Dパート
マジカニートゥとハートンサイクルの2名は、ナックルカシーと別れた。
そして、操られた人間とジャネモン達の行動は、3人に襲い掛かるという指令のみを実行。マジカニートゥはあんな感じではあったが、思うことは
「やっぱり!」
操られた者達には細かな指令は下されておらず、心身への恐怖から来る操作。成したい事でもないというもの。”従うわ、仕方なく、生きるためならば”、と。
クソ真面目に一人一人相手にする方が被害が多く、より効率的に抑え込むには、操られたフリをさせるのが良い。
「こいつ等、どっかのクソみたいな父親みたい!」
「?だ、誰のこと……」
「あたしにしか関係ない!聞かなかった事にして、ハートンサイクル!」
マジカニートゥは、どっかの誰かさんを連想し、だからこその対応ができた。
妖人化しても能力を使わなかったのは、”適切な本気こそ”有効であるという自覚。本気の温存も意味ないが、こうした団体戦では足りない部分を自分が補うことが役目。
今回は主役というより脇役であるが、みんなの前ではアイドル級の主役として、人肌脱いでやろう。
ビイイイィィィィッ
マジカニートゥの本気の空間を出現させる、菱形の8つの基点。
数回だけではまだその理解に到達していなかったが、シットリとの大激戦の末、ようやくこのイメージまで辿り着いた。
まず、どれだけ本気かというイメージは必須な上で。
「必要なもの。舞台」
欲しいと思ったアイテムをイメージ。これは第一段階の能力を併用するようにしていけば、環境の中に溶け込んでくる。
そして、どうあって欲しいかというイメージ。純粋な夢に近いイメージも大事。
「”PICK UP STAGE LIVE”」
本気で願うってホントに簡単なんだなって、今日は結構思ってしまう。
ボオォォンッ
アイテムは一つだけにするな。
夢をイメージすれば、色んな物が自分を輝かせるように君を彩る。
金や時間だ、年齢だ、資格だ、そんな現実的な事はここにはない。
ボオォォンッ
いつものマジカニートゥのコスチュームすらも変わってしまう変貌。
「っ……なんか思ってたのより、露出あるよーな」
「な、なんの能力を連想したの……」
可愛らしいマイクにインカムも装備し、露出あるコスチュームに反して、薄い白色の手袋やブーツ。
今にも踊って歌いそうな。まさにアイドル。それをイメージしたのは、確かである。
マジカニートゥはさらに自分の空間の8つの基点の端に、スピーカーが配置されていると感じ取った。空間内全てが自分のステージと思い込み、マジカニートゥはマイクに向かって大きな声で
「あたしのステージ!!はっじまるよーーーー!!」
マイクに向かって大きく叫び、みんなの注目の的になる。そして、続けて。
「それでは一曲目ーーー!!」
マジカニートゥのノリは完全に戦いをしに来たのではなく、カラオケで思い切り歌い、はしゃぎ、ストレスを発散する人間そのもの。曲を求めると同時に、空間に配置されたスピーカーから大音量で曲が流れ始める(マジカニートゥが知ってる曲)。
なんだかんだ知っていて、好きな曲なだけにそこそこの歌唱力を披露。少しの気恥ずかしさがあれど、これが本気で楽しみたいもの。
「”傍にいるたーとえどんなーにー!”」
戦場で歌い始める。もとい、話し合いで解決しようという輩が本気でいるとしたら、こんな感じをイメージするのだろうか。
ハートンサイクルはこんな時に何をしているんだと思っているが、マジカニートゥを信じて見守る。曲が流れ、マジカニートゥの歌が披露されると操られた人達やジャネモン達は
「……………」
「……………」
恐怖に怯えたり、虚ろな表情でいた連中の姿が変わっていく。
顔色が良くなって元気になっていく感じ。
「これって、……」
洗脳を解く能力を本気でイメージしたんだね!!さすが、マジカニートゥ!
「”沈んでいく夕日がー明日を照らーしだーす”」
マジカニートゥがめっちゃ機嫌よく歌ってるだけだから、戦っている感じが全然湧いてこないけれど。
「すごい!すごい!マジカニートゥ!!」
歌っている間は相手の洗脳を解く能力なんだと、ハートンサイクルは思っていた。だが、相手の洗脳を一瞬で解ける本気がこのような歌でどーこうなるとは、正直にマジカニートゥは思ってもなかった。1曲目、2曲目と終わり、3曲目が流れるところ……というか、曲のテンポが早いと思ったら、サビ部分しか歌ってねぇじゃねぇか!!細かく分からないから良いとこしか歌わないんだよという、マジカニートゥの内心。
次の曲が始まる前にマジカニートゥのハートンサイクルに
「準備して準備して!」
「え?」
「洗脳を解くとかじゃないから!これ!」
「え?」
相手の洗脳が関西全域に及んでいるため、マジカニートゥの本気の空間もなるべく大きくしている。少なくとも、ナックルカシーの戦闘範囲よりもさらに遠く、この歌の空間を広げている。
自分と同じ能力とぶつかっただけに、洗脳に特化した能力とはいえ、こんな広範囲と強い力を突破するよりも、”組み換え”を行わせるのが理想。
「……あの女を狙おう」
「歌ってる人間を捕まえろー!」
相手の洗脳内容を”書き換えて”、マジカニートゥだけを狙わせるように仕向けた。
一度、マジカニートゥの歌を聴いてしまった洗脳された者達は、マジカニートゥを標的にする。
「ハートンサイクル!あたしを空まで連れてってーー!」
「うん!!」
ハートンサイクルがマジカニートゥを抱え、空へとぶっ飛ぶ。洗脳を解く力を範囲に回し、自ら囮を選んで、みんなの時間を稼ぐ状態。
洗脳された者達に飛び道具がほぼないため、ハートンサイクルが上空を飛び続け、そこでマジカニートゥが歌い続ければみんなの時間と、洗脳されている人達の被害をより抑えられる。拘束しているともとれる状態になる。
「歌ってる奴を狙うんだーー!」
「じゃねーー」
「下手ではないけど、体が勝手にお前達を襲いたくなるーー!」
常に襲われる側。ジャネモン含めて、数万人。いくら空の安全地帯にいるとはいえ、マジカニートゥ達が惹きつけた。
「な、なんか色々逆効果な気がするけど」
洗脳の”書き換え”に必要なマイクとスピーカー。これらのどれかを破壊されたら、無意味になってしまうが。聴いた者はすぐにマジカニートゥを狙いにいくことと、それを破壊しようとする賢い者や忠義のある者はこの中にいない。
あくまで”書き換え”を優先しており、逆らうことでの罰をも取り除いている。マジカニートゥの上手い加減であった。
とはいえ、
「と、とにかく!これでみんなを安全に護ってる!あとは洗脳をしている主犯格を、録路さん、北野川さん、黛ちゃんで倒してもらえれば!!」
「そうだね!!あたし達はあたし達のやることをしよう!!敵は3人に任せよう!」
お二人さん、茂原くんのことを忘れてますよ。
「……それはそれとして、ルルちゃんも歌わない?」
「え?」
「空飛びながら歌うのってアイドルっぽいじゃん。マイク持てば、歌いたい曲のサビが流れるように本気出したし」
「そ、そ、それに興味ないって言ったら、嘘になるけどさ……お姉ちゃんが飛んできそうで怖い……」
「1時間も一人で歌い続けるの辛いんだよね。喉が絶対に痛む!」
「あたし、表原を抱えながら1時間以上も飛行するんだけど!!」
なんだかんだでこの後、ルルも2,3曲。歌ったりするのであった。意外と上手。
今回の章では、2人の活躍はここまでとなっている。
◇ ◇
「気が利くことをやってくれるじゃねぇか、マジカニートゥ、ハートンサイクル」
2人と別れたナックルカシーは、ジャネモン化した伊塚夫人と対峙していた。
相手に作戦やらのものがなく、指令したことを単調に行う敵の洗脳。死ぬとか、負けるとか、分かっていても、ナックルカシーの邪魔となる。空を飛ぶ伊塚夫人に至っても、ここで味方にする人間達など邪魔者と同様の扱いをする。
ようは捨て駒。
「…………デブが」
空を飛ぶ伊塚夫人はスマホの動画撮影機能を使って、ナックルカシーとマジカニートゥ、ハートンサイクルの3名を記録した。
ハートンサイクルとマジカニートゥを狙いに行かなかったのは、洗脳を解くような能力でなかったのもあるが。
この場面において、ナックルカシーをぶちのせば、どうにかなるというのもある。
マジカニートゥの考えでは、一対一の勝負なら、ナックルカシーがなんとかするというのも考えもあるんだろう。
お互い、こいつを仕留めればという考えに至る。
「本命は北野川と黛に譲ってやるか」
あんたも茂原くんを忘れておるやないかいっ!
ナックルカシーはすでに伊塚夫人の能力を見ており、洗脳を行っている主犯格でない事には落胆していた。それだとしたら、相当なバカで落胆の度合は大きいだろうが。
この場で、マジカニートゥの洗脳の書き換えが通じてない奴が一人とすれば。
洗脳を軸として、手駒にしているグループの可能性が高い。そうなると、洗脳なしに従っている奴は邪魔になる。ナックルカシーの勝敗はマジカニートゥ達の命だけでなく、北野川達のところも含めて重要なものになる。
「マルカ。さすがにあいつは強そうだ。だが、そんなに消耗してらんねぇ」
『うん!マジカニートゥ達が頑張ってるんだし!』
「最悪の”連戦”は頭入れておけ」
妖人化ができるからかどうか分からないが。洗脳できる相手がいるというだけで、この戦いで終わりとは思っていない。
本命を討てるか。あるいはやられちまって、録路達の敵となるか。
「”荒猛努”」
ナックルカシーは左手を膨らまし始め、サッカーボールほどの飴玉を生み出し始めた。
「”輝星”」
黛との戦いから空中戦でのやり取りを見直す結果。
飛び道具類が必要と判断。ハートンサイクルに代わって、伊塚夫人との戦いを選んだのは、その調整というところだ。
左手から生み出された、飴玉をとてもシンプルに
ポーーーーンッッ
空を飛ぶ伊塚夫人に向けて、蹴り飛ばす!
「!」
速いが、とても単調。空を飛ぶ伊塚夫人がこれを喰らうはずがない。悠々と避けるも、ナックルカシーには手ごたえは在り。
「へへっ、そっちも動けよ。鳥婆」
新技も悪くねぇな。だいたい予想通り。
どうしたって俺みたいなタイプは、接近戦に持ち込まないと力を発揮できねぇ。
腕っぷしじゃまだまだ足りてねぇ。まだいる強い敵と戦い続けるには、別の手段にも拘る必要がある。
バサバサァッ
ここまで空を飛んでいるだけで仕掛けてこない伊塚夫人。
そう思えるが、実際は違う。目には感じ取れない攻撃というものがあり、そこには洗脳と違った恐怖がある。妖人化している人間には効果が薄いのだろうが、無機質な存在にはとても有効に働く。
ナックルカシーが立つ、そのアスファルトの地面には特別に有効。
バギイィィッ
「!」
いきなりナックルカシーの周囲のアスファルトでヒビ割れが発生する。さらに、周囲の建物にも地面ほどではないが、ヒビが突如できる。新築だろう住居にも、なんの前触れもなく、ヒビ。
伊塚夫人がなんらかの能力を使ったのは確かであるが、まったく見えない。
羽ばたいているだけだが、おそらくその時にやっている事なんだろう。
どんどんと土地が
「荒れていきやがる」
地面や建物の乾きから始まって、汚れては砕けていく。
その変化はやがて生物に行き届く。
伊塚院長に洗脳され、マジカニートゥに洗脳内容を書き換えられた若いカップル達が、
「あああぁぁぁっ」
「ひいいぃぃぃっ」
肌から一気に水分があふれ出て、10数年は年をとったように、”しわ”を浮かび上がらせる。髪の毛も抜けていき、若さが奪われていく。その見た目の変異は能力の真骨頂。妖人化していれば防げるんだろうが、あまりの長期戦はナックルカシーにも効果が出るだろう。
体の異変は心に恐怖を生み。そこに付け込んで、従順にする洗脳を容易くさせる。殺すことよりもそーいう下準備に向いている。
夫婦なだけに能力との相性、噛み合い方も良い。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ
「おっ!なんだぁっ!?」
この地面全体が突如として揺れを感じる。
生物と道路では効果の違いがあったように、伊塚夫人を確認出来てから能力を使用され続けていたとすれば、十分過ぎるくらい効いている。空中にいる間、というのなら。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
アスファルトと地中の水分を抜き去って空洞を作り、地面を沈めさせること。
その空洞があまりに広範囲に出来上がってしまうと、一つのところが崩れれば連鎖するように広がり、止まることを知らずに崩落していく。地震などを起こさず大地を落とし、荒野を作り出す。その変貌にナックルカシーは巻き込まれる。
街のインフラというものを、破壊していく。そんな状態でさらに伊塚夫人の能力を浴び続ければ、人はいずれミイラ化、街は砂漠化へと進行する。
「ふふっ」
この街の破壊はマジカニートゥ達の方まで余波が来た。運よく、ハートンサイクルと空を飛んでいる状態であったため、二人は難を逃れたが。マジカニートゥ達を狙っていた人間達にはダメージが深いだろう。
一方で、伊塚夫人はこの壊れていく街の姿に
「あーーははははははっ!はーーははははは!!」
同様に、壊れたような高笑いを放つ。
これほどの快感。朽ちて壊れる街と人。夫である伊塚院長の命令をこなす者達の姿。
それを傍で見ていることはとても良かったこと。こんなにも間近で見られて、とても嬉しいこと。
街の崩壊に巻き込まれたナックルカシーなど、もはや眼中にない。あとは指揮系統を崩しているマジカニートゥを葬りに行こうと、そちらへ睨みを効かせた。
「あと二人」
従わければ自分が殺すだけ。それだけでいい。それだけでいいって、夫は伝えてくれたのだ。
役目を果たす事が隣に立つべき者。愛される妻というもの。認め合える仲という者。
ポーーーーンッッ
「!」
伊塚夫人の意識が再び、ナックルカシーに向いたのは。”輝星”の飴玉が飛んできたからだ。見切りなど容易いし、連発できても弾数の限りがある。上空を舞っている伊塚夫人に当たるわけもない。
「大人しく、主人に従っていればいいものを」
勝てぬ相手と理解すれば、服従の幸せを理解できるもの。しかし、ナックルカシーにそれはない。元々、個人の好き嫌いで動くような男だ。興味がなければ、興味がない。そーいうのを持たないから伊塚の洗脳には効きにくい。
妖人化も相まって、特に変わらず。
ナックルカシーは懐からキャンディとマシュマロを同時に口に放り込んで、瓦礫の上へと這い上がる。
「ジャネモンってのは性格が出るらしいな」
空を羽ばたくジャネモンの姿。
伊塚夫人にある見下ろすという傲慢な性格と、
「ここまで邪念が濃いってのに、お前でも三下とは驚きだぜ。洗脳野郎との関係者だろ?」
伊塚院長に対する歪んだ情。
それらが奇跡的に重なって、”伝説”クラスに相応しいジャネモンへと昇華したのだろう。
自分は空中という絶対の安全領域から、見下ろす連中や存在を徐々にではあるが枯れさせていくような能力。自分自身の重ねた年齢に近づけるかのような、全体の老朽化。
伊塚院長がいなければ、伊塚夫人が変わりであってもおかしくはない。
事情を知らず、ましてや今戦っている存在ですら、ナックルカシーには分かっていないが。
「利用されている事に悦入っても、テメェはテメェでしかねぇぞ」
支える本質は一方通行な思い込み。
伊塚院長の正しさが自分の正しさであるというのは、伊塚夫人の支える正しさ。一方で伊塚院長はあくまで、自分の能力に抵抗できる奴を排除する役目に、伊塚夫人を当てただけ。
思っているほど軽い扱い。
ナックルカシーと伊塚夫人が会話を交えるなどここからはないが、
「とにかく、あの空にいるあいつを、地面に叩きつけねぇと」
『さ、さっきの作戦通り?』
「おう。飛ばすコツは掴んだ。あとはタイミング」
伊塚夫人という”伝説”のジャネモン級を相手に、ナックルカシーも自身の調整役というくらいにしか思っていない。まだ、思いはマシな方か。
それに伊塚夫人は気づいていない。気付かないでいる。
伊塚院長があまりにも、自分の想像を超えては暴走に至ってしまい、自らも正気を失う他はなかった。
ナックルカシーは三度、”輝星”で飴玉を伊塚夫人に向かって蹴り上げた。
「当たるものか」
しかし、当てる気などない。向かってくる3つの飴玉は、伊塚夫人の動きを制限するため。
突然に飴玉は爆発+膨張を引き起こす。
ボフウウゥゥッ
「っ!?」
飴が爆発!?いや、飴が綿に変化して、大きくなっていく!?
飴が宙に浮くほど軽い綿菓子へと大きく変化していき、粘着性もあって触れると絡まってしまう。空中に障害物が現れるという、空を飛んでいる者達からは想定していない変化。その変化を理解しているナックルカシーはすぐに跳躍と同時に、綿菓子に手をかけては、足だってつける。自分の体重を考えると長い時間ではないが、動くには十分過ぎる足場。
「”荒猛努”、”卯砂実”」
さらには空中という場所でふんわりやわらかなホイップの泡を放出する。
モコモコモコモコ
「こ、今度はホイップクリーム!?」
壁のような密着した作りではないが、四方八方に綿とホイップの壁で伊塚夫人の行動をさらに制限。ナックルカシーからすれば、空にある足場を利用できるため、行動の自由がさらに増える。
お菓子で囲んでも、空を飛ばれるのは厄介と判断。
ホイップと綿菓子の隙間からヌッと、入ってきては伊塚夫人を掴んだ、ナックルカシー。
ベギイイイィィッ
「羽、邪魔だな」
伊塚夫人の両翼をへし折り、地に落としていく。
それはもうあっという間のこと。伊塚夫人がここから、どうしようもできないというのが分かっている事だった。
「!っ…………」
地上に落ちていく自分。それよりも死ぬという恐怖よりも。
伊塚夫人が思ったこと。
走馬灯であるというのは、誰よりも分かっていた。
◇ ◇
このお方と共にいるということ。
【立派なお人】
初めて出会えた自分が認める異性。その認めるという範囲を感じただけ、まだ誤りであった。
彼女が付き合い、結婚をし、子供を二人儲けても、まだ見えてこない。雲のお人。
国からの勲章を社会的に授与されても、彼のことを深くは知れなかった。
どう知りたかったか?
簡単。
一つ。
【愛を感じたでしょうか?】
若さも、老いも、偉業も、面倒事も、共に感じてきた。
こちらはいつもの傍で、あなたと共にいた。そのつもりであった。
しかし、彼の横には一度も立てなかった。
追いついた世界はどんなものか、生きて知りたかった。伝えて欲しかった。
例え。
◇ ◇
ドゴオオオオォォォォッッ
伊塚夫人は空から地面に叩き落された。空を飛べるほどの身体能力があっても、元の肉体は老婆だ。体のほとんどがボロボロなのは仕方がないことだ。
一発KOは仕方なし。
しかし、それよりも心を砕いたのは。血を薄めそうなわずかな涙は、
「お前の相方は、お前の事なんざ助ける気なんてねぇよ」
元々、マジカニートゥの能力が展開されている状況では、伊塚夫人を手助けするという指令などできないが。
ナックルカシーの指摘通り、伊塚院長は彼女を助けるなどという事は一切しなかった。敵を排除できれば良し、できなくてもまぁ良し。どーでもいいと思っている扱いでしかなかった。
捨て駒。自分の妻ですら、そーいう扱い。
伊塚夫人の力があれば、洗脳の手助けになれたというのに。それすら、伊塚院長の狂気には必要ないという個か、それともちょっとした残念感を出すだろうか。
「本命の北野川達は、上手くやってるんだろうな」
ナックルカシー VS 伊塚夫人
余裕を見せつけ、ナックルカシーが撃破する!!
しかし、この関西全域を支配する伊塚院長の力。”レイワーズ”のメーセーの存在。
怪物である二人を相手にするのは、北野川話法と黛波尋の2名!
次回予告:
メーセー:よーやく、俺様達の出番か。
伊塚院長:…………ふむ、近づいてくる奴等もいるか。
メーセー:伊塚院長は悲しんでいるのか?お前の奥さんをジャネモンにしたのは俺だけどよ。
伊塚院長:別にどうでもいいのぉ。
メーセー:へぇ
伊塚院長:お主が相手をせい。儂は足が悪くて、杖生活じゃからな。乱暴な事はできん
メーセー:嘘つけぇ~。ところでやってきたのは、少女が2,3人のようだぜ
伊塚院長:ならば、儂が味見をしてやるか、可愛がってやるかのぅ。次回
メーセー:『北野川+黛 VS 伊塚院長 + メーセー!お屋敷大バトル!』
伊塚院長:なんじゃ、つまらん展開かい。ホントにガキか……
メーセー:つまんねぇ体なのは確かだぜ




