中立、中和などと謳って。……そのじつ、あなたと同じように精神的なモロさを持つ存在に対し、過剰な力を与えては暴走させ、人間同士で争わせる。そして、妖精の多くは地球住まいを選ぶような仕組みにしている。よく出来てますよ。生物を生み出す存在ならば、ホントによくできてますよ」



妖精は契約しないと死ぬようにされ、契約する側にも精神的・運命的なトラブルを抱えている者ほど、有益になるよう仕組まれたルール。

妖精側を純粋に人を救うなどという目的意識を教育させてから、地球へと召喚。

そして、未知なる怪物や問題を解決させようとする。


「ジャネモンも私達、妖精の同種。ほとんどの理性を奪ったり、思想を一定に染め上げたりと、……ワザと争いの火種を作らせ、妖精達の存在意義を認めさせようとする。やがて契約させた人間達を争わせる。っていうか、してるんだけど……」


生前の涙メグと会談などをしているサザン。

彼の言っていた事は、8割以上は当たっていた事だった。メグはそこから未来を予測できるという解釈をしていたが、そこは誤認させたというか歪曲させたようなものだ。メグからの結論からして、妖精というのは地球を侵略しに来た生命体というのは間違いではなかったし、彼からすれば妖精達は人間達で遊んでいるような解釈や推測も当たっている。


「あなたが人間に接触した初めての存在が、涙一族の末裔。自らも制御できるように暗躍しましたね」


涙一族を宇宙人の類ではないかという噂もあったのは、アダメが何かしらの手段で人間と接触したこと。それがたまたま涙一族となり、彼等が世を混乱に導く人間として、アダメの目的を遂行するように動かされていた。

サザンはまとめて簡潔に



「全てにおいて、アダメさんが悪いんです」

「酷くない!!?」

「元を辿ればです」



何故、アダメがこんなことをしておいて。そして、今現在はそれを無かったかのように振る舞うのか。蒸し返すんじゃねぇって態度をとっているのか。

そいつをひとまず置いておき、アダメからすればこんな出来事をどうしてサザンが察知したのか。


「サザンが帰ってくるからじゃないか!!お前が私の意図に反して、妖精の国に帰って来やがったから、この真相に気付きやがったんだ!!」

「帰ってきたら”妖精の国”の制度、教育をルミルミと共に見直そうとしただけです。その結果、そーいう情報を私とルミルミが知った(知ってからヒイロとシットリに協力を求めるため、2人には各々事実を伝えた)」


人間界で役目を終え、妖精の国に戻ってくれば、その王様になる権利があった。

ルミルミは涙マキや他の人間達の事を思って、留まる決意をしていた反面。サザンは”妖精の国”から改革をしようと思っていた。

事実を知った時、サザンとルミルミがとった行動に明確な差が出たのは至極当然である。ルミルミにとっては、純粋な気持ちをものの見事に裏切られ、妖精としての目的として忠実な行動も正義という言葉に繋げられるだろう。

だって、本当に侵略者として生み出されてるんだからだ。後戻りできないほど、歴史も繰り返している。



「私以外、役目を終えて妖精の国に戻ってくる者がいなかったのはしょうがないです。残る連中の理由も分かります」



サザンも事実と目的を知らなきゃ、こんな面倒な事は引き受けなかっただろう。

サザンだって平和的にこんな争いを終わらせるか、苦悩し続けている。


「あなたの”目的”だった事を、みんなに話す覚悟はしてくださいよ。北野川とカミィが秘密を得られなかったのは、私はあなたの資料でしか知らなかっただけ。当事者じゃなかったから」

「うぐっ」

「ルミルミがマキちゃんの事を思っていれば、人間にその事実と目的を喋るとは思いません。あなたの口でそれを謝罪する義務がある」



アダメが必死になって隠したいこと。

忘れたいけれど、できないこと。



妖精達を生み出して、人間達を騒動に巻き込んだのは……とても許される事じゃないからだ。




次回予告:


古野明継:兄さん、ホントに敵になるんですか?

古野月継:なんだよ。相変わらず、口五月蠅い奴だな

古野明継:レイワーズに関わる連中は、ロクなやられ方をしませんよ

古野月継:はははは、そんなの気にするな。楽しく生きれればいいんだよ。お前、貯金が趣味だろ?

古野明継:日頃、お金に困ってるのはどちらさんですか?

古野月継:俺等、仲は悪いがまだマシなレベルだぞ。こーして、次回予告するし

古野明継:……まぁ、表原ちゃんの家族と一族もなかなか酷いですからね

古野月継:つーわけで

古野明継:次回、『表原一家の集合は、爺の遺産目当て』

古野月継:俺はお前に借金は残さないから心配すんな

古野明継:面倒は残さないで死んでください


挿絵(By みてみん)



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