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MAGICA NEAT  作者: 孤独
第39話『ジャオウジャン、動き出す!8名の王、レイワーズが大暴れ!』
131/267

Cパート

 「だから、あんたねぇ~~……」

 

 何遍言わせるんだと、古野は粉雪を叱った。

 

 「やりすぎなんですよ!また表原ちゃんをボコボコにして!!」

 「古野さんが治せる程度の怪我にしてあげたわよ!!手加減してるわ!!」

 「手加減が下手くそ過ぎるんですよ!!」

 

 病院で口論になる2人。治療役がいるからといって、仲間をボコボコにしていい問題じゃない。洗脳がどうとかあれど、

 

 「ちょっとは手を抜きなさい」

 「真剣勝負で握る手は、ガチッとしなきゃダメなの」

 

 表原は気絶しているわけではないが……。顔面に包帯を巻くくらいの重傷。

 古野の治療で1日程度で完治させるようだが、これでは古野も粉雪の拷問に片棒を担いでいるようなもの。キッスもキッスで、表原の早期戦線復帰を促すなど。

 

 「小さい子を無理させちゃダメですよ」

 「ふー……」

 「反省してください」

 「……考えておくわ」

 

 強さでもあり、ちょっとした弱さでもある。

 

 「じゃ、表原ちゃんを借りていくからね。病院、よろしく」

 「本部で会議ですか?敵の情報は後でくださいね」

 「はいはーい」

 

 治療を終えた表原。粉雪。……それと、付き添いで来ていた、野花とルル。

 この4名も病院から因心界の本部に向かう。

 夕方に北野川が集めた情報を元に、これからの作戦や方針を決めるようだ。

 

 

 どーいう経緯いきさつかはおいておくが、クールスノーとマジカニートゥの2人が取り逃がす相手。誰もが警戒するレベルの敵。それも複数の団体さんだ。

 その頃、本部では可能限りでキッスと録路が戦力を集めていた。

 

 

 「というわけで、録路。お前に彼の交渉役を頼みたい」

 「……俺の部下ってわけじゃねぇし、使える奴じゃねぇぞ」

 「使える奴は使う。それだけだ」

 

 録路を介して、強力な妖人を1人。

 そして、もう1人はこれからキッスが交渉しに行くところだった。

 ついこないだ、敵としてバチバチに戦っていた相手。3週間ほど、反省という形で檻の中にいさせた人物。

 

 

 ガチャッ

 

 

 「黛波尋ちゃん。気分はどうだ?」

 「…………あんたか」

 

 ダイソンの相棒であった、黛である。

 今はダイソンを失い、ただ1人の人間だ。彼女の実力はすでにみんなが知っている。

 

 「はははは。なに?なんか用?」

 「……率直に聞く。力を貸して欲しい」

 「あたしは、あんたのところの。……飛島とか言うのを消してやってるのよ?他の連中、あの豚野郎とも、ふっかけてんの!それで力を貸して欲しいって?」

 

 敵である人間に、力を貸して欲しいと言ってくる。キッスの考えなどまったく分からんといった態度を示す黛。黛の吐露した事は、とても正常で言える。

 

 「正義とか、そーいう言葉は笑う口か?」

 「もっちろん。馬鹿じゃない」

 「ならば良い。実に君は妖人としての素質が高い。ダイソンが認め、飛島を倒し、録路とも互角に渡り合える。交渉の価値がある存在だ」

 

 こっちの考えなんざ、何一つ聞いてはいない反応。キッスの、相手にしていないようで相手にしているような。ふわふわな対応。

 

 「こちらから別の妖精を貸してやる。条件として、私達と共にジャネモン達と戦って欲しい」

 「はっ、嫌ね」

 「好機と見れば、SAF協会に行ってもいいぞ」

 「ふん!別にあたしは力を使えれば良かったのよ!都合の良い連中がいればいい!それだけ!」

 「その都合の良い連中が、……私達かSAF協会だ」

 「!」

 

 

 断ると口にしていながら、力の誘惑には……揺れてしまう。

 このままずっと檻の中にいれば、誘われるだけであろう。

 黛は顔をシカメさせて、

 

 

 「あんたの言う、妖精次第ね」

 「…………うむ。君と波長が合うかは知らないが、期待している」

 「返答はそっからでね。さぁ、とっとと帰って!まだここの方が居心地が良いから」

 

 

 キッスの条件を飲みつつ、帰らせた。

 帰ったのを見て、床にゴロンと転がって、

 

 「あ~……暇も嫌ね……」

 

 もう1ヶ月は経ったらしい。いい加減、飽きたという感じの黛であった。

 

 

 ◇       ◇

 

 

 「うわぁ~……凄い傷……」

 

 そりゃあ、女の子の顔面の半分が包帯で巻かれていて、左足にはギプス。右手には松葉杖だ。

 酷すぎる表原の様態を見て、

 

 「これ、ゆきんゆきん(粉雪のこと)がやっちゃったの?あの子は相変わらずねぇ~」

 

 野花壌は心配そうな表情をしながら、表原の周りをグルグルと回る……。

 心配されている表原は……

 

 「酷い目にあったんですよ!!というか、ジロジロ見ないでください!」

 

 こんなにボコボコにされた事を含め、その場で怒る。すればすぐに、野花壌は表原に抱きついた。彼女なりの癒そうとする行為なのだろう。

 

 「きゃー、可愛そー!」

 「ぎゃーー!痛い痛い!!止めてください!!完治してないんですよー!」

 「だったらしばらく、ベットで安静だね!安静できるモノとか男の子を紹介しようか!?」

 「止めてください!どこ触ってんですか!!」

 

 女同士だから許される……わけもないところを抱きつきながら、確認してくる野花壌。なんでこの人、因心界の本部にいるのだろうか?

 そんな人に制裁できるのは、実の子しかいない。……いや、本人含めて、誰も信じられないのだが。

 

 「止めてください!!お母さん!!」

 

 

 ドゴオォォッ

 

 

 野花桜が力で、表原から壌を引き離す。会議に参加することだけで、面倒ごとを起こしやがって。

 

 「ぶぅーぶぅー、桜ンチェリー!まほまほたん(表原のこと)を慰めてあげてるんだよ~!」

 「どーやろうとしているんですか!!」

 

 会議室の中で騒ぐ親子。革新党の代表として、野花壌は参加するらしい。南空は用あり。

 静かにして欲しいという表情を出す表原であるが、一緒に来ているルルが

 

 「その傷は表原が悪いですよ!」

 「むっ」

 「お金に操られるなんて、甘すぎです!」

 「なにをーー!お金への認識が甘いのは、ルルちゃんじゃないですかー!?」

 

 失態を指摘されて、怒る表原。そんな表原の懐には

 

 「お金が見えてますけど」

 「!……これは見なかったことにして」

 

 イチマンコが具現化した現金が入っていた。マジの金らしく、普通に使えるところまでチェックしていた。とはいえ、そのまま持っているのはヤバイから

 

 「いくらか電子マネーに変えておく。あたしからしたら、タダでもらったようなもんだしね!」

 

 その怪我をしといて、タダでもらったと思っている発想が色々とヤバイ。ルルには分からない感性だろうな。

 

 「ルルちゃんには1円もあげない」

 「要らないです。敵の作ったモノなんか……」

 「ふーんっ……」

 

 ルルに指摘されてからか、レゼンも自分がパートナーとして、

 

 「あれはお前が悪い」

 「うるさいな~。またお金くれないかな?いいジャネモンだよ!」

 「お前は今から寝返る気か?ジョークで言っているよな!」

 「ジョークジョーク!はははは」

 

 そう言いながら、表原はレゼンの顔をイチマンコの札束で撫でてあげる。多少の影響があるんだろうが、レゼンをして

 

 「あのジャネモンとお前の相性は最悪だ。絶対にもう会うな」

 「え~!?全力で金を出させてもらいます!!臨時ボーナスなんだよ!」

 「ダメだ!また洗脳されて、粉雪さんにボコボコにされるぞ」

 「……それでも金!!死なない本気を出すだけ!!」

 

 こいつ、死んでも金の事ばっか考えてそうだ……。

 

 

 ガチャッ

 

 

 

 表原達が雑談をしているところに、ようやく会議を始めるための人達がここにやってきた。

 資料が出来たところだろうか。

 

 「みな、待たせたな」

 

 キッス、粉雪、録路、北野川の4名が入ってきた。その中で珍しく、北野川がスーツ姿で現れていた。結構珍しい感じて見てしまう、表原とルル。

 録路と粉雪はそれぞれ空いている席に座り、北野川はキッスの隣に立つ。

 司会進行として、キッスが喋る。

 

 

 「知っての通り、新たな敵。強力なジャネモン達が現れ始めた。奴等の名は、"レイワーズ"と名乗っているようだ。残りのSAF協会の動向も気になるが……そこは白岩に任せよう」

 「え、もしかして!連絡をとってるんですか!?」

 

 ヒイロは妖精の国に戻っていることと、ルミルミが未だに行方不明という状況。そこまでは表原達にも降りてきている情報であり、その情報源がまさかの白岩と思っていたが。

 

 「いや。こちらが動かなければ、白岩も動かない。因心界も、革新党も、独自ながら情報を集めていて、白岩が中心として連中を抑え込んでくれている。比較的大人しいなら、下手に叩く必要はない」

 

 絶対に戦いは避けたいだろうなってキッスの気持ちも伝わる。

 白岩は因心界からは敵となっても、味方でいるような立ち位置でいるようだ。それにホッとしている連中もこの場には多い。

 

 「私達のこれからの相手は、"レイワーズ"だ。実力は普通のジャネモンよりも上だ。表原ちゃんを洗脳し、粉雪も苦戦させる」

 

 失態をこの場で言われると、なんかちょっと。気分悪くなるな、……甘やかしてくださいって表情を表原は作ってしまう。しょうがねぇーなって、顔を向けてくれる人はあんまりいなかった。

 

 「このレベルのジャネモンが、合計8体いる。……後は北野川、任せるぞ」

 「はいはい」

 

 司会をキッスから北野川に交代。

 珍しいスーツ姿から、秘密を元に作った情報を資料にして、みんなに配布する。完璧なものとは言い切れないが、イチマンコと怪護の会話から秘密を抜き取り、大まかなメンバーの容姿なども再現した。

 因心界の情報分野には、北野川の元部下達もおり、北野川の能力を活かせる連中が多いのだ。

 

 

 「資料の通りだけど、その8名がレイワーズって名乗ってる連中。目的は、ジャネモンの王という。ジャオウジャンの復活。今もこれからも、奴等はジャネモンを産みまくって、全てのジャネモンを揃えようって魂胆らしいわ」

 

 直接聞いたわけではないため、曖昧なところもあるが……。

 敵の行動理念については大事なものだ。

 

 「個人の思想まではハッキリとしないから、チームワークとかはないけれど。力や目的に貪欲で手段を選ばない者ばっか。人への被害は尋常じゃないわね……。ジャネモンの種類を151、揃えれたら、奴等の目的は達成されるみたいだから。私達はあいつ等を倒すだけじゃなく、ジャネモンを産ませないってのが大事にもなる」

 

 因心界とは違い、チームワークはほぼ感じられないが、目的への意欲はとても高い。

 イチマンコのように派手にジャネモン達を産み続けたりもすれば、怪護のように敵の戦力を把握したりなど、色んな手段や考えで動いてくる。

 

 「ジャネモンを産ませないなら、強い邪念を持ってる人間達をどうするか?……あたしじゃなくて、キッスの管轄と責任だけどね」

 「おいおい……」

 

 そりゃそうなんだが……。改めて、言われてしまうと困った顔にもなるキッス。ルルがジャネモン化したように、別の妖精と契約させても、場合によっては無理矢理な手段でジャネモンにさせるんだろう。レイワーズの場合、生み出すことが目的で、その後の処置には興味はない。

 

 「あと、まだレイワーズの連中は、"宿主"という存在を捜している。自分と似た邪念を放つ、人間との接触。あたし達で言う、妖人化に近いものでしょうね。これをされたら、さらに大きな力を得るんだから、早めに処理したいのも確か」

 「ええっ……そ、それじゃあ。……この300万が3000万になったりしてたんですか!?」

 

 あれでも本気に達していないと知り、ショックを受ける表原。洗脳され、痛い目に遭い、解放されるのなら、あと10倍以上の金が欲しかったという本音が出てしまう。

 

 「そーいうことね。300万程度で操られちゃったね」

 「い、言わないでくださいよぉぉっ!!」

 

 レイワーズの8名も、まだまだ進化の兆しがある。ジャオウジャンというのが復活したらヤバイというのも分かるが……。

 キッスは以上の報告から

 

 「チームワークならこちらの方が上だが、ジャネモンは主従関係で行動するのもいる。個人個人の実力も確か」

 

 おそらく、今後。レイワーズと本格的にぶつかるであろう、ここにいる主力メンバーに対して

 

 「1体ずつ地道に消していく。レイワーズ同士でつるむことがないなら、今の内に各個撃破でいきたい」

 「各個撃破って言っても……事件の大半が突発的だよ、キッス様」

 「今のところはそうだな、ルル。ゲリラ作戦を続けられると戦力を割かざるおえない。だが、8体全員の行動がそれと確定したわけじゃない」

 

 意外に大胆。おそらく、イチマンコやペドリスト、エフエーなどの行動派を囮にしているような輩がいるはず。

 自らの分身体の犠牲に、自分は宿主を見つけたり、ジャネモンを生み出したりする堅実な奴。時間をかけたらヤバそうな奴を先に処理したい。

 

 「準備万端で物事をこなそうとする、賢そうなジャネモンから消えてもらう」

 「!!キッス様、言い方がエグッ……」

 「……シットリを相手にしてたから、その考えは分かるぜ」

 

 戦いの長期化は明らかであり、今はチームワークこそないが、同志がやられていけば手をとる考えもあり得る。そーいう頭脳担当は早めに消えてもらいたい。

 イチマンコの方が、現状の被害は大きいが……全体として考えれば、少ないものだと今だから思っている。

 能力と考えが分かっているのなら、対処もしやすい。

 

 「まー、さっさと蹴散らすのはいいわね」

 

 粉雪もキッスの考えには納得している。

 

 「けど、そこまで敵も馬鹿じゃないでしょ?取り逃がすとどうなるか、分かってるんじゃない。余計、手がつけられない。ミスは致命傷……そーよね?表原ちゃん」

 「あ、あたしにも、振らないでくださいよ」

 

 早期決着をつけたい。しかし、しくじれば……形勢が大きく不利になる。

 各個撃破というが、因心界総出で1体のジャネモンに集中するのは難しい。大きな戦力はかえって、敵に早期の判断をさせてしまう。戦ってくれる事も望ましい。

 

 「戦力はかき集める。だからこそ、人を選ばずに戦力重視でいく」

 

 またどこからか、強力な人材を使うのか。録路のような感じの人物がいるって事か。

 

 「じゃあ、やっぱり黛ちゃん……?」

 「かもね……」

 

 こそこそと話してしまう、表原とルル。同じ女性で歳も近い2人だ。捕まえられた時は気の毒に思ったが、まだまだやり直しができそうだし、戦ってみて相当な実力だったのも確かだ。

 こっちに力を向けず、敵に力を向けてくれるのなら、頼もしい力だ。

 その許可をキッスは皆に求めた。

 

 「……いいんじゃない」

 

 粉雪は納得。

 

 「OKOK、めちゃOK~」

 

 ノリノリで野花壌もGOODのサイン。しかし、こんな彼女から意外な指摘でも

 

 「でもさ~、キスキスの作戦って、あたし達革新党が参加するの~?」

 

 その電波染みた会話をするなって気持ちになるが、まさかの非協力的?

 

 「作戦は賛成なんだけど、とても危ないよ。計画を練るタイプが、狙われる対策を怠るとは思えない。それに、未だに暴れているレイワーズがいるのに、できるか分からない作戦に戦力を向けるのは革新党としては引き受けられないなー。……あはははは、ゆきんゆきんの代わりに言っちゃった!」

 

 こいつ、電波だと思っていたけど。考えていることはまともだなって……彼女をよく知らない連中にはそう思えた。

 

 「……壌さんの言うとおり、協力はできそうもないわね」

 「調査の協力はできるか」

 「それなら、まぁいいけど」

 

 革新党の協力は得られなかった作戦。彼等には他のレイワーズの相手がある。

 狙う作戦は分かった。その作戦だけでなく、これから必要なところが粉雪には分かって、切り込んでみた。

 

 「どーやってレイワーズを捜す?受けに回っちゃ、やられるだけだわ」

 

 調査の協力をするためには、どのような調査が有効なのかが必要だ。

 北野川が説明する。彼女が知れた秘密を参考に

 

 「レイワーズの特徴は2つ。1つは"宿主"を探す。もう1つは"ジャネモンを産み出す"。いずれの行為も、危険人物に近い邪念を放つ人間との接触を狙うわ。今は国中の人間を調査するのが、地道だけど近道ね」

 「色んな邪念があったら、どんな人間を狙うのか分からなくなっちゃいますよ」

 「それを知る上でも、奴等の特徴をもっと理解しないとな。データにもなってるが、特定の人間を狙っている奴もいる」

 

 

 パターンが分かれば、もっと作戦にハメやすい。ジャオウジャンを誕生させる前にレイワーズを倒すという目的で動く。

 そんな因心界がレイワーズの1人と接触し、デカイ戦いとなるのは2日後の事だったりする。

 


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