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MAGICA NEAT  作者: 孤独
第37話『ついに決着!シットリの執念を断ち切れ!!』
123/267

Cパート

シットリの死により、この戦いでの因心界の勝利は確実なものとなった。

時間はどうあれ。その報は各方面に送られ、勝利を喜ぶところもあれば。泣くほどのショックを受ける敗北ともなる。

まだ、それが分からぬ時。

戦いが終わったところもあれば、監視を続けているところもあれば、報告を待っているところもあれば……。今なお、耐え忍んでいるところもある。



「じゃね~~」

「く、くそーー!一体いつまで続くんだーー!?」

「ジャネモン多すぎ!もう、無理いいぃっ!」



因心界の病院がまさに耐え忍んでいるところ。北野川の激で戦いを始めたが、数の暴力が凄まじく厳しい戦いになっていた。

決して強力なジャネモンの群れではなかったが、こちらも強力な妖人達ではない。1対1でなんとかなるレベル。少しでも連携を怠れば、やられてしまう。


「じゃね~~~」

「じゃね~~~」


おまけに続々とジャネモン達がやってくる。早くキッス達が帰ってきて欲しいと思っている。



「ううっ!キッス様達が帰ってくるまで頑張るぞーー!」

「お、お、おおおおーーー!!」


なんとか怖気づく気持ちに抗っていた。

そんな時。



ヒューーーーーーーッ



「……隕石……?」



空から炎を纏った岩が1つ、この因心界の病院に向かって来ていた。

そして、岩の上には何者かの影が。


「だ、誰か乗ってるぞ!」

「あっ、飛び降りた!」


何者かが降りたと同時に、隕石はジャネモン側の方に軌道修正。凄まじい爆発と共にジャネモン達を数十体葬る。そして、その隕石に乗ってきた者は……。

人ではなく、妖精に近いような……。あるいは宇宙人。


「因心界を護るためじゃないけれど、"リセット"のついでだ。犠牲は少なくしなきゃ、サザンが怒るからな」


その存在は妖精の国においても、"謎"というべき存在。

サザンのために妖精の国の留守を任されていたはずの、アダメであった。


「ほいじゃあ、面倒だから」


病院の屋上に足を置いた瞬間。


治癒世界プリキュア・ワールド



カーーーーーーーッ



眩い青白い光がアダメの身体から解き放たれる。その光を浴びたジャネモン達が悲鳴をあげつつも浄化されていき、消滅していく。

その突然かつ異様な存在の力に妖人達が驚愕したのは無理もない


「す、凄い!!」

「ジャネモン達が浄化されていく!!」


しかし、それは効果対象がジャネモンの方が早いだけに過ぎない。この光の力がジャネモンだけに有効などとは……



「えっ」

「ふへ」



光をさらに浴びてしまった妖人達もまた、浄化されて身体の中から吹っ飛ばされ、光の中に消えていく。アダメの行なったことは、敵も味方も知らないと言えるような動きであった。




◇      ◇




「!!!!」

「なんだっ!?」



アダメの光。……それよりも強力な清らか過ぎるオーラは遠くにいたはずの強者達にも存在を確認させた。

とんでもない何かが。

遠くにいるようで近くにいるほど、感じてしまう。

東京駅までその光は届きやしないが


「……眠気がとれた」


欝のようになっていたムノウヤの心が晴れるほどの、どデカイパワー。

彼と共に行動していたトラストも剣を手に作り出し、身構えるほど。

ジャオウジャンも心配になる。

しかし、


「……遠い」


そう。東京駅から因心界の病院までの距離は、相当ある。間合いとかの話じゃっ……


「君がムノウヤか?」

「!!?」

「!?」


いつの間にか、ムノウヤとトラストの右横に立っているアダメ。

何も気配を感じず、強さに至っては分からない。



ドスウゥッ



「ぶふぅっ!?」


感情も思考も……整理が追いつかない。トラストは身構えるために作った剣。それがどうしてか、自分で自分を刺して自害を選んでいる。

あまりにアダメの存在がヤバ過ぎて、自分は自害を選択したのだと気付いてからだった。

一方でムノウヤは影を形作り、アダメに襲い掛かった。

瞬間。

ムノウヤが感じ取ったのは色んな強者を相手にした時にでも、感じたことはない。絶対的な集中が成せた、自分の変化の理解だった。


「!」


影が無数の刃となり、硬質化していき、先端を鋭利にしていく。アダメに向かっていながらの影を凶器へと変化させる。

その最中にアダメはゆっくりと、この攻撃を避けるために左へ歩いていく。


「さすが」



追尾している攻撃ではなく、ムノウヤが反応していることも分かっている動き。

ムノウヤの影はアダメを追いかけているが、歩いているのにあいつが速すぎる。

影が追いつけない。

そして、こちらは一歩も足を動かせず。アダメはムノウヤの後ろをあっさりととる。眼が追いついているだけでもアダメはムノウヤを評価しているが、バカにしてもいるのかもしれない。

それだけに邪念とは違った動力を持っている、アダメの動きが超越されていた。



「背中から吹っ飛ばされても、死ぬか?」



ドゴオオオオオオォォォォォォッ



「……あ、隣の奴も一緒に倒しちゃった」



光の衝撃波をムノウヤの背から与え、東京駅の外まで吹っ飛ばす。ついでに巻き込まれたトラストも外へ。

そして、ジャネモン達同様に光の中へと消えていく。



【なんだ?騒がしい……】



地下深くで、魚の群れの姿で球体に閉じ篭るジャオウジャン。

邪念を回収しているわけだが、光としか、伝えられなかった謎の現象によって、多くのジャネモンが一瞬で消失した事は分かった。そして、続くように東京駅の内部で起こった衝撃。

この状態では何もできない。だが、見つからなければ



「ムノウヤと違って、まだまだ完成されていないか」

【!!?誰だ!!貴様!!どっから来た!?】

「どーも。私、アダメって言います」

【アダメ!?…………貴様、まさか!!】

「君を作った関係者」



ムノウヤのそれとは異なり。アダメはただただ単純に、球体に手を突っ込んだ。



【!や、止めろおぉっ!わ、我が死ぬ!!壊し方を知っているな!!】

「君が完成されると、ムノウヤと同じく面倒だからね」



バリイイイィィィッッ



【ば、馬鹿な。我が。この我が、……こ、こんな死を……】



アダメはジャオウジャンの入る球体を破壊し、一度は殺害に成功させた。

そして、ムノウヤ達と同じくジャオウジャンも光に包まれ、消えていく。

迅速にして圧倒的な制圧。

アダメによって、瞬く間に東京駅は開放されたとも言っていい事ではあったが、アダメはまだまだ終わらなかった。



ビュンッッ



「!!」


直感が凄すぎると、妖精の国に帰った後。アダメは言う。



バギイイィィッ



瞬間移動が終わった直後。確かに状況が分からぬままやってくるから、状況が分からない時。攻撃を喰らう。だが、


「拳はないんじゃないか?」

「誰。あなた……」

「攻撃してから訊かないで」


因心界にとっては、仲間とも言える。

白岩印。レンジラヴゥが、アダメと対峙したのだ。

東京駅の地下。人が行き交うであろう、広い空間で2人の戦いが始まった。


「!」


口から血が出た。攻撃を喰らうことも久しいが、……もっと。もっと。

アダメの意識が血に向かった一瞬。レンジラヴゥは隙を逃さずに追撃に出た。

叫び声がする。


「血がーーーーーーーーーー!!!!!」

「!」


痛みからの絶叫ではなく、なんらかのトラウマを思い出すアダメ。そんな叫びはどす黒い恨みが込められていると、レンジラヴゥは感じた。


「なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで」


アダメは叫びだけでなく、動きまでも発狂を現していた。聖者のような光を放てば、憎悪と嫉妬、歪んだ愛が作り出す邪念のある光も放つ。

レンジラヴゥはムノウヤと同じ体験をしている。自分は攻撃を繰り出しているというのに、アダメは平然と感情を爆発させて、ムダな行動をしている。それすらアダメにとっては余裕の行動なのだ。


「……はぁー、落ち着いた」


ホッとしたような表情。どこか自慰行為をした後に来る喪失感を漂わせる、アダメ。

拳を繰り出したままでいるレンジラヴゥの横を通って、まずは安全をとる。



「!」


明らかに隙を突いたというのに、余裕過ぎるほどの時間で避けられた。レンジラヴゥの戦いの中でも初めての事であり、アダメの動きを追いかけるように身体は本能と共についていくが。



バギュウウゥゥッ



「くぅっ」


アダメの目から放たれた高熱レーザーがレンジラヴゥの身体を貫いた。


「ぅ」


自分がその傷を治すことも遅いどころじゃない。攻撃によって膝が折れる時間ですらゆっくりになり、それでいてレンジラヴゥの意識はハッキリとしている。異常な違和感の正体の1つは、明らかな戦闘能力の差。

反撃ではいけないと察知し、防御をする。



「へぇー」



ドゴオオオォォォォッッ



アダメは感心を先にし、レンジラヴゥを邪念の衝撃波で壁まで吹っ飛ばした。この状態でこの動きをするレンジラヴゥ。


「"聖剣伝説Ⅱ"のヒロインに抜擢した甲斐がある」

「な、何者ですか……」


意識もハッキリしている。しっかりと防御が間に合うのは、ヒイロが選んだだけある女性と言える。もし、ヒイロが近くにいたら危なかったなとアダメは思う隙に、



「ゴチャゴチャうっせーなっ」



ドスウウゥゥッッ



「…………あの」

「眠れないでしょ!!」


アダメの背中から剣が貫いた。背後からやってきたのはルミルミ。妖人化している事と、眠りを邪魔されて怒っていること、なにより……サザン以上に殺したい奴がノコノコとここにやってきた事。

アダメはレンジラヴゥの時とは違い、冷静に尋ねる。


「お寝むの時間じゃないんですか?」

「お前が来たから、殺したいんだよ」


ルミルミは左手から雷撃を放ち、アダメを襲った。


「止めてくれ、ルミルミ」


雷の発生と速度の前に、アダメは平然と動いてみせる。まずは身体に刺さった剣を抜いて、自由を確保。傷口を怖そうに見てから後ろに下がり、雷撃が当たらない位置まで移動する。雷撃の動きが分かりやすく、スローに動いていく。アダメはゆーっくりと雷撃を掻い潜って、再びルミルミの前に立つ。


「"リセット"中なんだ」

「…………」


ギロリと睨みつけるルミルミに


「怖っ!!」


アダメはリアクション同様の気持ちになっていた。



ドゴオオオォォッ



雷撃がアダメをすり抜けたように壁に直撃。

あの現象をなんとか突破しなければ、アダメをどうこうするなんてできない。

意識の外からの攻撃なら届く。

ルミルミの剣はアダメに突き刺さった。ダメージはまるでなかったが、突破口はそれくらい。



「ルミルミちゃん」



レンジラヴゥはこの場をルミルミに任せた。

そのルミルミは。おそらく、妖精最強と言える実力を発揮したであろう。


「……4つ」

「ん?」


甘さがあるのは、精神的なムラがある証拠。ご丁寧にルミルミはアダメの戦い方に4つの指摘を披露していく。その1つはすでに意識外からの攻撃に対応できていないこと。これはどれにも当てはまるものであるが、



ブジュウウゥゥッ


「!!うええぇっ」

「内部攻撃からの攻撃には弱い」


アダメからでは、いつの間に仕掛けられたのか分からなかった。アダメの内側から木のような植物が生えてきて、身体を貫いた。

続けるように。


「"風塵裂傷"」

「!」


雷撃の速度を回避してみせたが、今度は風の広範囲攻撃。致命傷こそ避けられるが、切傷はついていしまう。それに風の衝撃に押される。


「っ……ちょ、勘弁してよ。本気で殺す気?」


アダメがよろめきながら、ルミルミに質問する。そのルミルミは何も答えずに、一度は避けられた雷撃をもう一度放とうとしていた。

その間に答えてくれよってアダメは思っていたが、



「"雷撃千煩"」



ビイイイィィィィッ



再び、アダメだけが余裕の行動を確保するだろう。雷の速度だろうと、範囲だろうと。当たらなければどうということはない。そんなことを平然とやるのが、アダメの動きだった。殺す気ならもっと、別の手段をと思っていたが


「え」



ドゴオオオオォォォォォッッ



ルミルミとレンジラヴゥの感覚は遅くなっていたが、雷撃の速度はそのままになっており、アダメに直撃。それも油断から来た直撃。


「ぎゃああああぁぁぁっぁっ!!!?いだいいいぃぃぃっっ!!雷喰らった~~!!」

「以上、4つの弱点」

「当たった!?凄い、ルミルミちゃん!」


雷撃を浴びて、床に転がるアダメ。黒焦げになった体が徐々に再生していくが、ちょっとやそっとじゃとれないダメージを浴びた。


「空間を解析したのか!?」


一定の空間内で自分以外を極めて遅くする力を使っていた。それだからこそ、可能だった動きなのだ。それを理解した上でルミルミは、空間を無力化する細工をしての攻撃。それってルミルミ以外にできねぇだろって、逆ギレしたいところ。

しかし、それよりもルミルミに対する恐怖が増さる。大丈夫だろうと思ってきたのに、こいつ。サザンの言っていた通り、恐ろしく強くなっている。セーシも勝てなかったのが、納得がいく。


「しからば、逃走!」


ルミルミと戦うつもりはない。とにかく、この場は逃げて……。



ガシイィッ



「あんたが逃げれる場所は地獄しかないよ」

「……ははっ」


ルミルミは逃げようとするアダメを取り押さえた。"リセット"はされても、ここでアダメを殺して大きな目的を達成させる。

一方のアダメは


「て、天国はないですか?」


やばい。やばい。やばい。ヤバ過ぎる!!

どーなってんの、このルミルミ!!私は"これまで倒れた"妖精と邪念の力の全てを合わせている状態なのに、なんでこいつに歯が立たないわけ!?世界の"リセット"をしているからもあるけれど、今の私はセーシの3倍ぐらいは強いっての!

本気のルミルミはそれより強いというのか!!

私は死にたくない!!だいたい、ここに来たのは"リセット"を正しくするためで、サザンが私を引っ張ってきといて負けるのが悪い。サザンを先に殺せよ!!



ドスウウゥゥッッ



「ぶふうぅっ」

「さっさとお前は死ね」


優しいルミルミが感情の全てを込めたような口と剣で、アダメの身体を引き裂く。見ているだけのレンジラヴゥであったが、2人の関係がすぐに分かった。


「ま、まっでぐれ」


それで攻撃を止めるバカがどこにいる。そう言いたげな、ルミルミの死体蹴りであったが


「ついさっき、シットリは死んだ!」

「!!?」


自分も死体になる前に。ルミルミの心を揺らす。本当の結果を伝えてやった。分かっているとは思うが、アダメがやるわけがない。

シットリの死を聞き、ルミルミの思考に迷いのような物が生まれたのは事実。ほんの数秒でも稼げればいい、逃げてやると思っていたところに。



ドゴオオオオオオォォォォォォッッ



「な、な、な、なんだーーーーーーーー!!?」


登場こそはミステリアスな雰囲気と、恐ろしい無双を披露したアダメだけが驚く。本来のアダメは情緒不安定でビビリで、自己中心的で、勘違いが多いというのが素であった。

外からのいきなりの襲撃は、



「粉雪さんかも!!」

「…………ちっ」


レンジラヴゥだけならまだ良いが。粉雪は、……革新党はマズい。

アダメを確実に殺すのはやっぱり、妖精の国でやるべきだ。目的のある人間達がこいつの存在を知ったらマズ過ぎる。


「すぐに"リセット"して」

「ルミルミのせいで不完全ですけれど!?」

「いいから!!死にたいの!?」



ヤバそうな存在は気絶させるなり、光に取り込むなどして"リセット"を行なう。

不完全での"リセット"は、わずかな違和感を作ってしまう。アダメはそれを無くすためにルミルミと戦闘をしていた。

これでは全員といかないだろう。



ドゴオオオォォォォッ



「何か知らないけど、仲間割れかしら?」

「……クールスノー」

「粉雪さん」


ルミルミは一瞥し、レンジラヴゥは複雑な展開になったと心配する。

天井をぶっ壊して、ここにやってきたクールスノー。彼女が引き連れてきたのは、雪。それも大雪どころじゃない。雪崩を呼び込んで来ていた。



ドオオオオォォォォッッッ



「わーーーーーっ!!雪崩ーーー!?こんな地下空間じゃ埋まってしまうーー!!」

「さっさとして!!」


クールスノーの雪崩をルミルミが防ぎ、アダメを仕方なく護る。その様子を見たクールスノーは


「…………もしかして、別件のお取り込み中?」


レンジラヴゥになってはいるが、ヒイロの姿が見えない。ルミルミの近くに何かがいるということ。クールスノーはどっちと戦いたいかといえば、レンジラヴゥの方。彼女が本気になれない状態なことと、ヒイロを釣るための餌には丁度いいと思っていたが、


「気になる」


"あの"ルミルミが、護ったその相手。相方の飛翔マキと同じくらいのヤバめな感じ。レンジラヴゥへの意識を無くして、


「ルミルミ。あんた、何を隠してるの?私に教えてくれない?」

「……あんたにはカンケーない」

「じゃあそうね……。こう訊くわ」



【お前達、妖精の国は。一体なにを隠しているんでしょうか?】



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