回避できる未来
まとまった時間が取れないのでこれからは小出ししていこうと思います。
前世での雪姐を簡単に紹介すると
幼馴染の姉
俺をオタクにした元凶
コスプレイヤー
友人
趣味仲間
どんな時でも笑顔でいた人だ
「はじめまして、理奈ちゃん……グス」
その雪姐が涙を流していた
俺が知る限り人前で泣いたことなんて0回だ
「雪、どうしたの?」
「なんで……ない」
鼻をすすりながらいうがなんでもなくはないだろう。
「お姉ちゃんどうしたの?」
絵里は突然泣き出した雪姐に驚きつつも慰めようとしているのかあたふたしている。絵里のお母さんが抱き上げてヨシヨシとあやしている。
「子どもじゃないもん!」
暴れて降りようとするが絵里のお母さんは放そうとしない。うちの両親も
「雪、何があったの?」
「言えない!」
雪姐はチラッと俺を見た
それに気づいたのは俺と俺の両親だった。俺はお母さんに
「理奈、何かした?」
「してない」
雪姐に今世で会うのは今日が初めてだ。両親もそのことは知っている。雪姐と何かあったとしたら前世になるが
さっき自分で言っていたな
雪姐は転生者だと
雪姐の前世で俺と何かあったのか?
「一平は何も悪くない!……あ」
「一平?」
一平
俺の前世の名前だ
状況から察するに雪姐は俺と同じ並行世界から来たかは不明だが俺が男で一平として生きていた並行世界から転生したのだろう。
「あなた……一平って理奈が男の子だった時につけようとした」
「そうだな……雪ちゃんは理奈が男の子だった並行世界からやってきたかな? その時に男の理奈に何かされたのか?」
「一平は悪くない」
「じゃあなんなのよ! なんで泣いてんのよ!」
「言えない!」
もう
なんとなくわかっている
若い頃に亡くなった仲の良かった友人がTSしているけど生きて生きている
それを見てどう思ったかはわからないけど涙を流したのだろう。
「未来のことは言えないの!」
「それは……そうだけど」
未来のことだと判明した瞬間大人たちは泣いている理由を聞くのをやめた。
やっぱり未来のことを周囲にいうのは禁じられているらしい。
確かに禁止しておかないと世の中が乱れるだろう。センター試験がどの範囲から出されたとか知ってしまったらそこさえ勉強しておけばセンター試験は高得点を狙える。転生者本人は仕方ないとはいえ他人が知ってしまったら問題が漏洩したのと同じだ
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小林一家は足早にいえへとかえっていった。残された俺たちはというと
「理奈が未来でどうなったんだ?」
「あの雪ちゃんが泣き出すほどなんてただ事じゃないよね」
俺の未来を心配していた
俺を見て泣き出したんだ。
お母さんは弟を揺らしながら(今日は静かだな)俺の手を握る。少し強い
だけど俺は雪姐が泣き出した理由に心当たりがある。それは回避することができる未来だ。
あの日、あの時に俺がいなければいいんだ
そうすれば俺がそこで死ぬ未来は回避できる
母親を安心するためになんて言おうか迷ったが思いついたのがどれも幼稚園児が言う言葉じゃなかったのでお母さんの手を少しだけ強く握り返した
一応理奈が大学卒業まで書くつもりです
それまで挫折しないように頑張ります